奨学金

奨学金が返せないときの対処方法はある?

  • 2020年11月26日
  • 2022年7月15日
  • 奨学金

奨学金は大学などへ進学する上で必要とする人が多い制度です。
しかし各々の理由で返還が上手くできず、延滞してしまうというケースも少なくありません。

この記事では、奨学金が返せないときの対処方法について紹介します。

奨学金とは?制度の条件や採用までの流れを徹底解説

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奨学金が返せないときの対処方法とは


奨学金には主に2種類あり、給付型と貸与型に分けられます。
給付型は支援として支給される奨学金のため返す必要はありませんが、貸与型は卒業後に返還しなければいけません。
貸与される金額にもよりますが、長期間にわたり月額で支払う必要があり、無理のない返還金額に設定はできるものの、場合によっては支払いが難しくなることもあります。

そういった奨学金の返還ができない人の増加が社会問題になっていましたが、ここで延滞を行うと延滞金や信用情報への影響など、さらなる問題が発生してしまいます。
しかし、返せなくなった場合には救済措置が用意されています。その救済措置として挙げられるのが、減額返還、返還期限猶予、返還免除です。

約束通り返せないが減額での返還なら可能な場合

災害や傷病、経済困難、失業などで約束通り返せない、返すのは困難であるが、減額によって返還することなら継続してできる場合、「減額返還」の願い出を行うことができます。

当初約束した割賦金を減額すれば返還できる人であると判断された場合、一定期間返還月額を減額して、減額変換適用期間に対して返還期間が延長されます。
この制度では毎月の返還額を減額するため、無理のない返還の継続を行うことができます。

ただし願い出にはその事由に応じた証明書を提出しなければならず、その願い出と証明書が一定の要件に合ってなければいけないため、審査があります。
1回の願い出の適用期間は12ヶ月になり、最長で15年(180ヶ月)まで延長ができます。
減額返還の申請は開始を希望する2ヶ月前までしか受け付けてもらえないため、余裕を持って行う必要があります。

(出典:日本学生支援機構「減額返還」, 2020)

今すぐ返せないので一定期間返還を待って欲しい場合

減額返還の願い出と同様に、災害や傷病、経済困難、失業などの返済が難しくなった際に申請できる制度です。
この制度では「一般猶予」「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」があります。

一般的に一定期間の返還を待ってもらう場合に願い出る制度が一般猶予です。減額返還に応じてもらえなかった場合もこの願い出を行うことになります。
適用期間は通算10年(120ヶ月)が限度ですが、災害や傷病、生活保護受給中、産前休業・産後休業および育児休業、一部の大学校在学、海外の派遣を事由とする場合には10年の制限はありません。

しかし災害原因が同一の場合は、災害発生から原則5年が限度となります。
手続きには必要な書類の提出が必要ですが、事由ごとに証明書を必要とします。
また猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予は、2012年以降で猶予年限特例や所得連動返還型無利子奨学金を貸与された人を対象とした制度です。
一定の収入や所得を得るまでの間、返還を待ってもらうことができますが、適用期限に制限はありません。

(出典:日本学生支援機構「返還期限猶予」, 2020)

本人が死亡したまたは障がいで返せなくなった場合

本人が死亡し返すことができなくなった場合、精神または身体の障がいにより労働能力を喪失してしまった、または動労能力に高度の制限を有し、返還が不可能になった際に願い出る制度です。
願い出を行うことで、返還未済額の全部または一部の返還が免除されます。

また現在は廃止されていますが、2004年3月31日以前に大学院の第一種奨学生に採用となり、奨学金の貸与を受けていた人を対象とした「返還特別免除」もありました。
これは所定の要件を満たし、教育または研究職に就いたときに、願い出を行うことで返還未済額の全部あるいは一部の返還が免除されました。

※2020年11月時点

  • 奨学金には救済措置として、減額返還、返還期限猶予、返還免除がある
  • 一定期間返還月額を減額して、減額変換適用期間に対して返還期間を延長する
  • 減額返還には「一般猶予」と「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」がある
  • (出典:日本学生支援機構「返還が難しいとき」,2020)
    (出典:日本学生支援機構「返還免除」, 2020)

    奨学金を返せないときの救済が必要とされている


    奨学金を利用することはそれほど難しくはありません。
    給与型奨学金や貸与型奨学金の第一種は、家庭の経済・資産状況や申請する本人の学習意欲などが条件になりますが、貸与型奨学金の第二種は比較的緩やかな条件となっています。

    また大学などへの進学には多額の費用がかかることも確かです。
    2017年時点での国立大学の入学料は28万2,000円、授業料は年間で53万5,800円となっています。
    また私立大学になると入学料は25万2,030円、授業料は90万93円であり、入学金こそ国立大学に比べて低いものの、授業料はかなりの差で高いです。

    2017年における新規返還者の初年度末の回収率は第一種奨学金(無利子)で98.3%、第二種奨学金(有利子)で96.9%でした。
    つまり多くの新卒生が奨学金を返還する中で、無利子である第一種でも1.7%、利子付きの第二種では3.1%の人がすでに返還できずにいる状況です。

    さらに同年の総回収率は87.7%であり、12%程度の人は返還が滞ってしまっています。
    給付型奨学金の強化などが行われ、負担を減らすための施策が行われています。
    しかしそれ以前に奨学金を利用した人は、すでに貸与型奨学金の返還を行わなければならず、今もなお返し続けている人が大勢います。

    2016年に日本学生支援機構によるアンケートでは、実際に奨学金が返還できない人の64.5%が低収入を理由としており、失業中あるいは無職であることが理由の人は27.4%もいます。
    このような人は延滞を余儀なくされる状況に陥っており、救済が必要とされます。そこで用意されているのが減額返還や返還期限猶予という措置です。

  • 新規返還者の初年度末の回収率は、無利子である第一種でも1.7%、利子付きの第二種では3.1%の人がすでに返還できずにいる状況がある
  • 奨学金が返還できない人の64.5%が低収入を理由としている
  • (出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」,2017)
    (出典:文部科学省「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」,2017)
    (出典:日本学生支援機構「返還金の回収状況及び平成29年度業務実績の評価について」,2019)

    奨学金を返せないときはすぐに相談しよう


    奨学金の返還は、たとえある程度の収入や所得があっても負担になります。
    無理なく返せていれば良いですが、人によっては生活が苦しくなり返還が難しくなることもあるでしょう。

    しかしそのまま延滞すれば、延滞金の増加や保証人への通知、信用情報への影響など負の連鎖に陥ります。そうならないためにも延滞せず返還をしていくことが大切です。
    減額返還や返還期限猶予を申請するためにも、奨学金の運用元に相談してみましょう。

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