2003年に勃発したイラク戦争によって、中東にあるイラクに自衛隊が派遣され、復興支援活動にあたりました。
イラクは戦争および紛争によるダメージを受けた国であり、国を建て直そうと奮闘しています。しかし、未だイラクの国民が安心して生活できる環境は整っておらず、飢餓・食料問題を抱えているのが現状です。
この記事では、そんなイラクにおける飢餓の原因や現状、日本政府の支援事業や私たちにできるイラクへの支援について紹介します。
中東における飢餓が深刻化、シリア・イエメンにおける世界的な人道危機とは
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イラクとは
イラクとは、正式名称をイラク共和国と言い、中東に位置し、東はイラン、西はヨルダン・シリア、北はトルコ、南はクウェート・サウジアラビアと国境を接する国です。
イラク(イラク共和国)に関する国の情報は以下の通りになります。
首都 | バグダッド |
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人口 | 約3,887万人(2020年) |
面積 | 約43.83万平方キロメートル(日本の約1.2倍) |
公用語 | アラビア語、クルド語など |
人種・民族 |
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※2020年11月時点
イラクは1980年以降の戦争や内乱だけではなく、フセイン政権への国際社会からの経済制裁などによって、社会経済に大きな打撃を受けました。
2003年に起こったイラク戦争から治安や経済が回復してきていましたが、2014年には約3年間に渡って武装勢力に占拠される事態となります。
そして武装勢力とイラク軍の激しい紛争によって家屋やインフラ・公共施設などが破壊され、公共サービスが停止するだけでなく、多くの避難民が出ました。
イラクは、戦争および紛争によるダメージからの復興と国の再建のために奮闘しています。
(出典:外務省「イラク共和国 基礎データ」)
イラクにおける飢餓の原因
イラクにおける飢餓の問題は、主に紛争が原因で起こっています。
そこでイラクの飢餓の原因となった、戦争に対する国連からの経済制裁や難民問題などを紹介します。
イラン・イラク戦争(1980年9月~1988年8月)
イラン・イラク戦争はペルシャ湾岸の石油資源を巡って、イランとイラクが対立した戦争です。8年に渡るイラン・イラク戦争後、イラクの国土は荒れ果てたことで、国民は多くの借金と職を失いました。つまり、イラン・イラク戦争後のイラクは深刻な飢餓・食料問題を抱えることになったのです。
クウェート侵攻(1990年)
1990年にイラクは突然、隣国であるクウェートに侵攻しました。このクウェート侵攻を機に、国連による厳しい経済政策が課されることとなり、イラクは多くの国との貿易が停止されます。
このクウェート侵攻を機に、多国籍軍による湾岸戦争が引き起こされ、イラク国内のインフラや公共施設などが破壊され、人々は困窮を極めることとなりました。
湾岸戦争(1991年1月~2月)
湾岸戦争とはイラクによるクウェート侵攻をきっかけに、国際連合が多国籍軍の派遣を決定し、1991年にイラクを空爆して始まった戦争です。
湾岸戦争では、イラクと戦争を行うだけではなく、資産凍結や通商貿易上の制限をかけるといった経済制裁が行われました。
※2020年11月時点
(出典:首相官邸「日本のイラク人道復興支援(日本とイラクとの関係)」)
(出典:外務省「国別援助実績1991年~1998年の実績[6]イラク」)
イラクの紛争がなぜ飢餓をもたらしたのか
イラクの紛争がなぜ飢餓をもたらしたのかを知るには、「飢餓」と「紛争」と「平和」の関係を理解することが大切です。
食糧不安などによる慢性的な栄養不良の多くは、イラクを含んだ紛争影響下にある国であり、飢餓や栄養不足が集中しています。
紛争が起こると、家や畑などの資産をすべて投げ捨て、逃げざるを得ない状況に陥ります。家や畑を捨てて逃げることは仕事を失うことにもつながり、貯蓄が底をつくと食糧を買うことすらできなくなります。
つまり、紛争によって家や仕事を失くすことで、飢餓に苦しむ人々が増えてしまうのです。
※2020年11月時点
イラクの復興に向けた日本政府の支援とは
イラクの復興に向け、日本はこれまで様々な支援を行ってきました。
次に、日本が行ってきた支援について紹介します。
日本政府は、イスラム過激派武装勢力とイラク軍による武力衝突の被害を受けた国内避難民への支援として、国際機関を通じて1,000万ドル(約12億4,000万円)の緊急無償資金協力を行うことを決定しました。
また様々な団体により、シェルターや食糧・水などの支援物資、寒さに備えるための防寒具、医療などが提供されています。
自衛隊では物資だけでなく人員も送り、イラク復興の支援を行いました。
(出典:外務省「イラクにおける人道状況改善及び安定化のための緊急無償資金協力」,2015)
(出典:在イラク日本国大使館「イラク情勢」,2018)
(出典:防衛省・自衛隊「イラク復興のために~イラク人道復興支援活動~」)
イラクで飢餓に苦しむ人々のことを知り、できることから始めよう
イラクは戦争や内戦などによって、多くの難民を出してきました。そして今もなお、社会経済は回復しておらず、飢餓・食料問題や貧困に苦しめられているイラクの人々は多くいます。
そんな飢餓に苦しむイラクの人々のために、私たちできる支援は寄付ではないでしょうか。
支援を行っている機関へ寄付することで間接的ですが、支援することができます。寄付はそれぞれの機関のサイトから行うことが可能です。
私たち一人ひとりが寄付をすることで、多くの支援につながります。
イラクにおいて深刻化する飢餓の現状を知ろう
イラク戦争は終わりましたが、戦争によって生じたイラク国内の傷は大きく、飢餓・食料問題は未だ深刻な状況に置かれています。
そんな飢餓に苦しむイラクの人々のために私たちにできることは、深刻化するイラクの飢餓の状況を把握し、そして自分たちにできることは何かを一人ひとりが考えることなのかもしれません。