ウォームビズとは?自宅やオフィスでできる取り組みを紹介


ウォームビズとは?自宅やオフィスでできる取り組みを紹介


ウォームビズは冬になると呼びかけられる取り組みの一つです。この取り組みは地球温暖化への対策として効果が期待されており毎年行われていますが、主には企業や家庭でできる取り組みが推奨されています。

この記事では、ウォームビズとはどのようなものなのか、自宅やオフィスでできる取り組みを合わせて紹介します。

ウォームビズとは?

ウォームビズとは?
ウォームビズとは2005年から導入された冬期の地球温暖化対策の一つです。このウォームビズは暖房時の室温の目安を20℃として、快適に過ごすライフスタイルを推奨するものとされています。

地球温暖化の対策はウォームビズだけでなく様々な取り組みがなされていますが、そのなかでも毎年期間を区切って政府が率先し、自治体や企業、関係各所、そして国民が分かりやすく取り組めるようにウォームビズが設定されているのです。

地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量の多くは、化石燃料を使用することで発生しています。
この化石燃料はエネルギーを生成する際に燃焼されるため、私たちが電力量の消費を削減することが地球温暖化対策につながるのです。

(出典:気象庁「地球温暖化の原因」)

ウォームビズの温度が20℃である理由

2017年度の環境省による調査では、1世帯あたりが出す二酸化炭素の排出量は年間4.5トンとされており、そのうちの16%が暖房によるものです。
また気温が6℃のとき、暖房の設定温度を21℃から20℃に下げると、消費電力が年間53kWh(キロワット時)削減でき、約1,170円を節約、二酸化炭素排出量は年間約24キログラムも削減できることが分かっています。

そのため室温は20℃を目安にして、快適に過ごせるライフスタイルを推奨しています。
日本では2030年度に向けて、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを2013年度比の26%削減することが目標です。
温室効果ガスの主な気体は二酸化炭素であり、私たちの身近からも排出されていることから、ウォームビズも効果的な対策の一つとして期待されています。

ウォームビズだけで劇的な変化は起こりませんが、一般的には冷暖房を行う場合、夏よりも冬のほうが室温設定による省エネ効果が大きいことも分かっており、地道な取り組みとして意識することが地球温暖化の抑制につながります。

間違えてはいけないのは、無理をして暖房を20℃にしなければいけないということではありません。建物の状況や立地などの条件で室温は変わるため、20℃に設定しても温度が上がらないこともあり得ます。
あくまでも目安が20℃程度ということには留意しつつ、取り組むことが必要です。

(出典:環境省「脱炭素型ライフスタイルの施策について」,2020)
(出典:大阪市「エアコン(暖房)使用時の省エネ行動」,2018)

ウォームビズの実施期間は?

ウォームビズは2005年から開始されて以降、毎年期間は11月1日から翌年の3月31日までと決まっています。
この期間にウォームビズが行われるのは、主に気温が関係しています。

地球温暖化により全国的に気温の上昇が見られるとはいえ、地域によっては11月に暖房器具が必要となります。
暖冬を除いて毎年11月には北海道の多くの地域で3℃以下、東北地方でも10℃を下回る地域がほとんどです。

また3月も北海道や東北地方はもちろん、関東の茨城県や栃木県、群馬県や東京都などで最低気温が5℃を下回ることがあり、暖房器具が必要となる日があります。
そのためこの期間にウォームビズを設定して取り組むよう進めています。

  • ウォームビズは2005年に導入された冬期の地球温暖化対策の一つで、暖房時の室温の目安を20℃として、快適に過ごすライフスタイルを推奨するもの
  • 日本は2030年度に向けて、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを2013年度比の26%削減を目標にしている
  • ウォームビズの実施期間は、毎年期間は11月1日から翌年の3月31日まで
  • (出典:気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」,2021)

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    自宅でウォームビズを行う際のポイント

    自宅でウォームビズを行う際のポイント
    ウォームビズを行ううえで大切なことは、暖房の温度調節や目安とされる室温の20℃を保ち続けることではありません。
    それらにも意識を向けるべきですが、快適に過ごせなければ意味がないのです。

    大切なのはウォームビズを行うために、ライフスタイルそのものを見直すことです。
    見直すとは言っても難しいことではありません。少しの見直しで、不要なエネルギーを節約し、ウォームビズを意識した生活で快適に過ごすことができます。

    2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大防止から、新しい生活様式の実践が求められています。
    快適なライフスタイルを送るための衣食住のそれぞれのポイントについて見ていきましょう。

    ウォームビズの「衣」のポイント

    人の体は首、手首、足首の3つの首を温めることで体全体が温まり、冷え性などの改善にも役立つと言われています。
    この部位に太い血管が通っており、血液が温められることで、体が冷えにくくなるためです。

    マフラーや手袋、レッグウォーマーを活用することで3つの首は暖められ、軽くて薄い腹巻や機能性素材の下着、セーターなどの上から羽織るものも機能性素材で作られたものを選ぶことで、暖かさを保ちつつおしゃれな着こなしが可能です。

    また家にいるときはお風呂上がりにいつものパジャマや部屋着の上からもう1枚羽織り、寝るときにタオルを巻き、冷気から首元を守ることも有効です。

    小さくたためるストールをひざ掛けにして、冷気から体を守ることもできます。大判ストールであればファッションとして着こなしつつ、外出先で羽織ったりひざかけにすることで体を暖めることも可能です。

    ウォームビズの「食」のポイント

    鍋はウォームビズにおいて効果的な食事です。鍋は体を暖めてくれることから、冬に重宝されますが、暖めるのは体だけではありません。
    体感温度は温度のほかに、湿度や気流などのバランスによっても変わりますが、鍋から出る蒸気は湿度や体感温度を上げてくれるのです。

    もう一つの効果は鍋に入れられる食材にあります。鍋によって食材は変わりますが、根菜類、特にしょうがなどは体を内側から暖める効果があります。
    地産池消を心がけることで、流通の際の二酸化炭素の排出を減らすことにもつながります。

    また、冷蔵庫に余っている食材も加えることで、食品ロスを抑えることも可能です。
    鍋を囲むことで長い時間同じ部屋に家族が集まることができ、一つの部屋の暖房で暖まることもできます。

    ウォームビズの「住」のポイント

    建物の窓やドアは特に暖かさが逃げやすい場所です。

    室内に暖かい空気を閉じ込めておくためにも窓やドア、壁、床、天井など様々な部分から空気や熱が逃げないように断熱シートや複層ガラス、二重サッシ、厚手のカーテンなどを活用した工夫が必要になります。

    特に窓は全体の熱の50%を流出してしまうため対策は必須です。また気流の流れを生むために、暖房器具だけでなく送風機などを短時間つけて空気を循環させることも大切です。

    加えて湯たんぽや毛足の長いスリッパ、クッションなどを取り入れることで、暖房だけに頼らない工夫もできます。

    ウォームビズでは入浴と運動も大切

    冬には入浴することが快適に過ごすうえで重要です。

    ぬるめのお湯に20分ほどの時間をかけて、半身浸かることで効果的に体の芯から暖めることができます。
    また、ぬるいお湯を少なめに沸かすことは省エネや節水にもつながるため、二酸化炭素の排出削減にも配慮しつつ、経済的にも優しい入浴方法です。

    そのほかにゆず湯やしょうが湯、大根湯などが入浴の効果を高めてくれます。
    普段から湯船に浸からない場合は、大きめのたらいなどで足湯をするだけでも体を暖める効果があります。

    お風呂に入るのはまだ早いという場合にも足湯を活用すると良いでしょう。足湯の後は機能性素材の靴下や毛足の長いスリッパなどでしっかりと保温するのも忘れないようにしてください。

    体を暖めるには運動も一つの方法となりますが、普段からできない人にも日常のなかで意識して行えることはあります。
    例えば通勤や通学などで1駅分歩いたり、階段を使うことで体温が上昇し、新陳代謝が活発になって血流も良くなり、運動不足解消にも効果的です。

    家や職場で座っていることが多い人は、足や首のストレッチなどで新陳代謝を高め、冷えやコリを防ぎつつ、体を暖めるのもポイントになります。

  • 大切なのはウォームビズを行うために、ライフスタイルそのものを見直すこと
  • ウォームビズでは、衣食住のそれぞれのポイントを取り入れると良い
  • 入浴や運動はウォームビズの期間を快適に過ごすために重要なもの
  • (出典:環境省「ウォームビズとは」,2016)

    オフィスでウォームビズを行う際のポイント

    オフィスでウォームビズを行う際のポイント
    家庭における住居にも関係してきますが、オフィスにおいても環境を整えることで電力を抑えつつ快適な環境を作ることができます。
    オフィスビルの省エネは冬の暖房効率だけでなく、冷房効率向上にもつながるのです。

    そのための技術として、ダクトレス送風システムや床置き空調機などを設置して冷たい空気を吸い込み、暖かい空気を循環させることで、効率的な暖房が可能になります。

    また太陽光発電を中心としたスマートエネルギーシステムの運用などにより、再生可能エネルギーの発電でビルのエネルギー消費をすべて賄うようなシステムの導入も進んでいます。

    これらもウォームビズを行ううえでは重要な技術とシステムです。
    このような技術やシステムがなかったとしても、個人が手軽に実践できる工夫でウォームビズに取り組むことができます。

    例えば羽織れる上着を1枚用意しておくことで、体温の調節を行ったり、ひざ掛けなどを活用して足元を暖めたりするのもその一つです。
    機能性インナーなどの活用のほかに、温かい飲み物を飲むことや移動時は積極的に階段を使うことで体温を上げる、ストレッチなどで血行を良くすることも効果的になります。

    特に服装に関しては、オフィスではフォーマルな着こなしが求められますが、重ね着などを行い、快適に過ごせる服装を取り入れることがポイントです。

    ウォームビズを意識した男性の服装

    フォーマルな服装としてはジャケットを中心とした着こなしが重要です。

    男性の場合は、スリーピースのジャケットの下にマフラーを重ねて首や肩を暖め、首元にはウールタイを合わせることで、保温性を高めることが提案されています。
    ダークカラーにまとまりがちな場合は、シャツとネクタイで指し色にするとメリハリがつきます。

    またパンツの下にインナーの着用や、靴下は5本指ソックスに通常使っている靴下をもう1組重ね履きすることで足元の冷えを解消する方法が提案されています。
    靴下にはシルクの素材を取り入れることで、汗による蒸れを抑えながら、保温しにくい足元の冷えを防ぐことが可能です。

    カジュアルなジャケットスタイルの場合は、厚手のコットンスエード素材のジャケットの下に薄手のニットを着ることで暖かくしつつ、着ぶくれを防ぐことができます。

    肌着には保温性に優れた機能性インナーを上下に着用し、薄手の腹巻も重ねることで見えないところにも防寒対策ができます。
    下半身のインナーには七分丈を採用することで、裾が見えずに安心して保温することが可能です。

    ウォームビズを意識した女性の服装

    女性でもジャケットを中心とした着こなしがフォーマルな服装では求められますが、しっかりと重ね着をして保温性を高められます。
    ジャケットの下に丈の短いカーディガンを着て、ブラウスは立ち襟や胸元にフリルがあるものを選ぶことでVゾーンも暖められます。

    吸湿発熱素材などを使用している機能性素材インナーや薄手の腹巻などを着用すれば、体幹も暖めることが可能です。
    ストッキングも保温機能のものを選び、靴の中敷に起毛素材を活用することで足元も快適に過ごすことができます。

    カジュアルなフォーマルスタイルの場合、タイトスカートに大判ストールを細めのベルトを使いポンチョ風に合わせることで、おしゃれを意識しつつ防寒もできます。
    ストールはデスクワーク中にひざ掛けや、首元を保温したいときにはマフラーとして使えるのもポイントです。

    さらにニットベストを合わせることで着ぶくれを防止しつつ、機動性も確保できます。ブラウスはカシミヤなど保湿性に優れた素材を選び、機能性素材のタイツを履くことで下半身もカバーできます。

  • オフィスの環境を整えることもウォームビズにつながる
  • フォーマルな服装にも快適に過ごせるものを取り入れることがポイント
  • (出典:環境省「快適なのに省エネを実現!オフィスでの「ウォームビズ」を考える」)
    (出典:環境省「ウォームビズをおしゃれに楽しむ。冬のあったか着こなし術 <男性編>」,2017)
    (出典:環境省「ウォームビズをおしゃれに楽しむ。冬のあったか着こなし術 <女性編>」,2016)

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    ウォームビズは冬場を快適に過ごすために必要な知識や方法がいくつもあります。
    それは単に二酸化炭素の排出を抑えるだけでなく、節電や節約によって経済的にも優しく、衣食住に工夫を加えることで生活しやすいライフスタイルを確立することにもつながります。

    私たちの生活のなかには工夫することで暖房に頼りきらなくても快適に過ごす方法があるということを教えてくれる事例でもあるのです。
    オフィスであっても服装への工夫や小物を用意することで、快適な環境を作り出すこともできます。

    ウォームビズに取り組むということは、生活の知恵を増やし、より良い状態を環境に配慮しながら過ごすという意味ではメリットが大きい運動でもあるのです。

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