「虐待サバイバーはどんな人のこと?」
「虐待サバイバーはどんな問題を抱えている?」
このような疑問を持っている方に向けて、本記事では下記の内容を紹介します。
- ・虐待サバイバーとは?
- ・虐待サバイバーが直面する困難
- ・虐待サバイバーのために私たちができること
虐待サバイバーとは、子どものころに虐待を受けていた人たちのことです。
過去に受けた虐待が心の傷となり、大人になってからも悪影響が出るほど、深刻な問題になる場合もあります。虐待サバイバーについて理解を深めたい方は、ぜひご一読ください。
また、児童虐待を含む日本の子どもが直面する問題の解決に関心があるという方は、簡単30秒でできるアンケートに応えて、問題について理解を深めながら支援してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、国内の虐待問題などに取り組む団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒!/
虐待サバイバーとは
虐待サバイバーとは、子ども時代に虐待を受けた経験がある人のことを指します。
厚生労働省によると、以下の行為が児童虐待に該当します*。
- ・身体的虐待:痛みを加える直接的な暴力
- ・性的虐待:子どもへの性的な暴力
- ・精神的虐待:無視や暴言などの間接的な暴力
- ・ネグレクト:子どもに必要な世話をしない
上記のように児童虐待には4種類ありますが、必ずしも1種類のみが行われるとは限らず、2種類以上にわたって行われるケースもあります。
児童相談所への虐待に関する相談件数は、年々増加しています。令和3年の児童虐待についての相談対応件数は、20万7659件以上にのぼりました**。虐待相談窓口の増加などにより、通告件数が増えたことが要因の1つだと考えられます。
*出典:厚生労働省:子ども虐待対応の手引き**出典:こども家庭庁:令和3年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数
児童虐待について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
児童虐待が起こる原因とその影響
親が子どもを虐待してしまう背景は、単純なものではありません。ここでは、虐待が起こる原因と影響について説明します。
児童虐待が起きる原因
子どもへの虐待の原因は親だけにあるわけではありません。どの家庭にも、起こる可能性は十分に考えられます。
虐待をしてしまう親は、周囲の様々な環境に苦しめられています。住まいの環境や経済的問題、人間関係など、親が抱える事情は複雑です。
具体例として、住まいの環境においては繰り返しの転居、親族や地域社会から孤立した家庭などが挙げられます。それらの家庭は、子育てをするうえで不自由なことが多く、ストレスにより虐待が生じやすい環境です。
また経済面においては、母親が1人で子育てをしている家庭は、特に経済的な問題が顕著に表れることが考えられます。
25歳〜39歳の平均給与は358万から495万円です*。男性は年齢とともに給与の上昇が見られますが、女性においては、年齢による給与の差はあまり見られません。女性の給与は、高くても312万円というデータがあります。
母親1人で子を育てている家庭にとっては、決して余裕がある金額とは言えません。
このような厳しい経済面から親は少なからずストレスを溜めつづけています。そして子どもへの虐待へと繋がることもあるのです。
虐待を防ぐことと同時に、社会の仕組みを変えることも必要とされています。
*出典:国税庁|年齢階層別の平均給与
下記の記事で、子育てを応援する制度について解説しています。詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
>>日本でも増え続ける「子どもの貧困」問題とは?貧困の原因、支援方法は?
>>育てたいを応援!養子縁組活動へ寄付するには?寄付先や支援方法、制度を解説
ハンディキャップのあるクリエーターの商品に特化した通販サイト。お買い物で障がい者福祉や作り手を応援
虐待が子どもにもたらす影響
虐待の種類によって、子どもに及ぼす影響は違います。しかし、いずれにしても子どもの心身にダメージを与えることに変わりありません。
虐待が子どもに与える影響として、身体面では頭蓋内出血・骨折・火傷など、身体的障がいが挙げられます。最悪の場合、死亡するケースもあるのです。
精神面では、暴力を受けた経験により心的外傷を持ち、情緒不安定や不安などの精神症状が見られます。さらに、虐待を受けた人たちは、保護者との愛着関係を十分に経験できていないことが多い傾向です。愛着関係の不足は、緊張や乱暴、引きこもりなどの症状としても表れます。
虐待サバイバーが抱える問題
虐待サバイバーが抱える問題は主に2つあります。
- 大人になっても残るトラウマ
- 経済的な問題
具体的にどのような影響があるのか、解説します。
1. 大人になっても残るトラウマ
子どものころの虐待は、大人になった後もトラウマとして記憶に残り、ひどい場合は精神疾患にまで及びます。心へのダメージは、見た目では分からないため、周囲に気づかれにくいのが問題です。
過去の記憶がフラッシュバックし、うつ病や気分障害、PTSDと呼ばれる心的外傷後ストレス障害を発症することがあるのです。
精神疾患をはじめとした様々な要因により、多くの虐待サバイバーが生きづらい生活を送っています。症状がひどい場合、身体的な健康状態にも影響するのです。
2. 経済的な問題
成人してからの経済面にも影響を与えます。
虐待サバイバーの中には、子どものころの家庭環境に問題があり、勉強できる環境が不十分だった人がいます。学力の向上がかなわず、十分な収入を得られる職に就けないなどの影響があります。
また、虐待による心理的な影響で人間関係が上手くいかず、退職してしまうケースも少なくありません。退職後、新しい職を探す精神的余裕もなく、引きこもりがちになる場合もあります。長い引きこもり生活は、経済的な問題に発展するリスクを高めます。
児童虐待を受けて育った大人の特徴
日本小児科学会のレポートによると、幼少期に虐待を受けていた人は
- ・自己肯定感が低い
- ・対人関係に問題を抱えていることが多い
- ・抑うつに陥りやすい
- ・自傷・自殺を図る傾向が強い
- ・薬物やアルコール依存などの傾向が強い
など行動的、情緒的問題を抱えていることが少なくありません。
幼少期に虐待を受け、自分の存在を否定されるような経験をすると、ありのままの自分が大切だと思う心を育むのが難しくなるのです。また、虐待の影響による怒りと敵意、無力感が上記のような行動につながっています。
参考:日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 マルトリートメント症候群の長期予後
虐待サバイバーに行われている支援
現在、虐待を受けたことで苦しんでいる人々の生きづらさが問題視されており、サバイバーを支援する活動が行われています。
- カウンセリング
- 自助会の開催(サバイバー同士をつなぐ)
詳しく紹介します。
カウンセリング
虐待サバイバーとして育った人は、少なからずつらい過去を引きずっています。
このような状況を少しでも改善するため、カウンセリングを通じた支援活動が行われています。対面または電話での相談を受け、サバイバーが抱える症状やトラウマに向き合ってもらう機会を提供しています。
過去に虐待を受けて大人になった人たちは、心の傷を誰にも打ち明けられないまま苦しんでいる傾向にあります。彼らの話を聞き、現状を把握することで、生きづらさを緩和する手伝いを行います。
自助会(サバイバー同士をつなぐ)
虐待サバイバーをつなぐ自助会では、当事者同士が安心して心の傷を打ち明けられる場を提供しています。
サバイバーの中には、過去の傷を周囲に理解してもらえず、悩み続けている人がいます。誰にも共感してもらえなかった感情や虐待経験をサバイバー同士で傾聴しあうことで、虐待による後遺症を軽減するのです。自助会が安心できる場であると自覚でき、傷を和らげます。
私たちが虐待サバイバーのためにできること
子どもの頃に受けた虐待は、大人になっても精神的後遺症となって被虐待児の人生に色濃く影響を残します。
幼少期の経験の影響に苦しむ虐待サバイバーのために、私たちができることは以下の4つです。
- 理解を深める
- 虐待サバイバーを支援する団体への寄付
- 児童虐待を減らす活動を支援する
- 教育ボランティアに参加する
1つずつ説明します。
理解を深める
実態について知ることは支援の1つになります。虐待を受けて育った人は過去の記憶にトラウマを抱えています。虐待に対する理解がない場合、軽はずみな行動や言動が過去を思い出させ、当事者を傷つけることは否めません。
しかし、虐待サバイバーについて理解を深めれば、当事者と接する機会があった際に適切な対応ができます。虐待サバイバーを理解している人が増えれば、当事者を傷けてしまうのを未然に防ぎやすくなるため、実態を知ることは大切です。
虐待サバイバーについては、書籍やSNS、新聞記事などで知ることができます。またテレビのドキュメンタリーで取り上げられることもあります。
虐待サバイバーについて理解を深め、何ができるかを考えてみましょう。
虐待サバイバーについて詳しく知りたい方は、下記書籍をご覧ください。
虐待サバイバーを支援する団体へ寄付する
支援団体への寄付を通じて、虐待サバイバーを支えられます。支援団体は、資金があるからこそ活動を続けられます。多くの人々が寄付をすることで、より長く活動ができるのです。
寄付は場所や時間にとらわれない支援方法です。クレジットカードを使えば今すぐ行動に移せます。
また、寄付者に活動報告書を送付してくれる団体も多く、寄付の効果を知ることができます。
児童虐待の被害を減らす活動を支援する
虐待サバイバーがこれ以上増えるのを防ぐ方法として、児童虐待の被害を減らすことが挙げられます。しかし、虐待が行われている家庭へ第三者が介入するのは現実的に難しいため、被害者の数を減らすのは時間がかかるものです。
緩和策として、児童虐待を減らす対策と並行しつつ、子どもの生活を支援することが挙げられます。虐待を受けている子どもや居場所のない子どもには、安心できる場所と、十分な教育機会の提供が必要です。
児童虐待を減らす活動を4つ紹介します。
1つずつ紹介します。
認定NPO法人 フローレンス
子育て支援を活発に行う「フローレンス」では、孤立した子育てに悩んでいる親などを支える活動を行っています。
活動の1つに、経済的に困難な家庭へ食品を届ける「こども宅食」があります。また、こども宅食を全国に広げるために「こども宅食応援団」を設立しました。
「フローレンス」について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>【怪しい?】フローレンスの気になる評判や実態は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人 3keys
3keysでは、学校や家庭に代わり子どもたちの権利や尊厳を守るためのコンテンツを作り、発信する活動を行っています。誰かに相談する気力のない子どもたちは、虐待やいじめ、DVなどの正しい知識をあまり持っていません。
そんな子どもたちのために、子ども向けの啓発動画「ミーのなやみ」を作成。キャラクターのミーが抱える悩みを客観的に見ることで、自分の環境についても改めて考えて欲しいという思いが込められています。
3keysについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>【実際どう?】子ども支援NPO「3keys」の気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人 Learning for All
LFAでは、虐待やいじめなどにより、困難な日常生活を送る子どもたちに目を向けています。そこで、環境面の問題を改善すべく、小学1年生から高校3年生を対象に「居場所づくり」に力を入れています。
手洗い・うがいや歯磨きといった基本的な生活習慣から宿題の見守りなどの学習面、栄養管理など幅広いサポートを行っています。
LFAについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>Learning for All の口コミ評判は?専門家に実際のところを聞いてみた
認定NPO法人 カタリバ
カタリバは、10代の子どもたちが、生まれ育った環境に左右されずに未来を作り出せる力を育む社会を目指しています。
運営施設の1つ「アダチベース」では、自身ではどうすることもできない家庭環境などの課題を抱える子どもたちのために、安心できる居場所を提供しています。
カタリバについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>【実際どう?】カタリバの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
教育ボランティアに参加する
家庭が安心できる場所ではない子どもにとって心強い助けになるのが、安心できる場所を提供している支援団体です。
そのような支援にボランティアとして参加することも、サバイバーを増やさないための対策につながります。安心と安全をあわせ持った居場所の構築や学習のサポート、食事の提供などの活動にボランティアが関わっています。
前項で紹介した「カタリバ」は、学生だけでなく社会人でもボランティア活動に参加できるので、気になる方はぜひ団体のホームページで詳細を確認してみてください。
ボランティア活動について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>児童虐待されている子どもへの支援にはどのようなものがある?
虐待を受けると成長後の社会生活に影響も。私たちにできる支援をしてみよう
本記事では、虐待サバイバーについて解説しました。ここで紹介した内容をまとめます。
- ・虐待サバイバーとは、子どものころに虐待を受けた経験があり、誰からも気づかれないまま大人になった人たちを指す
- ・虐待サバイバーのほとんどが、精神的な問題や経済的な問題を抱えている
- ・虐待サバイバーを救う活動やサバイバーを増やさないための支援活動が行われている
虐待サバイバーには、心に大きな傷を負ったまま、誰にも打ち明けられずに過ごしている人もいます。
サバイバーの支えになるためには、まず当事者について詳しく知ることが重要です。また、支援団体への寄付やボランティアとして活動に関わることで、私たちも彼らの力になれるのです。
虐待サバイバーについて、さらに詳しく知りたい方は、下記のサイトに掲載されている書籍がオススメです。