難民

難民の受け入れが厳格化している日本では、どんな支援が行われている?

現在、世界では6850万人を超える難民がおり、大きな社会問題となっています。
難民とは、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受ける、または迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々のことです。

世界各国が難民を助けるために受け入れを進めていますが、日本では世界の動きとは裏腹に難民の受け入れに対し厳格な姿勢が取られています。

今回の記事では、日本における難民の受け入れ姿勢や難民に対し行われている支援活動を紹介します。

(出典:日本 UNCHR公式サイト)

世界の難民問題の原因や解決策とは?受け入れ国での生活や日本の対応、支援協会の活動は?

また、どうしようもない理由で祖国を奪われた難民のために少しでも貢献したいという思いのある方は、難民支援に取り組む団体を応援してみませんか?

約30秒のアンケートに回答いただくと、難民支援へ取り組む団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!

\たったの30秒で完了!/

日本の難民受け入れ数は世界でも最低水準


日本の難民受け入れ人数は、世界各国と比較しても最低水準の低さです。
2017年、日本の難民申請処理数は1万1361人だったのに対し、実際に難民として認定されたのはたったの20人、認定率はわずか0.2%という数字が発表されています。

世界的に見ても最低水準であるこの数値の理由には、2つの理由があります。

1つ目は、日本が難民をより積極的に受け入れるという、政治的な意思が十分にないことです。
国によって難民の受け入れへの捉え方は様々ですが、日本においては受入国の能力以上に、難民を受け入れることへの国民の理解が得られないなどの問題があるのです。

これを踏まえると、日本において、政治の場で難民問題が重要事項として盛り込まれないのは、社会で難民問題に関心を寄せる人が少ないことへの裏返しとも言えます。

また、難民受け入れが進まない背景には、難民に限らず移民の受け入れについてこれまで十分に議論がなされなかったことも原因です。

海外から「人」を受け入れ、どのように社会を作っていくのかという観点で移民政策を作ることは、難民を社会の一員としてどう迎え入れるかという議論にも繋がる重要なものと言えるでしょう。

二つ目は、難民認定の実務を法務省入国管理局が担っていることに起因します。
入国管理局の主な目的は「入国を取り締まる」という視点がどうしても強くなってしまうのです。

空港で難民として助けて欲しいと訴えても、上陸が許可されずにそのまま収容される事態が起きてしまいます。

このような点から、本来であれば入国管理局のチェックを受けた後に、別の独立した政府機関が難民の審査を行うべきなのです。
それも単に法的な手続きだけでなく、難民の自立までを視野に入れた政策を管轄する機関が必要となります。

このように、難民認定そのものの受け入れは厳しい水準です。
しかし、日本にやってきた難民申請者を支援する活動は国内の団体によって多く行われています。

(出典:国連UNHCR協会公式サイト)
(出典:認定NPO法人 難民支援協会公式サイト)

日本に逃れてきた難民を正社員として雇用。エシカルなPCでSDGsに取り組みませんか?

日本に来る難民のために行われている支援とは


日本で難民認定を受けるために日本にやってくる人は後を絶ちません。
そのような方に対してどのような支援が行われているか解説します。

法的支援

難民認定申請手続は、非常に複雑であり多くの資料の提出が必要です。
そのような手続きに対してアドバイスを行い、難民であることを証明する資料の収集・作成をサポートしています。

収容されている難民に対しては、収容施設へ面会を行うこともあります。

生活支援

難民一人ひとりの多様なニーズを把握し、対応するためには欠かせないのが個別相談です。
日本に来たばかりの難民の多くが頼る先を持たない状況です。

このような方に専門的なスタッフを配置し、医食住に関するあらゆる支援につなげています。

医療部分にフォーカスを当てると、難民申請者は病院に行くことを我慢し、病状を悪化させてしまうこともあります。
病院に行ったとしても10割負担からそれ以上となってしまうため医療費の支払いは困難です。

難民が適切な医療を受けられるように、無料低額診療や入院助産制度などの利用可能な制度につなげたり、医療費の補助を行ったりします。

定住支援

地域で孤立しがちな難民たちにとって、支え合える仲間の存在は重要です。
それぞれの難民コミュニティに出向き、在留資格、医療・社会福祉制度などに関する情報提供・ワークショップを開催しています。

難民女性を対象に、自立支援プロジェクトも行なっているのです。

また、難民同士だけでなく日本の地域社会との繋がりもつくることが大切です。
地域コミュニティと連携し、災害などの緊急時に支援者としても活躍できるよう災害対応訓練にも力を入れています。

広報活動

世界的に見れば、「難民」問題はスタンダートに認識される問題かもしれませんが、日本に難民が逃れて来ていることはあまり知られていません。
一人でも多くの方が難民について知り、共感を持ってもらうことが日本の難民保護・受け入れが前に進むことにつながります。

その他にも、日本人向けの講演などを開き、日本に逃れて来た難民の置かれた状況の理解や関心を深める取り組みも積極的に行われているのです。

(出典:認定NPO法人 難民支援協会公式サイト)

【簡単5分でスタート】毎日使う電力を節約しながら平和のために活動するNPO・NGOに自動寄付

難民の支援や受け入れについては認知の拡大と議論が必要

日本人は他国で起きている社会問題に対して多くの寄付金を提供しています。

例えば日本ユニセフ協会が発表した「日本ユニセフ協会 収支報告書」によると、2018年度日本ユニセフ協会に寄せられた募金額は、192億435万4529円に達しているのです。
この募金額の中には、世界で苦しんでいる難民・紛争地の子どもたちの支援のために寄付されたお金ももちろん含んでいます。

難民に対して支援の手を差し伸べたい人は日本にもいます。
そうした方は日本へ訪れる難民のために、何かができることを探してみてはいかがでしょうか。
そういった団体では寄付・募金も受け付けていますが、まずは難民を支援している団体を知ることから始めても良いかもしれません。

日本において難民を受け入れることに対して批判的な意見を持つ人もいますが、
まずは難民について理解を深める取り組みと、緻密な議論が必要と言えるでしょう。

(出典:日本ユニセフ協会「2018年 日本ユニセフ協会 収支報告概要」)

動画はこちら
この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿