シングルマザーは子育てと仕事を両立しなければならず、バランスが取れなくて低収入になってしまうケースもあります。
理由はそれだけに限らず、全体的に年収が低いという傾向にあることもデータで明らかになっており、シングルマザーの貧困が深刻な問題となっています。
この記事ではシングルマザーの年収事情や貧困状態にある背景などを紹介します。
貧困に悩むシングルマザーの食事や生活とは?自己責任と言われる風潮から脱出するには
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シングルマザーの平均年収は?
母親1人で子どもを育てるシングルマザーは貧困な状態にあることが多いと言われています。
これはシングルマザーの平均年収が大きく関わっていますが、2016年に行われた全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯の平均年収は243万円となっています。
これは父親1人で子どもを育てている父子世帯の420万円よりも200万円近く少ない数字です。
前回行われた同調査よりも母子世帯は20万円、父子世帯は40万円多くなっているものの、ここにも同様に男女で大きな差が生じています。
- 母親1人で子どもを育てる母子世帯は貧困であることが多く、シングルマザーの平均年収が大きく関わる
- 2016年に行われた全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯の平均年収は243万円
- 父子世帯の平均年収よりも200万円近く少ない
(出典: 厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」,2016)
(出典:厚生労働省「ひとり親家庭等の支援について」)
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シングルマザーが貧困に陥りやすい理由や背景
なぜシングルマザーは平均年収が低く、貧困に陥りやすいのでしょうか。
その理由や背景について見てみましょう。
家庭環境によりその理由は様々ですが主な要因として以下の4つを挙げることができます。
子どもが小さい時に離婚する場合が多い
シングルマザーの多くが離婚により母子世帯となったケースでは、子どもが小さいときに離婚することが多い傾向にあります。
離婚後は小さな子どもの世話を1人ですることになります。
回りに両親など助けてくれる人がいれば別ですが、そうでなければ1人で家事、子育て、仕事を行わなければいけません。
子育てを仕事を両立させようとすると、仕事にも制限が出てきます。
時間の融通が効くなどの理由からアルバイト・パートタイマーなどの非正規雇用の場合では満足な収入が得られる職に就けないことも多く、必然的に収入も減ってしまいます。
また子どもが病気になった場合は自分も休まなければいけなくなり、余計に働きにくくなってしまいます。
子どもは成長とともに教育に必要となる出費が増え、高校や大学を卒業させるためには、学費なども大きな負担となります。
そうなると収入が増えない状況であれば、貧困状態は余計に厳しくなってしまうのです。
パート・アルバイトの非正規雇用が多い
2016年に発表されたデータによると、母子世帯のうち正規雇用で収入を得ている人は44.2%と半数以下となっています。
一方でパート・アルバイトなど非正規雇用で働いている人が43.8%と同じような割合となっています。
正規雇用であれば安定した収入や福利厚生なども活用できる人が多いですが、パート・アルバイトや非正規雇用となると、どうしても不安定で低い収入しか得られない可能性が高くなってしまいます。
特にパート・アルバイトは子どもの病気などでシフトに入れなかった場合、収入が減少します。
非正規雇用も契約によっては同じように収入が減る可能性があり、福利厚生なども十分なものを得られないところもあるため、貧困を助長する原因になっています。
養育費の取り決めをしていない
子どもの教育には何かとお金がかかります。本来であればふたり親で助け合い、子育てや教育費の捻出を行いますが、シングルマザーではそれが望めません。
離婚の場合、相手との話し合いで養育費を受け取ることも可能です。
しかし、母子世帯で離婚した相手と養育費の取り決めをしているのは全体の42.9%と、5割以上の人が取り決めをしていない状態です。
その理由として、離婚したら相手と関わりたくないという人や相手に支払う能力が無い、相手に支払う意思がないと考えた人が多く、養育費を受け取れない環境があることがわかります。
そのため、子育てにかかる費用も一人分の収入で捻出しなければならなくなり、これも貧困状態に陥る要因の一つとなっています。
周りの環境による理由
周りの環境も貧困を後押ししてしまっています。
保育園に預けたくても近隣の施設はどこもいっぱいであることや、保育園や幼稚園に預けるお金が無い、周りに頼れる人もいないなど、1人で子育てと仕事を両立できる環境になっていないことが多いです。
また福利厚生や時短など子どもがいても働きやすい会社に就職しづらい場合もあり、結果としてパートやアルバイトを選ばざるを得ない状況になっているのも理由となっています。
- パート・アルバイトなど非正規雇用で働いている人が43.8%と高い割合
- 子育てにかかる費用がシングルマザーの負担となり、貧困状態に陥ってしまいやすい要因の一つ
- 保育園に預けたくても近隣の施設はどこもいっぱいであることや、費用の面や仕事と両立できる環境にはなっていない
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「第5回(2018)子育て世帯全国調査」結果速報,2019)
(出典:厚生労働省「平成 28 年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要」,2016)
生活保護を受ける際の注意点とは
シングルマザーとなり、満足に働けない、収入を得られず困窮している場合、生活保護を受けるのも一つの手段です。
母子世帯の生活保護の受給率は、一時期は9%でしたが2007年には8%に減少し、2015年には6%まで減少しています。
母子世帯が生活保護を受けるには、メリット・デメリットがそれぞれ存在していることが関与していると考えられます。
それぞれについて解説します。
生活保護を受けるメリット
生活保護を受けるメリットは、主に以下のポイントが挙げられます。
- 保護費を支給されることで生活が安定する
- 医療費など日常生活のサポートを受けられる
- 年金などの税金負担がなくなる
- 義務教育でかかる費用の負担が扶助される
どれもシングルマザーの収入だけでは大きな負担となるものばかりであり、これらの全部あるいは一部が解消され、生活の安定が得られるのは大きなメリットと言えるでしょう。
生活保護を受けるデメリット(注意点)
メリットがある一方で、注意点としては以下のことが挙げられます。
- 子どものための預貯金ができない
- 自動車所有は特別な理由以外認められない
- 家賃上限があるため条件にあう借家が選びにくい
- 借金や賭け事、ぜいたく品の購入が限られる
など、様々な制限があることは事前に知っておく必要があります。
様々な制限がある理由は、生活保護が最低限度の生活を維持するために活用されることが前提となっているためです。
この注意点の中でも預貯金ができないこと、自動車の所有が基本的に認められないことはデメリットにつながるのではないでしょうか。
子どものための貯金ができなかったり、保育園や学校の送り迎えができなかったりと、生活保護を受けているために不便な生活をしなければならない可能性もあります。
- 母子世帯となり、満足に働けない、収入を得られず困窮化している場合、生活保護を受けるというのも一つの手段
- 母子世帯の生活保護の受給率は、2007年の8%から2015年の6%と減少している
- 受給するためには様々な制限があるため、事前に確認が必要
(出典:厚生労働省「生活保護制度の現状について」)
(出典:厚生労働省「生活保護制度」)
政府の子ども・子育て支援が活用できる
現在、シングルマザーの貧困が全国で問題になっていることから、政府も貧困支援に乗り出しています。
生活保護を受けるのも1つの手ですが、まずは政府の子ども・子育て支援を活用することを検討してみてはいかがでしょうか。
シングルマザーをはじめひとり親世帯に向けた支援は、児童扶養手当や就労支援、資格取得支援、母子・父子自立支援員による相談や支援など様々な支援があります。
いずれも条件はあるものの、それを満たしていれば支援を受けることができ、貧困状態を脱することができる可能性が上がります。
- 政府もひとり親世帯のために様々な支援を行っている
- 生活保護を受ける前に、まずは政府の子ども・子育て支援を活用することを検討してみては?
- いずれも条件はあるものの、それを満たしていれば支援を受けることができる
(出典:厚生労働省「母子家庭等関係」)
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貧困に苦しむシングルマザーを減らそう
貧困に陥っているシングルマザーは子育てと仕事の両立から心身ともに疲労していることもあります。また、政府による支援などについて知らないということも考えられます。
そうしたとき、せめて支援があることやどこに相談すべきかなどを教えてくれる人がいれば何か変わるかもしれません。
貧困に苦しむシングルマザーとその子ども1人でも減らすためにも、私たちができることを考えて動いていくことも大切です。