バーチャルウォーター(仮想水)

おにぎり、牛丼、ハンバーガーからバーチャルウォーターを計算!そこから見える問題点とは

私たちの生活では、様々な食材を使って日々の食事を取っています。
自宅で作る人、外食で済ませる人、テイクアウトで持ち帰る人など状況によって異なりますが、その中には国内で作られた食材だけでなく、海外から輸入された食材も使われています。

この海外産の食材には生産国の水も使われており、私たちはその恩恵を受けていることになります。
この記事では、そのような食材や料理に使われているバーチャルウォーターと呼ばれる水について計算し、浮かび上がる問題を紹介します。

バーチャルウォーターから分かる水問題とは?

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身近に存在するバーチャルウォーター(仮想水)

日本は食料自給率が低いということは度々問題として挙がっています。不足している食料に関しては他国に頼らざるを得ず、輸入によって取り寄せられ、国内で流通します。

海外では広い土地を利用して大量生産をしていることもあり、安価な食料品が輸入できます。しかし国内で生産している同じ品目でも競争に負け、その農業が縮小してしまうという負の連鎖も起こっており、またそれ以上に大きな問題も起こっています。
それがバーチャルウォーターの問題です。
バーチャルウォーターとは輸入している食料品をすべて国内で生産したと仮定したとき、生産に必要な水の量を算定したものと定義されています。

輸入品もそうですが、農作物や畜産物を含む商品の原材料になるものはすべて、育てるために水を必要とします。
それらの水がなければ生産することができないため必要不可欠なものであり、それが生産国の国内で消費されれば、国内の水を間接的に利用したことになります。
しかし輸入品として消費国へ渡れば、本来なら生産国内で使用されるはずだった水を消費国が輸入していることに近い状態になります。

食品自給率が低く、多くを輸入品に支えられている日本は、その食料品に使われている多くの水を輸入していると考えることもできます。
バーチャルウォーターは輸入食料品に潜在的に含まれている水であるため、どれだけの水が使用されているか実感できないことがほとんどです。
そのため食品によって数値化したものが必要であることから、環境省ではバーチャルウォーター量の一覧表などを公式サイトで公表し、自動計算できるページも準備しています。

  • 日本は食料自給率が低い
  • バーチャルウォーターとは輸入している食料品をすべて国内で生産したと仮定したとき、生産に必要な水の量を算定したもの
  • 多くを輸入品に支えられている日本は、その食料品に使われている多くの水を輸入していると考えることもできる

  • (出典:独立行政法人国際協力機構JICA「4.仮想水でみる途上国依存」)

    食品に含まれるバーチャルウォーター(仮想水)

    バーチャルウォーターは食品ごとに計算でき、生産するまでにどれだけの水が必要か知ることができます。
    ただ私たちが実際にその食品を口にするのは調理されたものです。
    そのため食材1つ1つより、具体的によく食べられる料理などで示される方が、イメージはしやすくなります。
    そこでここからは、食されることが多いおにぎりや牛丼、ハンバーガーなど身近にある料理に隠されたバーチャルウォーターについて紹介します。

    おにぎりのバーチャルウォーター

    おにぎりはコンビニや専門店もあり、家でも手軽に作ることができる料理です。
    塩おにぎりから様々な具材を入れたものまで多種多様であり、好みの具材のおにぎりを食べることでしょう。
    具材のバーチャルウォーターを計算に入れるとおにぎりの種類だけ数値が必要となるため、今回は塩のみで味付けしたもので考えます。
    おにぎり1個分にはお茶碗1杯分のご飯を使用することがほとんどであることから、75gのお米で算出すると、塩おにぎり1個分に含まれるバーチャルウォーターは278リットルとなります。これは500mlのペットボトルで556本分に相当します。

    牛丼のバーチャルウォーター

    チェーン店などの増加により、気軽に素早く食せる食べ物として人気が出たファーストフードとして牛丼があります。
    牛丼には主に牛肉、たまねぎ、お米が使われています。調味料などに使われる材料のバーチャルウォーターは計算上少量のため、今回は除外します。
    一般的に並盛りの牛丼を作る場合は、牛肉が70g必要ですが、この中に含まれるバーチャルウォーターは1,442リットルです。
    また20g必要なたまねぎには3.16リットル、120g必要なお米には444リットルのバーチャルウォーターが含まれるため、合計で約1,889リットルのバーチャルウォーターが隠れていることになります。
    これは500mlペットボトルが3,780本分になることから、潜在的に多くの水を消費して私たちの口に届くことが分かります。

    ハンバーガーのバーチャルウォーター

    ファーストフードの中でもかなりポピュラーな食べ物がハンバーガーです。
    こちらもおにぎり同様に様々な種類のハンバーガーが存在しているため、シンプルなハンバーガーで計算してみます。
    ハンバーガーには牛肉45g、パン45g、たまねぎ24g程度が必要です。こちらも調味料となるものは少量になるため計算から除外します。
    ここから牛肉には927リットル、パンには72リットル、たまねぎには3.8リットルほどのバーチャルウォーターが含まれています。
    これを合計するとおよそ1,002リットルになり、500mlのペットボトル換算でおよそ2,000本分になります。

    カレーライスのバーチャルウォーター

    食される機会も多いカレーライスは多くの材料や調味料、香辛料を使用します。こちらもカレーの種類によって材料などが異なるため、一般的なポークカレーで計算します。
    ポークカレーには主に豚肉、たまねぎ、じゃがいも、にんじん、お米、サラダ油、小麦粉、カレー粉が使用されます。それぞれ必要な分量に対して含まれているバーチャルウォーターの量は以下の通りです。

  • 豚肉:100g = バーチャルウォーター:590リットル
  • たまねぎ:63g = バーチャルウォーター:9.95リットル
  • じゃがいも:113g = バーチャルウォーター:21.81リットル
  • にんじん:38g = バーチャルウォーター:6.95リットル
  • お米:75g = バーチャルウォーター:227.5リットル
  • サラダ油:13g = バーチャルウォーター:20.8リットル
  • 小麦粉:16g = バーチャルウォーター:33.6リットル
  • カレー粉:4g = バーチャルウォーター:89.44リットル
  • その他:バーチャルウォーター:37.15リットル
  • これらを合計すると1,095リットルのバーチャルウォーターが隠れています。これは500mlペットボトルで2,190本分になります。

    ラーメンのバーチャルウォーター

    日本でも多くの店が出店し、ご当地ラーメンもあるほど人気な料理です。こちらも一般的な塩ラーメンで考えてみます。
    ラーメンには麺に使う小麦粉や卵、スープや具材に使う鶏がらや大根、豚挽き肉、にんじん、キャベツ、たまねぎなどが挙がります。

  • 小麦粉:200g = バーチャルウォーター:420リットル
  • 卵:55g = バーチャルウォーター:176リットル
  • 鶏がら(スープ):250g = バーチャルウォーター:75リットル
  • 大根(スープ):360g = バーチャルウォーター:46.08リットル
  • 豚挽き肉:35g = バーチャルウォーター:206.5リットル
  • にんじん:50g = バーチャルウォーター:9.15リットル
  • キャベツ:150g = バーチャルウォーター:17.55リットル
  • たまねぎ:125g = バーチャルウォーター:19.75リットル
  • これらを合計すると970リットル、500mlペットボトルにして1,940本分のバーチャルウォーターが隠れています。

    コーヒーのバーチャルウォーター

    コーヒーはコーヒー豆のみではあるものの、コーヒーの生産には多くの水を利用します。
    1杯のコーヒーを入れるには10gのコーヒー豆と90ccの水が必要です。コーヒー豆は10gであっても210リットルものバーチャルウォーターが含まれます。
    90ccの水は0.09リットルに換算されるので、合計で無視できる量であったとしても、合計で210リットルのバーチャルウォーターは420本の500mlペットボトルに相当します。
    そのため製品として売られているものを輸入するのであれば、相当なバーチャルウォーターを輸入していることになります。

    ビールのバーチャルウォーター

    宴会や晩酌などで飲まれるビールには麦が使われていますが、生中といわれる中ジョッキビールであれば435ccのビールが必要になります。
    これに相当する麦に含まれるバーチャルウォーターは113.1リットルであり、500mlペットボトルであれば226本分が生産に使われていることになります。

    身近な食べ物のバーチャルウォーターの算出

  • 【塩おにぎり】1個分に含まれるバーチャルウォーターは278リットル。500mlのペットボトルで556本分
  • 【牛丼】牛肉、玉ねぎ、お米を合わせてバーチャルウォーターは合計で約1,889リットル。500mlペットボトルが3780本分
  • 【ハンバーガー】牛肉、パン、玉ねぎでバーチャルウォーターは1,002リットル。500mlのペットボトルで2,000本分
  • 【カレー(ポーク)】豚肉、野菜、お米、サラダ油、カレー粉、小麦粉などでバーチャルウォーターは1,095リットル。500mlペットボトルで2,190本分
  • 【ラーメン(塩)】小麦粉、野菜、卵、スープなどを合わせてバーチャルウォーター970リットル。500mlペットボトルで1,940本分
  • 【コーヒー1杯】420本の500mlペットボトルに相当
  • 【ビール(中ジョッキビール)】500mlペットボトルであれば226本分
  • (出典:環境省「MOEカフェ バーチャルウォーター量」)
    (出典:環境省「仮想水計算機」)

    農作物よりも畜産物の方がバーチャルウォーターは多い


    食材及び料理に含まれているバーチャルウォーターを、例を挙げて紹介しました。
    その中で農作物よりも畜産物の方に隠れているバーチャルウォーターの方が多いことが分かります。
    これは畜産に用いられる牛や豚などは生きていくために必要な水以外に、飼料も必要とします。
    この飼料を育てるためにも水を必要とするため、その分が牛や豚などの畜産物のバーチャルウォーターに加算されるということです。
    つまり畜産物を多く輸入している生産国からは、より多くの水を輸入していることにもなります。
    国産牛や国産豚などが注目を集める中で、やはり安価な海外産の肉類も需要があります。2018年の報告では、和牛や交雑種、入用種などの国産牛の生産量は30,829トンなのに対して、牛肉の輸入量はアメリカ産が136,217トン、オーストラリア産が127,436トン、カナダ産が5,345トン、全体でも607,475トンと非常に多くの海外産牛肉を輸入していることになります。
    単純にこの輸入牛肉に含まれるバーチャルウォーターは約1,251億リットルということになります。この結果から、年間だけで見ても多くの水によって私たちの生活が支えられていることが分かります。


    (出典:農畜産業振興機構「30年の牛肉輸入量、17年ぶりに60万トン超え」,2019)

    水不足の国からコーヒー豆を輸入すると水源をより枯渇させることに

    農作物の生産の中でも特に多くの水を使用するコーヒー豆ですが、日本ではそのほとんどを海外から輸入しています。

    全国的に1位の輸入国はブラジル、2位がコロンビアとなっていますが、5位には水不足が懸念されるインドネシアが含まれています。
    また横浜港限定であれば、第5位にはエチオピアが入ってきます。エチオピアは水不足により、国民の水ストレスの問題が浮上している国でもあります。
    エチオピアは干ばつや紛争の被害でソマリアから難民が押し寄せていることで、食糧難や水不足が起こっていますが、一方で国の経済を支えるためにコーヒー豆の輸出も必要であるため、水不足が深刻な状況に陥っています。
    そういった国からもコーヒー豆を輸入していることから、水不足の国の水源をより枯渇させる原因になる可能性があります。

  • 日本のコーヒー豆はほとんど輸入されている
  • 日本の輸入国5位は水不足が懸念されるインドネシアが含まれる
  • 水不足の国から輸入を行うと水源をより枯渇させる原因になる可能性がある

  • (出典:横浜関税「コーヒー生豆の輸入」,2018)
    (出典:国連UNHCR協会「水がない!アフリカ東部大干ばつ」)

    食品ロスをなくす取り組みを心がけよう


    私たちが日常的に利用する食材にはバーチャルウォーターが含まれていることが数値的に明らかになりました。日々多くのバーチャルウォーターの存在に支えられて、私たちの生活は成り立っています。

    日本は決して水不足や水問題が発生している国ではありませんが、食材を輸入している生産国によっては、水不足に悩まされている国や地域もあります。
    そういった国にとって水の大量消費は死活問題ですが、作物の生産を止めてしまえば経済が立ち行かなくなるという別の問題も発生します。

    バーチャルウォーターは難しい問題ではありますが、輸入を完全に打ち切るわけにもいきません。
    ただ私たちは生活をしていく中で、食品ロスなどをすることがあります。この食品ロスは食べ残しや使えずに捨てる食材などを意味しますが、この中にもバーチャルウォーターが含まれます。
    つまりは私たちを支えてくれている他国の水を、見す見す廃棄していることになるのです。

    バーチャルウォーターの問題に関しては貿易や消費など総合的な対策が必要となりますが、その中でも私たちがすぐできることとして、食品ロスをなくすことで無駄になる食材が減ります。
    そうすれば無意識に使用する水を抑えることにもつながるため、バーチャルウォーター問題を少しでも改善する手助けになる可能性があります。
    小さなことではありますが、食材に含まれるバーチャルウォーターについても考え、私たちを支えてくれていること、無駄にしないように使わなければいけないことを意識することも重要です。

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    世界には「生命の危機」や「困窮」に直面している子ども達が多くいます。
    そういった子ども達に、このコロナ禍でも国内・海外問わず支援を続けていける団体があります。

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