働きがい

新型コロナウイルスで企業・事業主が抱える雇用問題とは?

2020年2月に中国・武漢で流行した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界を飲み込みました。
2020年6月10日時点で、世界の感染者数は700万人を突破。死者数は世界で40万人を超える事態となりました。

日本においては、2020年4月7日に政府が緊急事態宣言を発令。
世界からの旅行客の激減のほか、日本国内においても移動に制限が掛かったことで多くの企業に甚大な被害が及びました。

この記事では、新型コロナウイルスによって企業・事業主が抱える雇用問題について解説します。

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新型コロナウイルスがもたらした企業・事業主への影響とは

最初に、新型コロナウイルスがもたらした企業・事業主への影響について説明します。

ビジネス活動における減収

新型コロナウイルスの流行によって、「お家で過ごそう」というメッセージが流行し、自宅で過ごすことが増えたことで様々な業界が苦しい経営状況に追い込まれました。
特に大きな影響を受けた業界は、航空業界・宿泊業界・飲食及びサービス業界です。

航空業界の場合、世界からの入国制限がスタートしたことで国際便の利用需要は実質的に消滅。
国内線においても、数多くの航空会社で減便を余儀なくされました。

2020年のゴールデンウィークの予約状況は、前年比より国際線が97.3%減、国内線においても88.8%減となりました。
大手航空会社は運行本数の9割を減便し、予約率は30%以下にまで低迷、採算ラインとなる50%を大きく割り込みました。

宿泊業界においても、「出張によるビジネス利用」「旅行で訪れる観光客」など、移動自粛に伴って大幅に予約が減少し、2020年6月10日時点で倒産している会社の業種は「旅館・ホテル」が40社でトップ。
また、東京オリンピックの延期によって予定されていた莫大な宿泊予約が蒸発。
「観光・旅行」に対するハードルが上がってしまった新型コロナウイルス収束後の生活で、どれだけの需要が復活するかが大きな焦点です。

苦しい経営状態の中で、新型コロナウイルスが追い打ちになり倒産

飲食店・ホテル・旅館など、新型コロナウイルスの感染が拡大する前から苦しい経営が続いていた店舗が、新型コロナウイルスによって追い打ちをかけられ、資金繰りが難しい事業体から倒産していく負のスパイラルに陥りました。

倒産件数は、2020年6月10日時点で全業種で200件以上。
新型コロナウイルスの感染拡大がある程度落ち着いた後でも、各地でクラスター発生などがニュースで報道されたため、今までの生活様式を今回のコロナウイルス流行を機に、大幅に変える人々も少なくありません。

「仕事をすべてリモートワークに」「飲食店には行かずに、テイクアウト」「休日は自宅で過ごす」など、新しい生活様式に合わせたサービスの提供を考えることが求められています。

収入減少により広告費削減

会社の収入減少によって、連鎖的に他の業界の不景気を作り出します。
数多くの業界で売り上げが激減した場合に行われるのが、経費の削減です。

従業員の給与、水道代・電気代などの数多くの固定費がある中で、一番最初に削減される場所は広告費です。
広告費とは、主に会社のサービスを宣伝するために、CMの他、インターネットサイトなどの広告などに掛けられているお金を指しています。

ある調査によると、2020年3月1日から4月24日までの全国放送エリアにおいて、ACジャパンのCMが前年の7倍近く放送されていたことが判明しました。これは、自然災害などの不可抗力の事象が発生した際に、広告主企業の申請によってACジャパンの公共広告に差し替えるのです。

広告費の削減は、YouTubeやSNSなどで活動しているインフルエンサーと呼ばれる職業の方にとっては大きな打撃です。
YouTubeで活動するインフルエンサーのほとんどは、収入源は動画が再生されることによって表示される広告によって収入が得られるようになっています。

例えば、「旅行」「飛行機」などのテーマをメインにYouTubeで配信をされている方は、新型コロナウイルスをきっかけに旅行に行くことができず、活動できないため、苦しい状況に至る場合があります。

その他のSNSにおいても、インフルエンサーに支払える報酬が確保できないために、広告を取りやめる企業も多くあります。
企業だけではなく、個人の影響力を仕事に生活しているインフルエンサーにとっても大きな苦境となっています。

会社の休業に追い込まれ、従業員に対する問題に

飲食店やホテルなど、人の往来が制限されたことや、営業による3密を回避できないという点から、営業自粛を選ぶ企業も数多くあります。

実質的な営業停止によって、人件費削減が大きな課題となり、アルバイトの解雇や従業員の休業要請などを行う場合も珍しくありません。

正社員などを休業という扱いにする理由は、日本は世界の中でもかなり解雇規制が厳しい国であるためです。
解雇が難しいために、休業させたり、退職金を少し上乗せして自主退職を促す方法なども取られているのです。
「雇用契約は残っているが給与が削減されている」という苦しい状況を過ごしている方も少なくありません。

  • 新型コロナウイルスにより特に大きな影響を受けた業界は、航空業界・宿泊業界・飲食及びサービス業界
  • 売り上げが激減した場合に行われるのが、経費の削減であり、一番最初に削減される場所は広告費
  • 人件費削減が大きな課題となり、アルバイトの解雇や従業員の休業要請などを行った
  • 企業活動・雇用などに関する政府の支援策は?

    ここからは、2020年6月10日時点で、新型コロナウイルスの影響からくる企業活動・雇用の問題に対して行われている政府の支援をいくつか紹介します。

    特別定額給付金

    主に会社を解雇された方の生活を支援するためのものです。
    感染拡大に留意しながら、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行います。

    持続化給付金

    新型コロナウイルス感染症拡大によって、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としてもらうため、事業全般に広く使える給付金を給付する支援制度です。

    雇用調整助成金

    経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものです。

  • 「特別定額給付金」は主に会社を解雇された方の生活を支援するためのもの
  • 「持続化給付金」は新型コロナウイルス感染症により影響を受ける事業に対して、事業全般に広く使える給付金を給付する支援制度
  • 「雇用調整助成金」は、経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するもの
  • (出典:総務省「特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)」)
    (出典:中小企業庁「持続化給付金 制度内容」持続化給付金とは?)
    (出典:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」)

    新型コロナウイルスで苦境に迫られている企業・事業主は支援制度を利用しよう!

    新型コロナウイルスの影響で、航空業界・宿泊業界・飲食業界・サービス業界に限らず、さまざまな業界に少なからずも影響は出ています。

    現状を少しでも良い方向にするため、政府は企業や事業主のために支援策を多く盛り込んでいます。
    まずは現状でどのような制度があるかを知り、必要なものに申請を行いましょう。

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