すべての人に健康と福祉を

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組み内容とは?

私たちは生きていく中で病気にかかれば医療機関を受診し、老いれば介護による生活補助を受けることができます。

生まれてから死ぬまで福祉制度に助けられ、健康的な生活を送ることが可能となります。
しかし世の中には、このような医療や介護など福祉が充実している国や地域はそれほど多くなく、多くの人々が医療機関にかかれないことで命を落としています。

この記事では、SDGsが掲げる目標3「すべての人に健康と福祉を」を達成するために行われている取り組みについて解説します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットや現状は?

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SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは

私たちが普段の生活の中でより良く生きていけるのは健康的な生活を送れるためであり、そのために医療や介護などの福祉が存在します。

この恩恵を受けるのは新生児から高齢者まで全ての人が対象であり、生涯に渡って健康的な生活を営むことができます。

しかし世界ではそのような福祉を得られず、健康的な生活を送れない人もいます。
幼児や妊産婦の死亡率、HIV/エイズ、マラリアやその他疾病による死者など、世界には多くの課題がありました。

持続可能な開発目標(SDGs)の前身であるミレニアム開発目標(MDGs)の策定は、コレラの問題に対して効果的であり、幼児死亡率の低下や妊産婦の健康改善、疾病対策など様々な分野で大きな成果を得ました。

そんな中でも、まだ5歳児未満の死亡率は600万人を超えている状況であり、はしかや結核などの予防可能な病気で命を落とす子どもが毎日1万6,000人いることなど、全てが解決したわけではありません。

サブサハラアフリカではHIVが猛威を振るい、そこに暮らす思春期の若者世代の最大の死因はエイズであることも以前と変わりません。

こうのような状況をMDGsに代わって、新たな目標を立て取り組んでいるのがSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」です。

SDGsではエイズや結核、マラリアなどの感染症の蔓延を2030年まで食い止めるため、世界全土に医療を完全に普及させ、全ての人が安全で効果的な医薬品とワクチンを利用できるようにすることを目指しています。

そのためにもワクチンに関する研究開発への支援は、人々が手頃な価格で使用できる医薬品の提供とともに、目標達成には不可欠な要素となっています。

目標達成のためのターゲットと実践のための方策

SDGsでは目標達成のために、17の目標に対して169のターゲットと指針を定めています。
下記は17の目標とSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットです。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲット

3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000 件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25 件以下まで減らすことを目指し、2030 年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを 含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援す る。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドー ハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協 定(TRIPS 協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力 開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d 全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因 子管理のための能力を強化する。

目標3では先進国と開発途上国に対するターゲットとして、エイズや結核、マラリア及び省みられない熱帯病などの根絶、非感染性疾患の若者死亡率の削減と精神保健及び福祉の促進、薬物乱用やアルコールの有害摂取の対策を規定しています。

また、道路交通事故による死傷者の半減やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(※)の達成、有害化学物質、大気、水質及び土壌の汚染対策もターゲットとなっています。

開発途上国にはこれらにプラスして妊産婦と新生児の死亡率の削減、性と生殖に関する保健サービスの利用も加えられています。

これらを実践するための方策として、たばこの規制、研究開発支援、保険財政・保健人材の確保、国際保健政策などが指針として挙げられています。

※ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに負担可能な費用で享受できる状態を指します。

  • 医療や介護など福祉が充実している国や地域は多くなく、多くの人が医療機関にかかれないことで命を落としている
  • 未だ5歳児未満の死亡率は600万人を超えており、予防可能な病気で命を落とす子どもが毎日1万6,000人いる
  • SDGsではエイズや結核、マラリアなどの感染症の蔓延を2030年まで食い止めるため、全ての人が安全で効果的な医薬品とワクチンを利用できるようにすることを目指している
  • (出典:国際開発センター「目標3 すべての人に健康と福祉を」)
    (出典:国連開発計画駐日代表事務所「目標3:すべての人に健康と福祉を」)

    すべての人に健康と福祉を届けるための取り組みとは

    SDGs目標3を達成するための取り組みは組織面と事業面に分けて行われています。

    組織面では従業員へのヘルスケアの提供、事業面では開発途上国向けの医薬品・医療機器などの開発、交通事故対策、データヘルス対策、生活習慣病対策、薬物・アルコール依存症対策が実施されています。

    どのようなことが行われているのか、下記で紹介します。

    従業員へのヘルスケアの提供

    会社にとって自社の従業員やその家族を守ることは義務であり、ヘルスケアサービスを提供することによって健康改善につなげることができます。

    提供するヘルスケアサービスには、運動習慣や栄養バランスの取れた食事の奨励、祈念プログラムの提供、飲み過ぎ防止の啓発を行うことができ、目標3を達成するために必要不可欠な要素を満たしています。

    従業員の健康に対する意識の啓発を行い、疾病による欠勤や遅刻、休職の削減だけでなく、労働生産性の向上や優秀な人材の確保といった効果も期待でき、SDGsの他の目標達成に対して好影響を与える可能性もあります。

    日本では取得率が高くない男性の育児休暇取得の推奨や、女性従業員や妊娠、育児の支援はジェンダーの問題に対しても効果的です。

    他にも従業員のメンタルヘルス対策も必要です。

    2015年に行われた労働安全衛生法の改正により、労働者数50人以上の事業所でのストレスチェック実施が義務付けられました。これは鬱病など精神障害による労災認定が年々増加傾向であることが理由となります。

    この義務付けが行われた現在も鬱病は増加傾向にありますが、それでもメンタルヘルス対策を行わなければ、今後も増加の一途を辿るでしょう。

    そういった意味ではヘルスケアとしてカウンセリングや休職者の復職支援とともに必要な取り組みです。

    メンタルヘルス対策のひとつとして、心をすり減らない人付き合いも重要です。

    下記の本では、振り回され体質の人が変わるためのメソッドが解説されています。人付き合いにお悩みの方は、ぜひ下記の本をチェックしてみませんか。

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    開発途上国向けの医薬品・医療機器などの開発

    開発途上国では電力供給や上下水道、通信などの社会あるいは経済インフラの整備が遅れているところが多数存在します。

    特に都市部と地方・農村部とでは雲泥の差があり、病院や診察所に設置される医療機器もこのような厳しい環境に適合したものでなければ、医療は対応できません。

    例えば電力供給が行われていない場所で、ソーラーで稼動する医療用冷蔵庫や、不安定な電圧にも耐えられる医療機器などは、インフラ整備がままならない開発途上国にとっては必要な設備と言えます。

    こうした機器の開発、そして安価に提供が行われれば、開発途上国の貧困層の健康改善に大きく貢献できるとして、医療メーカーなどが研究開発を進めています。

    また同時に医療従事者の研修を併せて実施することで、医療機器の不適切な故障を未然に防ぐ取り組みも実施されています。

    医薬品に関しては現在行われている顧みられない熱帯病(NTDs)に対する創薬研究に期待が集まっています。

    製薬企業により、日本で上市(発売)されている医薬品を開発途上国の現地法人の販売網によって供給することも、SDGs目標3を達成する上では効果的であるとして、その取り組みも模索されています。

    交通事故対策

    現在、自動車メーカーを中心として、自社製の自動運転機能の開発や向上、自動ブレーキシステムなどの安全機能の強化などにより、交通事故による死傷者減少を目指しています。

    交通事故は人為的なものであるため、その部分を以下に削減できるかが現在の研究・開発の焦点になっており、各企業が力を入れて取り組んでいます。

    データヘルス対策

    昨今はビッグデータの活用が世界的に行われています。
    そこでデータヘルス改革の推進として保健・医療・介護のビッグデータの活用、エビデンスに基づいた支援サービスの提供、災害時など医療関係者が適切に高齢者や障害者などの情報を共有できるシステムの構築が行われています。

    生活習慣病対策

    日本を含め、先進国の多くで生活習慣病による健康の阻害が相次いでいます。そこで食生活の改善や運動習慣の定着による一次予防、早期発見・早期治療を目指す二次予防、重症化を防ぐ三次予防などそれぞれにおいて対策を行っています。

    特に生活習慣病の一次予防対策としては地方自治体とフィットネスクラブの協働で住民参加型の健康増進プログラムの実施なども行われています。

    食品・飲料業界でも責任のある商品開発が求められ、健康補助食品や特定保健食品の選定なども厳しい基準の下で行われています。

    薬物・アルコール依存症対策

    依存症は脳の病気であり、意志の強さによるものではありません。このことを当事者とその家族が理解し、認知行動療法や薬物療法を含む治療プログラムを受ける必要があります。

    2016年からはSMARPP(せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)と呼ばれる認知行動療法を用いた集団療法が診療報酬の対象となり、医療機関での普及促進が行われています。

    また家族が共依存に陥らないため、祈念ではCRAFT(コミュニティ強化法と家族トレーニング)と呼ばれる家族向けプログラムが注目されており、医療機関や精神保健福祉センターなどで徐々に取り入れられている取り組みです。

  • SDGs目標3を達成するための取り組みは組織面と事業面に分けて行われている
  • 鬱病の増加傾向が理由で、2015年に労働安全衛生法の改正が行われ、労働者数50人以上の事業所でのストレスチェック実施が義務付けられた
  • 環境に適した医療機器などの開発を行うことで、健康や福祉に大きく貢献できる
  • 日本を含め、先進国の多くで生活習慣病による健康の阻害が相次いでいる
  • 薬物やアルコール依存症は脳の病気であり、意思の強さではないため、当事者とその家族も理解する必要がある
  • (出典:国際開発センター「目標3 すべての人に健康と福祉を」)

    世界の人々が健康な生活を送るために


    世界では今も食糧不足や不衛生な環境、医療などの福祉が行き渡っていないことにより、多くの命が失われています。

    日本では医療・福祉関係の法整備や制度、設備が他よりも充実しているため、治る病気も多く、平均寿命も世界で最も長い国とされています。

    しかし一方で、交通事故や過労死、パワハラやセクハラによる心身衰弱などが相次いで起こっています。

    どれだけ医療や介護などの福祉が発展しても、本当の意味で健康的な生活が送れていないという人もいます。

    本当の意味で健康的な生活を送るためには、心理的安全性の高さが大切です。

    心理的安全性を高めると、自分の意見を溜め込まずに発することができ、溜め込まないので心の健康を保つことに繋がります。

    心理的安全性を高めていきたい方や理解を深めたい方は、ぜひ下記の本をチェックしてみてください。

    開発途上国も先進国でもそれぞれ抱える福祉の問題は存在します。

    法整備や制度だけではどうしても賄えない部分に関しては、私たち一人ひとりが考え、行動することが大切です。

    健康と福祉についての問題や取り組みについて知り、私たちにできることから始めることでSDGs目標3やそれに関連する目標を達成することができるでしょう。

    私たちができるSDGsへの貢献のひとつに、社会問題に取り組んでいる支援団体への寄付があります。

    支援団体への寄付は、インターネットからすぐに可能です。

    以下の記事で、具体的な寄付先団体や活動内容を紹介しています。ぜひご一読ください。

    >>SDGsの目標達成のためにできる支援や寄付の方法は?

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    この記事を書いた人
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