「余震が続き不安な気持ちで過ごすアフガニスタンの人々のために寄付したい!」
と思うものの
・どのような人道支援が必要とされている?
・タリバン政権の影響は?
・どのような支援団体が寄付を募っているの?
・寄付はどのようにしたらいいの?
と疑問を感じることと思います。
そこでこの記事ではその疑問に答えるべく、混乱の中にあるアフガニスタンの人々を支援する団体について紹介します。
具体的には
- アフガニスタン地震の被害状況
- 被災地で必要とされている支援
- アフガニスタンで地震被害に遭った人々を支援する団体一覧と概要
の順にご紹介します。
アフガニスタン地震に関する現状(2023年10月27日時点)
アフガニスタン西部ヘラート州で2023年10月7日午前11時(日本時間同午後3時半)ごろ、マグニチュード6.3の強い地震が発生しました。余震が続き、10日はマグニチュード5.1、11日には7日と同規模のマグニチュード6.3の地震が再び発生しました。
余震は、被害を拡大するとともに救助活動を困難にしています。
立て続けに規模の大きい地震が発生しているため、現地は混乱を極めています。正確な被害状況が掴み切れず、各機関から発表される被害の数字は修正が繰り返されています。
OCHA(国際連合人道問題調整事務所)の発表によると*、死者数は約1480人、負傷者数は約1950人、地震の影響を受けている人は43,000人以上と言われています(2023年10月27日時点)。
特に、日干し煉瓦や土でできた耐震性の低い家屋が多い地域では被害が広がっています。
被災地域は、長年に渡る紛争と長期化する深刻な干ばつなどの影響を受けており、地震発生前から支援が必要な地域でした。特に食料不足は深刻です。今回の地震により、人々の置かれる状況はさらに厳しくなっています。
アフガニスタンの飢餓について詳しく知りたい方はこちらの記事をご一読下さい。
>>アフガニスタンで深刻化している飢餓の原因や必要な支援とは?
*出典:Afghanistan: Herat Earthquake Response Situation Report No. 1 – As of 27 October 2023
救助活動が思うように進まない
早急に救援活動を進めたいところですが、思うように進んでいないのが現状です。
救助活動の進捗を妨げている要因は主に2つあります。
- 被害地域へのアクセスの悪さ
- 政治的な問題
詳しく説明します。
被害地域へのアクセスの悪さ
被災地には山岳地帯も含まれており、道路が未整備な地域も多いです。これらの地域への救援物資の運搬や救助隊員の到達が困難となっています。
政治的な問題
タリバンが実権を握って以来、国際支援団体の多くがアフガニスタンから撤退しました。そのため、現地の勝手を知っている活動団体が少ない状況です。
また、タリバンは2022年末以降、NGOや国連などで働く女性の出勤を禁じています。今後、救助活動への影響が懸念されます。
アフガニスタン紛争について詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読下さい。
>>2022年現在も紛争が解決していない国や地域は?原因を知り解決策や支援について考えよう
アフガニスタンで必要とされている支援(2023年10月時点)
アフガニスタンの被災地では、現在、各支援団体が状況の調査、必要な支援の分析を始めています。
今後必要になるとみられる支援は以下の通りです。
- ・支援ニーズの調査
- ・食料、飲料水、衛生用品などの物資支援
- ・医療物資や医療サービスなどの医療支援
- ・避難場所の提供
- ・女性をはじめとした弱者の保護
- ・心理社会的ケア
- ・学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援
- ・長期的な復興支援
詳しく紹介します。
支援ニーズの調査
地形、余震、タリバン政権の影響がある中でも、各支援団体が現地スタッフや現地パートナー団体と協働で各地に足を運び、被災者とコミュニケーションを重ねていきます。
必要な支援を必要とされる場所に届けるため、正確なニーズの把握が不可欠なのです。
食料、飲料水、衛生用品などの物資支援
生活を維持するための食料、飲料水に加え、寝床としてのマットレス、テント、乳児向けの食料やオムツ、生理用品などが必要とされています。特に山岳地帯は夜になると気温が下がるので毛布やジャケットなどの防寒具も必要です。
また、感染症のまん延を防ぐための衛生用品の配布も不可欠です。
医療物資や医療サービスなどの医療支援
負傷者が多く、医療施設が逼迫しています。負傷者が適切な治療を受けられず死亡に至ってしまうケースも発生しています。
元々紛争の影響で、安全や資金面での懸念を理由に医療支援団体の多くは医療支援から撤退しています。また、公立の医療機関は、資源やスタッフの不足により閉鎖に追い込まれました。そのため元々の医療施設の数が少ない状況です。
ヘラート市には病院が1つしかありません。負傷者であふれかえっており、患者は市内の診療所などに搬送されています。キャパオーバーしている施設では災害用テントを利用して対応しています。
避難場所の提供
家屋の70%以上が倒壊している地域もあります。また、日干し煉瓦や土でできた耐震性の低い家屋が多い地域では被害が甚大です。
被災地域の現在の日中の気温は15-30℃ですが、今後、夜は0-5℃まで冷え込みます。山岳地帯においてはさらに気温が低くなるでしょう。冬になると最低気温は氷点下になります。
家を失くしてしまった人たちが、健康に安心して過ごせる避難場所が必要です。
女性をはじめとした弱者の保護
このような混乱した状況において、子どもやお年寄り、妊婦を含む女性や障がい者などの弱者が、安全面、健康面で危険な目に遭わないための配慮が必要です。
特にタリバン政権下において女性は、公共の場で顔を覆うことが求められていたり、78km以上移動する場合は男性の付き添いが必要とされていたりします。避難生活ではこれらのルールを守ることが困難な場合もあります。
違反すると罰則が科されたり、裁判にかけられたりすることもあるのです
女性が危険を感じる環境から彼女たちを保護する必要があります。
心理社会的ケア
被災時のトラウマ、続く余震への恐怖、これからの生活の不安など、被災地の人々は心理的に不安定な日々を過ごしています。
深刻な精神的苦痛を受けている人々に対する、心理的ケアが必要です。
特に、保護者と離れ離れになってしまったり、周囲の大人が様々な対応に追われる中「助けてほしい」と言い出せない子どもたちは大きな不安を抱えています。
学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援
学校の被災状況はまだ明らかになっていません。しかし、多くの学校が倒壊したり閉鎖になったりしていると推察できます。
今後、閉鎖された学校が再開されても、校舎などが避難所になっているため十分な授業ができない可能性があります。さらに、住んでいた地域以外での避難生活を余儀なくされ、学校に通えない子どもたちもいます。
子どもたちの学びを止めないためにも、緊急物資支援がひと段落した段階で早急に教育支援が必要になってきます。
長期的な復興支援
緊急支援がひと段落する数か月後には、日常を取り戻すための長期的な復興支援が必要となる見込みです。
インフラの再整備や住まい、建物の再建のみならず、あらゆる産業の再建や多くの人々の職業復帰、経済的再自立への支援が必要となります。
さらに同じような災害を繰り返さないためにも防災の仕組みづくり、街づくりが求められます。
アフガニスタンの人々を支援するために私たちができることとは
国連やEUの他にパキスタン、イラン、中国などが支援を表明または開始しています。日本も支援物資の提供を発表しました。
民間では、日本を含めた各国のNPOなどの団体が、パートナー団体と協力し現地へのスタッフ派遣を進めています。臨機応変に動けるNPOには期待が寄せられますが、活動には資金が必要です。
日本に住む私たちが今すぐできる支援は、アフガニスタンの人々のために活動する団体へのお金の寄付です。
お金の寄付であれば、今この瞬間にインターネットを通じてクレジットカードで行うことができます。また、現地で活動する支援団体が判断し、その時に一番必要とされる支援に使われるので効果的です。
団体によっては継続寄付を受け付けている団体もあります。
食料や物資の支援により混乱を乗り越えた後は、復興のための持続的な支援が必要となります。
アフガニスタンの人々の支援活動に寄付できる支援団体を紹介!
ここでは、「アフガニスタンで被災した人々へ寄付したい」と考えている方へ向けて、アフガニスタンで支援活動をしている団体を紹介します(団体紹介は随時追加していきます)。
アフガニスタンの被災者を支援している団体
【寄付先1】特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan)
AAR Japan[難民を助ける会]は1979年に日本で発足した国際NGOです。
自然災害・紛争時の緊急支援、難民支援、障がい者支援、地雷対策などを、日本を含め世界17カ国で実施しています。特に困難な状況にある方たちに迅速に支援を届け、中長期的な支援を行うことが特徴です。
今回の地震は西部ヘラート州を震源とするマグニチュード6.3の地震が2回発生。イスラム主義勢力タリバンの暫定政権の当局者によると、2,000人以上の死亡が確認され、家を失った多数の住民がテントなどで避難生活をしていますが、「食料や飲料水、毛布、衛生用品など何もかも足りない」との声が聞かれます。
また、現地では夜間や明け方には気温が零度近くまで下がり、被災者は心身ともに疲れ切っています。
AAR Japanは現地職員を近く被災地に派遣して状況を把握するとともに、緊急支援物資の調達を進めています。AAR Japanは長年にわたって、同国で地雷対策や国内避難民、災害被災者支援に取り組んできた実績があります。
アフガニスタン緊急支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
【寄付先2】認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン
国際NGOワールド・ビジョンは、2021年からヘラート州を含むアフガニスタン西部で支援活動を実施しています。
今回の地震で、ワールド・ビジョンの活動地域も被災しました。10月8日までに被害状況とニーズを確認するための初動調査を開始し、移動診療を10チーム動員し、緊急援助キット300セットを配布しました。また、備蓄している医薬品を配布する準備があります。
ワールド・ビジョンのパートナーシップとして、初動対応のため、緊急準備資金を拠出しました
ワールド・ビジョンは、現場の状況を注視し情報収集を進め、国連機関や人道支援機関、関係者と現場、地方、中央レベルで連携し、今後、食料、水衛生、子どもの保護などの分野で、支援活動を拡充していく計画です。
このように考えている方は、この機会に遺贈寄付を考えてみませんか?
生前に手続きを済ませるだけで、自分の遺産を支援団体に寄付(遺贈寄付)できます。
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【アフガニスタン地震に関するよくある疑問】
アフガニスタン地震に関して、よくある質問をまとめました。
アフガニスタン地震に関するよくある疑問
- アフガニスタンってどこにあるの?
- アフガニスタンの地震の発生頻度が高いのはなぜ?
- 日本政府はどのような支援を行っているの?
1. アフガニスタンってどこにあるの?
アフガニスタンは、アジア大陸のほぼ中央部に位置します。 北はウズベキスタンなど3か国と、西はイラン、東と南はパキスタン、北東は中国と接しています。
上の図で点線で囲われている地域がヘラート州です。
2. アフガニスタンでは地震はよく発生するの?
アフガニスタンは、活断層が多く地殻変動が激しい地域に位置しています。そのため、地震が発生しやすいのです。
国のほぼ中央を東西に伸びる「ヘラート断層」と南北にのびる「チャマン断層」という大きな活断層があります。今回は「ヘラート断層」の西端の一部がずれた可能性があるとのことです。
アフガニスタンでは1991年以降、マグニチュード5以上の地震が8回発生しています。今回で9回目です。過去10年間の地震による死亡者数は7000人以上になります。
昨年6月に東部で発生したマグニチュード5.9の地震では1000人以上が死亡しました。
3. 日本政府はどのような支援を行っているの?
日本政府は10月10日、JICA(国際協力機構)を通じ、テントや毛布などの緊急援助物資を供与すると発表しています。
アフガニスタン地震の被災者への支援は今すぐ簡単にできる
この記事では、アフガニスタンで必要とされている支援、地震の被害に遭った人々のために私たちができること、支援活動をする団体の概要を紹介しました。
記事の内容をまとめます。
- ・山岳地帯の地形やタリバン政権の影響で救助活動は容易ではない
- ・アフガニスタンの人々を支援する団体に寄付をする効果的な手段は、お金の寄付。その時に一番必要な支援のために寄付が使われる
- ・クレジットカード決済や振込みで、今すぐに支援を届けられる
「アフガニスタンで地震の被害に遭った人々のために今すぐ自分にできることをしたい」と考えている方は、ぜひ紹介した団体のホームページを確認してみてください。
災害の復興支援について詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
>>災害や紛争の復興支援にはどんな活動がある?あなたにできることを紹介