世界の中でも人身取引は、数字にも現れづらい大きな問題となっています。
人身取引とは、強制的な手段である暴力、誘拐、詐欺行為などによって弱い立場に追いやり、人身取引後は、辛い労働を強いることで奴隷化することを一般に指しています。
しかし、実際に人身取引の現状をリアルに知っている人は、多くありません。
今回の記事では、世界で起きている人身取引問題の概要から、被害者が女性や子どもばかりである理由を解説します。
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世界でも深刻な人身取引問題
人身取引とは、幼い子どもたちに危険な仕事を強制させたり、強制結婚、性的搾取、臓器摘出などを行う非人道的行為です。
人身取引は、被害者の人権を奪い、肉体・精神の両面で深刻なダメージを与え続けます。
世界では、2012年から2014年の間に、世界106ヶ国で6万3,251人が人身取引の犠牲者として確認されています。
秘密裏に行なわれる犯罪であるため、正確な被害者数を把握することはきわめて困難です。女性や子ども、紛争地帯の避難者など社会的弱者が被害にあいやすいとされています。
被害者の多くは女性と子ども
人身取引をされる被害者の多くが女性と子どもです。
2012年から2014年の間に確認された人身取引の被害者のうち、子どもが占める割合は25〜30%を記録しています。
また、2014年に世界85カ国で確認された1万7,752人の被害者のうち、およそ71%を女性が占めていました。この女性比率の高さは年代別のデータを見ても傾向は変わっていません。(2004年は84%)
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「ユニセフの主な活動分野 子どもの保護 子どもの人身売買」)
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アフリカでも人身取引が深刻な状態
2018年、ユニセフと人身取引反対機関間調整グループは、世界で確認できた人身取引の被害者のうち、約28%が子どもであることを発表しました。また、サハラ以南のアフリカ地域では、人身取引被害者に占める子どもの割合は2018年現在で64%であるとしました。
アフリカは世界のあらゆる地域の中でも、「児童労働」に従事する子どもの割合が最も高い地域です。また、アフリカ地域全体でも、女性と子どもの人身売買問題が自国に存在しないと言い切れる国は一つもないほど深刻なのです。
アフリカで人身取引の被害に遭う女性は、売春などの性的搾取をされ、男の子は、薬物や武器の密輸出入の担い手という危険な職務に手を染めさせられるのです。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「7月30日は『人身取引反対世界デー』世界の人身取引被害者の28%が子どもサハラ以南のアフリカ、ラテンアメリカ地域は60%以上ふるさとを追われた子どもの保護求める)」,2018)
(出典: 日本ユニセフ 公式サイト「ユニセフの活動 子どもの保護 子どもの人身売買」)
アフリカで女性や子どもが人身取引の被害者となってしまう理由は?
女性や子どもたちが人身取引の対象になりやすい理由はいくつか考えられます。
前述したように、人身取引の被害に遭う71%が女性である理由は、働き手となる男性の性的搾取として使われる場合が大半です。
具体的な事例をいくつかご紹介します。
売春
幼い女の子などが人身取引の対象になる理由は、売春宿で複数の男性と売春行為を行わせるためです。
1日に多くの男性と性的交渉を繰り返すことで、商品として利益を上げる道具として使われます。
売春行為をすることに逆らった場合には、売春宿のオーナーから執拗な暴力を振るわれるケースもあります。
最終的には、多くの男性との交渉から性病を発症し、商品価値として使えなくなった場合は、捨てられてしまうという現実が待っています。
児童・成人ポルノ
インターネットの普及において、どこにいてもコンテンツが配信できるようになりました。
そのため、コンテンツに出演させる女性を人身取引する組織も存在します。
女性や子どもが大きな利益を出すための道具として使われる現状が存在します。
強制結婚
人身取引によって強制的に結婚をさせられるケースもあります。
しかし、結婚後に待ち受けるのは毎日に及ぶ性的虐待です。
反抗的な態度を取ると、男性側が暴力で屈服させようとする図式が根付いています。
このような理由から、女性の人身取引は、ビジネスとして利益が出るために人気があるのです。
その他に、小さな子どもたちが人身取引の対象になる理由として、「反抗的になっても暴力で押さえつけられる」ということが影に隠れています。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト 「ユニセフの活動 子どもの保護 子どもの人身売買」)
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アフリカで人身取引の被害者のために行われている支援とは
世界的にも深刻さを増す「人身取引」問題ですが、問題を解決するために、あらゆる団体が支援を行っています。
実際に行われている支援について解説します。
アフリカ・ガーナのカカオ生産地域での人身取引
日本が輸入するカカオの8割を占めるガーナ共和国では、学校に行く権利を与えられずに子どもたちが過酷な労働条件を課せられています。
しかし日本のあるNPOの活動として4年の月日をかけて、4つの村で300人以上の子どもたちを学校に通えるようにしてきました。子どもたちが自由に「教育」を受けられる権利を守るための活動を行っているのです。
しかし、このような支援を行ってもブルキナファソ・トーゴなどの貧しい国から、ガーナに流れてきている子どもたちが後を絶ちません。
地元の子どもたちが教育を受けることに時間を割いてしまうと、人手の確保に貧しい国の「人身取引」市場が拡大して行く可能性もあります。
支援している国の問題が解決しても、他国にしわ寄せがいく問題に、今後、向き合って行く必要があるのです。
(出典: 特定非営利活動法人ACE公式サイト「アフリカ・ガーナのカカオ生産地域での子どもの人身売買」 )
アフリカの人身取引の現状を知り、私たちも支援しよう
今回の記事では、世界で問題となっている「人身取引」問題の概要と、被害者が女性や子どもばかりの理由、実際にアフリカで行われている支援活動について解説しました。
人身取引は、子どもたちや女性を売買することで多額の利益に繋がっています。そして貧困によってお金を稼ぐ手段がなく、働きたくても教育を受けていないため、働き口が制限されるといった問題も複雑に絡んでいるのです。
より多くの人たちが「人身取引」の現状を知るだけでも、支援のきっかけになるでしょう。