世界には様々な人々が暮らしているため、平和な地域もあれば争いが絶えない地域もあります。
政府やコミュニティと協力してあらゆる形態の暴力をなくすことが、持続可能な開発目標への実現につながります。
この記事では、SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」の内容や、日本ではどのような取り組みを行っているのかを解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」のターゲットや現状は?
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SDGsとは
2015年9月に、2001年に策定されたMDGsを引き継いで決められたのがSDGsです。
MDGsはミレニアム開発目標のことであり、開発分野において世界共通の目標として採択されています。
しかし、2015年の期限までに一定の効果をあげていますが、その後も継続することが重要なために、持続可能な開発目標(SDGs)として引き継がれています。
MDGsでは、目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」や目標2「初等教育の完全普及の達成」などの8つの目標に対して取り組みを行っていました。
SDGsでは、目標の数が17に増えて、169のターゲットと共に構成されています。
SDGsはMDGsと違い、発展途上国だけでなく、先進国が積極的に取り組むことが目標達成につながります。
(出典:外務省「SDGsとは?」)
(出典:外務省「ミレニアム開発目標(MDGs)」)
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」とは
SDGs目標16である「平和と公正をすべての人に」では、紛争と世界情勢不安を解決することを目標としており、11のターゲットを掲げています。
ターゲット | |
---|---|
16.1 | あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。 |
16.2 | 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。 |
16.3 | 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。 |
16.4 | 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。 |
16.5 | あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。 |
16.6 | あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。 |
16.7 | あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。 |
16.8 | グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。 |
16.9 | 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。 |
16.10 | 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。 |
16.a | 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。 |
16.b | 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。 |
紛争地域や法の支配が届かない場所では、犯罪や性的暴力・摂取、拷問が行われており、違法な兵器も流通しています。
武力紛争や情勢不安は、国の開発に対して経済成長を失うだけでなく、国同士が対立する原因となります。
目標を達成するためには、政府やコミュニティと協力して、法の支配を強化することで人権を推進することが重要です。
紛争・暴力
以前に比べて紛争による死者の数は減っていますが、先進国と発展途上国での数には大きな開きがあります。
2016年には、紛争地域で暮らしている子どもたちの数は、約5億3,500万人いるというデータもあります。
今も多くの地域で紛争と暴力が起きていることから、一刻も早い対応が必要です。
子どもに対する暴力、性的搾取、人身売買
人身売買の多くの犠牲者は子どもです。
人身売買をされた子どもは、強制的に結婚させられたり、強制労働や性的虐待など様々な形態があります。
生きていく選択肢が少ない子どもは、身を守るために武装グループに入る場合もあります。
紛争地域では、子どもを持つ親の所得も少ないために子どもを育てることも難しいのです。
汚職・贈賄
2015年の世界銀行のデータによると、世界の低所得国の企業では25%が過去1年間で贈賄を行ったと報告されています。
贈賄の比率に関しては、上位中所得国では13%、高所得国では4%所得と国の所得が低いほど多くの贈賄が行われます。
贈賄は、ビジネスの発展に対して悪影響を及ぼします。
法的な身分証明
社会的なサービスを受けるためには、法的な身分を証明する必要があります。
しかし、発展途上国の多くでは、5歳になるまでに4分の1の子どもが出生登録されていないのが現状です。
法的な身分証明は、個人の権利の保障や司法へのアクセス、社会サービスを受けるために必要です。
出生届の提出と登録を徹底させることで、労働環境や経済環境を大きく変えることができます。
法支配
過去10年間でほとんど変わらないのが、裁判を受けずに拘留されている人の数です。
最も多い地域は南アフリカであり、3人に1人が裁判を受けずに拘留されています。
平和と公正をすべての人にという目標を達成するためにも、裁判を受けずに拘留され、暴力や拷問を受けている人を減らす必要があります。
情報へのアクセス
先進国では、ほとんどの人がインターネットを使用しているのに対して、発展途上国では半分以下の人しかインターネットを利用できる環境にありません。
基本的自由の保証を行う上では、様々な情報を知る権利があるとして、インターネットなどのインフラを整備することも重要です。
発展途上国でも先進国と同じようにインターネットを使用できる環境整備を行う必要があります。
(出典:国連開発計画「目標16.平和と公正をすべての人に」)
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「暴力や差別をなくそう!」)
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ユニセフ創設70周年」,2016)
(出典:国際開発センター「目標16.平和と公正を全ての人に 」)
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」達成のための取り組み
ここからは、SDGs達成のために行われている取り組みを紹介します。
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」を達成するには、紛争や暴力、法の支配などの問題を解決する必要があり、様々な立場の人が取り組みを行っています。
日本では、SDGsアクションプラン2020の中で、「ビジネスとイノベーション・SDGsと連動」「SDGsを原動力とした地方創生、 強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり」「SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント」の3つの柱を軸として活動しています。
SDGsの現状
日本だけでなく、世界に向けて積極的に行われている活動がNGOとNPOの支援活動です。
それぞれの活動の中には、「難民支援」や「人道支援」、「子どもの保護」などがあります。
活動により救われる命もあれば、まだまだ支援が行き届いていない地域もあります。
マダガスカルでは2019年の干ばつにより、多くの人々に食糧支援が必要となっています。
世界の中でも特に多くの子どもが栄養失調になっており、5歳以下の子どもは2人に1人が発達障害を抱えています。
2030年までに行わなくてはいけない活動が多くあり、そのためには多くの人の寄付が必要です。
日本政府の取り組み
日本政府の取り組みとして、SDGsアクションプランがあります。
毎年3つの柱を中心として、SDGs実施指針について8つの分野に取り組みます。
SDGsアクションプラン2020の3つの柱は下記の通りです。
- ビジネスとイノベーション・SDGsと連動
- SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
- SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント
さらに細かく取り組みを決めたものが8つの分野であり、平和と公正をすべての人にの目標に対して活動しているのが、「⑦平和と安全・ 安心社会の実現」となります。
実際に、平和と安全・ 安心社会の実現のために行われている内容として、子どもの安全や女性に対する暴力根絶、再犯防止対策・法務の充実といったものがありますが、これは日本での活動だけではありません。
「法の支配」の促進に関する国際協力や中東和平への貢献、マネー・ローンダリング、テロ資金供与なども行われています。
持続可能な開発目標を達成するためには、先進国である日本も積極的に活動することが重要です。
(出典:外務省「日本政府の取組」)
(出典:農林水産省「SDGsアクションプラン2020」(抜粋))
SDGs目標達成のために私たちにできる取り組みとは
世界では、紛争により子どもたちが武装グループに所属したり、人身売買が行われている地域もあります。
日本で生活をしていると考えられないようなことが世界では実際に起きており、多くの子供が命を落としています。
紛争や貧困を救うためにできる1番身近なことが、NGOやNPOが行っている活動に寄付をすることです。寄付をすることで、食糧支援や教育支援、子どもたちを保護することができます。
寄付されたお金は、持続可能な生活を支援するために使われ、のちに平和構築へと繋がるのです。
世界には貧困で苦しんでいる人が多くいます。
一人ひとりが考えて、世界中の子どものために支援することが、SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」を達成するのにつながります。
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