こども食堂

こども食堂への支援がフードロスの削減につながる!

世界中でフードロスが問題として取り上げられています。
日本でもフードロスの問題は深刻化していますが、海外に比べるとその問題解消への取り組みが遅れているのが現状です。
そんな中、日本ではフードロス削減につながる取り組みの一つとしてこども食堂への食料支援が活用され始めています。
こども食堂への食料支援がフードロス削減につながる流れ、その内容について見ていきます。

こども食堂とは?目的やメリット、これからの課題、支援方法などについて解説

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こども食堂とは?


こども食堂とは2012年に東京都大田区にある八百屋から始まった取り組みです。
こども食堂の活動は様々ですが、「子どもにとっての共食の機会の確保」「貧困の子どもたちへ満足な食事を提供」の二つが大きな運営の目的となっています。
そのため、主に家庭環境などの事情から親が忙しく孤食をせざるを得ない子どもや、貧困から栄養のある食事を満足にとることができない子どもたちに対して、無料または安価で食事を提供しています。

こども食堂が全国3,700箇所に

こども食堂の数は2019年6月時点では全国で3.700箇所まで広がりを見せており、ここ数年で爆発的に数が増えています。この拡大に伴い利用者数も増え、いまや全国で年間100万人もの子どもたちが利用しています
(出典:NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ「プレスリリース」,2019)

食事以外の役割として機能

そのためこども食堂の開催目的や方法はより多様化しており、食事の提供だけに留まらず、親や子ども共に地域とのつながりを作る交流の場としての活用や、子どもたちの勉強を見てあげる学習の場であったりとその役割は様々に広がっています。

フードロス問題とは


「フードロス問題」とは、人が食べるためにつくられた食料が、まだ食べられるにも関わらず失われたり捨てられたりしてしまうことを指しています。
現在世界中で問題にもなっており、2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標-2030アジェンダ)」において、食料の損失、廃棄の削減について目標設定されました。
その中では小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄量の半減等を目標として掲げています。

日本のフードロス問題

現在、日本のフードロス(食品ロス)の量は年間推計643万トンとされており、国民一人当たりに換算すると「お茶碗一杯分(約139g)」の食料が毎日捨てられていることを意味します。
さらにこの廃棄量は、世界中で飢餓に苦しむ人々への食糧援助量(平成29年で年間約312万トン)の1.7倍にも相当するのです。
(出典:農林水産省「食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について」,2019)

家庭から半分程度が発生

この膨大な量の日本のフードロスのうち、約半分が家庭から発生していると言われています。
特に日本は食材に対する品質の意識が高く、衛生面や商慣習、消費者の意識によってフードロスが発生しやすい構造になってしまっています。

企業の抱える問題

食品メーカーや外食産業の中では、品質には問題ないが包装に不備があったり、賞味期限が近づいたりという理由で廃棄している食品が大量にあります。
また消費者の手に食品が届くように過剰な在庫を抱えたりと、フードロスにつながる様々な問題を抱えています。

個人レベルでの問題

個人のレベルで見ても、外食での食べ残しやスーパーで食材を購入する際に消費期限の日付が遠い食品を選ぶなど、日常の一つひとつの行動がフードロスにつながっていることも少なくありません。
最近では飲食店での連絡なしの予約キャンセルや、SNSで”いいね”を獲得するだけのために写真映えするメニューを注文し、ほとんど手をつけず捨てるというケースも見られます。
日本では現在、9人に1人の子ども*が貧困とされており、満足いく食事を取れていない子どもが多いという現実の中、このような問題が山積みにされているのです。
海外ではフードロスへの対策が実施されている中、日本でも少しずつフードロス削減への動きが広がっています。

  • フードロス問題は、まだ食べられるにも関わらず失われたり捨てられたりしてしまうこと
  • 日本のフードロス(食品ロス)の量は年間推計643万トン
  • 日常の一つひとつの行動がフードロスにつながっていることもある

*出典:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

日本のフードロス対策のために行われている対策事例

スーパーでの食品提供

岡山県内に展開するスーパーマーケットはこども食堂への積極的な食品提供を始めています。
岡山、広島そして香川県をはじめとした約70店舗以上のスーパーマーケットで発生するラベル不良や包装不良など、販売できないけどまだ食べられる食材を、こども食堂やホームレス支援団体に提供しています。
2017年12月に岡山県内で展開しているスーパーマーケットが提供した食品の量は約1.4トンにものぼり、今までかかっていた廃棄コストも1店舗あたり月額10万から15万円もの削減に成功しています
さらに廃棄食材を提供することで、従業員が食材を廃棄する罪悪感が減り、逆に社会貢献ができているという意識が働く意欲を向上させるというメリットもあります。

広島県での食でつなぐ取り組み

広島県では、フードロスに関する新しい取り組みが始まろうとしています。
「もったいないNO」という標語を掲げ、食の「もったいない」と食の「こまった」をつなぐ活動です。
この活動は企業や店舗とフードバンク、こども食堂を繋ぎ合わせ、企業や店舗から発生する無駄な食品ロスを、食に困っている人々へつなげていこうとする取り組みです。
具体的にはテクノロジーを駆使し、食品ロスを積極的に提供している企業や店舗と、こども食堂など食材の提供を必要としている人がどこにいるかを一目で分かるマップを作成しています。
そうすることで、フードロス削減に関心のある人同士がつながりを持ちやすくなり、より大きな動きへ発展していくことが期待できます。

  • フードロス対策×子ども食堂支援が同時に行われている事例がある
  • 岡山県のスーパーマーケットチェーンでは子ども食堂に提供した食品の量は約1.4トンとなった
  • 広島県では企業や店舗から発生する無駄な食品ロスを、食に困っている人々へつなげていこうとする取り組みを実施

(出典:農林水産省「食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について」),2019)
(出典:内閣府「平成29年度地方公共団体における 食品ロス削減の取組事例」,2017)

食品・食材の寄付がこども食堂の支援にもつながる


食品ロスを抱える企業や店舗と、こども食堂を繋ぎ合わせる上で欠かせない存在として、包装不良や賞味期限が近づいたような品質には問題ないが廃棄対象の食品を企業から引き取り、食べ物を必要としている人や組織に提供する組織があります。
元々はアメリカが発祥とされており、2000年以降に日本でも設立され始めました。

全国で約80団体が活動

廃棄対象の食品を引き取り、別の団体や個人に提供する組織は2018年10月時点では全国で約80団体が活動していることが分かっています。2014年時点では40団体ほどが把握されているため、ここ3年間でほぼ倍増し、活動は活発になっていることが分かります。

こども食堂の課題解決の一助に

こうした組織に食料を寄付することで、こども食堂課題の一つである食材の確保の問題を解消する助けになります。
直接的ではなくても、貧困の子どもたちへの援助につなげることができます。2019年5月には「食品ロスの削減の推進に関する法律案」が可決されました。
これにより行政による食品関連企業やフードロス対策組織への支援が強化されるため、今後フードロス削減の流れは強まっていくでしょう。

  • 廃棄対象の食品を引き取り、別の団体や個人に提供する組織は2018年時点で全国で約80団体
  • 食料を寄付することで、こども食堂課題の一つである食材の確保の問題を解消する助けになる
  • 今後行政による食品関連企業やフードロス対策組織への支援が強化されていくと考えられる

(出典:農林水産省「国内フードバンクの活動実態把握調査及びフードバンク活用推進情報交換会」,2017)

こども食堂への支援&フードロスの削減が一度に叶う!?


品質上は問題ないが破棄されてしまう食品を提供することで、フードロスという「もったいない」を減らし、かつ貧困の子どもたちのために食事を提供するこども食堂への支援にもなります。
これからフードロス削減の活動は世界だけでなく、日本でもより広がっていきます。
それは企業だけではなく、家庭での個人のフードロスに対する意識を高めていくことが、問題解決に近づくために必要になってくるでしょう。

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