世界によって生活・気候・社会環境など様々な違いがある中、「教育」に関しても国によってそれぞれの特色が存在します。
今回の記事では、日本の学校・教育制度を深堀りし、世界各国の教育制度の違い・各国の初等教育・義務教育の年数などを取り上げて解説します。
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国によって様々な学校・教育制度
日本では、小学校の6年間、中学校の3年間、合計9年間の普通教育が制度として定められています。
第4条 (義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う
(出典:文部科学省「昭和22年教育基本法制定時の規定の概要」)
日本では9年間の普通教育のうち6年間が小学校となっていますが、国によっては小学校の年数は4~9年と異なります。
各国の教育制度の違いを比較しよう
それでは、各国の教育制度の違いを様々な角度から比較します。
初等中等教育を中心とした学校制度の年数
諸外国の学校制度についてまとめます。
学 制 | 義務教育期間 | 学校教育における無償期間 | |
日本 | 6-3-3 | 6歳から15歳(9年間) | 6~18歳(小学校~高等学校) ※高等学校の無償化については見直しを検討中 |
ドイツ | 4-5/6/8/9, 6-4/6/7 (州や学校種により異なる) |
6歳~15歳(16歳) (9~10年間) ※州により異なる |
5歳(6歳)から高等教育段階まで無償 ※州により異なる |
ロシア | 4-5-2(3) (ただし、9年制あるいは11年制の学校が一般的) |
6歳6か月から17歳6か月 (11年間) |
原則6~17歳 (基礎学校・初等中等教育学校の第1~11学年) |
フランス | 5-4-3 | 3歳から16歳 (13年間) |
すべての教育段階で公教育は原則無償 |
韓国 | 6-3-3 | 6歳から15歳 (9年間) |
3~15歳 (幼稚園~中学校) ※私立幼稚園についても段階的な無償化を導入中。高等学校の無償化についても検討中 |
中国 | 6-3-3 (一部地域で5-4-3) |
6歳から15歳 (9年間) |
6~15歳 (小学校~初級中学) |
イギリス | 6-5-2 | 5歳から16歳 (11年間) ※イングランド地域においては、16歳から18歳の2年間、教育又は訓練の継続(パートタイムも可)が義務付けられている |
5歳から18歳 (初等中等教育) |
オランダ | 8-4/5/6 (学校種により異なる) |
5歳~18歳又は基礎資格取得まで (最長13年間) ※ただし、初等教育の開始は4歳から ※2007年に現在の制度に変更 |
4歳から18歳までの最長14年間 |
フィンランド | 6-3-3 | 7歳から16歳 (9年間) |
6歳から高等教育段階まで無償 |
(出典:文部科学省「我が国及び諸外国の学制について」)
(出典:文部科学省 世界の学校体系)
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初等教育の各国の年数
初等教育の各国の年数は以下のとおりです。4~9年まで幅広くあり、日本の6年は中間的な長さであることがわかります。
年数 | 国名 |
4年 | ドイツ、(アメリカ)、ロシア、オーストリア、ハンガリー |
5年 | フランス、(アメリカ)、イタリア、スリランカ、モンゴル |
6年 | 日本、イギリス、(アメリカ)、スウェーデン、中国 |
7年 | ノルウェー、オーストラリア、ウガンダ、ブータン |
8年 | (アメリカ)、ケニア、サモア、インド、プエルトリコ |
9年 | フィンランド、マケドニア |
義務教育の年数
世界の義務教育の年数について表にまとめます。ヨーロッパの国の多くは9~13年と比較的長く設けられていることがわかります。一方、義務教育が少ない国についてはアジア、アフリカなどの国が多いようです。
義務教育年数 | 主な国 |
13年(9カ国) | ドイツ(定時型義務制度を含む)、ベルギー、オランダ、フランス、マケドニア、(アメリカ)、(カナダ) |
12年(8カ国) | ニュージーランド、ブルネイ、トルコ、カタール、(アメリカ)、(ドイツ) |
11年(20カ国) | イギリス、ノルウェー、ロシア、ガーナ、(アメリカ) |
10年(33カ国) | イタリア、デンマーク、豪州、パキスタン、(ドイツ)、(アメリカ)、(カナダ) |
9年(42カ国) | 日本、フィンランド、タイ、トルコ、中国、韓国、モンゴル、ブラジル、カンボジア、ベトナム、(アメリカ)、(ドイツ) |
8年(16カ国) | インド、エチオピア |
7年(15カ国) | タンザニア、ジンバブエ、ザンビア |
6年(24カ国) | シンガポール |
5年(4カ国) | ネパール(確立されていない) |
4年(1カ国) | アンゴラ |
(出典:文部科学省「「諸外国の教育統計」令和4(2022)年版)」)
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世界の国々の教育方針の違いは?
各国の教育制度や教育の特色についてみてみましょう。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国の大きな特徴は、それぞれの州ごとに就学義務に関する規定が異なることです。
就学義務開始年齢を6歳とする州が最も多いです、7歳あるいは8歳とする州でも6歳からの就学が認められています。
初等・中等教育は合計12年ですが、それぞれの年数が異なり8-4年制、6-6年制、5-3-4年制など自由な風潮が伺える教育制度となっているのがわかります。
またアメリカは大学入試における年齢制限はなく、年齢にとらわれない進級・入学制度を生み出しているのも特徴と言えるでしょう。
イギリス
イギリスでは通常6年制の初等教育があり、5歳から7歳を対象とする前期2年(インファント)と7歳から11歳のための後期4年(ジュニア)とに区分されます。
その後、中等教育は、通常11歳から始まり7年間続きます。
最後の2年間は義務教育後となりますが、就職者もパートタイムの教育・訓練の継続を義務付けられているのです。
フランス
フランスでは就学前教育として小学校付設の幼児学級で行われ、2〜5歳児が対象です。
義務教育は3歳〜16歳の13年間であり、義務教育は年齢で規定されています。留年等により、義務教育終了時点の教育段階は一定ではありません。
初等教育は、小学校で5年間行われます。
日本の教育の中学校にあたる前期中等教育は、コレージュ(4年制)が主流です。この4年間での観察・進路指導により、生徒は後期中等教育の諸学校・過程に振り分けられます。この際、高校入試はありません。
高校にあたる後期中等教育はリセ(3年制)及び職業リセ等で行われます。
またフランスでは飛び級制度が最も典型的な制度として定着しており、大学入学年齢にも制限が存在しません。
ドイツ
幼稚園では満3歳から子どもを受け入れており、保育所は2歳以下の子どもを受け入れています。
義務教育は9年(一部の州は10年)であり、また義務教育が終わった後に就職し、見習いとして職業訓練(ハウプトシューレ)を受ける人は、通常3年間(週に1日〜2日)通うことが義務です。
中等教育の選択肢が多彩であり、職業訓練のハウプトシューレ、実科学校(レアルシューレ)、大学進学者向け高校のギムナジウムなどが設けられています。
レアルシューレはハウプトシューレより1年長い就学期間が設けられており、16歳で卒業した後は事務職などに就いたり、上級専門学校や専門ギムナジウムなどに進学したり、アビトゥーレ受験を経て大学進学を目指したりと進路の選択肢が多く設けられています。
中国
中国では、日本と同じように9年制の義務教育を実施しています。
小学校は一般に6年制ですが、5年制、9年一貫性も存在しています。また入学年齢は6歳と規定されていますが、地域によっては7歳までの入学の遅延が許可されているのです。
中等教育は普通教育を行う高等中学(3年)と職業教育を行う中等専門学校(3〜5年)に分かれます。
韓国
就学前教育は、3〜5歳児を対象として幼稚園で実施されています。
その後の義務教育は6歳から15歳までの9年です。
中等教育は3年間であり、高校は普通教育を中心とする教育過程を提供し、各分野の才能があるものを対象とした高等学校(芸術、体育、科学、外国語、国際)も含まれます。
日本の教育制度に近いと言えるでしょう。
(出典:文部科学省「諸外国の教育統計平成29年(2017年版)」)
世界と日本の教育の比較
フランスやアメリカでは一般的な飛び級制度は、日本でも大学・大学院への飛び入学に限り認められています。
しかしその条件や制限が厳しいため、どんなに頭が良くてもより高度な教育機関に進学することが困難となっているのです。
この他にも文部科学省では学力や体力、優れた芸術文化に触れる機会、教育の機会均等についてなど様々な観点から日本の教育に関する課題が挙げられています。
また、日本では深刻な教育格差についても問題視されています。生まれ育った家庭環境や教育にお金をかけられるかどうかといった格差が発生しており、そのしわ寄せは子どもたちに来ています。
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日本の教育制度や子どもたちへの対応など多くの課題がある一方で、新たな学びを支える教員の養成も必要です。こうした課題に対し、教育委員会や大学などの連携によって、教育全体を底上げをしていくこと求められています。
(出典:文部科学省「現在の教育に関する主な課題」)
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日本の教育の今後とは?
今回の記事では、日本の教育制度と世界の教育制度の比較したことで、それぞれの国の教育制度には大きな違いがあることがわかりました。
各教育課程の年数や進路の選択肢など世界には様々な制度があります。日本も時代背景に合わせて教育内容や制度などの改変が見られますが、今後も少子化が進むといわれているなかで、どのような変化が求められるのでしょうか。
世界各国の教育問題や日本の教育環境の問題を改善しようと、子どもたちの支援に取り組んでいる団体があります。
どのような団体があるのか、私たちに何ができるのかについては下記記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。