人身取引・売買は世界中で発生している犯罪です。
人身取引に対しては世界中で危惧されており、多くの対策や法律が制定されています。
この記事では、世界中でどのような対策が行われているのか解説します。
人身取引・売買問題とは?
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人身取引・売買に対する法律は国によって異なる
人身取引・売買に関しては、どの国でも禁止されていますが、国によって対策の方法や刑罰の重さは異なります。
罰則が厳しい国もあれば、人身取引に対してそこまで強く意識していない国もあるのです。
共通の法律だけではなく、各国で厳しい法律にする必要があります。
国際組織犯罪防止条約人身取引議定書とは
国際組織犯罪防止条約人身取引議定書とは、正式名称『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約』の本体条約の他に制定された『人身取引』に関する議定書のことです。
本条約である国際組織犯罪防止条約には、組織的な犯罪集団(テロ組織など)への参加や共謀や犯罪収益による洗浄(マネー・ローンダリング)、苛烈な司法妨害・腐敗(公務員などによる汚職問題)などの処罰、およびそれらへの対処措置などについてが定められています。
ほかにも『TOC条約』や『パレルモ条約』とも呼ばれているので覚えておきましょう。
この本体条約のほかに制定されているのが、『人身取引』に関する議定書、『密入国』に関する議定書 、『銃器』に関する議定書の、三議定書です。
これらは2000年11月15日、国際連合総会において採択されました。
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人身取引に関する議定書
正式名称は、『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書』です。
2002年12月12日にニューヨーク署名され、効力が発生したのは2003年12月25日からとなっています。
効力発生からも多くの国が署名、締約しており、2018年6月の時点で189の国・地域で締結されているため、多くの国が人身取引に対して危機感を持っているか理解できます。
主な内容としては、いかなる人身取引をも防止すること、しっかりと防止するためにも多くの国が協力していくことを促進するというものです。
国際的な法的枠組みの構築を目的とした議定書となっているため、非常に高い効力を持っています。
そして人身取引行為を犯罪化することを義務付けるため、人身売買の抑制にもつながっているのです。
また、人身取引の被害を受けた被害者の保護と送還も義務とされており、出入国管理に関する措置について規定しています。
日本は、2017年7月11日に条約と共に批准しました。これからも人身売買に対する規制は強くなっていくでしょう。
- 人身取引・売買に関しては、どの国でも禁止されているが、国によって対策の方法や刑罰の重さが異なる
- 国際組織犯罪防止条約人身取引議定書は、『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約』の本体条約の他に制定された『人身取引』に関する議定書のこと
- 人身取引に関する議定書の正式名称は、『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書』
(出典:外務省「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」)
人身取引・売買が多い国の法律や対策とは
人身取引・売買は実際に世界中ではどのような法律や対策が行われているのでしょうか。
特に人身取引・売買が多い国について見てみましょう。
インド
インドは人身取引が頻繁に行われていますが、インド政府は2016年5月30日に『人身売買防止法(案)』とする新しい法律の草案を一般公開しました。
この法律では、『児童買春を目的とした人身売買』だけではなく、奴隷・児童労働など含めた様々な人身売買をインド国内で防止する法案となっています。
2015年にインドの最高裁判所が、インド政府へ『人身売買問題に関連する法律の整備』を行うよう命じたことで作られた案です。
(出典:認定NPO法人かものはしプロジェクト 「国がようやく動き始めた~人身売買被害者を守る新法制定に向けて~」)
タイ
タイでは、売春防止取締法、児童保護法、移民法、女性と子どもの人身取引防止取締法などの関連法によって人身取引を防止し取締まってきました。そして、2008年1月30日に制定された人身取引禁止法が同2008年6月5日に施行されたのです。
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA「【技術協力】タイ・人身取引被害者保護・自立支援促進プロジェクト」)
(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA「 タイ国人身取引被害者保護・自立支援促進プロジェクト」)
- インドの『人身売買防止法(案)』は、『児童買春を目的とした人身売買』だけではなく、奴隷・児童労働など含めた様々な人身売買をインド国内で防止する法案
- タイでは、人身取引禁止法が2008年6月5日に施行
日本でも法律で厳しく罰せられる
日本においても、人身取引に対する法律は存在しており、人身の売買に関わった両者に厳しい罰則が科されます。
まずは、日本で行われた人身取引の検挙数を見ていきましょう。
平成30年までにおける人身取引事犯の検挙状況について
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- 検挙件数
平成28年(44件)、平成29年(46件)、平成30年(36件)
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- 検挙人員
平成28年(46人)、平成29年(30人)、平成30年(40人)
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- 被害者数
平成28年(46人)、平成29年(42人)、平成30年(25人)
(出典:警察庁「平成30年における人身売買事犯の検挙状況等について」)
人身取引対策行動計画とは
『人身取引』は人権侵害であり、早急な発見、対応が求められています。そうした認識の下、政府が策定した人身取引に対する行動計画を記したものが「人身取引対策行動計画」です。
(出典:首相官邸 「人身取引対策に関する取組について」,2019)
人身売買罪
日本には人身売買に対する罰則があります。人身売買の手口は多種多様ですが、人身売買を行った時点で法律で取り締まられます。
刑法226条2項目では、人身売買を行った者に対して、以下の罰則が与えられることを記載しています。
- 人身を購入した者は、3年~5年以下の懲役が科される
- 未成年者を購入した者は、3年~7年以下の懲役が科される
- 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人身を購入(または売却)した者は、1年~10年以下の懲役が科される
- 国外へ人を売買した者は、2年以上の有期懲役に科される
上記のように、購入した者と売却した者のどちらにも懲役刑が科されるものです。
今後も人身売買が続くようであれば、取り締まりが強化される可能性もでてくるでしょう。
(出典:ユニセフ 「刑法等を改正する法律案が可決・成立――人身売買罪が新設されました」,2019)
(出典:刑法226条2項目)
(出典:衆議院 「刑法等の一部を改正する法律」)
- 日本でも人身取引に対する法律はあり、人身の売買に関わった両者に厳しい罰則が科される
- 「人身取引対策行動計画」は、政府が策定した人身取引に対する行動計画
- 「人身売買罪」には、人身売買に対する罰則が記載
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人身取引・売買は人権を守るために絶対に行われていけない行為です。
しかし、人身取引に対する法律が制定されても人身取引の被害はなかなか減りません。
人身取引をなくしていくには、日本だけでなく、世界の人身取引の現状を知る必要があります。
そして、『日本だから安全である』という気持ちはなくし、自分にも被害が及ぶかもしれないという危機感を持つことも大切です。