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ジェンダーレス制服とは?導入校の事例とメリット・課題を解説

  • 2026年6月4日
  • 2026年6月10日
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「自分らしい制服のある学校に通いたい」「自校に導入したいけれど、反対意見への準備が不安」
近年、性別にとらわれず制服を選べる学校が全国に広がっており、当事者の子どもや保護者、学校管理職の双方から関心が高まっています。

そもそも『ジェンダーレス』の前提となるトランスジェンダーや性自認の基礎知識は【簡単に理解】トランスジェンダーとは?意味とよくある疑問をやさしく解説 LGBTQ+全般の社会課題は LGBT・ジェンダー平等のカテゴリ詳しく解説しています。

本記事では「ジェンダーレス制服」というテーマに焦点を絞り、定義、文部科学省の通知に始まる流れ、最新の導入率、主要な導入校事例、メリット・反対意見の整理までを、本人・保護者・学校・メーカーの4つの視点からまとめます。

ジェンダーレス制服とは?広がりの背景

結論からお伝えすると、ジェンダーレス制服とは、性別に関係なくスラックスやスカートを生徒自身が選択できる学校制服のことです。性別違和を抱える児童・生徒、寒さや動きやすさを優先したい生徒など、誰もが自分に合った装いを選べる仕組みとして広がっています。

定義と特徴

ジェンダーレス制服は「男子用」「女子用」と性別で分けるのではなく、上下のアイテム(ブレザー・スラックス・スカート・リボン・ネクタイなど)を生徒が組み合わせて選べる設計が一般的です。すべての生徒に同じ選択肢を提示することで、性別を理由に着たい服装を諦めさせない狙いがあります。

導入が広がるきっかけ

広がりのきっかけは、2015年4月に文部科学省が出した通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」と、翌2016年4月の手引きです。この通知では、自認する性別の制服・衣服の着用を学校生活上の支援例として明示し、各学校に組織的な対応を求めました。

(出典:文部科学省「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について(通知)」(2015年4月)/同手引(2016年4月)

先駆けとなった学校事例

中学校での先駆例として、2018年4月に開校した千葉県柏市立柏の葉中学校が知られています。同校は開校前の制服検討委員会の段階からLGBTへの配慮を議論し、ジェンダーレス制服を採用しました。開校直後から複数のメディアで取り上げられ、後続校のモデルケースになっています。
(出典:各種報道(リセマム/朝日新聞 ほか)、千葉県柏市柏の葉中学校公開情報)

・ジェンダーレス制服とは、性別に関係なくスラックスやスカートを
自分で選択できる学校制服のこと

・文部科学省が2015-2016年に出した通知・手引が、全国の学校に
組織的対応を促す土台になった

・千葉県柏の葉中学校(2018年開校)が中学校の先駆例として
広く知られている

全国の導入率と最新の動き

ジェンダーレス制服の広がりは、制服メーカーや教員アンケートの集計から客観的に確認できます。ここ数年で導入校が急増している様子を、公開データで見ていきましょう。

女子生徒のスラックス採用は全体の約7割

マイナビが全国の中学・高校教員1,400人を対象に行った調査(2023年)によると、女子生徒のスラックス制服を採用している学校は約70.9%に達しました。一方で、男子生徒のスカート制服を許可している学校は27.1%にとどまっており、選択肢の広がりに男女差があることもわかります。
(出典:マイナビニュース「ジェンダーレス調査」(2023年8月))

制服メーカー集計 5年で2-3倍に拡大

学生服大手の菅公学生服によると、女子生徒のスラックスを採用する中学・高校は2019年度の約800校から2022年度に約2,200校と2.8倍に増加しました。同じく学生服大手のトンボでは2019年度約450校から2021年度約1,000校と2倍超の増加が確認されています。両社とも、モデルチェンジを検討する学校の9割以上から「多様性への配慮」が要望されていると公表しています。
(出典:菅公学生服 広報資料/トンボ プレスリリース(2022-2024年))

導入は『選択制』が主流

各校の運用を見ると、ジェンダーレス制服は「全員が同じ装いをする」のではなく、「スカートとスラックスのどちらでも選んでよい」という選択制で運用されているのが大半です。日常の着用は本人の希望に委ねられ、年度途中の変更も認める柔軟な運用が広がっています。

・女子生徒のスラックス採用校は全国の約7割(2023年マイナビ調査)に達している

・菅公学生服では2019年約800校→2022年約2,200校、
トンボでは2019年約450校→2021年約1,000校と急拡大

・運用は『選択制』が主流で、本人の希望で日常的に切り替えられる柔軟な仕組みが広がっている

主要な導入校・自治体の事例


ここからは、ジェンダーレス制服を導入した代表的な学校・自治体の事例を、地域別に整理します。地方公立校から私立校まで広がりがある点が特徴です。

千葉県: 柏の葉中学校(中学校の先駆例)

千葉県柏市の柏の葉中学校は、2018年4月の開校に向けた制服検討委員会(2017年10月設置)の段階からLGBTへの配慮を盛り込み、ブレザー・スラックス・スカート・リボン・ネクタイを自由に組み合わせられる制服を採用しました。中学校におけるジェンダーレス制服の全国的なモデルとして紹介され、報道や視察も多い学校です。

岐阜県: 私立高校でのジェンダーレス制服採用

岐阜県の私立高校でも、近年ジェンダーレス制服の導入や制服選択制への移行が報じられています。岐阜県は文部科学省指定の研究校や学生服メーカーの本社が立地することもあり、地方私立校の動きとして全国から注目を集めています。

公立高校での広がり

公立高校では、神戸新聞NEXTの調査によると、女子生徒がスラックスを選べる学校が全国で加速し、詰め襟・セーラー服のみという伝統的な制服は少数派になりつつあります。都道府県・市町村レベルで制服選定方針を見直す動きも続いており、教育委員会主導での導入検討も増えています

(出典:神戸新聞NEXT「スラックスかスカートか選べます 制服ジェンダーレス化、全国で加速」(2022年11月))

・中学校では千葉県柏の葉中学校が全国的なモデルケースとして知られている

・岐阜県や香川県など、地方私立高校・公立高校でも導入の動きが報じられている

・公立高校でも導入が加速し、詰め襟・セーラー服のみの伝統的な制服は少数派に

ジェンダーレス制服のメリット ~なぜ広がっているのか~


各校が導入を進める背景には、性別違和をめぐる配慮にとどまらない複合的なメリットがあります。代表的な4点を整理します。

性自認との不一致を抱える生徒の心理的負担を軽減

自認する性と異なる制服の着用を強いられることは、強いストレスや不登校の原因となることが報告されています。選択肢が複数用意されていれば、本人がカミングアウトをしなくても、希望する装いを選ぶだけで日々の負担を減らすことができます。

防寒・機能性・防犯面での実用的メリット

スラックスはスカートに比べて防寒性が高く、自転車通学や階段の上り下りでの動きやすさにも優れます。スカートの中を盗撮されるリスクの軽減や、災害・緊急時の避難のしやすさを理由に、性自認に関わらずスラックスを選ぶ女子生徒も少なくありません。

制服選びを通じた多様性教育の入口

制服選択制は、生徒たちが日常的に「選ぶ自由」他者の選択を尊重する姿勢」を学ぶ機会にもなります。教員アンケートでも「学校全体でジェンダーや多様性を考えるきっかけになった」という回答が報告されています。

学校のブランド価値・志願者数への寄与

学生服メーカーの広報・取材記事でも、ジェンダーレス制服を導入した学校では志願者数の増加や問い合わせの増加が報告されています。制服は受験生・保護者が学校を選ぶ重要な判断材料の一つであり、多様性に配慮した制服はその学校の教育方針を象徴するメッセージにもなります。
(出典:トンボ プレスリリース「制服トレンド最前線」(2024年)/カンコー学生工学研究所「ジェンダーレス制服導入校の声」)

・性自認との不一致を抱える生徒の心理的負担を軽減できる

・防寒・動きやすさ・防犯面でも、性別に関わらずスラックス選択にメリットがある

・制服選びを通じて多様性教育の入口を作ることができる

・学校のブランド価値・志願者数増にもつながる事例が報告されている

反対意見・課題への向き合い方


広がりの一方で、ジェンダーレス制服には反対意見や課題も指摘されています。導入する学校・自治体は、これらに正面から向き合うことが信頼される運用につながります。

「強制ではないか」「目立つのでは」という不安

もっとも多い不安は、「全員にジェンダーレスの装いを強いるのでは」「少数派が目立っていじめにつながるのでは」というものです。実際には選択制で本人の希望に委ねられている運用が大半であり、全員が同じ選択肢から自由に選べる設計こそが、誰か一人が浮かない仕組みです。

いじめ・からかいへの懸念

男子生徒のスカート着用は、文化的な慣習との差異が大きいためいじめ・からかいの不安が根強く残っています。実際の導入校では、教員研修・保護者会・生徒会討議など、制服変更と並行した啓発を重ねることで、こうしたリスクを下げる工夫が共有されています。

経済的負担・既存制服との両立

新制服への切り替えには家庭の経済的負担も伴います。多くの学校では、移行期間中は既存の男女別制服とジェンダーレス制服の併用を認め、入学時期に応じた段階的な導入を行っています。リユース制服の活用や、自治体の制服購入補助制度の整備も進んでいます

更衣室・水泳授業など制服以外の論点

制服を選択制にしただけでは、更衣室、水泳授業、宿泊行事の入浴・就寝、健康診断など、性別で空間や活動を分ける場面の課題は解消しません。制服選択制を入口に、こうした他の論点もセットで見直すことが、当事者の生活を本当に楽にする道筋です

制服メーカーと文部科学省の動向


ジェンダーレス制服の広がりは、学校だけでなく、制服メーカーと国の方針の両輪で進んでいます。

学生服メーカー3社(トンボ・カンコー・菅公)の取り組み

学生服業界の大手であるトンボ・カンコー(尾崎商事)・菅公学生服はいずれもジェンダーレス制服のラインを展開しており、モデルチェンジを検討する学校に対しスラックス・スカートの選択制を標準提案しています。
各社とも教員・生徒・保護者向けのアンケート調査を実施・公表し、業界全体として「多様性に配慮した制服」を当たり前の選択肢にしてきました。

文部科学省の通知と最新の方針

文部科学省は2015年通知・2016年手引に続き、2023年6月施行のLGBT理解増進法(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)を踏まえ、学校教育の現場での理解増進を求めています
事業主(学校設置者)には研修・啓発、相談機会の確保、就業環境の整備が努力義務として規定されました
(出典:文部科学省 各種通知/性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(2023年6月23日施行))

海外の動向

海外では、英国の一部公立校が「すべての生徒にズボン制服」へ統一する事例や、米国・カナダで制服そのものを廃止して私服化する学校など、選択肢を増やす方向の動きが各国で見られます。
導入の形は国によって異なりますが、「性別で装いを固定しない」という方向性は共通しています。

・学生服大手3社(トンボ・カンコー・菅公)はいずれもジェンダーレス制服を標準提案している

・文部科学省の2015年通知・2016年手引、2023年LGBT理解増進法が制度的な後押しになっている

・海外でも制服選択肢の拡大・私服化など、性別で装いを固定しない方向の動きが進んでいる

ジェンダー平等に取り組む関連団体

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社会課題に取り組む企業の最新事例は 企業事例カテゴリ および discover.gooddo.jp も参考になります。

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・企業事例カテゴリ・discover.gooddo.jpには、教育・多様性領域の企業の取り組みもまとまっている

誰もが自分らしく学べる制服へ

ジェンダーレス制服は、性別違和を抱える子どもにとっての安心だけでなく、すべての生徒にとっての『選ぶ自由』を広げる試みです。文部科学省の通知から始まった流れは、メーカー・学校・自治体の取り組みを経て、いまや全国の中学・高校に確実に広がっています。

本人や保護者は導入校を選ぶ視点として、学校・自治体は『選択制』という運用の知恵を共有しながら、誰もが自分らしく学べる学校を一歩ずつ作っていきましょう。

関連情報・支援の輪を広げるには

gooddoマガジンでは、LGBTQ+やジェンダー平等をはじめとする社会課題について、最新のデータと事例を継続的に発信しています。

寄付・ボランティアで関連団体を応援したい方は、団体検索ページから支援先を探すことができます。

(本記事はgooddoマガジン編集部が、公的データ・最新のメーカー公表資料・教員アンケート・専門NPOの一次資料をもとに作成しました。記載のデータや法令は2026年5月時点の情報です。)

この記事を書いた人
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