鹿児島県は子育て世代の貧困率が日本でも有数の高さとなっています。
その地理や地域性もあって子ども食堂などの導入も他の地域よりも遅れがちな現状がありますが、自治体や民間が一体となり様々な取り組みが行われています。
この記事では、近年鹿児島で行われている貧困対策について紹介します。
貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは
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鹿児島の貧困率は?
2016年度に鹿児島県が報告したデータによると、鹿児島県では子どもの貧困率が約13%で、母子世帯では約40%にも上っています。
そのため子育て世代の貧困率が全国でワースト3位という悪さとなっています。
この数字は県内の小中学校から無作為に選ばれた家庭の保護者に学校を通して依頼をして回答された数字から出されています。
これにより、税金や社会保険料などを収入から除いた手取りの年収が122万円未満となる「貧困世帯」が12.9%にのぼったということです。
また、2016年3月に卒業した子どもの4年制大学への進学率は30.6%となっており、全国平均の49.2%を大きく下回っていることも報告されています。
県内で開かれている子どもの貧困に関する学習会でも学校教諭から、
- 朝食を食べてきていない子ども
- 貧困のために学校給食以外まともに食事をしていない子ども
- 夜も一人もしくは子どもだけで家にいて、まともに食事をしていない子ども
が多くでているという報告がされています。
(出典:鹿児島県公式サイト)
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鹿児島県が行う「子どもの貧困対策計画」とは
鹿児島県では貧困対策計画として2016年3月に「かごしま子ども未来プラン2015」を策定しています。
ここには「教育支援」「生活支援」「保護者に対する就労支援」「経済的支援」という4つの柱が盛り込まれた「子どもの貧困対策計画」が含まれています。
ここではその4つの柱について紹介していきます。
教育支援の充実
次世代を担う子どもたちが結婚、妊娠、出産、子育て、仕事などを含めた人生設計を、子どもが希望した通りに進めていくためには、自らが学んで考える「生きる力」を育成していくことが必要です。
そのためには、「知識」「情報」「基礎学力」を適切な時期に教育をしていくことが重要となります。
また、学校教育では正しい知識を教材に取り入れて教育していく必要があります。
これを実践するためには学校や家庭、地域がそれぞれの役割を自覚した上で連携、協力し地域社会全体で子どもを育てる観点を持つことが目標とされています。
生活支援の充実
子どもの貧困は家庭環境が大きく関わっています。
そこで貧困が世代を超えて連鎖することがないように、世帯の生活を支援するための施策です。
同時に子育ての不安や負担を和らげる取り組みも行われています。
保護者の不安や負担を低下させることで、子育て世帯が安全で安心して子どもを育てる環境をつくり、生活の安定につなげていくという試みです。
このために平成27年の3月に策定された「鹿児島県子ども・子育て支援事業支援計画」に基づいて、質の高い幼児期の学校教育や保育の総合的な提供、保育の量的拡大や確保、病児保育の取り組みや放課後児童クラブの開設などが促進されています。
また、小児医療の充実や障害児の巡回相談などを拡大しています。
そして、この施策では子育て世帯の経済的負担を軽減することが重視されています。
様々な給付金の実施や税率の軽減などが行われることで世帯の経済的負担を減少し、生活を支援していく姿勢を打ち出しているのです。
保護者に対する就労支援の充実
生活を安定させるには、安定した収入を得ることが必要不可欠です。
そこで結婚、妊娠、出産、子育てのどの段階においても就労を望んでいる場合、本人が望むタイミングで、希望する働き方を実現できる環境を整備していくことが重要です。
また、仕事と子育ての両立をしていくための基盤整備も必要です。
しかし、短時間での勤務や勤務する曜日を限定して仕事を探した場合、パートやアルバイトといった非正規雇用の仕事になることが多くなります。
そういった仕事では賃金が低く、ボーナスがないという労働条件のところが多くあります。
そのために鹿児島県では個人の希望を踏まえながら正社員化を促進しており、労働条件の改善を指示しています。
こういった試みにより、安定した仕事と収入と時間の確保を実現し、仕事と子育ての両立ができる基盤を整備しているのです。
そして鹿児島県に仕事を生み出し安定して雇用を創出するため、地域社会の成長も重要視されています。
鹿児島の特性を活かした産業の創出や地域産業の競争を促進させ、経済の活性化を図っています。
さらに他地域から企業の誘致を促進すると同時に地域産業を支えていく若者の確保と教育にも取り組んでいます。
これには後継者がいないために衰退しつつある地場産業や伝統的工芸品も関係しています。
経済的支援の充実
貧困を直接的に支援するために、経済的支援も行われています。
特に貧困率が高い子育て世帯に対しては様々な給付金や援助制度などがあります。
子育て家庭への協力援助
地域社会全体で子育てを支援する狙いから、「かごしま子育て支援事業」に善意で賛同、協賛している企業や店舗などに対して、パスポートを提示した子育て家庭に対して割引や優待サービスを行うというものです。
乳幼児医療費助成
経済的な負担が多くなる子育て期の家庭を対象に、乳幼児に関係する医療費の経済的負担を軽減することで、乳幼児の健康の保持増進を図っていくための制度です。
乳幼児医療費の助成を行っている市町村に対して鹿児島県がその経費の一部を補助するというものです。
保育料の助成
第三子以降の保育認可保育所や私立幼稚園などを利用する世帯において、第三子以降の保育料を助成します。
また、放課後児童クラブに対する保護者の負担金の軽減を図るために、放課後児童クラブの運営費も補助しています。
児童手当の支給
中学校卒業までの児童がいる世帯に対して、児童手当を支給しています。
世帯にいる子どもの人数分の手当を数カ月分まとめて振り込み支給を行います。
高等学校等就学支援金を支給
授業以外の教育費に関する負担を軽減するために、高校生などがいる低所得世帯に対して就学するための給付金を支給する制度です。
奨学支援金制度
高校生・大学生等において、学力及び人物が優れているのにも関わらずに経済的理由により修学が困難な生徒に対して奨学金を貸与するという制度です。
(出典:鹿児島県公式サイト)
かごしま子ども調査のアンケートを実施
鹿児島県では、2,016年度に「かごしま子ども調査アンケート」が実施されました。その結果として、これから鹿児島県が解決すべき課題や問題点が出てきています。
子どもの学習機会について
「塾、家庭教師、通信教育などを行っている」が31.4%、「(可能であれば通わせたいが)経済的な事情で通わせていない」が16.9%となっています。
合わせると約半数が塾などでの学習を望んでいるとなっていますが、経済的な事情によって学習機会に差が出ているということがわかります。
ここには少子化による塾の一人当たりの単価の上昇も関係しています。
そこで自治体などが運営する無料の塾や家庭教師の高い利用希望があります。
子どもの進学について
学習機会と同様に、子どもの進学についても世帯収入によって差が出ています。
低所得の世帯では大学まで進学を希望しているのが25%程度であるのに対して、高所得の世帯では47%と倍近くになっていることがわかります。
これは進学の希望と実際の世帯収入のバランスを考えて出された結果です。
経済的理由により子どもの学習意欲、進学意欲に答えられていないということがわかります。
医療機関への受診について
経済的な事情によって医療機関で子どもを受診させることをためらったことがあるという回答が低所得の世帯では「32%」となっています。特にこの数値は母子家庭で多くなっていることがわかりました。
(出典:鹿児島県公式サイト)
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日本の貧困は地域だけでなく全国で取り組むべき課題
鹿児島県では子育て世帯の貧困率の高さが突出しているほか、経済状況によって教育機会に差が生じていることなどが明らかになっています。
行政はそうした状況を解決すべく様々な施策を行っていますが、日本の貧困は鹿児島だけで起こっているわけではありません。
全国的に深刻な貧困に対し、行政、非営利団体、企業、個人など多様な人がそれぞれに取り組みを行うことが大切です。
まずは自分が住んでいる都道府県の貧困について知り、身近なところから自分ができる取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。