日本は貧困率が高く問題視されていますが、その中でも子どもの貧困率が高いといわれています。
子どもの貧困は、保護者に安定した収入がないなどの理由で子どもも貧困状態に陥り、就学や就労が満足にできない、酷い家庭では食事もしっかり食べられず必要なものを揃えられないと言った状況に陥っています。
日本では各都道府県で貧困率が異なりますが、沖縄県はとりわけ子どもの貧困率が高い傾向にあります。この状況を改善するために沖縄県では貧困対策を打ち出し、取り組みに当たっているのです。
この記事では沖縄県の貧困の現状や対策、取り組みについてご紹介します。
貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは
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沖縄県の貧困率は?
沖縄県の貧困率は国内でも高いと言われています。
沖縄では県下41市町村で貧困率算出に関する2014年のデータ提供を受け、子どもの相対的貧困率や大人が一人の世帯員の貧困率を調べたところ、以下のような結果となりました。
沖縄県 | 全国 | |
子どもの相対的貧困率 | 29.9% | 16.3% |
18~64歳の大人が1人の世帯の世帯員の貧困率 | 58.9% | 54.6% |
(出典:内閣府公式サイト 沖縄振興議会 「沖縄県子どもの貧困対策計画」,2016)
どちらも全国の数値を上回る高い貧困率となっており、特に子どもの相対的貧困率は13%以上も上回っていることがわかります。
沖縄県が行ったアンケートによると、貧困層の家庭では食料や衣料が買えなかった経験や電気、電話料金などの滞納、電気・ガス・水道を止められた経験がある世帯が多いことがわかりました。
またそれでなく同様の質問をした場合、非貧困層でも一定の割合でそのような経験がある世帯があることも分かっており、沖縄県全体で収入が不安定なことが伺えます。
子どもの貧困を取り巻く現状と課題
沖縄県の子どもを取り巻く貧困の現状は厳しいものとなっています。
貧困状態の明確な定義がなかったことから把握が遅れ、対策の必要性や目標の設定、必要な施策などの議論といった共通見解が生まれにくい状況にあります。
また貧困は子どもの生活や成長に様々な影響をおよぼしますが、問題の把握の遅れから既に多くの子どもに貧困による影響が表れている状況です。
沖縄県ではこれらを受け、現状の把握には構造的な手段を持って単一の指標ではなく、複数の指標を組み合わせて行うという方針が固まっています。
(出典:内閣府公式サイト 沖縄振興議会 「沖縄県子どもの貧困対策計画」,2016)
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沖縄県子どもの貧困対策計画
このような状況を元に沖縄県では「子どもの貧困対策計画」を立て、取り組みにあたっています。
この計画は子どもの貧困率の上昇や子どもの育ち、子育てを巡る社会的あるいは経済的な変化を背景として策定しています。
貧困により困難な状況にある青少年の就学及び就業への援助に努める規定や、子どもの貧困対策の基本方向を定めています。
そしてライフスタイルに沿った切れ目のない総合的な支援、地域の実情に即した社会全体での取り組みすることを目指す趣旨が盛り込まれています。
子どもの貧困対策のビジョン
子どもの貧困対策のビジョンとしては、平成34年3月までに以下の状態を築くことが掲げられています。
(出典:内閣府公式サイト 沖縄振興議会 「沖縄県子どもの貧困対策計画」,2016)
沖縄県が行う子どもの貧困に対する具体的な取り組み
このような貧困対策のビジョンを掲げ、目標を達成するために沖縄県では子どもの貧困に対する施策を行っています。
大きく分けると以下の3つとなり、これらの具体的な内容を紹介します。
ライフステージに応じたつながる仕組みの構築
子どものライフステージに応じ、支援を必要とする子どもや子育てをする家庭に繋がりを持ち、適切な支援及び支援機関などへ繋げる仕組みを構築することを目的としています。
そのため関係する支援者の確保やその資質の向上も取り組みとして加えられています。
乳幼児期
対象が乳幼児期の場合は、支援が必要な家庭を早期に把握できる体制を整え、養育に関する相談や助言などの支援を行う施策を立てています。
また子育て世代包括支援センターの設置や要保護児童対策地域協議会の運営支援実施。
他にも妊産婦等の状況、保育所での子どもの健康状態及び発達状態、幼保連携型認定こども園での園児の健康状態等の把握し、幼稚園や家庭との連携強化の促進も施策として盛り込んでいます。
これにより全ての子どもが安心して質の高い幼児教育を受けられるような教育や保育を提供すること、また保育や医療に係る経済的負担を軽減することを目指します。
小・中学生期
小・中学生期の子どもたちに対しては「子どもの貧困対策支援員」や「スクールカウンセター」の配置促進・推進、「スクールソーシャルワーカー」の配置及び支援の強化を行っています。
学校と福祉関連機関の連携も促進するとともに、小中アシスト相談員などによる学校への集中巡回支援なども実施。
また生活・経済的支援としては子どもの居場所を確保して、満足に食事ができない子どもには食事の提供を行い、低所得者世帯の子どもを対象に放課後児童クラブ保育などの負担軽減の促進を行っています。
このような施策を通じて学校を子どもの貧困対策のプラットフォームとし、総合的な対策の推進を行うとともに安全で安心な居場所づくりや自立に向けた取り組みを進めています。
高校生期
高校生期では就学が大きな問題となりますが、こちらも学校をプラットフォームと定めています。
そして貧困を原因とする高校中退防止のための学校内の居場所の設置や大学進学を促進するために低所得世帯を対象とした学習支援、県外難関大学への進学推進を目的とした給付型奨学金の創設などが行われています。
これにより就学継続に向けた相談や指導体制をはかり、キャリア教育の充実などを目指しています。
また進学を選択しなかった場合でも、自立を促すための職業指導員の配置や、指導体制強化による就職内定率の向上も行っています。
支援を必要とする若者
またこのような時期を過ぎても、支援を必要とする若者に対しての取り組みも忘れてはいません。
関係機関やNPO法人との連携により、中卒無職少年や高等学校中退者への就学や就労支援も行っています。
またその理由の多くが貧困であることから給付型奨学金の創設や、児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業、若年無業者への基礎的職業訓練の実施など生活支援や就労支援といった形で寄り添う支援を実施しています。
人材の確保と資質の向上
これらの施策を行うためには、人材の確保と資質の向上は不可欠です。
そのため養育支援や貧困対策支援を行う支援員の研修の充実やスクールソーシャルワーカーの待遇改善、支援体制の整備などが行われています。
保護者への支援
子どもの貧困対策のためには保護者への支援も欠かせません。
特に生活困窮家庭やひとり親家庭に関しては、生活に関する相談や支援、さらに安定した収入を得るために保護者の職業訓練や就職の斡旋、場合によっては保護者への就学や学び直しの支援などを行っています。
生活の支援
保護者の自立支援として、金銭面だけでなく、自立相談や生活保護制度の周知などを行い貧困状態にある保護者が利用しやすい環境を作り上げています。
また市町村が連携し、事業所内保育施設の設置促進や、母子生活支援施設の設置、民間アパートを活用した居宅支援なども実施。
さらにひとり親家庭に対しての医療費の助成などを行い、子育てと仕事を両立しつつ貧困から脱して自立できるような取り組みが行われています。
就労支援
就労支援としては就労活動促進費及び就労自立給付金の支給や親の学び直しのための高等学校等就学費の支給、職業訓練及び就労機会の確保などを行い、就労あるいは就労をするための準備に対しての支援を行っています。
沖縄県子どもの貧困対策推進基金の創設
沖縄県で発生している子どもの貧困問題に関しては「沖縄県子どもの貧困対策推進基金」が創設されています。
30億円ほどの大規模な創設であり、これによって先述したような様々な取り組みを、全県的に足並みを揃えて推進することを目的としています。
同時にニーズに対しての迅速かつ継続的な支援を行うことを狙いとしています。
具体的には以下の4つを主軸とした対策のために利用されます。
(出典:内閣府公式サイト 沖縄振興議会 「沖縄県子どもの貧困対策計画」,2016)
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沖縄の子どもの貧困状態を知り、私たちにできることがあるか考えよう
沖縄県は全国的に見ても貧困家庭が多く、その状況や性質は他の都道府県とは異なります。
そのため、沖縄県の子どもの貧困問題を解決するにはその風土やニーズに応じた対策が必要です。
県により様々な施策が行われていますが、まずは私たちも現状を知り、何かできることを考えてみていはいかがでしょうか。