2025年2月26日に発生した大船渡の山火事は、一週間以上経過した今もなお鎮火には至らず、広範囲にわたって甚大な被害をもたらしています。
大船渡の被災者を支援したい気持ちはあっても、
・どのような支援が必要とされている?
・どのような支援団体が寄付を募っている?
・寄付はどのようにしたらいいの?
といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
そこで本記事では、その疑問に答えるとともに、大船渡の被災者を支援する団体について紹介します。
具体的には
- ・大船渡山火事の被災者を支えるために私たちにできること
- ・大船渡山火事の被災者を支援する団体
- ・大船渡山火事で必要とされている支援
についてご紹介します。
2025年2月26日 岩手県大船渡市で山火事が発生

2月26日午後1時ごろ、岩手県大船渡市赤崎町合足漁港付近で発生した火災は、山林へと延焼を続けています。広範囲にわたる深刻な被害が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされています。被害状況や避難状況について解説します。
火災の被害状況
3月5日時点で、焼失面積は市全体の約9%、2,900ヘクタールに達しており、平成以降の山火事としては国内最大規模となっています。出火原因は現在も調査中です。
被害状況は以下の通りです。
- ・三陸町綾里小路:16棟
- ・石浜:9棟
- ・田浜:9棟
- ・港:19棟
- ・岩崎下:4棟
- ・宮野東:3棟
- ・赤崎町外口:18棟
- ・死者:1名
- ・負傷者:なし
消防による徹夜の消火活動に加え、発生から1週間後に降ったまとまった雨や雪の影響もあり、現在ようやく延焼は食い止められました。
しかし、寒さが厳しい中で避難を余儀なくされた被災者も多く、体調管理や生活環境の確保が急務となっています。
森林火災の原因については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>森林火災の原因とは?なぜ起こるの?
4600人あまりに避難指示
延焼が広がる地域の近くには、住宅が密集したエリアもあります。市内の1896世帯、4596人に避難指示が出され、3日午後6時時点では、12か所の避難所に1213人、親戚宅などに2726人が避難しています。
市の人口の約12%にあたる人々が避難生活を強いられているのが現状です。
大船渡山火事の被災地を支援するために私たちができることとは
大船渡市山火事の被災者のために、私たちにもできることがあります。
例えば、以下の支援方法があります。
- ・支援団体への寄付
- ・義援金の送付
- ・ボランティア活動への参加
- ・被災地の状況を把握し、情報を発信し続ける
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
支援団体への寄付
大船渡市で活動している支援団体への寄付は、金銭的な支援を今すぐに行える方法です。寄付金は、支援団体が最も必要とする場所に効果的に使用され、支援活動の成果が上がります。
寄付の方法は主に次の2つです。
- ・継続寄付:毎月一定額を定期的に寄付
- ・都度寄付:任意のタイミングで希望の金額を寄付
両方ともクレジットカード決済を利用して寄付が可能です。多くの団体では、1000円以上の任意の金額で寄付を受け付けています。
義援金の送付
内閣府や自治体、日本赤十字社などを通じて義援金を送ることができます。義援金の寄付方法は、以下の通りです。
- ・コンビニや店舗で現金を寄付
- ・銀行振込
- ・インターネットでクレジットカードを使用して寄付
ボランティア活動への参加
ボランティアに参加することでも、被災地を支えることができます。時間や場所に調整が必要ですが、現地での活動を通じて、支援の実感を得やすい方法です。
ボランティアには、主に次の2つの形態があります。
- ・現地での活動:避難所での見守りや生活支援、専門知識を活かした支援
- ・支援団体の事務所での活動:広報活動やボランティアの調整業務
参加する際には、日程や自己負担を事前に確認し、支援団体のルールに従うことが重要です。
市外から個人で参加する場合は、受け付け可能かボランティアセンターの情報を確認しましょう。
大船渡市社会福祉協議会:ボランティアセンター
被災地の情報を得て発信を続ける
被災地の情報に注目し、その状況を知り、発信し続けることも重要です。復興には時間がかかりますが、メディアで取り上げられる頻度は徐々に減少するでしょう。
しかし、被災地のニーズは日々変化しています。最新の状況を把握し、できることを考えることが大切です。
ボランティアや寄付が直接できない場合でも、周囲に情報を発信し続けることも、支援の一つの方法です。
大船渡山火事の被災者の支援団体
ここでは、「大船渡山火事で被災した人々へ寄付したい」と考えている方へ向けて、被災地で支援活動をしている団体を紹介します。
【団体】アンカーリンク団体
【寄付先1】空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”(特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン)
空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する、大規模災害の被災地にいち早く駆けつけ、救助・救命活動を行う医療を軸とした災害緊急支援プロジェクトです。
大船渡市で山火事が発生したことを受け、空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”は2月28日看護師を含む計7名を現地に派遣しました。
保健医療福祉調整本部の会議の出席や、避難者、関係者にフェイス・トゥ・フェイスでヒアリングをおこない、本当に必要なものはなにかニーズ調査を実施、物資支援や健康相談など緊急支援にあたっています。
被災地の人々が一日でも早く通常の生活に戻れるよう、緊急・復旧・復興支援活動に力を入れています。
【寄付先2】日本赤十字社
「人間を救うのは人間だ」をスローガンに国内において災害救護活動、献血などの血液事業、救急講習会の開催、海外では紛争や自然災害における緊急時救援活動、復興支援、予防活動などを行っています。
日本赤十字社岩手支部は、火災で被災した大船渡市に支援を行っています。現地に入り、大船渡市民体育館に毛布やタオルケット、段ボールベッド、パーティション、屋内テントなどの物資を届けました。
3日には避難所の環境整備を目的とした医療コーディネートチームとして看護師を含む3人を派遣。さらに4日には、避難者の心のケアを担当する臨床心理士を含む4人のチームも派遣し、支援を続けています。
大船渡山火事の被災地で必要とされている支援
大船渡山火事の被災地では、緊急で以下の支援が必要とされています。
- ・安全な避難場所
- ・食料や生活用品などの支援物資
- ・健康管理のサポート
安全な避難場所
大船渡市で発生した山火事により、多くの人々が避難を余儀なくされています。安全な避難所の提供は、被災者の生命と健康を守るために最も重要な支援の一つです。
避難所では、適切な食料、水、医療支援、衛生管理が求められます。また、避難所の設営や運営には、専門的な知識と経験を持つ支援団体の協力が不可欠です。これらの支援を通じて、被災者が安全かつ健康的な環境で避難生活を送ることが可能です。
食料や生活用品などの支援物資
大船渡市では、企業や団体からの支援物資を受け入れています。
被災地では、以下の物資が特に必要とされています。
- ・衛生用品(ボディシート、除菌シート、紙おむつ、生理用品など)
- ・生活必需品(寝具、毛布など)
- ・食料品(保存食、飲料水など)
大船渡市では、仕分け作業の負担が大きいため、個人からの支援物資の寄付は受け付けていません。そのため、義援金の寄付や支援団体を通じた支援のほうが、より効果的に活用されやすいでしょう。
健康管理のサポート
避難生活では、慣れない環境やストレスから体調を崩す人が多く、特に高齢者は「災害関連死」のリスクが高まります。水分摂取を控えたり、睡眠不足や偏った食事によって栄養不足が起きることがあり、これらが感染症や循環器系疾患、高血圧の原因となるのです。
こうした健康問題を防ぐために、避難所では医療スタッフによる健康相談や巡回診療が行われるほか、栄養バランスを考慮した炊き出しの提供、適切な休養を促進する支援が実施され、避難者の健康管理が重要視されています。
災害関連死については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>【能登半島地震でも話題に】災害関連死とは?原因と対策をわかりやすく解説
中長期的な支援
また中長期的には以下の支援が必要とされます。
- ・住宅の確保・再建:初期段階では仮設住宅の提供が行われ、焼失した家屋の解体・撤去
- ・焼失家屋の解体・撤去:専門業者の支援・ボランティアとの協力
- ・土砂災害の防止:土砂災害防止のための植生回復や土留め工事などの防災対策
- ・被害者の心のケア:不安を軽減するために専門家による相談や地域の交流スペースの提供
過去の日本の森林火災や二次災害については、以下の記事をご覧ください。
>>日本でも森林火災に注意!発生頻度や考えられる二次災害とは
寄付、義援金、募金の違いとは
被災地支援を考える際、「寄付」「義援金」「募金」という言葉をよく耳にしますが、それぞれには違いがあります。
寄付とは、物やお金を無償で渡す行為を指します。例えば、被災地に食料を提供したり、行政やNPO団体にお金を送ることが「寄付」に当たります。
寄付と義援金の違い
義援金とは、災害などで被害を受けた人々に向けて贈られる金銭のことです。義援金は寄付の一形態として位置付けられ、主に自治体や日本赤十字社が受付窓口となります。
一般的に、義援金はまず被災自治体に送られ、その後「配分委員会」によって公平に被災者へ分配されます。
ただし、義援金が被災者に届くまでに時間がかかることがあります。もし「すぐに支援したい」と考えるのであれば、災害支援を行っているNPO団体などへの寄付が効果的です。
寄付と募金の違い
募金とは、金銭を集める活動のことを指し、街中で募金箱を持って寄付を呼びかける行為が「募金活動」に該当します。
募金箱にお金を入れる際に「募金するね」と言うのは、厳密には誤りで、正しくは「寄付する」と表現されます。
ただし、実際には募金箱にお金を入れる行為を「募金」と呼ぶことが多いため、理解しやすくするためには、「お金を集める活動は“募金”」「お金を贈る行為は“寄付”」と区別して覚えておくと良いでしょう。
行政と支援団体のどちらに寄付したらいい?
行政が受け付ける寄付の多くは義援金で、先述したように被災者に公平に配分されるため被災者のもとに届くのに時間がかかることもあります。
一方、支援団体への寄付は、団体が現地で行う活動にすぐに使われ、被災地のニーズに応じた迅速な支援が提供されます。
支援団体は経験豊富なプロであり、その時最も必要な支援に寄付金が活用されます。
迅速に必要な支援を届けたい場合は、支援団体への寄付がおすすめです。
支援団体の寄付金は何に使われる?
支援団体への寄付は、NPOなどの団体が現地のニーズに合わせて行う支援活動に活用されます。主な使い道としては、以下のようなものがあります。
- ・食料、水、衛生用品、医薬品、寝具、ベビー用品などの物資購入
- ・ヘリコプターやトラックの燃料費
- ・避難所の設営や維持
- ・家屋修繕
- ・専門知識を持ったスタッフの人件費
寄付を検討している団体がある場合は、その団体のホームページで支援活動内容や使い道を確認すると良いでしょう。
また寄付をする際には、怪しい団体か見極めることも大切です。詳しくはこちらの記事をご一読ください。
>>寄付してはいけない団体とは?怪しい団体を見分ける2つのポイントを紹介!
大船渡山火事の被災者支援は今すぐできる
この記事では、大船渡の山火事で必要とされている支援、被災者のために私たちができること、寄付におすすめの支援団体などについて紹介しました。
記事の内容をまとめます。
- ・大船渡市の山火事は2,900ヘクタールに及び、国内最大規模にまで広がっている。
- ・被災者は避難所での生活を強いられ、支援物資や健康面のサポートが求められている。
- ・大船渡の人々を支援するためには、寄付が効果的。
「山火事で被害を受けた大船渡の人々のために、今すぐできることをしたい」と考えている方は、ぜひ紹介した支援団体の活動を確認し、支援方法を検討してみてください。