2011年から8年にも及ぶシリア内戦によって、シリアには多くの難民が生まれました。シリアは今も深刻な食糧危機に陥っており、支援を必要としている多くの人々で溢れています。
そんな飢餓で苦しむシリアの人々のために、私たちができることは何なのでしょうか。
この記事では、シリアにおける飢餓の現状と私たちにできる支援について紹介します。
中東における飢餓が深刻化、シリア・イエメンにおける世界的な人道危機とは
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シリアとは
シリアとは、正式名称はシリア・アラブ共和国という中東・西アジアの共和制国家です。シリアの東にはイラク、西にはレバノン、南にはヨルダン、北にはトルコ、南西にはイスラエルがあり、地中海にも面しています。
シリア(シリア・アラブ共和国)に関する国の情報は以下の通りです。
首都 | ダマスカス |
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人口 | 1,690万人(2018年) |
面積 | 18万5,000平方キロメートル(日本の約半分) |
公用語 | アラビア語 |
人種・民族 |
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※2020年11月時点
シリアでは2011年3月中旬以降、「アラブの春」の最中にシリアの全国各地で発生した反政府デモに対し、シリア政府軍は武力を行使した厳しい弾圧で臨みました。そこからシリア政府と反政府勢力による武力衝突が本格化し、内戦は深刻化したのです。
内戦の影響により、シリア全土で約40~47万人以上の死者が出ただけでなく、約610万人以上の住民が国内での避難生活を強いられるようになりました。さらに周辺諸国に流出した約550万人の難民が今もなお避難生活を続けています。
また、2011年3月以降、シリアに対して欧米諸国等が様々な経済制裁措置を実施したことで、シリアの通貨価値は著しく低下しました。
さらに長期化する紛争によって道路、上下水道、ガスなどの社会インフラの多くも破壊されたことから、農業や観光業などの主要産業が大きな打撃を受け、シリアの経済情勢は著しく悪化し、シリア国民の生活は困窮化するようになっています。
(出典:外務省「シリア・アラブ共和国 基礎データ」)
シリアの飢餓はなぜ起きた?
シリアの人々が今もなお飢餓に苦しむ原因はシリア内戦です。そして、そのシリア内戦の契機となったのは、アラブの春だと言われています。
チュニジアで起きたアラブの春と呼ばれる民主化デモは、中東・北アフリカ諸国へと国境を越えて波及し、シリア各地でも独裁政権から脱し民主化を訴える反政府デモが起こりました。シリア政府が、この反政府デモに対して治安部隊による厳しい弾圧で臨んだことから、シリアでは政府軍と反政府勢力による長く続くシリア内戦に発展したのです。
シリア内戦が起こったことにより、国内経済は低迷し、物資が底をつく中で物価が高騰しました。また、戦闘や空爆によって家を追われた人々も多く、2011年以降シリアでは難民が増加の一途を辿っています。
※2020年11月時点
(出典:外務省「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢」)
シリアにおける飢餓の現状
シリアでは今もなお、多くの人々が食料不安を抱えています。
多くのシリア人が極度の貧困状態で暮らしており、紛争によって飢餓や栄養失調で苦しんでいるのです。
さらに、シリア国外で登録されている難民や、国内で避難生活を送っている人々の多くは経済や社会的問題が多い地域で生活を送っています。
シリア人の失業率は非常に高くなっています。とある機関では食料生産や職業訓練による自立支援を行っていますが、資金不足によりシリアのすべての難民に支援は行き届いていません。
新型コロナウイルスによりさらに深刻化するシリアの食糧危機
シリア内戦以降、シリアは食糧危機に悩まされてきました。しかし、その食料危機に追い打ちをかけるかのように起きたのが、シリア経済にとって極めて重要なレバノン経済の急降下と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行です。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための措置として行われたロックダウン(都市封鎖)などの影響も相まって、シリアの食糧の値段は上昇しています。
シリアの飢餓問題に対する日本の取り組み・支援とは
シリアは日本から遠く離れた国ですが、日本はこれまで、シリアの飢餓問題に対して様々な取り組みや支援を行っています。
次に、シリア飢餓問題に対する日本の取り組みや支援を紹介します。
シリアやレバノンへの支援
日本は、シリアやレバノンへの支援で1,300万ドルの緊急無償資金協力をし、国際機関を通じて保健、水・衛生、シェルター及び非食料援助物資の配布が行われます。
シリア北東部の避難民への支援として、水や衛生環境の改善、シェルターなどの緊急に必要な物資の提供、緊急医療サービスなどが行われます。
また、ダマスカス近郊のパレスチナ難民の支援として約6,700人に対する食糧などの緊急支援物資や保護がされます。
シリア北東部への支援
政府は、シリア北東部に対する支援として、1,400万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定しました。
4つの機関を通じて、水・衛生、保健、シェルター、毛布、テントなどの支援物資の提供をします。
最も脆弱な立場にいる子どもなど避難民に対して、清潔で安全な水と衛生設備への改善、シェルターの提供や修復、毛布、スリーピングマット、ポリタンク、ソーラーランプなど救援物資の提供、防寒具など冬を超えるための支援物資の提供を行った。
(出典:外務省「シリア及びレバノンにおける人道危機に対する緊急無償資金協力」,2019)
(出典:外務省「シリア北東部における人道危機に対する緊急無償資金協力」,2019)
飢餓に苦しむシリアの人々に食糧を届けよう
飢餓に苦しむシリアの人々のために私たちができることは、食糧を支援することではないでしょうか。
関連機関に寄付をすることでシリアの人々への支援につながります。
各機関のサイトからも寄付をすることができ、寄付したい金額や、毎月の支援か1回から支援を選ぶこともできるため無理せず行ことができます。
寄付金の届け先は機関により様々なので、自分の支援したい活動を行っている機関を選ぶと良いでしょう。詳しくは各機関で確認してください。
シリアの飢餓問題解決に向けてできることから始めよう
シリアの飢餓問題は、新型コロナウイルスの世界的流行によって、さらに悪化の一途を辿っています。しかし、飢餓に苦しむシリア難民のことを知り、私たちにできる支援があることを知ることは、多くの人々の命を救うことにつながるのです。
たとえ少額の寄付であっても、多くの人々が参加することによって大きな力になります。この機会に深刻化するシリアの飢餓問題について知るとともに、私たちにできる支援について考えてみてはいかがでしょうか。