世界中ではいくつもの紛争が起きており、その地域で暮らす人々は生活を脅かされています。
現在も進行している紛争の中、避難生活を余儀なくされている人々をどのように支援できるでしょうか。世界で起こっている紛争の原因も解説します。
2024年現在も紛争が解決していない国や地域は?原因を知り解決策や支援について考えよう
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紛争の意味や定義とは
紛争とは、簡単に言うともめ事や争い事です。
「紛争」という言葉で表すもめ事の範囲は非常に広く、経済問題や宗教間のもつれ、文化の違いや民族間の争い、集団心理や環境などによる争い事すべてが含まれています。
世界中で起きている紛争には大きく分けて5つのタイプがあります。
- 領土をめぐる紛争
- 国家政府の地位をめぐる紛争
- 他国の領土や権力を確保し戦略的に展開する紛争
- 独立や開放を求める紛争
- 民族紛争
現在、世界のあちこちで紛争が起きていますが、特にアフリカの紛争は長期間続いているため世界的に深刻な問題となっています。
長い間、解決のための支援が行われていますが、支援が追いついていないのが現状です。
- 紛争とは、あらゆるもめ事や争い事のことである
- 世界中で起きている紛争は5つのタイプに分けられる
- アフリカの紛争は、長期間続いており解決のため支援が行われているが糸口をつかめないでいる
(出典:独立行政法人 国際協力機構(JICA)「2.用語の定義」)
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アフリカで紛争が長引いている原因は?
アフリカは長年、世界の中でも特に紛争が多発している地域であるとみられていました。紛争は何年間も解決することなく長引いていることが深刻な問題となっています。
紛争が長引くほど死者や難民は増加していくため、アフリカだけではなく世界中で問題視されています。
歴史的背景
アフリカで紛争が長引いている理由には歴史的背景が大きく関係しています。主な理由となる奴隷貿易と一国分断について取り上げます。
奴隷貿易
アフリカがヨーロッパの植民地であった時代、アメリカなどの先進国にアフリカ人奴隷を労働力として売るという奴隷貿易が盛んに行われていました。
幼い子どもを含めた人身売買はヨーロッパにとっては経済利益をもたらすものでしかなかったのです。
アフリカ内部でも奴隷貿易が行われていたため、各地域や場所に多様な民族が入り混じって生活するようになりました。また、人権という概念がなく、争うことによって利益を獲得するという文化ができあがったためアフリカは紛争が絶えない地域となっています。
一国分断
19世紀までに独立国として残った国を除き、アフリカ大陸の多くの土地が植民地として勝手に分割され、国境が引かれました。
植民地として権利を持っている国それぞれの影響力が強くあり、同じアフリカ大陸でも文化や宗教、言語などの違いが多く見られるようになっています。
また、一国分断することによって、同じ国の中で人々を対立させ植民地を開拓していったヨーロッパの統治の仕方が、未だにアフリカの人々の心の奥に根差すものとなっているのです。
このように、奴隷貿易や植民地支配により一国分断が行われていたこと、その他様々な要因が重なり、アフリカ大陸では宗教や民族間での争いが絶えず、紛争が長引いているのです。
豊富な資源をめぐる紛争
アフリカで紛争が絶えまなく起こり、それぞれが長引いてしまう理由の一つに資源の取り合いがあります。
アフリカには世界各国から注目されるほど、石油やレアメタルなどの資源が豊富にあるため、その資源を取り合って紛争が続いているのです。
アメリカは南スーダンの石油に目をつけ、南スーダンの勢力に武器や資金を流入するようになりました。その後、アメリカは南スーダンの独立を支援するようになり、和平という名の目的で紛争を勃発させました。
先進国から注目され、アフリカの資源を我が国のものにしようという思惑がアフリカの人々を巻き込み、紛争へと導いているのです。
このようなことから、紛争による問題は紛争が起きている国だけでなくそれを取り巻く先進国に住む私たちにも関係があるといえます。
武器産業による利益
また、紛争によって生み出される利益にも注目してみましょう。紛争の被害者である子ども兵士もその一つです。ずっと前から、アフリカでは子どもが武器を持ち戦争の最前線で戦うことに従事させる戦略が行われていました。
そのため、子どもでも持てる小型の武器が登場し流通しています。
紛争を長引かせさらに恐ろしい結果を生み出させようとする武器産業は、これからもなくなる見通しはありません。
国連の安全保障理事会で拒否権を持つアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアという産業大国で生産されている武器がアフリカに大量に流れ込んでいるため、紛争はやむことなく拡大しているのです。
- アフリカの紛争は奴隷貿易や植民地化などの歴史的背景が関係している
- アフリカは世界から注目されるほど石油やレアメタルなどの資源が豊富な国であり、その資源をめぐる争いが絶えない
- 紛争では多くの武器が使用されるため、その武器を産業として利益を得ている国がある
(出典:天理大学『僕らのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』合同出版/小川真吾著)
(出典:独立行政法人 国際協力機構(JICA)「ゴンゴ民主共和国の紛争と和平への道のり」)
中東で紛争が起こっている原因は?
紛争はアフリカだけで起きている問題ではなく、シリア、イエメン、イラクなどの中東でも紛争が起きています。
なぜ中東で紛争が起こっているのでしょうか。その大きな原因を作り出しているのは先進国でもあります。
特にアメリカの動きが中東の石油生産国に恐れや不安を植え付け、紛争を生じさせているとも見られています。
アメリカは中東の国々を危険な国であると周辺諸国に伝えることで、それらの国々の武器燃料となるものを手に入れようと動いています。その流れに乗ってヨーロッパ諸国も中東で生産される燃料を自国のものにしようという動きを見せています。
シリア、イエメン、イラクなどでは、自国のものを守ろうとするがゆえに対立し、紛争が生じる要因の一つです。この紛争によりさらにアメリカを含めた武器生産国に多大な経済利益をもたらすと言われています。
兵器産業を主導しているアメリカの武器は、紛争が相次いでいるシリアやイエメン、イラクなどの地域に流入されており、紛争がやむとそれらの利益が得られなくなるため、武器を売りつけ対立心をあおり紛争を起こそうとしているという意見もあります。
このように、中東で起こっている紛争は先進国との経済問題が大きな原因の一つとなっています。
- シリア、イエメン、イラクなどの中東でも紛争は行われている
- 中東における紛争の原因は、武器産業が大きく関係している
- 武器産業で経済利益を得ているの国は先進国が多い
(出典: 公益財団法人 中東調査会「イスラーム国の生態:武器・弾薬調達の実態」,2017)
紛争地で暮らす子どもの劣悪な環境
2018年時点では、約3億5000万人という子どもたちが紛争により大きな影響を受けており、子どもの6人に1人は紛争によって被災し、親と離ればなれになったり、自国から避難したりことを余儀なくされているのです。
また、世界では6,560万人の難民がいるといわれていますが、そのうちの2,800万人は子どもであり、まだ幼いにもかかわらず生命の危機や人生の絶望感に襲われています。
紛争が行われている国々では武器を取り締まる法律や条約がないため、子どもたちが武器を持つことを強いられたり、その武器により命を失ってしまったりしているのが現実です。
子ども兵士が紛争の最前線で使われており、学校に通うこともできず常に死の危険と隣り合わせの状態です。
兵士として動員されないとしても、人権を全く考えない大人から暴力を振るわれたり、紛争に巻き込まれて命を落としてしまう子どもも少なくありません。
命からがら逃げだして難民となった子どもたちも衛生環境が悪かったり、飢餓により未来輝かしい人生が消えてしまうということもあります。
- 2018年時点では、子どもの6人に1人が紛争によって親と離れ離れになっている
- 紛争地域では、武器に関する法律や条約がないことが多く、子どもでも武器を持ち紛争に参加させられることがある
- 紛争から逃れても難民となり、将来が閉ざされてしまうことが多い
(出典:セーブ・ザ・チルドレン「報告書『子どもに対する戦争:武力紛争下の子どもたちへの暴力を終らせる』を発表-世界では6人に1人の子どもが紛争の影響を受ける地域に暮らす-」,2018)
紛争地域で行われている支援活動は?
政府軍と反対軍による対立や独立を求める紛争、民族紛争などにより避難を余儀なくされている難民や、紛争地域にとどまりながら怯えている人々のために支援活動が行われています。
紛争地域に暮らす人々や紛争の影響を受けた人々に行われている支援活動にはどのようなものがあるでしょうか。
安全な水の提供
本来、国民に安全な食料と水を供給するのは国の役割です。しかし紛争が長引いていると国家は正常に機能しなくなるため、きれいな水さえ飲むことができず、飢餓や感染症により命を落としてしまうこともあります。
そのような危険にあっている人々のために安全な水を提供するという支援活動が行われてきました。
井戸を掘ったり、衛生的な給水施設を設けたりなど実際にきれいで安全な水を飲めるように行動しています。
学校保健事業
紛争から逃れてきた難民の子どもたちは十分な教育を受けることができず、読み書きを学ぶこともできません。
そのような子どもたちを対象に学校保健事業が行われています。
また、ただ教えるだけではなく、内科・耳鼻科・皮膚科などの医療的な支援も行い、手洗いや歯磨きなどの衛生的な習慣も身につけられるように助けています。
これまで不衛生で危険な環境で暮らしてきな子どもたちが安心して健康に暮らせるようにサポートしているのです。
- 紛争が長く続いている地域は国家が正しく機能していない
- 紛争地域の水は、きれいでないため飲むことができないので安全な水を提供する活動がされている
- 十分な教育を受けていない子どもたちのための教育の場の提供、医療的な支援も行っている
(出典: 公益財団法人 日本ユニセフ協会「水と衛生活動の取り組み」)
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紛争で苦しむ人々のために私たちにできること
紛争に苦しめられている人々は世界中に数えきれないほど多くいるため、自分にも何かできないだろうかと考える人は少なくありません。
紛争で苦しむ人々のために私たちにもできることを考えてみましょう。
①人道支援
1つ目は実際に紛争地域に出向いて人々を救助し、保護し、支援するという方法です。治療を必要としている多くの人々の医療支援に従事したり、子どもたちの教育をサポートしたりする人たちが求められています。
しかし、残念なことに紛争が激化する中、その地域で支援を行うことは非常に難しく、毎年援助関係者も命を落としています。
逃れようとする難民が増加し、支援を必要とする人たちが増える中、自ら危険な地域に出向くことは難しいですが、現地で行われている活動の支援は日本に住んでいても可能です。
その方法が2つ目と3つ目です。
(出典: 外務省「人道支援に関する国際的取り組み」,2018)
②子ども服を難民に届ける
難民の中には多くの子どもたちがいます。子どもたちは成長が早いため、数枚の衣類だけでは生活できなくなります。
そのため、多くの子ども服の提供が要請されています。
自分の小さいころに着ていた服や、自分の子どもの服を届けてプロジェクトに参加することができるでしょう。不要になったものを簡単に捨ててしまうのではなく、再利用として難民の子どもたちを支援できないだろうかと考えてみましょう。
③支援活動のために寄付する
自分の持っているもので確実に紛争地域の人々を支援できるものは寄付です。街中の募金箱に小銭を入れたり、月々数千円といった少額のお金でも、たくさんの人が募金に加われば多額な寄付金となります。
また、支援は直接お金を寄付するだけではありません。フェアトレード商品を購入したり、旅行でためたマイレージを寄付したり、本やCDなどを寄付することもできます。
自分にできる方法で無理なく寄付を継続すれば、紛争に苦しめられている人々の大きな助けになるでしょう。
- 実際に紛争地域に行き、医療支援や教育のサポートをする
- 衣料品を寄付する
- 支援活動のための募金をする
( ワールド・ビジョン・ジャパン「【難民支援】シリア紛争の影響を受ける子どもたちに教育を!」)
紛争は実際に起こっているできごと、まずは知ることから始めよう
紛争は、今現実に起きていることです。日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。
なぜ紛争が起きているのか、どんな支援が必要とされているのか。こうしたことを知ることから始めてみませんか。
紛争に苦しめられている人たちのために私たちにもできることがあるのです。