私たちが日常的に利用することの多いレジ袋が、2020年から有料化されました。
これまで無料で提供され、何かと便利だったレジ袋が有料になることで、利用を控えるようになる人が増えることを狙った制度ですが、そこには環境への影響など配慮する点があり、解決に向けた対策の1つとして実施が決定されました。
この記事では、レジ袋有料化の背景について紹介します。
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2020年7月からレジ袋が有料化に
2020年7月1日から全国でレジ袋有料化がスタートしました。
これまでもレジ袋の有料化は全国19県のスーパーなどで行われていましたが、今回は有料化が義務付けられたため、対象となる業種では必ずレジ袋に値付けをし、有料で提供しなければいけません。
レジ袋は薄いプラスチックでできており、軽くて丈夫で成形しやすく、密閉性も高くて大量生産できることから便利な袋として重宝されてきました。
そんな便利で使い勝手も良かったレジ袋を無料で使用できないというのは、日常生活にとっては不便になる部分もあるかもしれません。
しかし、法整備を行ってまでレジ袋を有料化するのには理由と目的があります。
レジ袋が有料化するというのは私たちの生活にも直結することであり、なぜ有料化する必要があるのか、その背景には何があるのか、知っておく必要があります。
(出典:経済産業省「レジ袋有料化に係る背景について」.2019)
レジ袋はなぜ有料化されるのか
なぜレジ袋が有料化されるのか、その背景には環境問題が大きく関係しています。
レジ袋の材料となるプラスチックは私たちの生活にとって欠かせないものであり、様々なシーンで生活を支え、豊かにしてきてくれました。
そのため世界各国で日常的に利用されてきましたが、これがプラスチック登場以来、大きな問題をいくつも発生させる原因にもなったのです。
それは廃棄物や資源制約、海洋プラスチック問題、地球温暖化などに関係しています。
特に海洋プラスチック問題は深刻であり、早急な対応を迫られるところまできています。
海洋プラスチックごみ問題が深刻化
海洋プラスチック問題は海洋の環境や生態系、そして私たちの生活に大きな影響を与えています。
プラスチックは便利であることから、レジ袋だけでなく、食べ物を入れる容器やペットボトルなど様々なものに使用されています。
これらは使用された後、適切に廃棄されればいいのですが、ポイ捨てや不法投棄も頻発しており、それらが風に飛ばされ、あるいは川に流されて海へと辿り着くことがあります。
また、プラスチックの処理は単純に焼却すればいいわけではありません。プラスチックを燃焼するとダイオキシンという有害物質が発生するため、適切な処理方法が求められます。
あるいはリサイクルを行う方法もありますが、コストがかかるという問題も発生します。
このような理由から、回収しても処理できず、まとめて不法投棄されるケースもあるようです。
プラスチックが海に流れれば、微生物によって分解されることがないため、漂流して海岸に漂着し、海底に沈み海洋生物の住処を汚染します。
海岸に漂着したプラスチックごみは生物の住処や繁殖場所を奪い、漂流あるいは沈んだものは海洋生物に誤飲され、死に至らしめることもあります。
海洋生物が減れば、漁獲量が減って漁業が成り立たなくなり魚介類は高騰、景観が壊されれば観光業も減収となる可能性があります。
プラスチックごみは世界中の海に存在しており、海洋の最深部であれば深さ1,000キロメートル以上にまで達しているという調査結果が出ています。
6,000メートルより深いところでは破片の半分以上がプラスチックであり、そのほとんどはレジ袋やペットボトルなどの使い捨てプラスチックだったようです。
プラスチックごみによる汚染は深刻であり、世界中で共通して取り組まれなければいけない問題として、様々な会合や会議で議論がなされてきました。
海洋プラスチックごみに関する国際動向の変化
レジ袋などプラスチックの廃棄や使用制限は、国によっては以前から行われていましたが、海洋プラスチックごみが世界的な課題として取り上げられたのは2015年に行われたG7エルマウ・サミットが初めてでした。
国ごとの政策だけでなく、世界全体で取り組みが急務であるという共通認識のもと、議論と対策が進み始めたのはこの頃からです。
翌年の2016年に開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)にて実効的な対策を行わなければ2050年までに海洋プラスチックごみの量が魚の量を上回るとまで警鐘が鳴らされました。
そして2017年にG20ハンブルク・サミットで「G20海洋ごみ行動計画」が立ち上げられ、2018年にはG7シャルルボワ・サミットにてカナダと欧州各国により海洋プラスチック憲章が承認されました。
これらによりプラスチックごみの発生抑制や廃棄物管理、調査などの取り組みが進められています。
また、近年では2019年に行われたG20大阪・サミットで、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目標とした「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有しました。
それに伴い閣僚会合で採択した「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」の承認も行っています。
このような動向の中で、日本を含み様々な国が海洋プラスチックごみを主とした対策を進めてきました。
日本国内のプラスチックごみ対策
日本国内でもプラスチックごみの排出抑制など対策を行ってきました。
その中にレジ袋有料化が含まれていますが、2020年7月1日を境として全国一斉にレジ袋の有料化がスタートしました。
しかし、全国で足並みを揃えて行われたのが2020年であるだけで、先行して自治体による取り組みは、以前から進められていました。
レジ袋の有料化の取り組みは19県が進めており、事業者などと協定あるいは登録方式でレジ袋の有料化を推進していました。
また東京都杉並区や埼玉県川口市、新潟県佐渡市、島根県出雲市など条例で有料化を推進している市区町村もあります。
これらの県あるいは市区町村で参画している事業者はスーパーや生協、農協などが多くなっています。また、小売事業者によって参加状況は様々ですが、最もレジ袋有料化に参加しているのはスーパー、次点でドラッグストアでした。
取り組みの内容としては有料化のみを行っている県、ポイント還元や値引きなども並行して実施するなど、それぞれ独自の方法で有料化を進めています。
有料化の成果の一部を例を挙げると、2008年から実施していた富山県では、2017年時点で432店舗48事業者が賛同し参加したことで、マイバッグ持参率は95%という高い割合となりました。
また量例により一律実施した新潟県佐渡市では2017年時点でレジ袋の辞退率が80%になっています。
このような先行事例を含め、レジ袋の削減に一定の効果が認められたことから、全国一斉に有料化義務付けが進むことになりました。
※レジ袋有料化を先行して進めていた19県:青森県・福島県・茨城県・栃木県・新潟県・富山県・石川県・長野県・山梨県・岐阜県・愛知県・滋賀県・鳥取県・広島県・山口県・徳島県・長崎県・大分県・沖縄県
(出典:経済産業省「レジ袋有料化に係る背景について」.2019)
(出典:国連環境計画「使い捨てプラスチックは、すでに世界で最も深い海溝にまで達している」,2018)
レジ袋を減らすことが環境問題解決につながる
レジ袋を有料化する背景には、環境問題、特に海洋プラスチックごみによる汚染が関係していました。
もちろんプラスチックは様々なものに使われているため、レジ袋だけでなくあらゆるプラスチック製品の使用抑制や廃棄される量の抑制、不法投棄への対策を行わなければいけません。
一方でレジ袋は使用量も多く、特に使い捨てであり廃棄されやすいことから、制限をする対象の1つとなりました。
レジ袋有料化だけではすべての環境問題の解決には至りませんが、少なくとも環境問題を解決するための糸口になります。
レジ袋の有料化により、マイバッグやエコバッグなど買物袋の持参を意識することになりますが、同時に環境問題に起因していること、環境に対する配慮をしなければいけないことをしっかりと認識することをおすすめします。
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