シリア内戦によって居住地や仕事を失った多くのシリア人が、生命の危機を感じて周辺諸国へ逃れたり、海路や空路でシリアを離れ、遠く離れた国へ助けを求め難民として暮らしています。
そして、シリアから遠く離れた日本にたどり着き、難民申請を行うシリア人も存在します。
この記事では、そんなシリア難民が日本で行う難民認定申請や、その後の生活について解説します。
シリアの難民問題とは?原因や人数、日本におけるシリア難民認定申請の現状
また、どうしようもない理由で祖国を奪われた難民のために少しでも貢献したいという思いのある方は、難民支援に取り組む団体を応援してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、難民支援へ取り組む団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒で完了!/
シリア難民が行う難民認定申請とは
難民が日本で行う難民認定申請とは、難民条約に規定された難民としての保護が受けられる申請制度です。
日本の難民認定申請については主に入国管理局が管理を行っており、法務大臣が難民認定申請を許可することで、日本に逃れてきたシリア人は難民として保護されることになります。
また、日本での難民申請はシリア難民に限らず、他国の難民も共通の手続きを行うことが必要です。
以下で難民申請の手続きについて紹介します。
日本における難民認定までのプロセス
難民が日本で難民認定を受けるためには、法務省入国管理局に対して、難民認定の申請を行わなければいけません。
難民申請認定に必要な書類を作成・提出し、難民調整官との面接を受けることで、難民認定の可否が通知されます。
難民認定がされた難民には、難民認定証明書が交付されることで、難民として保護されることになります。ただし、難民として認定されなかった場合であっても、人道的配慮による在留特別許可が下りることもあります。
また、日本で難民認定申請を行った場合、申請が許可されなかったとしても、審査請求を行うことが可能です。審査請求をすることで、入国管理局の難民調査官および独立した難民審査参与員による面接が行われます。
審査請求に正当な理由があると裁決され、そこで難民と認定された難民には、難民認定証明書が交付されるのです。また、審査請求で不認定となった場合でも、人道的配慮による在留特別許可が下りることがあります。
審査請求でも不認定となり、在留特別許可が下りなかった場合は、裁判所で行政訴訟を起こすことになります。裁判所から難民申請の不認定が不当だと認められた場合には、行政処分の取り消しが行われ、難民認定や人道的配慮による在留特別許可が下りることになり、保護を受けることができるのです。
日本に逃れてきた難民を正社員として雇用。エシカルなPCでSDGsに取り組みませんか?
日本における難民申請の手続き
難民が日本で難民認定申請を行う場合、難民申請の手続き期間に期限はありません。申請者の住所または現在地を管轄している地方出入国在留管理局、支局および出張所で難民申請の手続きをすることができます。
しかし、日本での難民申請の手続きを行う場合、難民であることの証拠の提出や、関係者の証言によって難民であることを立証することが必要です。日本の難民申請では、以下の提出書類が求められます。
また、書類の提出の際は、以下の書類の提示も必要です。
(出典:出入国在留管理庁「難民認定制度」)
(出典:法務省「難民認定申請」)
シリア難民の難民認定申請中の生活
シリア難民に限らず、日本における難民認定申請の手続きは短くても数ヶ月、再申請や裁判所での審査となると何年もかかることになります。しかし、難民申請の結果を待つ間、難民認定申請中のシリア人は日本で働くことができないため、政府による支援を受けなければいけない現状です。
難民申請中の仮滞在の許可
難民が日本で難民申請中の仮滞在の許可を受けることができれば、退去強制手続きが一時停止されます。
交付された仮滞在許可書を常に携帯することで、原則として6ヶ月の仮滞在期間が設けられるのです。
ただし、仮滞在許可を受けると、住居や行動範囲の制限、就労の禁止など数々の条件が課されることになります。
難民申請の審査請求手続きとは
審査請求手続きとは、難民申請が不認定となった場合や認定を取り消された場合に、入国管理局に対して異議申し立てをすることを言います。
審査請求手続きは、不認定の通知を受けてから7日以内に手続きを行う必要があります。
しかし、天災などの場合には7日以降にも審査請求を行うことが可能です。
(出典:内閣官房「難民認定申請者への支援について」)
(出典:出入国在留管理庁「難民認定制度」)
【簡単5分でスタート】毎日使う電力を節約しながら平和のために活動するNPO・NGOに自動寄付
シリア難民の難民認定申請後の生活
難民申請が認められた難民には、更新可能な定住者として、日本における在留資格が与えられます。
難民として認められると、国民健康保険加入の申請を行うことができ、市・区役所などを通じて福祉支援を受けることも可能です。
また、困窮した難民に対しては、一定額の生活費や住居費、その他保護費の支給などを行っています。
さらに1年間であれば、何回でも出入国できる難民旅行証明書の発行もできます。
(出典:出入国在留管理庁「難民認定制度」)
日本におけるシリアの難民申請の受け入れ数
日本は諸外国と比較して、難民の受け入れ人数が圧倒的に少ないのが現状です。
シリア難民に限らず、日本の難民申請は先進国と比べても難民認定の条件が非常に厳しいと言われています。
2018年に難民申請をした人のなかで、日本での在留が認められた数は82人で、そのうちシリア難民は3人でした。
(出典:法務省「平成30年における難民認定者数等について」)
シリアの難民の難民申請の現状を把握しよう
シリアの難民問題は深刻な状況となっており、2018年時点でシリアでは665万4,386人にも及ぶ難民が生まれています。
しかし、難民が日本で難民申請を行う場合、申請書類や証拠書類については日本語での提出が求められるなど条件が厳しく、諸外国に比べて圧倒的に難民受け入れ数が少ない現状にあります。
ただ、日本でも難民申請者を支援する活動は数多く行われています。
この機会にシリア難民問題や難民申請の現状に目を向け、難民のことを考えてみてはいかがでしょうか。
(出典:外務省「難民の出身の多い国」)