奨学金は現代の大学などへの進学には必要な存在です。
申請する奨学金によっては卒業後に返還を求められるものもあり、長い期間をかけて返さなければいけません。
この奨学金は返せなくなった場合、減額する方法などはあるのでしょうか。
この記事では奨学金の減額の可否や条件、申し込み方法などを紹介します。
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奨学金は減額できるのか
奨学金の中でも貸与型奨学金は、期間や月額、総額は人それぞれ違いますが、大学卒業後に返還しなければいけません。
しかし様々な理由で返せなくなるということもあり得ます。そのような場合、奨学金は減額できるのか、という疑問が出てきます。
結論から言えば、奨学金の減額はできません。
ただし返せなくなったときの救済措置として、減額返還というものがあります。
ではこの減額返還とは何なのか見ていきましょう。
奨学金の減額返還とは
減額返還は、災害や傷病などの経済的理由で奨学金の返還が難しくなった人の中で、奨学金を申し込んだ当初の割賦金を減額することで返還可能になる人が対象です。
願い出をして審査を通った場合は一定期間、当初の返還金額を減額し、減額返還適用期間に対して返還期間の延長を行います。
つまり減額返還は、毎月返還する割賦金を減額して返還期間を延長するものであり、返還総額を減額するものではないことに注意してください。
1回の願い出につき、適用期間は12ヶ月ですが、最長で15年(180ヶ月)まで延長することができます。
ただし、この減額返還は誰でも願い出ることができるわけではなく、適用条件があります。
様々な経済的理由により奨学金の返還が難しい場合に、所得証明書などの年間収入金額が325万円以下、被扶養者に対して1人につき38万円を収入・所得金額から控除することが可能です。
また、願い出や審査の時点で延滞していると適用されません。そのため申請は余裕を持って行う必要があります。最低でも開始を希望する2ヶ月前までには行いましょう。また年賦や半年賦、月賦・半年賦併用で返還している人は、月賦の返還方法に自動的に変更されて減額返還の終了後も、月賦返還が継続されます。
もともと月賦返還であれば、そのまま減額返還へと移行されます。
加えて口座振替(リレー口座)加入者のみ減額返還を利用できるため、未加入者の場合は、口座振替手続き終了後に、預・貯金者控のコピーを手続きの書類に添付して願い出る必要があります。
奨学金の減額返還の申し込み方法
減額返還の申し込みには、奨学金減額返還願の同意事項・注意事項を確認してから行う必要があります。
これは個人信用情報の取扱いに関する同意書の提出や、減額返還が総額の減額ではなく、割賦金を減額して返還期間が延長されるなど、注意しなければならない点がいくつもあるためです。
その上で、返還が困難な事情と今後の見通しを詳細に記入し、マイナンバーおよび返還困難な状況がわかる証明書を添付して願い出を行います。
提出書類に関しては奨学金減額返還願とマイナンバー提出書、チェックシートに加えて、経済困難な状況を示す証明書、個人信用情報の取扱いに関する同意書、口座振替加入申込書の預・貯金者控の用意が必要です。
提出時期は減額返還の適用を希望する適用開始希望月の前々月(2ヶ月)前末までに提出しなければいけません。
ただし適用開始希望月より4ヶ月以上前に提出した場合は返送されます。
返還中の人については、提出書類の不備がなく、開始希望月の前月27日に振り替えが行われたことの2点を確認できれば、開始希望月中旬頃に奨学減額返還承認通知が届きます。
先述したように適用期間は1回の願い出につき12ヶ月まで適用されますが、適用期間終了前に改めて願い出ることにより延長可能になります。
※2020年11月時点
(出典:日本学生支援機構「減額返還」,2020)
(出典:日本学生支援機構「適用条件・注意事項」,2020)
(出典:日本学生支援機構「手続方法」,2020)
(出典:日本学生支援機構「提出時期と承認」,2020)
奨学金の減額返還は返還期間が伸びる
貸与型奨学金は、大学などの進学費用に多額のお金を借りることで賄い、卒業後に返還します。
貸与型奨学金には、無利子で借りることができる第一種と利子が付く第二種があります。
第二種奨学金の利率は、そのときの市場金利によって変わるものの、3%を上限としており、2019年3月も0.002から0.070%とそれほど高くはありません。
一般的なローンを組むよりも良心的ではありますが、経済状況によっては月額の返還は大きな負担となります。
厚生労働省が発表した2017年の世帯主の年齢階級別に1世帯あたりと世帯人員1人当たりの平均所得金額を見てみると、29歳以下の1世帯あたりの平均所得金額が350万円なのに対して、1人当たりの平均所得金額は207.6万円です。
1人当たりの平均所得金額を見ると、月々17~18万円程度の所得で1人暮らしをしていた場合、ここから家賃や光熱費、食費などを出さねばならず、奨学金の返還も捻出しなければいけません。
平均なのでこれよりも高い所得の人もいますが、裏を返せばこの平均より低い所得の人もいます。そうなるとさらに奨学金の返還が占める割合は大きくなります。
実際にどれだけ奨学金が返還されているのかを調べてみると、2017年における新規返還者の初年度末の回収率は第一種奨学金(無利子)で98.3%、第二種奨学金(有利子)で96.9%でした。
つまり無利子である第一種奨学金でも1.7%、利子付きの第二種奨学金では3.1%の新卒生が奨学金の返還ができていないのです。
なぜ返還できないのかというアンケートを取ったとき、2016年の結果では本人の低所得が64.5%、本人が失業中であるという回答も27.4%もあり、所得の関係によるものが大きいことが分かっています。
また延滞をしてしまったことにより、延滞額が増加することで負担が増えて払えないという状況に陥ってしまっている人も47.5%いました。
そもそも奨学金が必要となるのは、日本の大学などへの進学費用の高さにあります。
国立大学では4年制で入学料・授業料合わせて250万円ほど、私立大学では4年制で平均457万円ほどの学費がかかります。
そのため多くの奨学金を借りなければいけなくなるのです。
そして借りた多額の奨学金を無利子あるいは利子付きで月賦などに分割して払うことになるため、金額が高くなればなるほど月額は高くなります。
約束した通りの金額で返せば問題ありませんが、延滞してしまう人のための救済措置も一部利用できない人もいます。
減額返還も条件が厳しく、ほとんどの人が返還期限猶予の申請になります。
また減額返還も総返還額が減るわけではなく、月々の返還金額が低くなり、返還期間が伸びることになります。
それでも返還できるのであれば制度は利用すべきですが、負担は残るばかりです。
(出典:日本学生支援機構「平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率」,2020)
(出典:厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」,2017)
(出典:日本学生支援機構「返還金の回収状況及び平成29年度業務実績の評価について」,2019)
(出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」,2017)
(出典:文部科学省「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」,2017)
奨学金には減額返還などの救済措置がある
貸与型奨学金の返還は、本人が死亡する、あるいは返せないほどの障がいを負わない限りは返還が必要になります。
ただ、奨学金の返還が負担となることも確かであり、どうしても返還が滞りそうになったときはすぐにその旨を相談し、減額返還など救済措置で対応できないか考えてみることが大切です。
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