日本では民法や慣習の関係から、児童婚は認められていません。しかし世界では、南アジアやアフリカなどで当たり前のように行われています。
また、アメリカでも例外として認められる州があるなど、児童婚の事例は非常に多く、把握しきれないのが現状です。
児童婚を望んでいるわけではなく、様々な理由からやむを得なく行われていることも多いのです。
ここでは児童婚が引き起こす問題や、依然として児童婚が増え続けている理由などを紹介します。
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子どもが強制的に結婚させられる児童婚の問題
そもそも児童婚とはどのような問題なのか、そこから触れていきます。
児童婚とは18歳未満での結婚、あるいはそれに相当する状態になることと定義されています。
18歳未満を子どもと定めている国も多く、子どものうちに結婚することは「子どもの権利」の侵害にあたります。
子どものときに得られたであろう自由や様々な機会を奪われ、成長や発達に悪影響を及ぼします。
また、児童婚の多くは女の子が対象になりますが、18歳未満の結婚で早期の妊娠や出産をすることになる可能性もあり、妊産婦の死亡リスクが高まります。
それだけでなく、弱い立場であることから暴力や虐待、搾取の被害を受けやすく、学校を途中退学するリスクも抱えなければいけません。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「ユニセフの主な活動分野 子どもの保護 児童婚」)
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世界では5人に1人の子どもが人身取引(児童婚)の被害にあっている現状
世界的に見ても児童婚は多いといわざるを得ません。18歳の誕生日を迎える前に結婚した女の子は世界で推定6億5,000万人といわれています。
そして今も年間1,200万人の女の子は18歳未満で結婚していると推定されているのです。
そのうちサハラ以南のアフリカでは推定1億1,500万人で全体の18%を占めます。
世界的な児童婚の割合こそ減少しているものの現在も21%、約5人に1人の子どもは児童婚の被害者となっています。
このうちアフリカは25年前には7人に1人だった児童婚が、最近は3人に1人となり、増加傾向にあることは否めません。
世界の児童婚の問題の変化
先ほども触れたように、児童婚の割合は世界規模で見れば減少しています。過去10年間で言えば15%も減少しており、4人に1人だったのが5人に1人となったことから、約2,500万人の児童婚を防止できたことになります。
児童婚の減少理由としては、女の子の就学率の向上、児童婚の違法性とその弊害への認知など様々な理由が挙げられます。圧倒的に児童婚が多かった南アジアで大きく減少したことが要因となっています。
ラテンアメリカやカリブ海諸国地域では25年前と同じ高さで改善が見られず、高所得国のアメリカでも半数の州では18歳未満の子どもの結婚を認める例外が存在しています。
さらに先述したアフリカでは増加傾向となっており、何の対策も講じなければ今後も増え続ける懸念があります。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「児童婚 子どもの花嫁、年間約1,200万人 世界の女性の5人に1人が児童婚を経験 ユニセフ、教育への投資、地域社会の意識改革訴える」)
児童婚がアフリカで多い理由は?
なぜアフリカで児童婚が多いのでしょうか。
アフリカでは推定1億2,500万人の女の子が18歳未満で結婚しています。実に3人に1人が18歳未満となるわけですが、その中でも約10人に1人は15歳未満で結婚しているというデータもあります。
アフリカの中でも児童婚の割合が最も高いのがニジェールの76%、続いて中央アフリカ共和国の68%となっています。
多くの児童婚が起こる背景には経済的な要因や構造的な要因、社会的要因が絡んでいます。
経済的な要因に関しては貧困であることが理由となります。アフリカの中には貧困国である国も多く、貧困国に住む人びとの多くは貧困に陥っています。
多くの家族や子どもを養っている家庭もあり、貧困は生活していく上で致命的なのです。家族を養うためのお金を得るため、児童婚をせざるを得ない状況が生まれているのです。
また、社会的な要因として、古くからの慣習で18歳未満で結婚することが当たり前という考えが未だに根付いている地域もあります。
結婚に対する教育の欠如が、この慣習がおかしいことを認識できないことも理由となっています。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「ユニセフの主な活動分野 子どもの保護 児童婚」)
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児童婚を減らすためにどのような支援が行われている?
児童婚や強制結婚、あるいは女児への性奴隷を減らすためにはどのような活動が行われているのでしょうか。
児童婚の根絶というのはなかなか難しいところがあります。
これは先ほども挙げたような慣習だけでなく、宗教や民法なども複雑に絡み合うためです。そのため18歳未満での結婚を禁止するような法整備が必要となってきます。
しかし国レベルの問題であるため、その国の政府が動かなければ形になりません。そこで非営利団体は、個人から国に至るまで支援を行っています。
例えば国際的な基準で児童婚の問題に取り組むことを優先するように次期国連事務総長へ働きかけると共に、アフリカ連合の地域活動を支援しています。
国や地域のレベルでパートナー団体などと手を組み、支援活動を行っているのです。また、政策や法律、予算、慣習を国家レベルで変化するように働きかける医療へのアクセスや質の高い基本教育を受けられるように支援も進めています。
特に基本教育に関しては各地域で教育を受けられる機会を増やすため、学校の施設や元々あった学校の修繕などを行い、教育者の配備や授業に必要な教科書などの提供も支援活動として行なっています。
このような学校施設の建設は児童婚だけでなく、人身取引への対策にもなっています。立場の弱い子ども、特に女の子を保護する施設がない場所で人身取引は横行します。
その人身取引から女児の性奴隷化も増えてしまうため、この防止に繋がる教育施設を作るという支援はとても重要となってきます。
教育がしっかり施されれば、児童婚の違法性も広がっていき、将来的に根絶に繋がっていくのです。
要因の1つとなっている貧困に対してもフェアトレードを広める活動をしていくことで是正するような支援も行われています。
貧困の原因の中には不公平な取引があります。フェアトレードでは公正な価格での取引を実施し、生産者や労働者に適正な所得を得られるような仕組みを作り上げています。
すべての貧困をなくすことは難しいですが、このような支援も児童婚をしなければいけない状況を防ぐことに繋がります。
(出典:フェアトレード ジャパン 公式サイト 「FAIR spirits vol.07 小さなアクションが世界を変える」)
(出典:セーブ・ザ・チルドレン公式サイト 「少女たちを誰一人取り残さないために」,2016)
児童婚の現状を知り、私たちができる支援をしよう
児童婚は根深い問題です。国家レベルでの対策も必要ですが、全てを把握することは難しく、法の整備の観点などから取り締まることは困難です。
児童婚を止めるためには予防策を行うほかなく、必然的に民間レベルの支援が不可欠となってきます。
予防策としての支援は先ほど紹介したとおりですが、まだまだその手は足りていません。人手不足やNPO・NGOの不足も否めませんが、活動資金の不足も関係しています。
彼らの活動資金の多くは寄付によって賄われています。寄付は私たちが今できることであり、支援活動を支えることが、間接的に児童婚を防止するための手助けとなるのです。
世界の児童婚を止めるためにも、現状を知り、私たちにできる支援を積極的にしていくことが大切なのではないでしょうか。