何十年にもわたり長期化したアフガニスタン難民問題は、世界で最も深刻な難民危機とも言われています。
多数の難民を受け入れている国では、インフラや公的サービスに多大なる負担を負うことになり、アフガニスタンだけでなく難民受け入れ国に対する支援も大きな問題です。
この記事では、アフガニスタン難民の受け入れ国上位であるパキスタンやイランの現状を紹介します。この機会に、難民受け入れ国の現状を理解していきましょう。
長期化するアフガニスタン難民問題とは?難民支援の現状、解決策はある?
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アフガニスタン難民の受け入れ国
アフガニスタン難民の多くは、パキスタンやイランが中心となって受け入れている状況です。
パキスタンで難民登録されているアフガニスタン難民は約140万人、イランにおいても約98万人のアフガニスタン難民が逃れてきています。
ただし、発表されている数字は法的な手続きを終えた難民の数と言われており、アフガニスタン難民の数は約270万人以上にのぼると言われています。
また、パキスタンとイランに逃れたアフガニスタン難民の多くは滞在が長期化する状態であり、イランで生まれ育った難民の世代は3世に留まらず、4世にまで及んでいます。
そして、アフガニスタン難民は支援団体による自主帰還事業支援を受けて、アフガニスタンへと帰還しており、その数はアフガニスタン人口の4分の1を占めると言われています。
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民及び受入れコミュニティに対する緊急無償資金協力」)
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民受入40周年記念に係る国際会議」)
(出典:外務省「国別地域別政策・情報 イラン」)
アフガニスタンは難民流出の多い国
世界の避難民は日本の人口の約半分にあたる6,560万人にものぼると言われています。その半数近くは18歳未満の子どもであり、多くは親を失っている状態です。
アフガニスタンの難民流出は約270万人にのぼり、世界の難民の約4%にあたります。パーセンテージで見ると少なく見えますが、アフガニスタンは、最も難民の多いシリアの次に、難民流出の多い国です。
(出典:外務省「世界の難民・国内避難民等の状況」)
(出典:外務省「難民の出身の多い国」)
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アフガニスタン難民を受け入れたパキスタンの現状
2002年以降、多くのアフガニスタン難民が支援を受けて、パキスタンからアフガニスタンへと帰還しましたが、難民登録された100万人のアフガニスタン難民は長期間にわたって留まっており、4割は難民居住地で暮らしている状況です。
また、難民の大量受け入れによってパキスタン地域の生活環境が悪化し、難民とホストコミュニティの不和など、不安定な情勢が続いています。
さらに、アフガニスタンでは未だ紛争やテロが続いているなか、難民登録カードの有効期限が短いために延長申請を行うなど、アフガニスタン難民は不安定な滞在状況です。
パキスタン政府はアフガニスタン難民に対して、難民の安全を守りながら自主帰還を推進しつつ、教育や医療、インフラなどの生活分野において難民や受け入れコミュニティの生活支援を行っています。
(出典:外務省「パキスタンに対する無償資金協力「アフガン難民及びパキスタン若年層の保護計画」(UNHCR連携)に関する書簡の交換」)
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民及び受入れコミュニティに対する緊急無償資金協力」)
難民に関するグローバル・コンパクトとは
世界が一体となって難民保護を推進する国際的な取り決めの「難民に関するグローバル・コンパクト」を指針として、難民問題と向き合っています。
次に、難民に関するグローバル・コンパクトについて紹介します。
難民受け入れ国の負担軽減
難民の受け入れは、受け入れ国のインフラや公的サービスに大きな負担がかかります。難民に関するグローバル・コンパクトでは、早い段階で人道的支援と開発支援を行い、難民流出国と難民受け入れ国の両国に効果的な支援を行えるようにします。
第三国定住の拡大
第三国定住の拡大では、難民の受け入れ人数の増加や人道ビザの発給、奨学生として難民を受け入れるといった柔軟な対応を行い、多くの難民を保護することを目的としています。
難民によるグローバル・コンパクトによって、避難した先で難民として保護が受けられなかった人も、第三国にて難民としての保護が受けられる環境が得られることが期待されています。
安全かつ尊厳ある帰還に向けた環境整備
アフガニスタンをはじめとした難民流出国の多くは、自国に戻っても食料不足や紛争によって命の危険性が伴いかねません。
難民に関するグローバル・コンパクトでは、難民たちが安全にふるさとに帰還できる環境整備の取り組み拡大を目指しています。
(出典:外務省「難民に関するグローバル・コンパクトとジャパン・プラットフォーム」)
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アフガニスタン難民受け入れ国に対する日本の支援
日本はアフガニスタン難民の安全な帰還を確保するために、アフガニスタンおよびアフガニスタン難民受け入れ国に対して、資金援助や人道支援を行っています。
日本がパキスタンに行っている支援は、アフガニスタン難民および受け入れ国のコミュニティに対して食料配布や教育・職業訓練など、アフガニスタン難民が自国に戻った際の自立を助ける手助けです。
また、イランにおいては、職業訓練センターを設立し、現地で必要とされている職業技能の取得やアフガニスタンへの帰還に関する様々な情報を提供して、アフガニスタンの復興に向けて支援を行っています。日本の支援はこれらの国のアフガニスタン難民の自立を促す活動支援に基づいた支援です。
(出典:外務省「パキスタンにおけるアフガニスタン難民及び受入れコミュニティに対する緊急無償資金協力」)
(出典:外務省「イラン「アフガニスタン難民及びイラン人貧困層のための「職業訓練センター」設立・運営事業(第3期)」
アフガニスタン難民を受け入れる周辺国への支援が急務
アフガニスタン難民を受け入れる周辺国では、緊急支援だけではなく、アフガニスタン難民の自立生計を図った支援を行い、多くの難民を保護しています。
しかし、その費用を賄うには莫大な資金が必要であり、周辺国だけでは到底補うことはできません。
日本をはじめ世界各国がアフガニスタン難民に対して様々な支援を行っています。ぜひこの機会に、自分たちにできる支援を考えてみましょう。