私たちの生活の中にはプラスチック製品、あるいはプラスチックを部品として使用している物で溢れています。
プラスチックは様々な特性を持ち、使い勝手が良いことから、多種多様な製品として使われています。
これだけ便利な素材の原料は何なのか、そしてプラスチックの原料や特性がもたらす影響について、この記事で紹介します。
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プラスチックの原料と特徴とは?
私たちが普段利用するレジ袋はプラスチックから作られています。軽量で丈夫、便利なため様々な用途に使われます。
プラスチックは一括りにすることが多いですが、いくつも種類があり、その特徴や用途は異なります。
例えばレジ袋はポリエチレンやポリプロピレンというプラスチックの一種を用いて作られています。耐水性や耐薬品性にも優れており、強靭でありながら柔らかいなどの特性を持ちます。
他にもポリエチレンテレフタラート(PET)はペットボトルの材料として使われています。2020年に大流行した新型コロナウイルスの飛沫防止のために一部で使用されたアクリル樹脂もプラスチックの一種です。
このようにプラスチックはいくつも種類があり、日常的に身近なものから工業や商業など様々な場面で使われています。
しかし種類が豊富にあっても、その原料はすべて「原油」であり、加工の仕方を変えることで多種多様なプラスチックを作り出しています。
また、プラスチックは全般的に加熱や引っ張りによって変形しやすいため、成形しやすく、顔料や添加物を混ぜて練成することで着色や機能を付加することもできます。特徴として、多くは透明で絶縁体(※1)、自然界でも安定し、燃焼するという点が挙げられます。
プラスチックの原料は石油由来であること、そしてこのような特徴を持つことが、環境にとっては大きな問題を引き起こしています。
※1 絶縁体:電気や熱を通しにくい物質
(出典:経済産業省「プラスチックと容器包装」)
(出典:気象庁「温室効果ガスの種類」)
(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らし、きれいな海と生き物を守る!」,2019)
(出典:環境省「”内分泌かく乱作用”とは、いったいどんな作用なのでしょうか?」)
プラスチックが環境に及ぼす悪影響
プラスチックは、私たちを取り巻く多くの製品に使用されており、生活を便利に、そして豊かにしてくれています。
そのような意味では有用な発明であることは確かですが、大量生産、そして大量消費することで、環境に大きな影響を及ぼしています。
それはプラスチックが石油由来であること、そして軽くて丈夫で自然界で安定し、燃焼するという特徴が原因です。
この影響は環境だけでなく、私たち人間にも与えられています。
私たちの生活に欠かせないプラスチックがどのような問題につながっているのか見てみましょう。
化石資源の消費
プラスチックは石油由来です。採掘によって掘り出された原油を精製して使用しています。
プラスチックはその種類と使用量の多さから、相当量の原油が必要となりますが、原油は他にも発電や車などを動かすガソリン、軽油・灯油、道路を舗装するアスファルトにも使われます。
これは日本だけでなく世界各国で使われているため、採掘された原油は世界中に輸送されますが、化石資源である以上その量は有限です。
大量消費を続けていれば、いずれ資源は枯渇することになり、原油や石油に頼りきった経済や社会が破綻します。
影響としてはまだ出ていないものの、今後起こる悪影響として懸念されています。
大気や人間を汚染する気体の発生
プラスチックが石油由来であるというのは生成や処理の部分でも問題が発生します。
石油は水素と炭素を主とする化合物であることから、石油由来の物質の生成時や燃焼時には二酸化炭素を発生させます。
二酸化炭素は地球温暖化に最も大きな影響を及ぼす温室効果ガスの主な気体です。
つまりプラスチックを作る、あるいは焼却処分するときには、大量の二酸化炭素が発生し大気に放出されることで、地球温暖化を進めてしまう原因になります。
廃棄されて回収されたプラスチックは熱利用(※2)にも使用されますが、こちらでも二酸化炭素が排出されることから、対策が必要とされています。
※2 熱利用:物質を燃やして発生した熱をエネルギーとして利用する方法
自然界で分解しない
レジ袋などのプラスチック製品が最も問題とされるのが、ポイ捨てや不法投棄です。
景観が壊される、ごみによって自然環境が壊されるという意味でも、これらの行為は行ってはいけないことですが、それ以外にも問題があります。
プラスチックは自然界で安定しているという特徴を持っていますが、これは分解者である微生物や細菌類によって分解されないということでもあります。
例えば紙は木材由来であることから、自然界では時間はかかるものの分解されます。
しかし同じ人工物でもプラスチックはその素材と組成から、自然界での分解ができないものとなっています。
分解されないということは、原型あるいは破片が半永久的に自然界に残る可能性があります。
これは陸地だけでなく、風に飛ばされ河川に流されて、海に辿り着いた場合、広く深い海洋に漂い続けることになります。または海岸に大量に流れ着くことにもつながります。
プラスチックは生物の体内でも分解されないため、陸上生物や海洋生物が誤飲すれば体内に残り、内臓に悪影響を及ぼし、最悪の場合死んでしまうこともあります。
特に海洋生物にはその傾向が多く、漂うプラスチックやその破片を餌と間違えて食べてしまう例はいくつも報告されています。
他にも釣り糸などが体に絡まった魚や鳥が死んでしまうという事例もあります。
プラスチックごみとしてそこにあるだけで、自然環境を汚染し、生物の住処や繁殖場所を奪っているのも悪影響の1つです。
また、5ミリ以下のプラスチックごみをマイクロプラスチックと言い、目に見えない状態で世界中の海に存在します。さらに耐薬品性に優れていることから、有害物質が付着したまま海に流れ出ることもあり、海洋生物や私たち人間の体内にも入り込む危険性があります。
人体にも影響を与える
プラスチックはいくつもの分子が結合してできあがっているため丈夫です。このプラスチックを構成する分子は多数結合して高分子(ポリマー)となっていますが、そのもととなる分子はモノマーと呼ばれます。
このモノマーはプラスチックによっても異なりますが、含まれているモノマーや生成の際に添加される物質が、内分泌撹乱作用物質(※3)の疑いがあるとされています。
また発がん性、化学物質過敏症の原因物質との疑いもあり、人体への影響が懸念されています。
※3 内分泌撹乱作用物質(ないぶんぴつかくらんさよう):生物にとって有害な影響を及ぼす「内分泌撹乱作用」を起こす物質のこと
(出典:横浜市「塩化ビニルモノマー(C2H3Cl)」,2019)
石油由来ではない新しいプラスチック
プラスチックは石油由来であり、分解されないなどの特徴から環境や人体に多大な影響を与えてきました。
特に環境問題は深刻であり、海洋プラスチックごみの削減と抑制のための対策が世界各国でいくつも打ち出されています。
その中の1つが日本でも始められたレジ袋有料化による使用抑止にあたりますが、この政策には例外もあります。
有料化はプラスチックを原料とする特定の条件を持ったレジ袋が対象であり、紙袋は含まれていません。
また、環境を配慮したとき、仮に不法投棄されたとしても環境汚染の可能性が少ないものは対象外となります。
そのような観点から、石油由来ではないプラスチックなども対象外となっており、これまでのプラスチックが及ぼす問題を抑えた「バイオプラスチック」という素材が開発されています。
この素材は主に2種類あり、その1つが微生物によって分解でき、農業や土木資材、生ごみ回収袋や食品容器包装に使われる生分解性プラスチックです。
廃棄されても分解されるため、環境への負担が減るだけでなく、農業などの利用では廃棄物の回収が不要になるメリットもあります。
また生ごみなどの収集でも、堆肥化やガス化を行う際に、袋ごと資源として分解されて利用されます。
もう1つがバイオマスプラスチックであり、こちらは再生可能なバイオマス資源を原料にしています。
分解はされませんが、焼却処分しても二酸化炭素をほとんど発生させないことから、地球温暖化を抑制でき、化石資源への依存度も低減させられます。
食品以外の容器包装や医療繊維、車などにも利用されている素材として、今後の転換に期待が寄せられています。
(出典:環境省「バイオプラスチック概況」,2018)
石油由来のプラスチックに依存しない社会作り
プラスチックは便利であり、様々な場所や用途に利用されているため、即座にプラスチックを使わない社会や生活というのは難しいです。
しかしこのままプラスチックを大量に使い続け、その一部が不適切に処理されれば、環境だけでなく、私たちの生活にも大きな影響を与え続けることになります。
その影響はやがて取り返しのつかないレベルにまで達すれば、私たちの生活は根底から成り立たなくなるでしょう。
そうならないために、世界ではプラスチックについての対策を行っており、日本でもレジ袋有料化を含む取り組みが行われています。
これらの施策も、私たちが意識的に行わなければ効果は現れにくく、プラスチック依存からの脱却を少しずつ進めていくことは困難となります。
将来的に世界が今よりも悪い環境にならないためにも、環境問題を解決する1つの方法として、取り組みに積極的に参加しましょう。
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