不平等

世界中にある不平等、どんなことで苦しんでいる人がいるのか知ろう

  • 2020年8月21日
  • 2022年11月25日
  • 不平等

世界中には不平等が存在し、それによって苦しんでいる人がいます。
不平等とは様々なシーンで現れ、偏見や差別へとつながり、その先には暴動や紛争などになるなど、大きな問題として取り挙げられます。
この記事では、どのような不平等が存在し、人々はどうして苦しめられるのか紹介します。

不平等とは?人や国の間で生まれる差別をなくそう!

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世界にはどんな不平等があるの?

世界では長年、貧困に苦しむ人々が大勢いました。その貧困の削減のために様々な取り組みを続けてきたことで、過去30年間では10億人以上が貧困から脱しています。
その一方でいまだ貧困に苦しむ人々のうち、特に貧しいと呼ばれている半数の人々の所得が1990年以降、ほとんど増えていません。
所得や地域、ジェンダー、年齢、民族、障がいの有無、性的指向、社会的地位、宗教といった原因により、アクセスやチャンス、結果を決定付けてしまい、その不平等が社会格差を広げています。
これは国家間だけでなく、各国国内でも根強く残っており、格差がさらに広がっている地域もあるのです。
またこれらの格差とは別に、オンライン技術やモバイル技術など、新たな分野での格差も生まれ、急激な拡大を見せています。

所得・資産の不平等

2020年時点、最貧層の20%が世界の所得全体に占める割合は2%未満となっています。それに対して、最も豊かな1%の割合は1990年には18%だったのが、2016年になって22%にまで上昇しました。

世界金融危機が起こった2008年以降は、億万長者の数は2倍以上まで増大し、2018年に生み出された新たな資産のうち、およそ82%が、1%の最富裕層の手に渡り、最貧層を含む貧しい人々にはまったく恩恵が行きませんでした。

所得と資産の格差拡大、つまり不平等の広がりが、賃金の停滞や労働分配率の低下、先進経済圏における福祉国家の衰退、開発途上国での社会保障の不備や税制の改正、金融市場の規制緩和、急速な技術的変化など多くの要因によって起こっていると言われています。

居住国や地域による不平等

住んでいる国や地域による不平等も起こっています。多くの国で不平等が拡大していますが、先進国では比較的低い水準の不平等ではあるものの上昇しています。
またラテンアメリカ・カリブ地域においても改善が見られますが、大きな格差が依然として存在しています。

東欧諸国では政権移行などで不平等が急激に拡大しており、中東の一部では特定の集団について状況が悪化しています。
アフリカやアジアでは新興経済国か内陸開発途上国か、農村部か都市部かといった条件で、格差の大きな類似性が現れます。

世界全体では人口の3分の2以上が、所得と資産の格差拡大に直面しており、世界経済の発展や持続的な開発目標(SDGs)の達成に大きな暗雲を落としています。

コミュニティーなどにある不平等

どこで誰として生まれるか選ぶことはできませんが、生まれた先、あるいは生活する先で形成されるコミュニティーや家庭内部でも不平等は生まれます。
特に女性はジェンダーの不平等により、依然として経済的、法的、政治的、社会的な面での不平等に直面しています。
また様々な地域で幼児死亡率の低下や教育の推進などにより、所得の向上などが見られる一方で、子どもは世界の貧困層の大きな割合を占めており、先住民や移民、難民、少数民族などでは、相変わらず差別や社会からの隔絶に苦しめられている人がいます。

医療やインフラなどに関する不平等

不平等は平均余命や医療、教育、水や衛生といった基本的なサービスへのアクセスにも影響します。
差別や虐待、司法へのアクセス欠如は不平等によって起こり、その人の人権をも制約し兼ねないのです。
このまま不平等が拡大していけば、経済的あるいは社会的な移動性と人間開発(※)を妨げ、経済成長を阻害することになります。また、政府や制度の信頼性を損ない、暴動や紛争の引き金になる危険性も出てきます。

※人間開発:人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出すること

  • 過去30年間では10億人以上が貧困から脱している
  • 不平等は生まれた先や生活する先のコミュニティーや家庭内部でも生まれる
  • 不平等が拡大すると暴動や紛争の引き金になる危険性も出てくる

(出典:国際連合広報センター「不平等 ー格差を埋めよう」)

世界の不平等によって生まれる苦しみ


不平等はいくつもの理由によって世界のあらゆる国や地域に根強く残っています。
それは所得や性別だけでなく、年齢、障がいの有無、性的指向、人種、社会的地位、民族、宗教、機会などが挙げられます。
これらによって、長期的な社会と経済の発展を脅かし、貧困の削減を阻んでしまいます。
あるいは犯罪や疾病、環境破壊の温床となる恐れもあることから、不平等や格差の拡大は危険視されています。

しかしこれはあくまで世界的な目で見たときの問題です。個人レベルで見ていくのであれば、不平等は数々の苦しみを生むことになります。
例えば、生まれる場所による不平等は予防可能な病気などが原因で死亡する5歳児未満を6,900万人も作り出してしまっています。
また農村部の女性は、都市部に比べて出産時に死亡する確率が3倍も高くなっています。
このように不平等によって、家族を失う苦しみや、生きることができなかった苦しみを生んでいます。

障がい者は世界最大の少数者とも言われていますが、その80%が開発途上国で生活しています。
そのため女性や女児の障がい者は、障がいと差別という不平等による2つの苦しみの中で生きていかなければなりません。

所得格差などによる貧困に生きる人々は、時間を奪われ、健康を奪われ、教育を受ける機会を奪われるという、いくつもの苦しみに苛まれています。
ジェンダーの不平等により、女性であることからチャンスを与えられず、満足な教育を受けられず、早期婚や児童婚により自由を奪われ、望まぬ妊娠や出産で命を落とすこともあります。

このように世界中の不平等は、多くの悲しみや苦しみを生み出しているのです。
そしてこれは日本も他人事ではありません。日本国内でもジェンダーによる不平等は存在しており、所得の格差による貧困もあります。
知らないだけで多くの苦しみが国内で生まれている可能性があることを理解しておく必要があります。

  • 不平等は所得、性別、年齢、障がいの有無、性的指向、人種、社会的地位、民族、宗教、機会などが挙げられる
  • 生まれる場所による不平等は、予防可能な病気などが原因で死亡する子どもがいることが挙げられる

(出典:国際連合広報センター「人や国の不平等をなくすことはなぜ大切か」,2019)

世界中の不平等をなくすために私たちができることをしよう


不平等の是正のためには、行政などによる大々的かつ抜本的な変革を行う必要があります。
極度の貧困と飢餓を根絶することはもとより、若者や移民など社会的弱者によるコミュニティーに対する保健や教育、社会保障、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)への投資を増やすなどの取り組みを強化していかなければいけません。

各国国内で包括的な社会・経済成長を図り、差別的な法理や政策、慣習を廃止していくことで、機会の平等を確保して、所得格差を是正することも可能となるでしょう。
しかし政府の政策だけに頼るのでは、真の意味で不平等は是正できません。

所得や資産、基本的なサービスのアクセスなどは行政を中心とした取り組みにより改善することができますが、差別や迫害など個人レベルで起こる不平等は、当事者となる可能性がある私たちが考えていかなければいけない問題です。
特に差別は、古くからの慣習や思想、教育、宗教などによって形成されるため、人々が意識的に差別を根絶していく姿勢を示さなければ、なくなることはありません。
そうなれば、どれだけ経済的な不平等がなくなったとしても、苦しみ続ける人は今後も出てくるということになります。

私たちが暮らす日本国内でさえ、そのような不平等は存在し苦しむ人がいます。この問題について考え、関心を持つことが、不平等を是正するための第一歩となります。

なお、今すぐできる行動の一つとして、「不平等の解消に取り組んでいる支援団体への寄付」があります。下記の記事ではgooddoマガジンがおすすめする寄付先をまとめて紹介しているので、まずは関心がある分野での支援活動を行っている団体をチェックしてみませんか。

>>信頼できる寄付先は?どこがいい?専門家がオススメNPO団体を徹底解説

また、自分の死後に残った財産を支援団体などに寄付できる「遺贈寄付」という方法もあります。詳しくは下記記事をご一読ください。

>>遺贈とは?贈与・相続との違いや手続きの流れ、注意点を解説!

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この記事を書いた人
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