教育とは子どもたちにとって必要なものであり、基本的な人権の1つとして考えられるべきものですが、世界に目を向けると初等教育すら受けられない国や地域も存在しています。
誰もが平等かつ公平に教育を受けられる環境を作り上げることは必須であり、世界では課題の1つとして様々な取り組みが行われています。
この記事ではSDGsに掲げられている「質の高い教育」について紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説
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SDGsとは?
そもそもSDGs(エスディージーズ)とは持続可能な開発目標の略称であり、2015年に行われた国連サミットで、全会一致で採択された世界的な目標です。
「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性(※)のある社会の実現を全体的な目標として、2030年を期限とする17の国際開発目標と169のターゲット、232の指標が定められています。
これは前身にMDGs(ミレニアム開発目標)があり、2015年までに一定の成果を達成したものの、未達成であったものや世界にまだある課題などを整理、改めて先進国を含めた全ての国が行動し、実現するための目標として作られた目標でもあります。
17の目標には教育だけでなく、貧困や飢餓、ジェンダー、成長・雇用など世界で未だ課題となっている事柄を整理して、世界で解決に向け取り組まれています。
※包摂性:一つの事柄をより大きな範囲の事柄の中にとりこむこと。
SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは
SDGsの目標4では「質の高い教育をみんなに」という目標を立てています。
この目標では全ての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するというターゲットを念頭に取り組まれています。
MDGsでは開発途上地域の就学率が91%に達し、世界で学校に通えない子どもの数は半減しました。
また、字の読み書きができる人の割合を表した識字率も劇的に改善し、学校に通う女子の人数も以前よりかなり多くなっています。
しかし高い貧困率や武力紛争、その他の緊急事態など大きな課題はまだあり、地域によっては初等教育就学率にも大きな格差が残っている場所もあります。
質の高い教育とはその国の状況や環境、経済などによって異なります。
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」では、すべての人に包摂的で質の高い教育を普及させ、2030年までに全ての男女が無償で初等・中等教育を修了することを目指しています。
(出典:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」,2020)
(出典:国連開発計画 駐日代表事務所「目標4:質の高い教育をみんなに」)
世界の教育の現状
質の高い教育を目指すにあたってどのような施策が行われているかは、現在の世界の教育状況から知っておく必要があります。
2018年時点で、小学校学齢期である初等教育就学年齢(一般的に6歳から11歳)の子どもたちの8%に当たる5,900万人が学校に通えていません。
男子が約2,700万人、女子が3,200万人であり、約5,900万人の半数以上にあたる3,200万人はサブサハラアフリカの子どもたちです。
2番目に世界で小学校に通えていない子どもの人数が高いのが、南アジアの1,300万人と報告されています。
これを地域別、国別でまとめると、小学校に通っていない子どもの割合が世界で最も高い「地域」は、サブサハラアフリカ地域で19%、北アフリカと西アジアで9%、南アジアで5%となっています。
また小学校に通っていない子どもの割合が世界で最も高い国は南スーダンの62%、赤道ギニアの55%、エリトリアの47%、マリの41%の順です。
中学校学齢期である中等教育前期の学齢期(一般的には12~14歳)に目を向けてみると、約16%にあたる約6,200万人が学校に通っておらず、そのうち男子が約3,200万人、女子が約3,000万人と報告されています。
これは2018年時点の人数であり、2000年時点では約9,900万人だったので改善こそしていますが、それでもまだまだ多いのが現状です。
2018年時点の高等学校学齢期である中等教育後期の学齢期(一般的には15~17歳)の子どもたちの約35%にあたる約1億3,800万人が学校に通えていません。
こちらも2000年時点では1億7,600万人だったので改善はしていますが、学齢期が上がるにつれて学校へ通えていない子どもが増えているという結果になっています。
質の高い教育以前に、まずこのような子どもたちを減らし、誰もが学校に通える世界にすることも課題となっています。
「女の子だから」学校に通えない
各学齢期で学校に通えない子どもの人数を見ると、初等教育では女子の人数の方が多いことが分かります。
これは宗教や伝統に基づく習慣、差別、経済的な理由で男子の教育を優先する、学校にトイレが整備されていないため思春期に中退してしまう、学校までの道のりが遠い、保護者が学校に通わせたがらない、など女子が学校に通えない理由は様々あります。
MDGsによりその数は改善されたものの、質の高い教育のためにはこのようなジェンダーによる差別をなくし、男女関係なく平等に通える学校教育や設備が必要となります。
また女子が教育を受けることで、早期の結婚や妊娠を避け、将来生まれてくる子どもを健康に育てられるようになることが期待されています。
他にも女性の家庭内や社会的地位の向上、社会や国の未来を変える力が生まれ世界全体、あるいはその国の発展に貢献できるだろうと言われています。
識字率の低さも問題に
たとえ教育を受けられる環境があったとしても、読み書きや計算などの基礎的な能力の欠如が問題になっています。
政情不安や深刻な貧困が続く中央アフリカやチャド、南スーダン、ニジェールなどは若者の非識字率が世界で最も高いと報告されています。
例えば南スーダンの15歳から24歳の若者のうち、読み書きができない人の割合は68%にも上ります。質の高い教育を行う上で、基礎的な学力は必須であり、識字率や計算能力を全ての子どもが得られるというのは、質の高い教育による結果の1つといえます。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ユニセフの主な活動分野|教育」,2019)
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「紛争地・被災地の教育 読み書きができない若者10人に3人」,2018)
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「アフリカに教育支援が必要な理由」)
質の高い教育を目指すための取り組み
最貧国や紛争国など、世界の教育の課題が見えたところで、質の高い教育を目指すために行われていることを見ていきましょう。
世界規模で行われていることや、日本で行われている取り組みを紹介します。
世界規模で行われている取り組み
世界ではその教育の質や環境が国や地域によって異なり、宗教・慣習・政治・経済的理由など様々な状況により、学校に通えない子どもがいます。
質の高い教育を全ての子どもに提供するためには、まず格差のない教育の環境づくりが必須であることから、ユニセフや各国の開発機関、教育機関などが協力して、世界全体の教育環境の整備と改善に取り組んでいます。
紛争や貧しさから校舎の設置ができない、あるいは壊れてしまったという地域には、建設や改修、修繕などを行い、子どもが通える範囲に学校を置いています。
もちろん、衛生的な男女別のトイレや清潔な調理場、運動場、図書館、学校菜園などの環境整備も行っています。
また教科書や学用品、奨学金などの提供から、教員研修によるスキル向上などを行って、教育の質を高め、識字率や計算能力を基礎的な向上させる授業の実施を図っています。
給食当番や学校の修繕など運営に地域の人々にも参加してもらう仕組みづくりも実施しています。
他にも小学校の無償化・義務化を政府に呼びかける、学校を中退した子どもへの補習授業の実施、障害がある子どもが通える体制の整備など教育に関して基礎ではありますが、幅広い支援が行われています。
日本で行われている取り組み
日本はJICA(国際協力機構)を中心として、世界の30カ国で基礎教育分野への技術協力プロジェクトを実施してきました。
理数科を中心とした教科書開発や民族的・言語的マイノリティー(少数言語)、障害がある子どもを含めた、誰もが普通に学校にアクセスし、個人のニーズに応じた教育を受けられる「インクルーシブ教育」実現のための教員養成や現職教員の能力強化支援などを行っています。
また「みんなの学校」プロジェクトとして教員や保護者、地域住民の協働により教育改善を目指す試みにも協力しています。
住民による選挙により、地域に開かれた学校運営委員会を設立し、現状の課題を保護者や教員と対応策を議論し、教育改善活動を行う仕組みを作り上げました。
一方で日本の教育にも課題があります。教育制度自体は整えられつつありますが、現在の日本の小学生から中学生の意識調査では、海外への関心の低下が見られます。
そのため新学習指導要領では「グローバル化への対応」と「持続可能な社会の創り手の育成」を重視し、カリキュラムの作成を行っています。
日本における質の高い教育とは基礎的な学力はもちろんのこと、SDGsの達成や、その先にあるグローバルな社会での持続可能な開発を行っていく担い手を教育することになります。
そのためにもJICAの国際協力の経験や、世界の課題と日本との関係を知ってもらい、自らの問題として解決に向け自主的かつ積極的に取り組める人材の育成を推進しています。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「アフリカに教育支援が必要な理由」)
(出典:国際協力機構「変わる、世界と日本の教育」)
質の高い教育のために取り組み、SDGsを達成しよう
国の未来を作るための教育が全ての子どもに為されるということは基礎的な学力をつけるだけでなく、問題について考え解決していく方法を見につけることでもあります。
それは今自分が置かれている状況に甘んじることなく、打開するための方法について考える力を持つ、ということでもあります。
そして身近な問題から地域の問題、そして国や世界の問題へ発展し、それについて考え、解決策を講じていく人材に成長する可能性があります。
教育が行き届かない国や地域ほど紛争や貧困から脱せられない可能性があり、質の高い教育を普及するからこそ、それらを全ての人が考え、解決のために取り組むことができます。
これは教育だけの問題ではなく、SDGsの様々な目標を達成する上で必要なことであり、質の高い教育を達成できれば、多くの課題が解決へと歩を進めることになります。
教育の環境に恵まれている日本は、国内の教育はもちろん、世界が置かれている教育の問題についても考え、支援などに取り組んでいくことで世界全体の未来が切り開けることでしょう。
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