働きがい

ブラック企業とは?特徴や見抜く方法、適切な対処法を解説

「ブラック企業って具体的にはどんな会社?」
「知り合いがサービス残業で苦しんでいるのでなんとかしたい」
「なぜブラック企業って無くならないの?」

このように考えている方に向けて、この記事では以下について解説しています。

  • ・ブラック企業とはどのようなものか
  • ・ブラック企業と関わったらどのように行動したらいいか
  • ・ブラック企業をなくすためにはどうしたらいいか

結論からいうと、ブラック企業とは、長時間労働や賃金未払い残業などを課す会社のことをいいます。また、ブラック企業から身を守るためには、労働基準監督署や労働組合(ユニオン)などの関連機関に相談することがおすすめです。

また下記記事では、日本の「働き方」「働きがい」についての現状や課題について言及しています。ぜひ参考にしてください。

>>みんなが働きがいを感じて仕事をするためには?解決するべき日本の課題や現状とは

ブラック企業の定義や特徴は?

ブラック企業の定義や特徴を説明します。一般的な特徴を厚生労働省が公開しています。

・労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
・賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
・このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
出典:「ブラック企業」ってどんな会社なの?|厚生労働省

そもそも労働基準法では1日8時間、週に40時間を超える労働は原則認められていません。原則として月45時間・年360時間が上限となっています。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、残業時間が以下を超えることはできません。

  • ・年720時間以内
  • ・複数月の平均が80時間以内(休日労働を含む)
  • ・月100時間未満

これは、労働基準法36条に基づいています。これらは厚生労働省のホームページから確認できます。

上記の労働時間を越えている場合、極端な長時間労働とされることが一般的です。

ちなみに、パワーハラスメント(パワハラ)の定義は、厚生労働省によると、

①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害される

ものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの

とされています。これらが頻繁に横行する会社がブラック企業に該当すると考えられます。

なぜブラック企業が社会から無くならないのか?

なぜブラック企業はなくならないのでしょうか。ここでは、その理由について考察します。

1つ目は、日本の国内総生産は1995年以降ずっと横ばいであり、非常に鈍化しています。

このことにより、日本の企業が利益をあげることが難しくなっています。よって、立場の弱い労働者から搾取するしか方法がなくなり、残業代未払いの長時間労働や無理なノルマを社員に課すことになるのです。

2つ目は、低い人材の流動性と企業の閉鎖性です。

民間のアンケート結果によると、50%以上が「転職は当たり前」と回答。以前に比べて一般的になってきてはいるものの、厚生労働省のアンケート結果によると、賃金が「増加した」が 39.0%、「減少した」が 40.1%と、減少した人が上回っており、転職によって必ず環境がよくなるとは限らず、まだまだためらう人も多くいます。

いまだに日本では「転職は悪いもの、裏切り行為」というイメージが根強く残っています。転職回数が多い人や、短い勤続年数で前職を離職した人は、忍耐力がないなどといったマイナスの印象を持たれることがあり、労働条件が悪くとも、我慢する人が多いのが現状です。

このことから、社内から声をあげづらく、労働環境が改善されていない可能性もあります。

出典:令和2年転職者実態調査の概況(厚生労働省)

ブラック企業を見抜く方法は?入ってしまった場合の対処法

ブラック企業を見抜く方法と、入ってしまった場合の対処法を紹介します。

ブラック企業か判別するには

ブラック企業の特徴としてネットで公開されている情報を集めました。ぜひブラック企業かどうかを見分ける参考にしてみてください。

・長時間労働、過重労働
・休日が少ない、有給が取れない
・給料が低い、最低賃金を下回っている
・残業代が出ない
・謎の雇用契約(管理職だから残業代を出さない、残業代が給料に含まれているなど)
・パワハラやセクハラの横行
・精神論がよく出てくる

また、就職活動のタイミングでブラック企業を見分けるためのポイントも4つ紹介します。

・求人情報に「固定残業代」など怪しいフレーズがある
・会社の売りとなるポイントが抽象的である
・実際に職場を見て、身だしなみやデスクまわりなど社員の様子が健康的でない
・ネットでの従業員の声を調べると、残業時間や休暇、パワハラへの不満が多い

これらの条件に多く当てはまる場合、ブラック企業と言える可能性があります。

ブラック企業かも、と思ったらすべきこと

ブラック企業に勤め続けることは、いずれ肉体・精神共に大きなダメージを受けることに繋がります。

現在の働いている職場環境を抜け出したいと思った場合は、公的機関の相談窓口に問い合わせる、という方法があります。

各都道府県の労働局には、「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」などが設けられています。また、電話やメールでも「労働条件相談ほっとライン」「労働基準関係情報メール窓口」といった窓口から相談できます。

外国人労働者向けの相談窓口もあります。厚生労働省のホームページからご確認ください。

>>厚生労働省「相談機関のご紹介(外国人労働者向け)

ブラック企業をなくすために私たちができること

ブラック企業をなくすためにできることを紹介します。

ブラック企業の調査・対策をするNPOを支援する

ブラック企業の問題に取り組むNPO団体の1つに、NPO法人POSSEという団体があります。POSSEは「ブラック企業」という言葉を世に出した団体でもあります。

POSSEでは、労働問題に関する相談へのアドバイス、権利行使のサポートに加え、メディアでの発信などを通じて、労働・貧困の現場から社会に影響を与えていく活動を行っています。

POSSEでは寄付やクラウドファンディング、ボランティアを募っています。

ブラック企業の問題に取り組むNPO団体の活動を支援することで、ブラック企業をなくすことに貢献できます。

>>団体公式ページはこちら

公的支援や公的機関、弁護士を紹介する

もし知り合いがブラック企業にいたら、まずは「労働時間に対して正当な賃金が支払われていない」「パワハラ・セクハラをうけている」などといった証拠を集めましょう。

その後、以下のような機関に行くよう促すことがおすすめです。

おすすめの相談先▼
・労働基準監督署
・各自治体の労働相談センター
・労働組合(ユニオン)
・弁護士事務所

ブラック企業を無くすための行政や公的機関の取り組み

厚生労働省では「長時間労働削減推進本部」や「働き方改革推進本部」を設置し、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の「働き方改革」について、労使団体への協力要請や情報発信等を行っています。

具体的な取り組みの一つとして、違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導や、改善されない企業名の公表があります。

また、各都道府県の労働局で相談窓口を設けており、ブラック企業の撲滅に力を入れています。

出典:「長時間労働削減に向けた取組(厚生労働省)」

ブラック企業は誰にでも関わる問題!一緒に解決を目指そう

ここまで、ブラック企業とはなにか、なぜ存在するのか、どのように対応したらよいかについて解説しました。ここで、紹介した内容をまとめます。

  • ・ブラック企業とは、長時間労働や残業代の未払い、パワハラ・セクハラが横行する企業のこと
  • ・ブラック企業に勤めているとわかったら、専門のNPOや行政機関へ相談する
  • ・ブラック企業の問題に取り組むNPO団体を支援することで、問題解決に貢献できる

ブラック企業の問題は、自分自身はもちろん、身近な人たちも巻き込まれる可能性のあるとても身近な問題です。

放っておいてはいけない社会全体で取り組む必要のある課題であり、私たちも課題解決に関わることができます。

まずは知ることから始め、いつでも対応できるようにしておきましょう。

働き方に関する日本の課題や現状については下記でも解説しています。働き方について問題意識を持っている方はぜひ参考にしてください。

>>みんなが働きがいを感じて仕事をするためには?解決するべき日本の課題や現状とは

この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿