気候変動は日本や世界で様々な影響を与えています。 気候変動は地球温暖化など数々の原因があり、このままにしておけばさらに大きな影響を及ぼすことがあります。
そのため、世界では気候変動に適応、あるいは緩和するために各国で取り組みを行っていますが、それらが効果を発揮しているのか、 正しく行われているのかは評価されなければ分かりません。
それを実現したのが気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と呼ばれる組織です。
この記事では気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の目的や活動内容を紹介します。
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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とは
気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)とは人為的要因による気候変化やその影響、適応および緩和方策に関して、科学的・技術的、あるいは社会経済学的な見地から包括的(総合的)な評価を行うことを目的として設立された組織です。
1899年の 国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立され、世界の科学者が発表する論文や観測および予測データから、政府の推薦などで選ばれた専門家がまとめています。
科学分析のほかにも社会経済への影響や気候変動を抑える対策も盛り込まれ、報告書は国際交渉に強い影響力を持っていることが特徴です。
(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「IPCCとは?」)
- IPCCは人為的要因による気候変化やその影響、適応および緩和方策に関して、科学的・技術的、あるいは社会経済学的な見地から包括的(総合的)な評価を行うことを目的である
- 1899年の国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立され、政府の推薦などで選ばれた専門家がまとめている
- IPCCの報告書は化学分析の以外にも社会経済への影響や気候変動を抑える対策も記載されているため、国際交渉に強い影響力を持っている
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の構成内容
このIPCCは総会、3つの作業部会(WG)、イベントリ・タスクフォースで構成されています。 作業部会ではそれぞれの役割を担っており、支援組織の協力のもと、各分野での評価を行い報告書としてまとめてきました。
ここからは、IPCCの作業部会とイベントリ・タスクフォースについて、それぞれの役割などを紹介します。
第1作業部会(WG1)
第1作業部会(WG1)は気候システムおよび気候変化に関する科学的知見について評価を行っています。
2015年以降に始まり、現在進行している第6次評価報告書(AR6)作成プロセスでは共同議長にフランスと中国の出身者、副議長には7カ国の出身者が就き、フランスの支援組織(TSU)の元報告書を作成しています。
気候システムがどのように機能し、人間活動に応じてどのように変化しているかを知るため、科学的な数々のアプローチを行い、気候システムの全体像と変化の原因を含む気候システムの変化の様子を把握するため評価が行われています。
それらを元に気候変動の科学的および技術的評価を完全にまとめた公開資料と統合レポートをオプションの技術概要や政策立案者向け概要で構成され、まとめられています。
(出典:IPCC「Working Group I The Physical Science Basis」)
第2作業部会(WG2)
第2作業部会(WG2)では気候変化の自然および社会経済への影響、適応策についての評価を行っています。 AR6以降はドイツと南アフリカの出身者が共同議長を、8カ国の出身者が副議長を担い、ドイツの支援組織(TSU)で構成されています。
気候変動の影響は地球全体の生態系や生物多様性、人間とその多様な社会、文化、集落などそれぞれに影響を与えるため、これらを世界的な支店から地域的な視点まで評価するのがこの作業部会の役割です。
自然および人間の社会システムの脆弱性と能力の限界を考慮した上で、気候変動に適応し、リスクの軽減と緩和、適応の取り組みに対する公平で統合されたアプローチを通じたオプションを提供しています。
(出典:IPCC「Working Group II Impacts, Adaptation and Vulnerability」)
第3作業部会(WG3)
第3作業部会は気候変化の緩和策ならびに温室効果ガス排出シナリオについての評価を行います。 AR6以降はイギリスとインドが共同議長を、7カ国が副議長を担い、イギリスとインドの支援組織のサポートで活動しています。
この作業部会では評価だけでなく、技術的な実現可能性、コスト、対策を講じることを可能にする環境など、気候変動を緩和するためのあらゆる側面にも取り組んでいます。
(出典:IPCC「Working Group III Mitigation of Climate Change」)
イベントリ・タスクフォース
上記3つの作業部会以外にイベントリ・タスクフォースが存在します。 こちらは国別温室効果ガスの排出および吸収量の算定、そして報告主砲の開発や改良および普及を行うことを目的としています。
AR6以降は人とペルーが共同議長を担っており、こちらは副議長ではなく12カ国のビューロー(議長団)で構成され、日本の支援組織がサポートしています。
各国の温室効果ガス排出量と除去量の計算と報告は目標達成には必須であり、その方法論とソフトウェアの開発・改良、そして国連気候変動枠組条約の署名者による方法論の広域な賞の奨励が主な活動となっています。
(出典:IPCC「The Task Force on National Greenhouse Gas Inventories (TFI)」)
(出典:環境省「IPCC関連情報」)
(出典:環境省「IPCC組織の概要」,2014)
- 第1作業部会(WG1)は気候システムおよび気候変化に関する科学的知見について評価する
- 第2作業部会(WG2)では気候変化の自然および社会経済への影響、適応策について評価する
- イベントリ・タスクフォースは国別温室効果ガスの排出および吸収量の算定、そして報告主砲の開発や改良および普及を行うことを目的とする
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の活動内容
IPCCの主な活動内容は、団体の目的にもあるように、気候変動に関する最新の科学的知見について取りまとめた報告書を作成し、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることです。
報告書に関しては先述した3つの作業部会とイベントリ・タスクフォースによって行われており、活動の核として5~7年ごとに科学的知見から評価を行い、IPCC評価報告書を作成し、発表しています。
1990年に第1次評価報告書、1995年に第2次評価報告書、2001年に第3時評価報告書、2007年に第4次評価報告書、2013~2014年にかけて第5次報告書を発表しています。
現在は2015年から第6次評価報告書の作成プロセスが開始されており、先述した組織の下で報告書が作成されています。 IPCCは参加国のコンセンサス(意見の一致や合意)によって意思決定を行う政府間組織です。
そのため各報告書はIPCC参加国がコンセンサスで承認し、採択されます。 ゆえに各国が承認採択した最新の科学的知見として、国連気候変動枠組条約をはじめとする交渉や国内政策のための基礎情報として引用されており、一般でも広い層から参照されていることから、国際的交渉の場においても強い影響力を持っています。
またIPCCは設立以来、政策的中立であることを前提としており、特定の政策の提案を行わない、という科学的中立性を重視していることから、その信頼性も高いといえます。
- IPCCの主な活動内容は、気候変動に関する最新の科学的知見について取りまとめた報告書を作成し、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えること
- IPCCは参加国のコンセンサス(意見の一致や合意)によって意思決定を行う政府間組織
- IPCCは設立以来、政策的中立であることを前提としており、特定の政策の提案を行わない、という科学的中立性を重視していることから、その信頼性も高い
(出典:環境省「IPCC関連情報」)
気候変動について知ることはとても重要
気候変動は身近にある変化です。気温だけでなく天気や自然など様々なところで変化が起こり、私たちの生活に影響を与えています。
日本でも目に見えた被害が出始めたのはここ数年から数十年ですが、世界ではもっと前から対策を行っており、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のような組織も作られていました。
気候変動に関する政府間パネルでの世界の評価報告、そして国連気候変動枠組条約により、世界では様々な取り組みが行われていますが、既にかなりの気候変動が進行しています。
このままでは取り返しがつかない段階にまで到達してしまう可能性もあることから、早急な対策が求められています。 それは政府や関係各所だけでなく、私たちの取り組みにもかかっています。まずは気候変動について知ることが重要であり、そこからどのような行動を起こすべきかを考える必要があります。
今すぐにでも気候変動の状況、気候変動に関しての世界や日本政府の取り組み、そして私たちができることについて調べてみてはいかがでしょうか。
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