南米に位置するベネズエラは、かつて様々な国から難民を受け入れる国として知られていました。しかし、ベネズエラの人々による他国への難民申請者が増加している現状にあります。
この記事では、増加するベネズエラ難民申請者やベネズエラ難民を受け入れた周辺諸国の現状、支援の状況について紹介します。
ベネズエラの難民問題とは?難民が増加するベネズエラの現状や周辺国が抱える問題
また、どうしようもない理由で祖国を奪われた難民のために少しでも貢献したいという思いのある方は、難民支援に取り組む団体を応援してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、難民支援へ取り組む団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒で完了!/
ベネズエラとはどんな国?
ベネズエラ(正式名称:ベネズエラ・ボリバル共和国)は、南アメリカ大陸の北部に位置する連邦共和制国家です。
ベネズエラの東はガイアナ、西はコロンビア、南はブラジル、北はカリブ海・大西洋に面しており、面積は91万2,050平方キロメートルと日本の約2.4倍の広さを誇ります。
ベネズエラの人口は2,753万人で、混血51.6%、白人43.6%、黒人2.9%、アフリカ系0.7%、そのほか1.2%の民族が暮らしており、以前は様々な国からの難民を受け入れる難民受け入れ国として知られてきました。
ベネズエラの内政
ベネズエラでは長きに渡って二大政党での民主的な政治体制が続いていましたが、国内の貧困問題が深刻化しました。これにより低所得層などの不満が増えましたが、低所得層の多くの支持によってチャベス前大統領がベネズエラの大統領に就任しました。
ベネズエラは世界有数の石油産出国でもあります。チャベス前大統領は石油資源を活用することで多極的な外交を展開し、経済活動の国家管理体制の強化を推進しました。
しかしチャベス前大統領が逝去し、副大統領のマドゥーロ副大統領が政権を引き継いで以降、ベネズエラは治安や経済情勢の悪化から、与野党支持層間で暴力的な衝突が発生するなどの情勢が不安定化しました。
ベネズエラの現状
ベネズエラでは2014年以降の政治社会情勢やインフラ悪化の影響で、ベネズエラ国民の国外への流出が増えたことにより、多くのベネズエラ難民が生まれました。
さらに2019年、現職大統領のマドゥーロ大統領と暫定大統領のグアイド国会議長という2人の大統領が併存する事態となり、対立が激化しました。
それを背景に社会経済の混乱、食料や医薬品・生活用品の不足、人道危機などによりベネズエラ国民の国外流出は急増したのです。
現状として、約450万人のベネズエラ国民がブラジルやコロンビアといった、ベネズエラの周辺国に難民として逃れています。
(出典:外務省「ベネズエラ・ボリバル共和国 基礎データ」)
日本に逃れてきた難民を正社員として雇用。エシカルなPCでSDGsに取り組みませんか?
難民申請するベネズエラ難民の人数
多くのベネズエラ人が他国に逃れているのが現状です。
次に、他国に難民申請しているベネズエラ難民の人数を紹介します。
ベネズエラ難民の人数
増加するベネズエラ難民の人数ですが、ベネズエラでは少なくとも2019年6月までに約400万人の難民や移民が生まれており、そのうち少なくとも近隣の中南米諸国には約320万人が逃れています。
ベネズエラ難民の数は増加しており、南米最大の難民問題として発展しています。
(出典:外務省「コロンビアに対する無償資金協力に関する書簡の交換」)
ベネズエラ難民の申請を受け入れている国
ベネズエラは経済や社会情勢が悪化したことで、多くのベネズエラ国民が隣国であるコロンビア、エクアドル、ブラジル、ペルーといった中南米諸国へ難民として逃れている現状です。
特にコロンビアでは約160万人、ペルーでは約86万人、エクアドルは約38万人、ブラジルは約22万人にものぼるベネズエラ難民の申請を受け入れています。
(出典:外務省「ベネズエラ周辺国における避難民に対する緊急無償資金協力」)
【簡単5分でスタート】毎日使う電力を節約しながら平和のために活動するNPO・NGOに自動寄付
ベネズエラ難民申請を受け入れた国の現状
ベネズエラ人の多くは、ブラジルやコロンビアなどの南米・カリブ諸国によって受け入れられています。
しかし、ベネズエラ難民申請を受け入れた国でも、ベネズエラ難民の立場は非常に弱く、避難先で生活をしていくことは難しい状況に置かれています。
特に2020年には、世界的大流行を引き起こした新型コロナウイルス感染症によって、ベネズエラ難民を受け入れた国でも国境封鎖や外出制限が行われており、多くの国が不況に陥っています。
つまり、ベネズエラ難民が安全に避難した国での生活が、さらに困難になっているのです。
ベネズエラ人は難民として他国に渡っても、住む場所や生活手段を失い、日々の食事すら困難を極める窮地に追い込まれている状況にあります。
さらに、国外へ逃れたベネズエラ人は、難民として証明できる正式書類や法的許可を持たない人の数が非常に多いです。
そのため、難民保護を受けられない立場に置かれてしまい、虐待や搾取、差別、性的暴行などの危険にさらされている現状があります。
ベネズエラ難民受け入れ国に対する日本の支援とは
非常に多くの人々がベネズエラから近隣国に避難している状況において、日本では国際機関と連携して、ベネズエラ難民・移民人道支援計画を行っています。
2019年度には、ベネズエラの難民や移民がブラジルでの入国時登録(約7万2,000人)・児童保護(約1万2,000人)・保険医療サービス(約1万4,000人)に関する体制の整備や、受け入れ地域の人々の安全を総合的に支援するために4.17億円の資金援助を行いました。
また、2020年度には、ベネズエラからの避難民が多くいるブラジル・コロンビア・エクアドル・ペルーに対して、日本は1,300万米ドル(約14億3,000万円)の無償資金提供を行うことが決定されました。
シェルターの提供や援助物資の配布、ベネズエラ避難民と受け入れ国の住民たちの安全のために支援が行われることになります。
(出典:外務省「コロンビアに対する無償資金協力に関する書簡の交換」)
(出典:外務省「ベネズエラ周辺国における避難民に対する緊急無償資金協力」)
(出典:外務省「無償資金協力 案件概要」)
ベネズエラの難民申請者数の増加は世界的な問題
ベネズエラの情勢悪化によって、ベネズエラから他国へ多くの難民申請者が増えることになりました。
さらに、難民受け入れ国であったベネズエラに難民として避難してきていた人々が祖国に帰還したこともあり、難民受け入れ国の負担は非常に重くなっています。
ベネズエラの人々の難民申請者増加は世界的な問題であり、法的に難民として認められていない人々も多くいるのが現状です。
私たちに今何ができるのか、考えてみてはいかがでしょうか。
一人ひとりができることを行うことで、より良い世界につながります。