近年、日本国内でも非正規雇用層の増大やシングルマザー世帯の増加を受けて、貧困層の拡大が問題になっています。しかし世界では、日本に住んでいる私たちとは異なる貧困問題があります。
この記事では、アフリカにフォーカスを当て、貧困の原因、子どもたちの暮らしや教育事情、私たちができる支援について解説します。
アフリカの貧困が子どもたちに与える影響は?どんな支援が行われている?
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長い間貧困に苦しむアフリカ
地理上でアフリカは、ヨーロッパ大陸から地中海を挟んで南に位置しています。南北に広い面積を持つ大陸で、赤道を挟んでいるため国によって多様な気候領域があるのが特徴です。注目すべきは、大陸の北部にある世界最大級の「サハラ砂漠」はアフリカ大陸の3分の1ほどの面積を占めます。
2016年時点でアフリカ大陸にある全55ヶ国の人口を合わせると約12億人ですが、2050年には倍増して約25億人と世界人口の多くを占めることが想定されています。
また、日本の少子高齢化社会とは異なり、人口が非常に多いのにも関わらず、その半数以上を若年層が占めます。そのため、世界各国の企業は経済成長と市場拡大を期待する大陸と言われていますが、長年貧困に悩まされているのが現実です。
ちなみに、アフリカ大陸の人たちは奴隷としてアメリカ大陸に連れられたり、第二次世界大戦以前は世界の先進諸国に植民地化されていた過去があります。これが原因で民族同士の関係が安定することなく紛争が頻発しました。多くのものを奪われてきた悲しい現実が現在の貧困につながっているのです。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ユニセフ報告書『2030年世代アフリカ 2.0』発表 2030年、アフリカの子ども7億5,000万人に 岐路に立つアフリカ 子どもへの投資で経済成長へ」,2017)
(出典:国連広報センター(UNIC)「世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳)」,2019)
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アフリカの人々が貧困で苦しむ理由
世界的に見ると経済的な成長を期待されるアフリカですが、その裏には先進諸国の植民地となっていた政治的な背景から長期間に渡る貧困が残り続けています。次に、アフリカの人々が貧困で苦しむ理由をご紹介します。
行き届かない教育
2017年時点で、学校に通うことができていない子どもたちは世界中で約6,100万人とされていますが、その半数以上がサハラ砂漠より南のアフリカ地域で暮らしています。
教育が行き届いていない理由は様々で、次のような多くの問題が残っています。
- 子どもの数に対して学校の数が少ない
- 子どもが家計を支えるために働く
- 学費や教材費が払えない
- 学校の設備が整っていない
- 教育を受けていない親が多く、教育の大切さが理解されない
子どもが教育を受けたいと思っていても、学校が少なくて勉強する場所がないのが現状です。また、宗教的な差別や昔からの風習により、女の子に教育を受けさせることができないなどの根深い問題もあります。
子どもたちに教育が行き届かないと、その子どもたちが大人になったときに教育の重要性を伝えられなくなるという負のスパイラルに入ります。
教育制度を確立し、教育設備を整えて、社会で働くことができる人材を育てる仕組みが必要なのです。
(出典:ワールド・ビジョン・ジャパン「教育とこどもたち」)
普及が遅れている医療インフラ
アフリカでの主な死亡原因は、肺炎、下痢、マラリア、結核などの病気です。これらの病気の原因は、細菌やウイルスなどが多く入った汚水を飲まざるを得ない現状が考えられます。
また、死亡要因の中には薬を飲めば治る病気から、事前に予防できる病気も含まれています。しかし、アフリカでは家の近くに病院がない、病院に行っても医者がいないことがあり、満足に治療を受けることができないのです。
いつでも安価な値段で治療を受けられる、医療インフラの確立が急務とされています。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「どんなに汚くてもこの水を飲むしかない」)
頻発する内戦やテロ
アフリカでは植民地支配の開放から適当に引かれた国境などが原因で、民族間の紛争が起きている地域が今でも存在します。
そのため、悲しいことに15歳に満たない子どもたちが戦闘員として銃を持つことは少なくありません。子ども兵は戦闘員以外にも、雑用から調理係、さらには性奴隷などの任務に就くことが多いと言われています。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「2月12日『子どもの兵士の使用に反対する国際デー』戦闘員、調理係、スパイ、性的奴隷など 紛争に利用される子どもをなくすために ユニセフ、昨年一万人以上の解放に成功」,2016)
当然のように行われる汚職
アフリカには、政府や司法がお金という権力を持つ人に簡単に動かされてしまうという事実があります。
強い権力を持つ人はさらに強くなり、権力を持たない大多数の人々は苦しい生活を強いられます。当たり前のように行われる汚職が経済的格差を広げる原因になっているのです。
子どもの貧困問題の深刻化
アフリカの貧困家庭はまだまだ多いというのが現実です。そんな中で、特に子どもたちの貧困が深刻化しています。
満足に食べられない食事
アフリカは気候変動が激しく、また昨今の地球温暖化の影響もあり、農作物が満足に育ちません。食糧も少なく、干ばつなどの自然現象により水もなく、体力の無い子どもたちは重度の栄養失調になることもあるのです。
また2017年当初、ブルキナファソやモーリタニア、マリ、セネガル、ニジェールの6か国では、紛争や干ばつなどによって重度の栄養失調の子どもの割合が増え、160万人の子どもが急性栄養不良の恐れがあるとされています。
『アフリカではお金もなく、食べられるものがないという現実』も考えなくてはいけません。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「アフリカ栄養危機」)
現実:アフリカの子どもたちの暮らし
アフリカの貧困の原因について解説してきましたが、ここでアフリカの「アンゴラ」という国の農村部に住む子どもたちの暮らしをご紹介します。
日干しレンガの小さな家やトタンをふいたバラックが住まいです。たいていの家はひと間しかなく、大家族が身を寄せ合って暮らしています。
家の中は風通しが悪く不衛生、それに水場もトイレもありません。子どもたちは外のしげみで用を足しますが、手を洗う綺麗な水がありません。飲み水ですら不衛生で汚れた水しかないので、下痢になってしまい、脱水症で命を落としてしまう子どももいるのです。
ほとんどの子どもが1日1食で、食べれたとしてもイモか豆。みんな痩せ細っていて、栄養不足のため身体に抵抗力がなく、あらゆる病気にかかりやすくなっています。
また、学校に通っている子どもは限られています。多くの子どもは水汲みや兄弟の子守りなどの家事で忙しく、学校に通えずにいます。水くみは子どもの仕事です。大きなたらいに水を入れてデコボコの道を何時間も歩くため危険を伴う作業です。
いかがでしたか?「ただ生まれた場所が違っただけ。」
日本に暮らす私たちでは想像もできないような環境で生活をしている子どもたちが、アフリカを含めて世界中に大勢いるのです。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「アフリカキャンペーン 日本ユニセフ協会」)
アフリカの子どものために私たちにできること
アフリカの貧困問題の現状を知った上で、今私たちができることは何なのでしょうか。
寄付する
日本で暮らす私たちにできる主な支援の方法として、アフリカで支援活動を行っているNPO・NGOへ寄付することが挙げられます。
私たちの寄付は現地の人々の暮らしや命を助けるために最適な方法で利用され、1,000円、3,000円などの少額から寄付できるため負担が少なくできる支援の方法です。
現地でボランティア支援
アフリカで実際に子どもたちの精神的なケアなどを行うものから、アフリカに住む人々の生活水準向上を目指して、トイレや家屋などを作るものなど、さまざまです。
詳しい情報と申し込み方法についてはNPO・NGOごとに異なりので、自分に合ったものを選択するのがよいでしょう。
ちなみに日本でも、アフリカの現状や必要とされている支援について理解を深めるためのイベントなども行われています。こうしたイベントにボランティアスタッフとして参加することも、間接的にアフリカの子どもたちを救うための支援となります。
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アフリカの貧困問題に向き合い、私たちが今できることとは
アフリカの貧困問題は、過去の政治的背景や宗教的な問題、設備不足や気候変動など複雑で根深いのが現実です。特に子どもたちの貧困が深刻化しており、重度の栄養失調に苦しんでいます。
現在は、様々な団体がアフリカの貧困問題を解決するために活動をしていますが、まだまだ活動資金や人材が足りていません。
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