気候変動は日本だけでなく、世界のあらゆる地域で影響を及ぼしています。
国際連合では世界各国に呼びかけや改善に向けた取り組みを進めており、その1つとして気候変動枠組条約やIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)といった存在があります。
この記事では気候変動の影響や対策、それに伴う気候変動枠組条約やIPCCについて解説します。
気候変動とは?地球温暖化や自然災害など様々な影響が生じている現状を解説
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気候変動とは
地球上で起こる大気現象は太陽から受けたエネルギーを源としています。地球が太陽から受け取ったエネルギーは大気圏をはじめ、海洋、陸地、雪氷、生物圏の間で様々な形態を取りながら相互にやり取りされています。
このエネルギーも最終的には赤外放射として宇宙空間に戻され、地球上では安定したエネルギーの収支が維持されます。 このようなエネルギーの流れに関わる地球のシステムを気候系と呼び、大気の平均状態を気候と呼びます。
そして安定的な状態が崩れ、様々な気候の変化をもたらすことを気候変動と言い、これは自然的要因と人為的要因の2つの要因で引き起こされます。
(出典:気象庁「気候変動」)
気候変動の原因
自然的な要因としては、大気自身に内在するもののほか、海洋の変動や火山の噴火による大気中の微粒子であるエーロゾルの増加、太陽活動の変化などが挙げられます。
地球表面の7割を占める海洋は大気との間で熱や水蒸気を交換しているため、海流や海面水温の変動は大気の運動にも大きな影響を及ぼします。
人為的な要因としては人間活動に伴う二酸化炭素の増加や森林破壊などがあります。二酸化炭素などの温室効果ガスの増加は地上気温の上昇を引き起こし、森林破壊は水の循環や地球方面の太陽光の反射量に影響を及ぼすため、気候変動を引き起こす大きな要因として注目されています。
気候変動による影響
気候変動による影響は日本だけでなく、世界中で確認されています。 日本では夏場の豪雨や大型化する台風の接近及び通過、暖冬など様々な自然現象や災害が起こっており、被害を受けています。
また気候変動だけでなく、サンゴ礁の白化による減少も影響を受けた結果と言えます。 これは世界でも言える事であり、熱帯や亜熱帯地域ではサンゴ礁の白化が相次ぎ、観光業への影響が懸念されています。
海面上昇による沿岸災害の増加や海外侵食を受ける地域や、干ばつによる作物の減収、熱波などによる熱関連の死亡の増加、感染症媒介生物の生息域の変化による感染拡大、洪水頻度の増加など、世界各地で様々な影響が出ており、事態は深刻化しています。
(出典:環境省「第3章 気候変動による影響」)
- 気候が安定している状態が崩れ、様々な変化をもたらすことを気候変動と言う
- 気候変動の要因には自然的要因と人為的要因の2つがある
- 気候変動によりサンゴ礁の白化や海面上昇、干ばつ、熱波など様々な影響が出ている
気候変動に関する対策
気候変動とそれによる災害の増加により、世界では国際的な取り組みを講じることとなりました。 気候変動の影響からも分かる通り、その規模は世界全体に広がっています。>
そのため協力して事態にあたらなければ改善は見込めず、一国や一地域の問題では済まない状況まで来ています。 そのような現状から、世界で行うための対策や法整備などが進められてきました。
温室効果ガスの削減
温室効果ガスの削減は重要な取り組みとなっています。 気候変動の要因には人為的なものとして二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が挙げられています。
温室効果ガスは地球から本来放出されるはずのエネルギーを留め、地表温度あるいは海面水温を上昇させてしまいます。
地表の温度や海面の水温の上昇は大気の流れに大きな影響を与えるため、様々な気候変動を起こす原因となっており、干ばつや豪雨、洪水などの水害は気候変動の大きな影響の1つといえ、人や動物、植物などの自然にも被害をもたらします。
このような災害を防ぐためには、根本にある温室効果ガスの削減が不可欠です。 二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスは、先進国だけでなく途上国でも大量に排出されていることから、世界規模で取り組むべき課題として議論され、各国が協力し合いながら対応しています。
気候変動枠組条約
温室効果ガスの削減を行うために、ただ対策を実施するだけでは世界の足並みは揃いません。 そこで国際連合で採択されたのが気候変動枠組条約です。大気中の温室効果ガス濃度の安定化を目的に、温室効果ガス削減計画の策定と実施や、排出量の実績公表を締結国の義務としました。
また先進国は開発途上国への資金供与や技術移転の推進なども義務として負っています。 このような目的と取り組みを定めたのち、さらに目的を達成するための具体的な枠組みとして1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が締結されました。
しかしアメリカやカナダの脱退、先進国と開発途上国の義務の差異や気候変動問題に有効に対処できるのかという疑問の声から、途中でその効力を失うことになりました。
早急に新たな枠組みが必要とされ、京都議定書に代わるパリ協定が2015年に採択されたのです。 パリ協定は法的拘束力を有し、先進国や途上国に関わらず国別の貢献事項を5年ごとに提出および更新し、先進国は総量削減目標を継続する狙いがあります。
そして途上国も全経済の削減と抑制を目指すとされています。 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が温室効果ガス削減に向けて取り組むことを約束した枠組みでもあります。
現在このパリ協定をもとに世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追及し、2020年以降の将来枠組として、各国が削減に向けた取り組みを行っています。
(出典:経済産業省「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とパリ協定の関係について」)
- 温室効果ガスの排出を削減するために国際連合で気候変動枠組条約が採択された
- 1997年に京都議定書が締結されたが途中で効力を失うこととなった
- その後パリ協定が採択され、歴史上初めて全ての国が温室効果ガス削減に向けて取り組むことを約束した枠組みとなった
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは
気候変動枠組条約とは別にIPCCと呼ばれる組織も設立されています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)とは人為的要因による気候変化や影響、適応および緩和方策に関して、科学的・技術的、あるいは社会経済学的な見地から包括的(総合的)な評価を行うことを目的として設立された組織です。
気候変動枠組条約が採択される4年前の1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立されました。 IPCCは総会、3つの作業部会(WG)、イベントリ・タスクフォースで構成されています。
(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「IPCCとは」)
(出典:環境省「IPCC関連情報」,2015)
活動内容
IPCCの活動内容は、世界の科学者が発表する論文や観測および予測データから専門家が科学的な分析を行います。そして社会経済への影響、気候変動を抑える対策などを盛り込んだ報告をまとめています。
5~7年ごとに最新の知見を評価し、評価報告書がまとめられ公表されること、そして政策的に中立であり特定の政策の提案を行わないことから、国際交渉に強い影響力を持っています。
3つの作業部会ではそれぞれの役割を担っており、支援組織の協力のもと、各分野での評価を行い報告書としてまとめています。
第1作業部会(WG1)は気候システムおよび気候変化に関する科学的知見について、第2作業部会(WG2)では気候変化の自然及び社会経済への影響や適応策について、第3作業部会(WG3)は気候変動の緩和策、並びに温室効果ガス排出シナリオについての評価を行います。
またイベントリ・タスクフォースでは国別温室効果ガスの排出及び吸収量の算定、そして報告手法の開発や改良及び普及を行うことを目的と活動を行っています。
- 気候変動に関する政府間パネルはIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)と呼ばれている
- 国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された
- 世界の科学者が発表する論文や観測および予測データから専門家が科学的な分析、そして社会経済への影響、気候変動を抑える対策などを盛り込んだ報告をまとめている
気候変動は世界で大きな影響を与えている
気候変動は世界規模で起こっており、各地で様々な影響を与えています。
日本も例外ではなく、近年は大きな災害も引き起こされており被害が続出しています。 このような気候変動はこれまで行ってきた、あるいは現在も行われている人間活動の結果とも言えます。
そのため行動を改め、改善に向けた対策に取り組んでいかなければ、いずれ取り返しがつかない状況にまで陥ってしまいます。
そうならないために世界では各国が改善に向けた取り組みを行っていますが、根本には私たちの日常生活も原因となっていることから、その生活を変えていく必要があるのです。
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