アフガニスタンは1979年のソ連軍の侵攻から、内戦やタリバーンなどの武装勢力の襲撃、同時多発テロを受けた多国籍軍の攻撃など次々と紛争が勃発し、その度にたくさんの難民が発生してきました。
2002年以降、世界各国からの様々な支援によって多くのアフガニスタン難民の帰還が実現しましたが、近年再びアフガニスタンの難民は増加傾向となっており、2023年現在も640万人もの難民が支援を必要としている状態です。
この記事では、そんな長期化するアフガニスタン難民問題について紹介します。
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アフガニスタンってどんな国?
2021年8月、米軍の撤退とともにタリバンが再び政権を掌握し、多くの人々がカブール空港に押し寄せ、飛行機に飛び乗った光景は、今も新しいところです。その後、タリバンは女性の権利に対する制限を強化しています。まずは、アフガニスタンという国の基本情報と、女性の権利問題について解説します。
アフガニスタンの基本情報
アフガニスタン(正式名称はアフガニスタン・イスラム共和国)は、中東・中央アジアに位置する内陸国です。周囲を6つの国に囲まれており、日本の約1.7倍の大きさです。
アフガニスタンは東西文化の十字路として様々な国の文化が融合しており、30以上の言語が話される多民族国家としても知られています。
アフガニスタンの教育と女性の権利問題
アフガニスタンの成人識字率は非常に低く、度重なる紛争によって学ぶ機会が失われてきました。特に女性の教育は厳しく制限されており、近年では女子の中等・高等教育が禁止されるなど、深刻な人権問題が発生しています。アフガニスタンでは女性の社会的地位が低く、厳しい生活制限が課されているのが現状です。
(出典:外務省「アフガニスタン・イスラム共和国 基礎データ」)
アフガニスタンにおける難民問題
アフガニスタンの難民問題は、戦争や政権交代、テロ活動、そしてタリバン政権の再掌握など、多くの要因により深刻化しています。アフガニスタン難民の歴史と原因、難民の推移や現状について解説します。
アフガニスタン難民の歴史と問題の原因
東西文化の十字路として多数の文化が融合するアフガニスタンは、多民族国家ということもあり、古くから争いの多い地域でした。
近年の難民問題は、以下の通り長年にわたる紛争と政変が難民発生の主な要因となっています。
- ・1996年:タリバンが初めて政権を掌握し、女性の権利抑圧や弾圧が強化され、難民が増加。
- ・2001年:米国を中心とした軍事介入(対テロ戦争)により、タリバン政権が崩壊。一部の難民が帰還。
- ・2021年:米軍撤退とタリバンの再掌握により、新たな難民危機が発生。
また、戦争だけでなく、干ばつや食糧危機も深刻な要因となっています。農村部では気候変動の影響で生計を維持できなくなり、多くの人々が国内外に避難しました。また、2022年、2023年に発生した度重なる大地震により、家を失った人々が国内外へ避難しました。
(出典:UNHCR「アフガニスタンついて知ってほしい5つのこと」)
(出典:外務省海外安全ホームページ「アフガニスタンの危険情報」)
アフガニスタン難民の数の推移
アフガニスタンの難民数は、長年にわたり増減を繰り返してきました。1980年代、ソ連軍の侵攻を契機に難民数が急増し、最大で約600万人に達しました。1990年には、記録上最も多い633万9,095人に達しましたが、その後、戦争の終結や治安の回復に伴い、難民数は1992年から劇的に減少。その後、1994年には約260~270万人に落ち着き、横ばい状態が続きます。
2000年から2001年にかけて、アメリカの軍事介入などの影響で再び難民数は増加し、2001年には約300万人に達しました。
しかし、その後、難民数は減少し、2007年には再び増加の傾向を見せ、以降、250万人から300万人程度で推移しています。
UNHCRのデータによると、2017年には約262万人、2018年には約268万人、2019年には約273万人と、増減を繰り返しながらも増加傾向が続きました。2020年には一時的に259万人に減少したものの、2021年には再び約271万人に増加。2022年には約566万人に達し、再度急増しました。
このように、アフガニスタンの難民問題は、戦争や政権交代、テロ活動、さらにはタリバン政権の再掌握など、さまざまな要因により大きく影響を受けており、現在も解決の兆しは見えていません。
アフガニスタン|国連UNHCR協会
アフガニスタン難民の現状
最大時には約680万人のアフガニスタン難民がいましたが、一時は減少したものの再び増加して、米軍撤退後にタリバーン政権が復権した2023年時点では約640万人にものぼりました。
これは世界で最も多いシリア難民に次ぐ規模で、世界の難民のうちの約15%がアフガニスタン難民とされています。また、これまで多くのアフガニスタン難民が母国に帰還することができましたが、アフガニスタン国内の不安定な状況が続いているため、新たに難民となる人々が後を絶ちません。
- アフガニスタン国内では未だ、武装勢力のテロや襲撃などにより民間人が死傷している
- アフガニスタン難民は最大時には約680万人いたが、2023年時点も約640万人にも及ぶ
(出典:UNHCR「アフガニスタンについて知ってほしい5つのこと」)
(出典:UNHCR「数字で見る難民情勢(2023年)」)
40年以上にわたる紛争によって、アフガニスタンは多くの難民が流出する国となりました。そんなアフガニスタン難民に対して必要な人道的支援とは何があるのでしょうか。この記事では、アフガニスタン難民の数や行われている支援などについて紹介します。ぜ[…]
アフガニスタン難民の受け入れ国
アフガニスタン難民は、パキスタンやイランが中心となって受け入れてきました。
これまでアフガニスタン人口の4分の1にあたる数がアフガニスタンへと帰還することができましたが、未だ多くの人々が難民としてパキスタンやイランに避難しています。
国 | アフガニスタン難民の受け入れ人数 |
---|---|
イラン | 3,752,300人 |
パキスタン | 1,751,500人 |
タジキスタン | 10,400人 |
ウズベキスタン | 9,000人 |
トルクメニスタン | 3,500人 |
出典:国連UNHCR「Afghanistan Situation/Operational Data Portal」
ここでは、パキスタンとイランのアフガニスタン難民の受け入れ状況についてみていきましょう。
パキスタン
パキスタンでは多くのアフガニスタン難民が長期間に渡って避難している状況です。
教育や医療、インフラなどの生活分野において、アフガニスタン難民の支援を継続的に行っており、アフガニスタン難民の保護に取り組んでいます。
また、パキスタン政府は自主帰還を推進する支援活動も行っており、これまでに多くのアフガニスタン難民が自国に帰還しました。
さらにパキスタンでは教育や医療、インフラなどの生活分野において、難民やパキスタン国内の受け入れコミュニティの支援を行い、アフガニスタン難民の支援を継続的に行っていました。
しかし、2023年以降、不法滞在のアフガン人数千人の強制送還を開始したことから、パキスタンに逃れるアフガン人たちは再び危機に直面しています。
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民及び受入れコミュニティに対する緊急無償資金協力」)
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民受入40周年記念に係る国際会議」)
(出典:アフガニスタン|国連UNHCR協会)
イラン
イランでも未だ多くのアフガニスタン難民が避難しており、法的手続きを終えていない難民の数はさらに多いと言われています。
イランはアフガニスタン難民に対して、難民登録の有無に関係なく、すべての子どもたちの教育サポートなど、教育支援を積極的に行っているのです。また、イランでは国民健康保険の加入や就労許可もされているため、アフガニスタン難民が自立した生活を送るための支援をしています。
- アフガニスタン難民はパキスタンやイランが中心となって受け入れており、未だ多くの人々がパキスタンやイランに避難をしている
- パキスタンでは、難民やパキスタン国内の受け入れコミュニティの支援を行っていたが、不法滞在者の強制送還も始まっている
- イランでは、アフガニスタン難民が自立した生活を送るための支援をしている
(出典:外務省「国別地域別政策・情報 イラン」)
何十年にもわたり長期化したアフガニスタン難民問題は、世界で最も深刻な難民危機とも言われています。多数の難民を受け入れている国では、インフラや公的サービスに多大なる負担を負うことになり、アフガニスタンだけでなく難民受け入れ国に対する支援も大[…]
難民に関するグローバル・コンパクトとは
難民問題はアフガニスタンだけの問題ではなく、世界各地で発生しています。世界各地には6,000万人以上の難民が存在し、国際社会は難民問題改善に向けた新たな対応を求められている状況です。
そこで策定されたのが「難民に関するグローバル・コンパクト」です。難民に関するグローバル・コンパクトは2018年に国連総会で採択され、世界が一体となって難民保護を促進する様々な活動が行われています。
次に、難民に関するグローバル・コンパクトとはどのようなものなのかを紹介します。
難民受け入れ国の負担軽減
アフガニスタン難民をはじめ、世界各国で難民が増加することにより、その難民を受け入れる国々には大きな負担がかかります。難民の大量流入は難民受け入れ国の公的サービスや社会経済に影響を与え、混乱を招く原因にもなりかねません。
難民に関するグローバル・コンパクトでは、難民受け入れ国に対しても早い段階での開発支援や人道的支援を行い、難民流出国と受け入れ国の両国に効果的な支援を行えることを目標に掲げています。
第三国定住の拡大
難民によるグローバル・コンパクトでは、避難した先で難民として保護が受けられなかった人々も、第三国(他国)で難民としての保護が受けられる環境を作り、多くの難民を保護することを目的としています。
第三国の拡大によって難民受け入れ人数が増加することはもちろんですが、人道ビザの発給や奨学生として難民を受け入れるなど、第三国の柔軟な対応が求められています。
安全かつ尊厳ある帰還に向けた環境整備
アフガニスタンは未だ、反政府武装勢力との紛争が繰り返されており、自国に戻っても命の危険性が伴います。
難民に関するグローバル・コンパクトでは、難民たちが安全に母国に帰還できるための環境整備の取り組み拡大を目指しています。
難民の保護および自立促進
難民に関するグローバル・コンパクトに基づく活動としては、難民に対して法的・身体的な保護のほか、性的被害を含む暴力からの保護を目的とした支援も挙げられます。
加えて難民キャンプにおける医療支援や食糧支援、水や衛生環境などの支援は必要不可欠です。
ほかにも、適切なシェルターの支援、子供たちへの教育支援など、国際機関などの支援機関と協力・調整を行いながら、様々な支援を実施しています。
さらに、難民支援においては、難民が支援だけに依存しない自立した生活を行えるようにするための支援は必要不可欠です。難民に関するグローバル・コンパクトでは、将来、母国に帰還することを見据えた人材育成など、難民の自立促進に関する取り組みを実施しています。
難民に関するグローバル・コンパクトについて
- 難民流出国と受け入れ国の両国に効果的な支援を行うことを目標にしている
- 難民としての保護が受けられる環境や、母国に帰還できるための環境整備の取り組みがある
- 母国に帰還することを見据えた人材育成など、難民の自立促進に関する取り組みを実施している
(出典:外務省「難民に関するグローバル・コンパクトとジャパン・プラットフォーム」)
(出典:外務省「令和元年(2019年)度 国際機関等への拠出金等に対する評価シート」)
(出典:内閣官房「第三国定住による難民の受入れ事業の対象拡大等の検討結果について」)
アフガニスタン難民問題への支援
世界各国の様々な支援機関では、アフガニスタン難民に対して幅広い支援活動を行っています。
紛争や災害が起きたときの緊急支援として緊急用テントや毛布、衛生キットなどの援助物資の配布を行うほか、自立促進支援として職業訓練や起業支援、農業支援など、難民自身が主体となって自立した生活が送れるような支援をしているのです。
また、アフガニスタン難民の子どもたちの学ぶ機会を設けるために、学校修復や建設、学用品の提供を行うなどの教育支援、支援センターを設置して健康診断や予防接種、地雷回避の教育、そして交通費給付などの現金給付支援を通して、難民の生計支援、自発的な帰還促進を支援しています。
日本政府のアフガニスタン難民問題への支援
日本政府もアフガニスタン難民支援として、様々な支援機関への資金援助を行ってきました。
また、日本はアフガニスタンへの支援だけでなく、難民による影響を受けた周辺国の負担軽減のため、アフガニスタンおよびアフガニスタン難民受け入れ国でもあるイランやパキスタンに対して、資金援助や人道支援を行っています。
日本がイランに行った支援では、職業訓練センターを設立し、現地で必要となる職業技能の取得や帰還に関する情報提供を行っています。
パキスタンにおいても、アフガニスタン難民およびパキスタンの受け入れコミュニティに対して食料配布や教育・職業訓練の支援をしています。日本は、パキスタンやイランなど周辺国で暮らすアフガニスタン難民が母国に戻ったときの自立を促す活動支援を行っています。
また、日本政府は資金提供だけに留まらず、生活関連物資を自衛隊機によって輸送する物資協力も行いました。
- 難民自身が主体となって自立した生活が送れるような支援を行っている
- 日本はアフガニスタン難民だけではなく、受け入れ国でもあるイランやパキスタンに対しても、資金援助や人道支援を行っている
(出典:外務省「アフガニスタンに対する日本の支援パッケージの実施状況」)
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民及び受入れコミュニティに対する緊急無償資金協力」)
(出典:外務省「イラン「アフガニスタン難民及びイラン人貧困層のための「職業訓練センター」設立・運営事業(第3期)」
アフガニスタンは長年にわたる紛争によって、非常に多くの難民を流出している国です。そんなアフガニスタン難民支援の現状はどのようになっているのでしょうか。この記事では、アフガニスタン難民支援の現状や難民キャンプの状況、日本におけるアフガニスタ[…]
日本におけるアフガニスタン人の難民申請
日本でもアフガニスタン難民をはじめとした、難民受け入れを行っています。しかし、日本の難民認定は条件が厳しく、受け入れられている難民の数は他国と比較して圧倒的に少ない現状です。
2023年に日本での在留が認められた難民認定申請者は13,823名で、そのうちアフガニスタン難民は259名でした。
日本で難民認定されたアフガニスタン難民は、更新可能な1~3年の定住者として日本での在留資格が与えられることになります。そして、アフガニスタン難民も日本の国民健康保険の申請が行えるため、市区町村を通して福祉支援が受けられるようになります。
また、日本では申請の手続きを行えば、1年間のうち何回でも出入国ができる難民旅行証明書の発行も行われるのです。
さらに、困窮しているアフガニスタン難民に対しては、一定額の生活費や住居費が支給され、難民として一定の水準で保護されることになります。
- 日本の難民認定は条件が厳しく、受け入れられている難民の数は他国と比較して圧倒的に少ない
- 日本での在留が認められた13,823名の難民認定申請者のうちアフガニスタン難民は259名だった
(出典:法務省「令和5年における難民認定者数等について」)
(出典:出入国在留管理庁「難民認定制度」)
アフガニスタンは何十年にもわたって紛争が勃発し、非常に多くの難民が生まれた国です。未だアフガニスタン国内では紛争が起こっており、アフガニスタン国内での生活は命の危険と隣り合わせになっています。この記事では、そんなアフガニスタンの難民申請[…]
アフガニスタン難民問題に解決策はある?私たちにできる支援とは
長期化しているアフガニスタン難民問題は、世界が協力して取り組まなければ解決しない問題です。
そんなアフガニスタン難民問題は、私たち一人ひとりが支援機関に寄付することで、間接的に支援することができます。
また、アフガニスタン難民問題に対する理解を深め、自分の周りにいる人々に伝えることも、私たちにできる支援の一つです。
1人でも多くの人がアフガニスタン難民の現状や支援活動を知ることで、アフガニスタン難民問題への支援活動に共感してくれる人々が増えることにつながります。
1人の力は小さなものですが、多くの人々が賛同して協力することによって、多くのアフガニスタン難民を救うことができます。
ぜひこの機会に、アフガニスタン難民問題について理解し、私たちにできる支援を行ってみてはいかがでしょうか。
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