バーチャルウォーター(仮想水)

日本のバーチャルウォーターによる問題について現状を知ろう

世界では様々な農作物や畜産物が生産されていますが、そこには大量の水が消費されています。
その食料は生産国だけで消費されるわけではなく、食料が自国の生産で賄えない国が輸入して消費しているため、その大量の水を他国が消費することにもなりますが、日本も消費する側に含まれます。
この記事では、それらの食料生産に使用される水についての日本での問題について解説します。

バーチャルウォーターから分かる水問題とは?

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バーチャルウォーター(仮想水)と水問題


世界の水問題を考える上で、バーチャルウォーター(仮想水)という言葉がしばしば出てきます。

水は私たちの生活にとってなくてはならない存在であり、飲料水だけでなく生活用水、農業、工業など様々な用途で使用されます。
その水は地球に循環する水のほんの一部であり、ほとんどは自然の水循環として流れています。つまり地球全体には使用されていない水が充分にあるということです。
しかし、実際には使用できる水は国によって異なり、足りている国もあれば不足している国もあります。

水不足やそれに伴って起きる水ストレスといった水問題は開発途上国を中心として顕著に起こっており、日本などの先進国では水不足などに悩まされることはありません。
この水問題は干ばつや豪雨などの気候変動、河川や湖沼などが近隣に存在しない地理的偏在、経済的な問題でインフラなどを整備できない富の偏在などが原因になります。

気候変動は地球全体の問題であり、先進国を中心とした地球温暖化の原因となる二酸化炭素を主とする温暖化ガスの排出が要因となっています。
そのため、私たちも世界に点在する水不足の問題に加担してしまっていると言えます。
ただ、日本が水不足の要因として関わっているのはそれだけではありません。バーチャルウォーター(仮想水)と呼ばれる問題にも大いに関係しています。

バーチャルウォーター(仮想水)とは

バーチャルウォーターとは仮想水とも呼ばれ、実際に直接利用しているわけではないものの、間接的かつ目には見えない形で利用されている水のことを言います。

日本は食料自給率(カロリーベース)が低く、農林水産省のデータでは、日本の食糧自給率は2018年で37%でした。1960年には79%もあった日本の食料自給率は、半分以下にまで落ち込んだことになります。
これは日本人口の増加、農家や農業従事者の減少、小麦や肉など海外の安価な食材の輸入などが増加したことが原因にあります。そのため日本の食料は海外から輸入に依存していることになります。
これらの食料や畜産物には人間同様に水が必要であるため、同じ量を消費国が国内で生産したと仮定して必要となる水の量の推定をバーチャルウォーターと定義しています。そのためバーチャルウォーターは国によって数値が異なります。

そして似たような概念であり、バーチャルウォーターの検討の1つの要素として、原材料の栽培・生産や製造・加工、輸送・流通、消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体などモノやサービスで消費の過程において、定量的に環境への影響を評価したものが「ウォーターフットプリント」です。

このウォーターフットプリントによると、例えば1kgのとうもろこしを生産から消費までを行うには約1,200リットルの水が必要です。
さらにとうもろこしなどの穀物を飼料として消費する牛の飼育には、飼料を生産するのに必要とする水に加えて、牛そのものが消費する水も含まれます。
そのため牛肉1kgを生産するために、約15,000リットルも必要とすることから、さらに多くの水を消費します。

日本は海外から食料を輸入するため、生産あるいは加工に必要な分だけの水を海外に依存し、日本国内の水を使用しないで済んでいるということになります。
つまり私たちは食料を輸入することによって、輸入先の国あるいは地域の水をバーチャルウォーターとして間接的に輸入していると考えられます。

(出典:環境省「virtual water」)
(出典:water footprint network「Product gallery」)
(出典:農林水産省「日本と世界の食料自給率」,2018)

ウォーターフットプリント

ウォーターフットプリントについても簡単に説明します。
先ほども触れたようにウォーターフットプリントはバーチャルウォーターも検討の1つとして、食料から製造、サービスに至るまであらゆる過程で消費される水の環境への影響を定量的に評価したものになります。
ウォーターフットプリントは土壌の水分を「グリーンウォーター」、湖や河川、地下水から引かれた灌漑用(かんがいよう)(※)の水が「ブルーウォーター」、生産過程で汚染が発生した場合、低減させるために必要な水が「グレーウォーター」であり、この3種類の水で構成されています。
とうもろこしや牛を例に挙げた水の量は、これら3種類の水の総量を数値化したものになります。
日本でも環境省が2014年にウォーターフットプリント算出事例集を発表し、その中でインベントリ型やWFN(Water Foot Network)型、その他の評価手法を採用して評価しています。

※灌漑用(灌漑用):農業用地に外部から人工的に水を供給すること。用水路や排水路、ダムなど。

  • 水不足やそれに伴って起きる水ストレスといった水問題は開発途上国を中心に起こっている
  • バーチャルウォーターとは仮想水とも呼ばれ、実際に直接利用しているわけではないものの、間接的かつ目には見えない形で利用されている水のこと
  • 原材料の栽培・生産や製造・加工、輸送・流通、消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体などモノやサービスで消費の過程において、定量的に環境への影響を評価したものを「ウォーターフットプリント」と言う
  • ウォーターフットプリントは土壌の水分を「グリーンウォーター」、湖や河川、地下水から引かれた灌漑用の水が「ブルーウォーター」、生産過程で汚染が発生した場合、低減させるために必要な水が「グレーウォーター」であり、この3種類の水で構成されている
  • (出典:ウォーターエイド「世界水の日報告書2019」,2019)
    (出典:環境省「ウォーターフットプリント算出事例集」,2014)

    日本のバーチャルウォーター問題の実状


    世界の水使用量の中で、輸出品の生産に推定22%の水が割り当てられ使用されています。これがバーチャルウォーターであり、国際貿易はバーチャルウォーターによって支えられていることになります。

    日本の仮想水を国内と輸入で比較をしたとき、国内で賄っている仮想水は23%で輸入が77%となっています。
    これをG7諸国で比較するとアメリカは国内が80%、輸入が20%でした。食料自給率(カロリーベース)が非常に高いカナダでも国内が79%、輸入が21%とほぼアメリカと変わらない割合です。

    それに対して日本と同じように国土があまり大きくないイギリスは日本と同じように国内が25%、輸入が75%となっており仮想水に支えられている状況にあります。
    農業国としても有名なフランスは国内が53%、輸入が47%とほぼ半々の状態です。
    このように農業が盛んな国であっても、生産している農作物や畜産によっては、輸入に頼らざるを得ない状況にもなっており、これは仮想水の恩恵を受けているということになります。

    国土も大きく大量の農作物や畜産を行っているアメリカやカナダは食料自給率も高いことから、仮想水に頼る割合は低いという結果になりました。

    1人あたりの仮想水の輸入量に差はない

    1人あたりの仮想水の輸入量で換算すると、アメリカの720,000リットル/人、日本は1,000,000リットル/人となっており、差は大きくありません。
    フランスは1,200,000リットル/人であり、アメリカはもとより日本よりも多いことになります。
    日本は世界的にも輸入され賄われている仮想水の割合が高く、実際に輸入される仮想水の量も多いことから、世界有数の仮想水輸入国です。
    しかし国内の降水量は年間で1,600mmを超えており、多くの雨が降ります。これはアメリカの715mm/年やカナダの867mmよりも多いというデータです。

    世界規模で見ても多くの仮想水を輸入していますが、決して水不足というわけではなく、むしろ比較的多くの水が国内で得られることから、使うはずだった量の水、仮想水を輸入することで「節約」している国として数えられており、節約量が最も多い国の1つに含まれています。

    こういった現状から、日本は水ストレスなどに曝されていないにも関わらず、水が不足しがちな国や地域から食料という形で多くの水を輸入しているという事実が浮かび上がります。
    私たちは無自覚のうちに、水不足に陥っている国や貧困国の水状況を悪化させていると言っても過言ではありません。

  • 日本の仮想水を国内と輸入で比較をしたとき、国内で賄っている仮想水は23%で輸入が77%
  • 国土も大きく大量の農作物や畜産を行っているアメリカやカナダは食料自給率も高い
  • 日本は水不足ではなく比較的多くの水が国内で得られることから、使うはずだった量の水を仮想水を輸入することで「節約」している国として数えられている
  • (出典:ウォーターエイド「世界水の日報告書2019」,2019)

    バーチャルウォーターの問題と取り組み


    バーチャルウォーターは輸出国の水資源を使用しているため、間接的にその国の水を使用しています。
    しかも水が潤沢に使える国でさえ、国内で消費する水を減少させているため、水状況が芳しくない国や水不足に陥っている国を、さらに窮地に追いやる可能性もあります。

    海外の有限の水資源を使用することから、枯渇を早める危険性さえあるため、対策を行わなければ水不足の国を増やし、水問題を悪化させることになります。

    しかし、輸入を止めれば良いというわけでもありません。アフリカなど開発途上国の中には農産物を主な輸出品として経済が成り立っている国もあります。
    また農業従事者は輸出できなければ生活が成り立たなくなってしまいます。そういった観点からバーチャルウォーターは難しい問題でもあるのです。

    バーチャルウォーターの総合的な取り組みが必要

    世界では水不足や水質汚染が深刻化しているところに、このバーチャルウォーターの問題も加わるため、総合的な取り組みが必要です。
    全てを直ちに行うことはできませんが、日本国内のライフスタイルを見直すことはすぐにでもできます。

    私たちの食生活を見直し、地産地消や食育などを進め、食品ロスを減らす、そして食料自給率を高めることで、海外の食料に大きく頼る現状を改善することができます。
    全く頼らないということは難しく、また他国の貿易による利益を考えれば、完全に輸入しないということはできませんが、それでもバーチャルウォーターの消費を抑えることはできます。
    さらに水不足の国の根本的な問題解消として海水から真水を作る、インフラ設備の開発支援をする、汚染水をきれいにするなど日本で培われた技術を活用し、世界の水問題に積極的に取り組むことも必要となります。

  • バーチャルウォーターは輸出国の水資源を使用しているため、間接的にその国の水を使用してることになる
  • 水が潤沢に使える国でさえ、国内で消費する水を減少させているため、水状況が芳しくない国や水不足に陥っている国を、さらに窮地に追いやる可能性もある
  • 水不足の問題を改善するために、地産地消や食育などを進め、食品ロスを減らす、食料自給率を高める、海水から真水を作る、インフラ設備の開発支援をする、汚染水をきれいにするなど日本で培われた技術を活用し、世界の水問題に積極的に取り組むことが必要
  • (出典:国立環境研究所「水でつながる日本と世界」)
    (出典:富山県「世界の水問題/仮想水問題」)

    私たちの生活を支えるバーチャルウォーター


    日々消費している食材の中には生産国の水が使われ、私たちはその恩恵を受けています。
    無意識に消費されている水は生産に要した時間を考えても非常に多く、本来であれば生産国に住む人々が生きるために使用できたかもしれない水を、私たちが輸入して使っています。

    もしそれが水不足の国の農作物であり、その水があれば救われる命があったとすれば、その水を得て私たちが生きていることになります。
    このような状況を今後も続けていけば、さらに水が枯渇し、水不足となる国や地域が増えるかもしれません。
    水不足はバーチャルウォーターだけが問題ではありませんが、地球温暖化や気候変動などの影響に加え、バーチャルウォーターが増えれば水不足を加速させることになります。
    私たちの食生活に関わる以上、意識次第でバーチャルウォーターを抑えることにもつながります。
    バーチャルウォーターの問題を知り、私たちにできることを考え、実行してみましょう。

    「コロナに負けず頑張っている子ども達」
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    世界には「生命の危機」や「困窮」に直面している子ども達が多くいます。
    そういった子ども達に、このコロナ禍でも国内・海外問わず支援を続けていける団体があります。

    この団体の支援活動をgooddoと一緒に応援しませんか?

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