世界各地では今も難民が増えており、現代社会における世界的な問題となっています。
難民問題がそれほど身近ではない日本においても、テレビや新聞で難民問題について耳にする機会は増えています。
特に難民問題を抱えているシリアでは、2011年に起きたシリア内戦により、未だ多くのシリア人が難民として困窮した生活を送らざるを得ない現状です。
この記事では、深刻なシリアの難民問題について紹介します。ぜひこの機会に、シリア難民の現状について触れ、理解を深めていきましょう。
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シリアの難民問題とは
シリア内戦が勃発した2011年以降、紛争によって命の危険にさらされ、仕事を失い、住み慣れた居住地を離れざるを得ない状況を強いられた多くのシリア人は、難民として国際社会の庇護を受けるため、国外へと逃れました。
また居住地や仕事を失いながらも国外へ逃れることができず、今もシリア国内での避難生活をせざるを得ない国内避難民も数多く存在します。
シリア人の半数以上が難民・国内避難民として国内外に逃れましたが、国内避難民に対しては国際機関からの直接的な保護や支援が届きにくいのが状況です。さらに国外に逃れたシリア難民についても、就労もままならない状況の中で貧困に苦しみ、最低限の衣食住さえも保障されないなど過酷な生活を強いられています。
たとえ避難先の国に難民と認められたとしても、その生活は決して楽なものではなく、命を落としているシリア難民の数も非常に多いのが現状です。
つまり、シリア難民は紛争から逃れられても、明日の生活すらも危うい状況に置かれています。支援が行き届かなければ命を落としてしまう状況に置かれるなど、シリアの難民問題は国際社会において重要な課題です。
(出典:外務省「難民問題」)
シリアの難民問題の原因とは
シリア難民の増加には、アラブの春により起こったシリア内戦が原因として挙げられます。
アラブの春とは、2011年初頭から中東・北アフリカ地域で起きた民主化運動です。北アフリカのチュニジアの反政府デモに端を発し、中東・北アフリカ諸国へ広がったアラブの春は大きな政治の変移になります。
2011年3月中旬からシリアの各地でも反政府デモが発生し、これに対してアサド政権が治安部隊で厳しい弾圧をしたことにより、シリア内戦が勃発しました。シリア内戦は、シリア国内の主要産業や経済に大きな打撃を与えたのです。
さらに、世界各国がシリア政府に対して民衆への暴力的弾圧の停止を求め、米国、日本、EUなどは独自に資産の凍結や取引を禁止するなどの対シリア制裁を行います。そして内戦により物資が底を突くシリア国内の物価の高騰は著しく、人々の生活は困窮化を極めることになりました。
シリアの社会インフラの多くは戦闘や空爆によって破壊され、シリア国内で家や土地までも失った人々は少なくありません。住む場所、働く場所を失うだけではなく、内戦による生命の危険を脅かされたシリア人の多くは、難民として国外へ逃れることになったのです。
2012年4月には国連安保理によりシリア国連監視団先遣隊が派遣されましたが、シリア政府の暴力的弾圧は収まらず、予断を許さない状況が続いています。
(出典:外務省「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢」)
シリア難民の人数増加による問題
世界におけるシリア難民の人数は、2018年時点で665万人以上にものぼっており、現在も増え続けています。
世界的に見てもシリアは難民流出が最も多い国であり、難民流出が2番目に多いアフガニスタンの268万人、3番目に多い南スーダンの228万人の合計人数を上回る難民がシリアから生まれています。
さらに、シリア国内には難民として登録されていない国内避難民が2011年以降610万人以上おり、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続しています。
(出典:外務省「難民の出身の多い国」)
シリア難民を多く受け入れている国における問題
トルコは2016年時点で約290万人と、世界で最も難民を多く受け入れています。また、トルコに次いで難民を多く受け入れている国はパキスタン(約140万人)、レバノン(100万人)、イラン(98万人)、ウガンダ(94万人)です。
これらの国ではシリア難民をはじめとする世界各地の難民を受け入れています。特に、世界の難民受け入れ国1位のトルコでは、多くのシリア難民を受け入れており、シリアの近隣国であるレバノンやヨルダン、イラクやエジプトでもたくさんのシリア難民が受け入れられています。
しかし、難民の受け入れには大きな負担がかかります。そのため、受け入れ国で生活する難民の生活は決して楽なものではなく、多くのシリア難民が生活に困窮しています。
そのため、トルコをはじめとする周辺諸国に逃れたシリア難民への自立支援および環境整備をはじめとする世界的な取り組みが求められています。
(出典:外務省「シリア・アラブ共和国 基礎データ」)
(出典:外務省「世界の難民・国内避難民等の状況」)
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シリア人の難民申請は日本でも行われている
日本でも、シリア難民の受け入れは行われています。
シリア人が日本で難民として保護を受けるためには、難民認定申請を行う必要があります。難民認定申請を行い認定されれば、難民条約に規定された「難民としての保護」を受けることが可能です。
しかし、日本における難民申請は非常にハードルが高いのが現状です。そこで、シリア難民が行わなければいけない、日本の難民認定申請について紹介します。
シリア難民の難民申請認定までのプロセス
日本における難民申請認定を行っているのは、法務省入国管理局です。
難民認定申請に必要な書類を作成・提出、難民調整官との面接の結果、難民申請の認定可否が通知されることになります。
難民申請が認定されると、難民認定証明書が発行され日本国内で難民として保護されるのです。
また難民申請の認定がされなかった場合は、審査請求を行い認可されると難民認定証明書が発行されます。そして審査請求でも不認定となった場合は、行政訴訟を裁判所で起こすことになるのです。
ただし、日本は難民申請の認定が厳しい反面、難民申請や審査請求で難民として保護されない場合であっても、人道的配慮による在留特別許可が下りることがあります。
(出典:法務省「難民認定申請」)
シリア難民の難民認定申請後の生活
難民申請が認められたシリア難民に対して、日本では更新可能な定住者としての在留資格が与えられます。難民と認められることで、日本の国民健康保険加入の申請を行うことができるため、市・区役所を通した福祉支援を受けることが可能です。
また、シリア難民の中でも特に困窮した難民に対しては、一定額の生活費や住居費、その他の保護費の支給を受けることができます。
そして、日本では難民旅行証明書の発行も行われており、申請を行うことで1年間であれば何回でも出入国することが可能です。
難民認定申請後の生活はある程度保証されている日本ですが、シリア難民に限らず難民認定が認められるまでに短くても数ヶ月かかります。
さらに再申請や裁判所で審査を行うことになると、年単位で難民申請に時間がかかってしまいます。
(出典:内閣官房「難民認定申請者への支援について」)
(出典:出入国在留管理庁「難民認定制度」)
シリア内戦によって居住地や仕事を失った多くのシリア人が、生命の危機を感じて周辺諸国へ逃れたり、海路や空路でシリアを離れ、遠く離れた国へ助けを求め難民として暮らしています。そして、シリアから遠く離れた日本にたどり着き、難民申請を行うシリア人[…]
シリア難民問題の解決策はある?
シリアの難民問題は、非常に深刻な状況に置かれています。数多くの人々が難民・国内避難民として生活をしているのが現状です。
日本政府はそんなシリアの難民問題に対して様々な取り組みを行っています。
アレッポ保健分野強化支援計画
2019年、日本政府はアレッポ(シリアの北部の都市)保健分野強化支援計画として、アレッポ県東にあるアレッポ地区の小児向け基幹病院に対して、新生児保育器やCTスキャン、人工呼吸器といった医療資機材を提供するなど、5.69億円の無償資金協力を行いました。
日本による医療資機材の提供によって、アレッポや周辺のシリア国内避難民だけではなく、国外からの帰還民や市民に安定した保健医療サービスを供給することが可能となり、シリア国内の人道危機の改善が進むことが期待されています。
アレッポにおける地域社会のための早期保護支援計画
同じく2019年、日本政府はアレッポにおける地域社会のための早期保護支援計画として、アレッポ県東にあるアレッポ地域などにコミュニティセンターを設置し、そこを拠点とした保護活動などを支援するなど、2.6億円の無償資金協力を行いました。
この計画は、子ども・女性・障がい者といった脆弱な人々を含んだシリア国内避難民や帰還民など、シリア危機によって影響を受けた人々の保護を行うことを目的としています。これにより、シリア国内の人道危機の改善が進むことが期待されているのです。
アレッポ早期復旧及び生計支援計画
同じく2019年、日本政府はアレッポ早期復旧及び生計支援計画として、アレッポ県東にあるアレッポ地域にて、生産セクターへの資機材提供や小児科病院の修復などの、緊急性のある基本インフラの修復支援など、4.24億円の無償資金協力を行いました。
この計画は、アレッポ地域における保健サービス提供の強化を行うだけではなく、持続可能な生活支援および地域経済の早期復旧支援を目的としています。
これにより、アレッポ地域や周辺地域に住むシリア国内避難民や市民の生活環境や基本的な社会サービスの改善が期待されています。
そのほかのシリア難民問題への無償資金協力
ほかにも、日本政府は2016年以降、シリアの国内避難民を含む市民に対する緊急人道支援として、合計66.44億円の無償資金協力を行っています。
シリア国内の教育施設や医療施設、上下水道等へ安定的な電力供給を目的とした火力発電所の修理、市街地の瓦礫処理や病院、学校等社会インフラの修復、医療器材の供与、一次医療保健施設の改修及び保健分野を対象とした能力強化活動、人道的必要性に対する緊急的な基本インフラの整備を行うなど、一刻も早い人道危機の改善を目指すための支援活動を現在も実施しました。
しかしシリア難民の厳しい避難生活は未だ続いており、支援を受けられず避難先で厳しい冬を超えるシリア難民は数多く存在します。
さらに2020年は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、シリア難民は、これまでよりも厳しい状況を強いられることになりました。
防寒支援だけでなく新型コロナウイルス対策として、シリア難民が生活する難民キャンプにマスクやアルコール、石鹸などを届けるにはより多くの支援が必要です。
(出典:外務省「日本のODAプロジェクト シリア 無償資金協力 案件概要」)
シリア内戦によって多くの難民が生まれたシリアに対して、日本政府はどのような支援を行っているのでしょうか。この記事では、日本が行うシリア難民に対する支援の現状について紹介します。シリアの難民問題とは?原因や人数、日本におけるシリア難民認定[…]
シリアの難民問題に対して私たちにできる支援とは
シリアの難民問題の現状を知り、私たちに今できることは何があるのかを今一度考えてみることはとても大切なことです。
シリア難民問題は世界的な問題として、多くの国や支援機関が様々な取り組みを行っています。
しかし、シリア難民・国内避難民のすべてに支援が行き届いているわけではなく、国や機関による支援が届けられるのは一部の人々に限られているのが現状です。
支援を必要とするすべてのシリア難民に対して支援を届けるには、資金が不足しているのです。
私たち一人ひとりが寄付を行うことで、誰かの命を救うことにつながります。たとえ少額の寄付であっても、多くの人々が寄付を行うことによって多くのシリア難民が厳しい生活から救われるのです。
シリア難民に対して今できることは何か、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
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