2026年2月、アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、中東地域で軍事衝突が広がりました。
レバノンでは2026年3月時点で5万8,000人以上、6月時点では十数万人規模の国内避難民が発生し、食料や生活物資、医療などの支援が求められています。
2026年6月17日にトランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領が戦闘終結を定めた覚書に署名し、停戦への移行が始まりましたが、現地の人道状況は依然として厳しい状況です。
(出典:時事ドットコム『イラン情勢 関連ニュース』)
(出典:日本経済新聞『イラン軍事衝突 最新ニュースと解説』)
(出典:Wikipedia『2026年イスラエルとアメリカ合衆国によるイラン攻撃』)
本記事では、中東危機の現状や支援方法を知りたい方に向けて、以下の内容をまとめました。
- ・イラン周辺国で広がる中東危機の現状
- ・中東危機で必要とされている支援
- ・中東危機への支援活動を行う団体
中東危機の状況や支援の方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
イラン周辺国で拡大した中東危機の経緯(2026年2月〜6月)

まずは、今回のイランへの軍事攻撃をきっかけに拡大している中東危機の状況について解説します。
イランへの軍事攻撃をきっかけに中東各地で戦闘が拡大

出典:朝日新聞
2026年2月28日、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃が始まり、中東地域では軍事衝突が広がっています。
米軍の作戦は『壮絶な怒り(Operation Furious Wrath)』と呼ばれ、イランの革命防衛隊の指揮統制施設やミサイル発射拠点など、開戦から48時間で1,250を超える標的が精密誘導兵器で攻撃されたと報じられています。
サイバー・宇宙領域での活動から始まり、航空・海上戦力を中心とした多領域統合作戦として展開されました。
攻撃から数日内に、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師(86歳)の死亡が確認され、政権幹部の一部も犠牲となり、情勢は一気に緊張を強めました。
(出典:毎日新聞『自爆ドローンまで投入した米軍 イランへの「壮絶な怒り」作戦とは』(Yahoo!ニュース転載))
(出典:防衛省 海上自衛隊幹部学校『コラム279 前例のない航空作戦が示す精密打撃の構造的逆説 — イラン攻撃から見える現代の統合航空打撃』(2026年3月13日))
(出典:時事ドットコム『イラン情勢 関連ニュース』)
ハメネイ師死亡と後継・モジタバ・ハメネイ師の選出
最高指導者アリ・ハメネイ師は1989年からイランの最高指導者を務め、86歳で死亡しました。
2026年3月9日、イランの専門家会議は後継の最高指導者にハメネイ師の次男モジタバ・ハメネイ師(56歳)を選出したと、イラン国営メディアが報じました。
モジタバ師は1969年に北東部の聖地マシャドで生まれ、政府機関での公式な役職を持たず、公の場でのスピーチやインタビューもほぼなかったため『謎に包まれた実力者』として知られてきました。
革命防衛隊との関係が深い反米保守強硬派とされる一方、有事に体制の瓦解を防ぐための実務能力と軍部とのパイプを評価され、専門家会議が選出を強行した形と分析されています。
実際、2026年6月にはトランプ米大統領との間で戦闘終結覚書への署名に至っています。
(出典:日本経済新聞『イラン最高指導者にモジタバ師選出 ハメネイ師次男、反米保守強硬派』)
(出典:東洋経済オンライン『”謎の後継者”モジタバ・ハメネイとは何者か? イラン指導部が迎える転換点』)
レバノンを中心に人道支援の需要が高まる
戦闘の影響で、レバノンでは多くの住民が住まいを離れ、避難生活を送っています。
3月時点では国内避難民として登録された人数は約5万8,000人でしたが、2026年6月時点では十数万人規模に拡大しており、レバノン東部・南部を中心に長期避難が常態化しています。
学校や公共施設、宗教施設などが避難所として転用されており、子どもや高齢者を含む多くの人々が、不安定な環境での生活を余儀なくされています。
(出典:外務省 海外安全ホームページ『イランへの攻撃に伴う注意喚起』)
2026年6月17日 戦闘終結覚書への署名と停戦への動き
2026年6月17日、トランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領は、戦闘終結を定めた覚書に署名しました。
これにより、2月末から続いていた米イラン両軍による攻撃の応酬が止まる方向で動き始めました。
続いて2026年6月21日、米国とイランは仲介国のパキスタンとカタールが同席する形で、スイス中部ビュルゲンシュトックにて戦闘終結の最終合意に向けた協議を行いました。
議題には、レバノンでの停戦維持やイランの核問題が含まれており、今後の中東情勢を左右する重要な転換点となっています。
(出典:時事ドットコム『イラン情勢 関連ニュース』)
(出典:日本経済新聞『イラン軍事衝突 最新ニュースと解説』)
中東危機で現在も必要とされている支援(2026年6月時点)

レバノンを中心に中東では、国際機関やNGOによる緊急支援が進められています。
現在、必要とされている主な支援は以下の通りです。
- ・支援ニーズの調査
- ・食料支援
- ・生活必需品の物資支援
- ・医療・衛生支援
- ・避難民への生活支援
支援ニーズの調査
戦闘の影響は地域によって異なり、必要とされる支援内容も変化しています。
そのため国際機関やNGOは、現地の状況や人々のニーズを調査し、食料や医療、生活物資など必要な支援を把握しています。
こうした調査は、限られた支援を必要な場所へ迅速に届けるために重要な取り組みです。
食料支援
戦闘の影響で物流が混乱し、多くの地域で食料の供給が不安定になっています。
避難生活を送る人々にとって、安全な飲料水やすぐに食べられる食料やパン、小麦粉などの基本的な食料の確保は重要な課題です。
国連機関やNGOは、避難所や被災地域に食料を届ける緊急支援を進めています。
生活必需品の物資支援
避難所では日用品の不足も深刻です。毛布や衣類、衛生用品などが不足すると、避難生活の負担はさらに大きくなります。
そのため、毛布や衣類、衛生用品などの日用品を提供し、避難生活を支える支援が必要とされます。
医療・衛生支援
空爆や戦闘の影響で負傷者が増え、各地で医療支援の需要が高まっています。
イランやイスラエルでは負傷者の搬送や治療などの救急対応が行われており、医療体制への負担も増加。国際機関は人道支援体制を強化し、けが人の治療や医療物資の提供など、必要な医療支援を行っています。
避難民への生活支援
レバノンなどでは多くの人々が学校や公共施設に避難しており、生活環境の整備が課題となっています。
避難所の環境改善や生活物資の提供に加え、子どもや高齢者など脆弱な立場にある人々への支援も重要です。
こうした生活支援は、避難生活を続ける人々の安全と安心を守るために欠かせません。
イラン周辺国で広がる中東危機に私たちができること

今回の軍事衝突の拡大により、中東では多くの人々が避難生活を余儀なくされています。食料や生活物資の不足、医療体制への負担など、人道状況は深刻さを増しています。
現地では国際機関やNGOが連携し、食料支援や生活物資の配付、医療支援などの活動を進めています。しかし、こうした支援を継続するためには資金が不可欠です。
軍事衝突は長期化すると、継続的な支援が求められます。
私たちが日本からできる最も効果的な支援の一つが、信頼できる団体への寄付による支援です。寄付はインターネットを通じてクレジットカードや銀行振込などで行うことができ、現地で必要とされている支援に迅速に活用されます。
一人ひとりの行動が、戦闘の影響を受けた人々の命や暮らしを支える力になります。
イラン周辺国の中東危機で支援活動を行う団体
イラン攻撃による中東危機で避難している人々を支援したいと考えている方へ向けて、支援活動をしている団体を紹介します(団体紹介は随時追加していきます)。
中東の人々を支援している団体は以下の通りです。
【寄付先1】特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan)
AAR Japan[難民を助ける会]は、現地の協力団体と連携し、国内避難民や脆弱な立場にある人々へ食料や生活必需品を届ける緊急支援活動を行っています。
AARは2024年10月からレバノンの現地団体と連携し、人道支援を実施してきました。現在も支援を継続するとともに、レバノン以外の地域でも必要な緊急支援を開始できるよう、現地の状況調査を進めています。
中東情勢は不安定な状況が続いており、継続的な人道支援が求められています。AAR Japanでは、中東地域への支援活動を続けています。
【寄付先2】特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン
ワールド・ビジョン・ジャパンは、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況に置かれた子どもたちのために活動する国際NGOです。
地域のパートナー団体と連携し、イラク、ヨルダン川西岸地区、レバノン、シリア、ヨルダン、トルコ、アフガニスタンなどで、脆弱な状況にある人々への支援を行っています。
主な支援内容は、緊急食料支援、清潔な水の提供、保健衛生支援、教育、子どもの保護、心理社会的支援などです。
また、現地で高まるニーズの評価を進めるとともに、現在も続く危機の影響を受ける人々に支援を届けるため、緊急対応を進めています。
【寄付先3】特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン
画像:2025年の1月にレバノンで撮影
ピースウィンズ・ジャパンは、1996年に日本で設立された国際協力NGOです。これまで世界40以上の国と地域で人道支援活動を行ってきました。
イランへの攻撃をきっかけに、多くの人々の命と暮らしが危機にさらされている状況を受け、中東地域での緊急支援を開始しています。
イスラエルによる地上侵攻の影響を受けたレバノンでは、避難民への物資支援を実施。あわせてイランでの支援の可能性を検討するとともに、中東各地の状況調査を進めています。
主な支援内容は以下の通りです。
- ・支援ニーズの調査
- ・避難民への水や食料などの緊急物資支援
- ・被害地域の状況に応じた人道支援
【寄付先4】特定非営利活動法人 国連WFP協会

国連WFP協会は、国連世界食糧計画(WFP)の活動を日本で支援する認定NPO法人です。
2026年2月末の中東情勢悪化を受け、国連WFP協会はイラン周辺国での緊急食料支援を開始しました。レバノンでの温かい食事の提供や、ガザ地区への食料・物資の搬入維持など、命をつなぐ支援が進められています。
今後3か月間の支援を維持するためには少なくとも2億米ドルが必要と見込まれており、トルコやイラクなど周辺地域も含め、避難民の増加に備えた支援拡大が急がれています。
【寄付先5】特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム(JPF)

レバノン東部バールベックの被害状況(2026年3月4日)@ADRA Japan
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、国内外に緊急人道支援を届けるNGOです。45以上のNGOが集まるネットワークにより、迅速・多面的な支援を実現しています。
中東における人道危機を受け、JPFでは支援を決定。軍事衝突によって子どもを含む多くの人々が危険にさらされる中、まずは避難民が急増しているレバノンで支援を開始します。
中東地域で培ってきた経験を活かし、命を守る支援を届けていきます。
【寄付先6】公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン
セーブ・ザ・チルドレンは、日本を含む約110ヶ国で子ども支援を行う、民間・非営利の国際組織です。子どもの権利のパイオニアとして100年以上にわたり活動しています。
中東危機の影響を受けた地域では、セーブ・ザ・チルドレンとパートナー団体のスタッフが緊急支援を開始し、医療・保健サービス、安全な水と衛生用品、精神保健・心理社会的支援、緊急物資を届けるために活動しています。
【寄付先7】公益財団法人 日本ユニセフ協会
ユニセフ(国連児童基金)は、すべての子どもの命と権利を守るため、世界約190の国と地域で活動する国連機関です。
中東地域で深刻化する紛争や人道危機の影響を受けている子どもたちと家族に対し、ユニセフは医療や栄養支援、安全な水と衛生環境の確保、教育の継続、心のケアなど、命と日常を守るための緊急支援を行っています。
中東危機に関するよくある疑問

今回の中東危機は、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃をきっかけに急速に緊張が高まっています。
ここでは、ニュースでよく取り上げられている疑問について、現在わかっている情報をもとに解説します。
なぜアメリカ・イスラエルはイランを攻撃したの?
アメリカとイスラエルは、イランの核開発や長距離ミサイル開発を安全保障上の脅威とみなし、これを阻止するため軍事攻撃に踏み切ったと説明しています。
また、イラン国内で広がった反政府デモの弾圧や、中東地域の不安定化につながる行動も背景にあるとされています。
こうした緊張の高まりの中で、2026年2月28日に両国による大規模な軍事作戦が開始されました。
どの国に戦闘が広がっている?
今回の軍事衝突はイラン国内だけでなく、中東各地へ広がっています。
イランは報復としてイスラエルのほか、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)などにある米軍基地への攻撃を行ったと発表しました。
さらにサウジアラビアやクウェート、ヨルダンでもミサイル迎撃が報告されており、中東地域全体で緊張が高まっています。
戦闘終結後の見通しは?
2026年6月17日にトランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領が戦闘終結覚書に署名し、6月21日にはスイスで仲介国パキスタン・カタール同席のもと最終合意に向けた協議が行われました。
ただし、戦闘終結後もレバノンでは十数万人規模の避難民の帰還、各地のインフラ被害の復旧、イランの核問題をめぐる長期的な枠組み構築など、課題は山積しています。
国際社会では、停戦を持続させるための外交的な努力と、現地での人道支援継続が並行して求められている状況です。
(出典:時事ドットコム『イラン情勢 関連ニュース』)
中東危機の現状を知り支援につなげよう

イラン周辺国で広がる中東危機への支援について解説しました。紹介した内容をまとめます。
- ・中東ではイラン周辺国で被害が拡大している
- ・食料や生活物資、医療などの人道支援が求められている
- ・日本からは寄付などを通じて支援することができる
- ・2026年6月17日にトランプ・ペゼシュキアン両大統領が戦闘終結覚書に署名し、停戦への移行が始まったが、レバノンの避難民帰還・インフラ復旧・イラン核問題など長期課題は残されている
現地での支援は難しいものの、日本にいながらでも中東の人々を支援することは可能です。
寄付は、現地で必要とされている支援に活用される方法の一つです。
中東危機の状況を知り、支援を考えている方は、ぜひ紹介した団体のホームページも参考にしてみてください。
紛争の復興支援について詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
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