2012年ごろから日本全国に急激に広がりを見せている「こども食堂」。
運営形態が定まっていないために場所や料金、メニュー、開かれる頻度なども様々ではあるものの、その規模はますます大きくなってきています。
しかし急激に広がったものだけに課題や問題点があるのも事実です。
ここでは広がりを見せるこども食堂の課題や問題点について紹介していきます。
こども食堂とは?目的やメリット、これからの課題、支援方法などについて解説
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全国で急速な広がりを見せるこども食堂
2012年から始まったこども食堂が全国で3,700箇所以上になり、急速に広がりを見せています。
また、2019年には大手コンビニが国内の店舗約2000店のイートインでこども食堂を開いていくことを発表して話題となりました。
このように、こども食堂の存在が広く認知されるに連れて活動や目的に共感する人が増え、これからますますこども食堂は広まっていくことが予想されます。
(出典元:NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ)
そのなかで見えてきたこども食堂の課題・問題点とは
急速に広まっていっただけに、こども食堂には色々な課題や問題点が出てきています。
ここではそのうちの大きなものを6つ紹介していきます。
来て欲しい家庭の子どもや親に来てもらうことが難しい
全国各地で開催されているこども食堂ですが、そのうちの多くが共通して悩んでいる課題が「本当に来てほしいこども食堂を必要としている子どもに来てもらうことが難しい」ということです。
貧困や孤食を防ぐことを目的として始まったこども食堂ですが、本当にそれを必要としている子どもが、
「こども食堂の開催の情報を知らない」
「保護者が利用することにOKを出さない」
「他の利用者に遠慮して利用できない」
といった理由で利用できていないというものです。
安く提供しているためのトラブル
中には、近くの幼稚園や保育園の子どもや保護者が1クラスそのまま連れてきて利用したという例や、安く食事ができるからと安易に利用する保護者がいるために本当に利用したい子どもが利用できないということも起こっています。
明確なルールがない
明確にルールが定められていないので、申し込みがあった場合に断りにくいということもあってなかなか改善できていないという現状があります。
毎回開催の度に利用する保護者とその理由を聞こうとした運営側がトラブルに発展したということもあってさらに追及しにくい状態になっているのです。
また、本当にこども食堂を必要としている子どもが情報収集をうまくできる環境が整っていないケースが多く、こども食堂が開催されているということ自体を知らないということも起こっています。
多くある課題のなかでももっとも重要で早い改善が求められているものと言えるでしょう。
運営費(活動費)の確保
こども食堂の運営費は、ほとんどが寄付によるものと開催者の自己負担で成り立っています。
そのため一度だけであれば開催できるものの、継続的にそれを行っていくとなれば厳しいという開催者も多くいます。
継続的に開催していくためにはどうしても安定した運営費を確保しなければいけないという問題が起こるのです。
運営費の透明性を求められる
集まった寄付については常に「透明性」が必要となります。
これは寄付を集めて、開催者が不当に利益として得ることを防ぐためのもので、集まった寄付がどのように使用されているのかを公正に公開しなければ透明性を保てないとされるものです。
スタッフの負担や確保が難しい
こども食堂を開催していくには、協力してくれるスタッフが必要となってきます。
しかしその開催意義の点や運営資金の問題からもスタッフに多額の報酬を支払うことが難しく、ほとんどがボランティアに頼るケースが多いです。
それだけに安定してスタッフを確保するということが難しくなるのです。
安定したスタッフの確保が重要
参加スタッフが毎回変わってしまうと利用している子どもとコミュニケーションを取りにくいという問題が起こります。そして集まったスタッフの数が少ないと参加したスタッフの負担が大きなものになってしまいます。
スタッフの負担が調整しながら、安定して数を確保していく必要があります。
地域との連携
こども食堂を開いていくためには地域の理解と連携は欠かせません。
「こども食堂が開催されている場所は貧困」「こども食堂に参加している子どもは貧困」といったイメージを持たれることがあり、開催自体を地域が反対するケースがあります。
これは、こども食堂というものを広く世間に伝えたマスコミが当初「貧困対策」という部分を強調したためについたイメージだと考えられています。
そのためにこども食堂を開催する場合でも「こども」「食堂」という名前を使わずに違う表現で開催することも多くなっています。
こども食堂を開催していくには地域にまず理解してもらった上で、協力してもらう体制作りから始めなければいけないのです。
こういったことがわずらわしいと考えて開催を中止する運営者がいるという現状があります。
食中毒などのリスク管理が不安
こども食堂は食事を提供する場所です。
そのために「食中毒」などの衛生面、安全面に細心の注意を払う必要があります。
定期的に洗浄設備、衛生環境のチェックを受けた上で認められると営業許可が下りるのです。
こども食堂の管理体制が不十分
こども食堂はそういった厳しいチェックが行われないこともあるという現状があります。
もし、開催されているどこかで食中毒などの問題が起きれば、マイナスイメージがついてしまう可能性があります。
こども食堂を運営する場合は何かしらの保険に入ることが多いのですが、中にはそういった保険に加入していない運営者がいるという可能性も指摘されています。
とにかく食べ物を扱うというために衛生面のリスク管理が重要視しなければならないという不安が常につきまとうことになるのです。
会場の確保が難しい
こども食堂を開催するには調理可能な場所・子どもの食事スペースの確保、子どもが通える場所かどうか、イメージなどの問題から場所の提供を断られるなどの問題を解決していかなければなりません。
遠い場所で開催したために子どもを車で送り迎えしたり、駐車料金を支払ったりすると結局それなりの出費が必要になったというケースもあります。
こども食堂を開催するのに適した場所を確保するのが難しいという問題に悩む運営者も多くいるのです。
(出典:農林水産省公式サイト「子供食堂と連携した地域における食育の推進」)
こども食堂の継続に向けて必要な対策は?
こういった課題や問題点に向けては少しずつ対策が取られています。
まず「貧困対策」であるという部分は強調せずにイメージを変えていくということです。
それによって地域の理解を得た上で地域と連携しやすくなります。
また、大規模な会場を確保するのではなく、朝食を食べずに登校している子どもたちにバナナ1本を配るという取り組みも実施されています。
これであれば、バナナ1本を食べるスペースだけ確保できればいいので、理解を得やすいです。
運営費やスタッフに関しては広報活動を進めていくことで支援を募ること、地域の理解を得ることで解決が見込めます。
こども食堂の継続のためにわたしたちにできることは?
こども食堂を継続していくためには幅広い支援が欠かせません。
支援にも様々な方法で応援できます。
お金の寄付
まず運営資金を寄付する方法です。
これにもいくつかの方法があります。
例えば「継続寄付」と「都度寄付」です。
継続寄付
継続寄付はクレジットカードなどの決済で毎月決まった額を寄付していくというもので、安定した寄付となっていきます。
都度寄付
都度寄付はそのときに寄付をするというもので、金額はそのときに決めることができます。
また、現金だけでなく「Tポイントカード」のポイントで寄付できる方法もあります。
こうして集められた運営資金はこども食堂を開催するのに必要な場所、食材などに使用されていきます。
食材の寄付
農家などが食材を寄付するということもできます。
寄付の仕方、送り方などは運営によって違うためにそれぞれの運営団体の指示に従う必要があります。寄付された食材は子どもに提供される食事に利用されます。
生鮮食品などは衛生面の問題から断られる可能性もあるため、食材を寄付する場合は必ず事前に連絡を入れましょう。
ボランティアスタッフとして手伝う
こども食堂を開催するのにはスタッフが必要です。
食事の提供や広報活動、片づけなどやることが多いですが、それだけにやりがいがあります。
こども食堂が開催される日時に参加できるかをチェックして応募してみましょう。
貧困に苦しむ家庭・子どもをサポートするこども食堂に、私たちができる支援
こども食堂は近年、急速に拡大しています。
そのなかで、本当に必要としている子どもがこども食堂を利用できていなかったり、低価格で提供するうえでのトラブルが起きたりなど、問題点が見えてきました。
それらの問題を解決し、貧困に苦しむ子どもを一人でも多く救うためには、活動資金や人材がまだまだ足りていません。
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