ヨルダンは、政情の安定しない中東の周辺諸国によって、治安安定のための役割を担っている重要な国です。そんな中東にあるヨルダンには、シリア危機で身をよせた多くの難民がいます。
この記事では、ヨルダンにおける飢餓の問題と、シリア難民の食糧不足や貧困について紹介します。
中東における飢餓が深刻化、シリア・イエメンにおける世界的な人道危機とは
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ヨルダンとは
ヨルダンとは、正式名称をヨルダン・ハシェミット王国と言い、北はシリア、東はイラク、南はサウジアラビア、西はイスラエル(パレスチナ)と国境を接している国です。
ヨルダン(ヨルダン・ハシェミット王国)に関する国の情報は以下の通りになります。
首都 | アンマン |
---|---|
人口 | 995.6万人(2018年) |
面積 | 8.9万平方キロメートル(日本の約4分の1) |
公用語 | アラビア語(英語も通用) |
宗教 | イスラム教徒93% キリスト教徒など7% |
※2020年11月時点
中東は様々な宗教が入り交ざり、政情が安定しない国が多くあります。
ヨルダンはそんな周辺諸国の中において治安を安定させる役割を担っており、イラク・シリア・パレスチナから紛争などを理由に国を逃れてきた難民を受け入れています。
さらに、サウジアラビアから避暑地を求める人々、エジプトからは出稼ぎを目的とした人々など、ヨルダンには多くの人々が集まってます。
(出典:外務省「ヨルダン 基礎データ」)
ヨルダンの飢餓・貧困問題の原因とは
ヨルダンは周辺諸国からの難民を受け入れていますが、そんなヨルダンも難民の飢餓・貧困問題を抱えています。
次に、ヨルダンの飢餓・貧困問題の原因を紹介します。
リーマン・ショック
ヨルダンの経済は1990年代以降、マクロ経済・財政運営面での改革の成果などによって、平均で7%を超える高い経済成長を実現していました。しかし、2008年に起こった世界的金融危機(リーマン・ショック)の影響を受けたことによって、経済成長は伸び悩むことになったのです。
そして、ヨルダンは都市・地方間の所得格差が広がり、高い水準で失業率や貧困率が推移するようになりました。また、ヨルダンは外国からの資金援助や地域の治安情勢などによっても財政が左右されやすく、ヨルダン経済は国外からの影響を受ける脆弱な状況となっています。
シリア危機による難民受け入れ
ヨルダンの経済が低迷している中、2011年3月に発生したシリア危機に伴い、ヨルダンは65万人以上のシリア難民を国内に受け入れることになりました。
しかし、ヨルダン経済が低迷している中でのシリア難民の受け入れは、ヨルダンの負担を増加させることとなり、経済・財政状況はさらに悪化することになります。
シリア危機の長期化
ヨルダンは元々、パレスチナやイラクなどからの難民を多く受け入れてきた背景から、難民の受け入れに寛容な国です。しかし、シリアからヨルダンに避難している難民は65万人とヨルダン人口の約7%にあたり、そのあまりの数の多さに対応しきれない状況に置かれています。
また、ヨルダンの経済・財政状況の悪化によって、シリア難民だけではなくヨルダン人も苦しい生活を強いられており、ヨルダンは飢餓・食糧問題が深刻さを増してきている状況です。
※2020年11月時点
(出典:外務省「ヨルダン 基礎データ」)
ヨルダンで飢餓や貧困に苦しむシリア難民
ヨルダンに避難してきたシリア難民たちは、飢餓や貧困に苦しんでいます。
内戦によるシリア難民への被害
シリア内戦により被害に遭ったシリア難民は、避難した場所での生活をせざるを得ません。2019年時点でヨルダンにシリア難民は約130万人おり、約8割はヨルダン北部の地域コミュニティに住んでいます。
難民の85%が貧困水準以下の生活を送っており、支援によって生活している状況です。
そのため弱い立場の難民の家族には、適切な食事と十分な食糧が不足しており、すでに食糧不安の状態にさらされている難民や食糧不安に陥る可能性がある難民もいます。
シリア難民の女性世帯主
女性難民が世帯主である割合は4割になります。しかし、ヨルダンやシリアでは女性に対する格差があり、難民女性が生活をするための手段も限られてしまうのです。
また暴力などにより、女性の経済進出や家庭内でも格差が生まれ、難民女性の生活環境は厳しくなっています。
※2020年11月時点
(出典:外務省「ODAメールマガジン第410号」,2019)
ヨルダンの飢餓に対する日本政府の支援事業
遠い国であるヨルダンですが、日本政府は中東諸国に対して支援事業を行っています。
ヨルダンの飢餓に対する日本政府の支援事業を一部紹介します。
シリア危機の影響を受ける中東への支援
シリア危機の影響を受け、劣悪な生活を余儀なくされているシリア・ヨルダン・レバノンの中東3ヶ国に対して、日本は1,400万ドル(約15億6,800万円)の緊急無償資金協力を行いました。
ヨルダンでは、シリア難民キャンプの子どもや女性などに予防接種などを行い、健康状態の改善を行っています。また、ヨルダン北東部のシリア難民に対する約1万2,000件の診療や、医薬品の提供、ゴミ処理強化によって衛生環境が改善されることになりました。
ヨルダンのシリア難民受け入れへの支援
日本政府は、ヨルダンのシリア難民やヨルダン国民への緊急医療支援として国際機関を通じて,1,500万ドル(約18億円)の緊急無償資金協力を行うことを決定しました。
シリア危機の長期化によって、ヨルダンに避難するシリア人が増えてます。シリア難民とヨルダン国民へ医療支援をすることに使われます。
(出典:外務省「シリア危機の影響を受ける中東三か国に対する緊急無償資金協力」,2018)
(出典:外務省「ヨルダンにおけるシリア難民及び受入れコミュニティへの緊急医療支援のための緊急無償資金協力」,2017)
飢餓に苦しむヨルダンのシリア難民に食糧を届けよう
ヨルダンのシリア難民は今もなお、飢餓・食糧問題に直面して苦しんでいます。そんなヨルダンのシリア難民に対して、私たちにできる支援方法の一つが寄付です。
難民のいる国へ支援を行っている機関のサイトから寄付を行うことで、難民の人々の支援をすることができます。
様々な支援内容や金額があるので自分の無理のないものから始めることが可能です。
そして、私たち一人ひとりが寄付することで多くの人々を救うことにつながります。
ヨルダンの飢餓や貧困の現状を知り、できる支援から始めよう
ヨルダンは周辺諸国から難民を多く受け入れている寛容な国です。しかし、リーマン・ショック以降ヨルダン国内の経済状況は不安定となってしまったことから、難民を受け入れることでさらに経済・財政状況は悪化することとなりました。
今ではヨルダンにやってきたシリア難民だけが飢餓や貧困に晒されているのではなく、現地のヨルダン人にも影響が及んでいます。
ヨルダンの飢餓や貧困の現状を知り、今、私たちにできる支援は何かを考えてみましょう。