確定申告をする際、寄付金控除の申請をすることができます。寄付金控除を受けることで、所得税などが一部控除されますが、寄付をして申請すれば無条件に受けられるわけではありません。
寄付金控除を受けられる対象者の条件があり、金額にも上限があります。
そのため控除を受けたいのであれば条件をしっかりと理解し、金額の上限や計算方法を知っておく必要があります。
確定申告における寄付金控除とその条件や計算方法について解説します。
確定申告で寄付金控除を受けるには?必要な書類や申告の方法について解説
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寄付金控除とは
寄付金控除とは、国や地方公共団体、特定の公益増進法人などに対して、特定寄付金を支払った場合、所得の控除を受けられる制度です。
例えば地方公共団体に納める「ふるさと納税」や特定の認定NPO、NGOに寄付した場合などが特定寄付金の対象となります。
この寄付金控除は、所得控除の代わりに税額控除(寄付金特別控除)を選択することも可能となっており、寄付を行うことで税金が一部軽減されるというメリットがあります。
(出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」)
寄付金控除と確定申告の関係
寄付金控除を受ける上で確定申告は重要です。
寄付を行えば寄付金控除を自動的に受けられるわけではありません。寄付を行った際、それを証明する受領証や寄付金受領証明書と必要な書類を揃え、確定申告を行わなければ所得控除または税額控除を受けられません。
最近ではふるさと納税に限定されますが、確定申告を行わなくても寄付金控除を受けられるワンストップ特例制度も設けられており、必ずしも確定申告が必要というわけではなくなりました。
しかし、確定申告を行うかワンストップ特例制度を利用するか、どちらかを行わないと、控除を受けられないことは覚えておく必要があります。
(出典:国税庁「申告や納税について知っておきたいこと」)
寄付金控除の上限金額は?
寄付金控除の上限額は、その年の総所得金額の40%が上限となっています。
ただしこれは所得控除の場合であり、税額控除の場合は少し異なります。寄付金額の合計であれば所得金額の40%が上限となっています。
政党などに寄付した場合の「政党等寄付金特別控除」だけで見ればその年の所得額の25%を上限としています。
また特定NPO法人あるいは公益社団法人へ寄付金した場合の「認定NPO法人等特別控除」、「公益社団法人等寄付金特別控除」であれば、この2つの合計で所得額の25%を上限としています。
- 寄付金控除とは、国や地方公共団体、特定の公益増進法人などに対して、特定寄付金を支払った場合、所得の控除を受けられる制度
- 寄付を行った際、それを証明する受領証や寄付金受領証明書と必要な書類を揃え、確定申告を行わなければ所得控除または税額控除を受けられない
- 寄付金控除の上限額は、その年の総所得金額の40%
(出典:国税庁「寄附金を支出したとき」,2019)
(出典:国税庁「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」,2019)
(出典:国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」,2019)
確定申告で寄付金控除の対象となる条件
確定申告で申請すれば、全てが寄付金控除の対象となるわけではありません。
先述したとおり、対象となるには条件があります。基本的には特定寄付金となっているものが対象であり、以下のものがそれに当たります。
- 国または地方公共団体に対する寄付金
- 指定寄付金
- 特定公益増進法人に対する寄付金
- 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
- 認定NPO法人等に対する寄付金
- 政治活動に関する寄付金
- 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など
このいずれか、または複数に寄付した場合、その寄付金が控除の対象となります。
また自身が納税をしている都道府県や市町村によって、対象となる寄付が異なることがありますので、寄付金控除を申請する前に、都道府県や市町村への問い合わせや公式サイトで確認しましょう。
- 確定申告で申請しても、全てが寄付金控除の対象とはならない
- 寄付金控除の対象は、特定寄付金となっているものに寄付した金額
- 自分が納税している自治体によって、控除対象の寄付が異なる場合があるので確認が必要
(出典:国税庁「寄附金を支出したとき」)
寄付金控除の計算方法
寄付金控除を受ける場合、その金額を計算する必要があります。
先述したとおり、所得控除と税額控除のどちらかを選択できますが、上限に違いがあるように、計算方法にも違いがあります。
そこでそれぞれ選択した場合の計算方法を見ていきます。
所得税の所得控除を選択する場合
所得控除を選択した場合には買いの計算式で計算します。
(その年中に寄付した特定寄付金の額の合計額)-(2,000円)=(寄付金控除額)
その年中とは1月から12月までの1年間の期間を表しています。
この合計額が、その年の所得金額の40%を上限としているため注意が必要です。
税額控除を選択する場合
税額控除を選択する場合は、どこに寄付をしたかで計算方法が違います。
(その年中に寄付した政党等に対する寄付金の額の合計額 - 2,000円)× 30%=(政党等寄付金特別控除額)
(その年中に寄付した認定NPO法人等に対する寄付金の額の合計額- 2,000円) × 40%=(認定NPO法人等寄附金特別控除額)
(その年中に寄付した公益社団法人等に対する寄付金の額の合計額- 2,000円) × 40%=(公益社団法人等寄附金特別控除額)
公益社団法人等寄付金特別控除は「指定寄付金」、「特定公益増進法人に対する寄付金」、「認定NPO法人等に対する寄付金」などが含まれます。
このような方法で税額控除の計算を行います。
- 寄付金控除を受ける場合、所得控除と税額控除のどちらかを選択できる
- 所得控除を選択した場合は、買いの計算式で計算
- 税額控除を選択した場合は、どこに寄付をしたかで計算方法が違う
(出典:国税庁「寄附金を支出したとき」,2019)
寄付金控除を受けるための手続きとは
寄付金控除を受けるためには確定申告が必要ですが、その手続きには必要な書類がいくつかあります。
まずは寄付をした団体などから交付された寄付金の受領証(領収書)あるいは電子証明証に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードが付された電磁的印刷書面が必要です。
基本的にはこれらの書類を確定申告書に添付、または確定申告のときに提示することで手続きが可能です。また勤めている場合は所得金額の証明のため、源泉徴収票が必要となります。
さらに以下の特定の寄付を行った場合は、提出する書類が増えます。
- 特定公益増進法人に対する寄付金で、地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするものに関しては、「地方独立行政法人法第6条第3項に規定する設立団体のその旨を証する書類の写しとして交付を受けたもの」
- 特定公益増進法人に対する寄付金で、私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするものに関しては「特定公益増進法人であることの認定書の写し」
- 特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするための寄付金に関しては「特定公益信託であることの認定書の写し」
- 政治活動に関する寄付金に関しては「選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」」
- 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額などに関しては以下の書類
- 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
- 特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
- 都道府県知事等が発行した特定新規中小会社に該当するものであること等の一定の事実の確認書
- 特定新規中小会社が発行した個人投資家が一定の同族株主等に該当しない旨の確認書
- 特定新規中小会社から交付を受けた株式異動状況明細書
- 投資契約書の写し
特定の寄付の場合、上記のような書類が増えてしまいますが、大抵の場合は寄付をした団体などから交付を受けた寄付金の受領証(領収書)さえあれば手続きができることが多いです。
確定申告書の寄付金控除の枠に先述した計算式により導き出した金額を記載するようにしましょう。
あとは源泉徴収票と受領証を添付して税務署に提出すれば、申請は完了となります。
- 寄付金控除を受けるための確定申告には、寄付をした団体などから交付された寄付金の受領証(領収書)が必要
- 勤めている場合は所得金額の証明のため、源泉徴収票が必要
- 特定の寄付を行った場合は、さらに提出する書類が増える
(出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」)
寄付をしたら必ず確定申告をしよう
寄付はその団体を助ける1つの手段として有効です。特に国内や海外で人々を助けるために日夜活動している支援団体などへの寄付は大きな助けとなっています。
人を助ける寄付を行ったのであれば、自己の負担を減らせる寄付金控除は受けるべき制度と言えるでしょう。
確定申告は控除を受けられるので、寄付をしたのであれば必ず申請しましょう。
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