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SDGs目標3を達成するために対策が必要な伝染病・感染症とは?

この記事を要約すると

過去から現在にかけ多くの伝染病や感染症が存在し、医療の発展によって予防や治療、根絶が行われてきました。

それにより脅威でなくなったものも少なくありませんが、一方で今も人々の命を脅かすもの、より強力になってしまったものもありそれらは対策が必要となっています。

これらの対策はSDGsの目標3を達成するためにはどのような伝染病や感染症なのかご紹介します。

持続可能な開発目標・SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットや現状は?

SDGsの目標3で対策が必要な伝染病や感染症とは


持続可能な開発目標(SDGs)の目標3では「エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する。」というターゲットが設けられています。

ここに挙げられているエイズ、結核、マラリアは世界三大感染症と呼ばれています。
世界三大感染症は感染力の高さから毎年多くの人が感染して死亡していること、対策を行うには一国だけでは難しく、世界各国が協力しなければならないことなどから大きな問題として取り上げられているのです。

また、この3つ以外にも顧みられない熱帯病にまとめられる伝染病も多くの命を奪っていることから流行の終息と根絶が必要であると考えられています。

他にも広く感染する可能性がある肝炎や水系感染症と言った感染症への対処も「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し福祉を推進する」という目標達成をするためには不可欠なのです。

  • エイズ、結核、マラリアは世界三大感染症と呼ばれている
  • そのほか、「顧みられない熱帯病」や「水系感染症」にも対策が必要
  • 各国が協力し世界規模の対策を行うことが大切

(出典:国連開発センター「目標3 すべての人に健康な福祉を」,2018)

三大感染症といわれるエイズ、結核、マラリア


上記の通りエイズ、結核、マラリアは三大感染症と呼ばれています。

その感染力の高さは凄まじく毎年多くの命を奪っています。発症すれば重篤な症状により大きな苦しみを与えられ、治療を受けたとしても後遺症が残ることもあり人々に様々な障害をもたらしています。

また、治療を受けたとしてもその段階によっては手遅れであることもあり完治できず死に至ることもある危険な病気ばかりです。
以下ではどのような症状や感染経路があるのかそれぞれの病気について見ていきます。
(出典:グローバルファンド日本委員会「三大感染症を知る」)

HIV/エイズ

エイズは「後天性免疫不全症候群(Acquired ImmunoDeficiency Syndrome)」の略称であり、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)が体内にあるリンパ球に感染することで起こる病気です。

エイズを発症することで体内の免疫力が破壊されて免疫機能が低下します。
免疫機能は体の健康を維持するためになくてはならないものですが、免疫機能が低下すれば感染力や症状が弱い病原菌やウイルスが体内で猛威を奮いだします。

これによって様々な症状を引き起こして合併症で人命を奪っていきます
その感染力は凄まじく、2016年の時点で世界での感染者数は3,670万人であり年間180万人の新規感染者を生んでいるとされます。

そしてエイズを発症して亡くなる人が100万人と言われており深刻な問題となっています。
HIVは血液や精液、膣分泌液に多分に含まれており、母乳、髄液にも含まれます。

そのため輸血などの血液製剤の使用、注射器の共用、性交渉、授乳により感染することがあります。
接触感染や空気感染はしないものの、性交渉や授乳による感染で広がってしまい、今も世界中で特に途上国での感染、死者数を増やしている状況です。

(出典:世界保健機関(WHO)「HIV/AIDS」,2019)

(出典:厚生労働省NIID国立感染症研究所「AID(後天性免疫不全症候群)とは」,2018)

結核

結核は結核菌が肺に侵入し内部で増殖することで咳や痰、発熱、呼吸困難など風邪のような症状を起こすことが多いため、初期は風邪と間違えやすいですが、肺以外にも腎臓やリンパ節、骨、脳など様々な臓器が冒されることがあり影響を及ぼします。

その感染経路のほとんどが、菌が気道深くに侵入し感染して増殖を始める経気道性であり、空気中に漂う結核菌を取り込んでごく稀に到達することで発症します。

結核は必ずしも発症する病気ではなくその人の免疫力に左右され、免疫力が低下している状況だと肺へ到達しやすくなり感染する恐れがあります。

感染により髄膜炎を併発してしまうと、現代医療でも30%が死に至り、治療が成功し治ったとしても後遺症を残すことがあります。

さらに小児の場合は症状が現れにくく、全身に及んで重篤な結核につながる可能性もあると言われています。
日本では2018年におよそ1万5000人の結核患者が登録されました。

世界で見ても2016年時点で結核患者が1,040万人、死亡数は130万人となっており多くの人々を苦しめ命を奪っています。

(出典:厚生労働省「健康・医療 結核(BCGワクチン)」,2019)

(出典:厚生労働省NIID国立感染症研究所「WHO Global Tuberculosis Report 2017」,2017)

マラリア

マラリアは、マラリア原虫をもつ蚊(ハマダラカ)に刺されることで感染する病気です。

ハマダラカは熱帯や亜熱帯地域に生息しているため、マラリアに感染する地域も限定的とされています。
感染すると1週間から4週間の潜伏期間がありその後発熱や寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛といった症状を発症します。

2018年には年間約2億2,000万人がマラリアにより感染し、推計で43万5,000人が死亡しています。また、熱帯、亜熱帯地域への渡航などにより日本でも60人前後の輸入感染症が報告されています。
(出典:厚生労働省検疫所FORTH「マラリアに注意しましょう!」)

  • エイズはHIVが体内にあるリンパ球に感染することで起こる病気であり、感染しても発症しないこともある
  • 結核は空気感染によって細菌が体内に侵入し発症する病気であり、日本でも感染することがある
  • マラリアはマラリア原虫をもつ蚊による感染症で熱帯・亜熱帯地域で感染する

顧みられない熱帯病(NTDs)とは


顧みられない熱帯病(NTDs)は熱帯や亜熱帯地域を中心として世界149カ国で蔓延している17の疾患をまとめた疾患群のことを指します。

この疾患群は感染することで視力を奪い治ることのない傷を体につけ、あげくは体を変形させて宿主を弱らせていく病気です。
大都市のスラムや最貧国で暮らす何億もの人々が感染し、その割合は感染が報告されている国や地域の約70%だと言われています。

NTDsの要因は、清潔さを保てていない飲料水や整備が不十分な上下水道の衛生環境、粗末な住居環境によるものとされており、熱帯や亜熱帯地域に住む貧しい人々を襲っているのです。
(出典:国連開発計画 駐日代表事務所「結核、マラリア、顧みられない熱帯病の根絶を目指して:UNDPと日本政府の取り組み」)

(出典:厚生労働省検疫所FORTH「2017年04月21日更新 顧みられない熱帯病に対する今までにない進展-WHO報告」)

顧みられない熱帯病(NTDs)に指定されている病気

このNTDsには17の疾患群が指定されているのですが、その病気は以下の通りになります。

  • デング熱
  • 狂犬病
  • トラコーマ
  • ブルーリ潰瘍
  • フランベジア
  • ハンセン病
  • シャガース病(アメリカ・トリパノソーマ症)
  • ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症(眠り病)
  • リーシュマニア症
  • 条虫症および神経嚢胞症
  • メジナ虫症
  • エキノコックス症
  • 食品由来の吸虫症
  • リンパ系フィラリア症
  • 真菌腫(Mycetoma)
  • オンコセルカ症(河川盲目症)
  • 住血吸虫症
  • 土壌伝染性蠕虫症
  • 顧みられない熱帯病(NTDs)は世界149カ国で蔓延している17の疾患をまとめた疾患群
  • 大都市のスラムや最貧国で暮らす何億もの人々が感染している
  • 水や衛生環境の改善が感染の予防につながる可能性がある

(出典:厚生労働省検疫所FORTH「2017年04月21日更新 顧みられない熱帯病に対する今までにない進展-WHO報告」)

水系感染症とは


水系感染症とは、水道や飲料水など水を媒介として病原菌に感染することにより起こる病気です。

水道水などは急速ろ過と塩素消毒により、原水中微生物をほぼ全て除去できますが完全に除去できるわけではありません。
水の中に感染症の原因となる病原菌が含まれている場合、水系感染症にかかる恐れがあるのです。特に塩素消毒が効かない原虫類が問題視されています。

ただし基本的には不衛生な環境や水によって感染することから水や衛生環境を整えておくことで拡大を防ぐことが可能と言われています。

水道だけでなく人の排泄物を経由しても感染することがあり、水系感染症の中でも特に代表的な病気に下痢や肺炎、コレラ、A型肝炎、腸チフスなどがあります。
(出典:国立保健医療科学院「開発途上国における水系感染症とその実態」)

  • 水系感染症は、水道や飲料水など水を媒介として病原菌に感染すること
  • 代表的な病気に下痢や肺炎、コレラ、A型肝炎、腸チフスがある
  • 水や衛生環境の改善が感染の予防につながる

SDGsの目標3を達成するために必要な対策


持続可能な開発目標(SDGs)の目標3では「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、人として良く生きられる状態の実現を促進する。」を掲げています。

そのためには上記のような三大感染症、顧みられない熱帯病、水系感染症の根絶や対策は不可欠です。
また、これらの感染症や伝染病への対処だけでなく、根本的に人々の健康を守る必要があるのです。

そこでユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現が重要視されています。
UHCは「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」のことを意味しています。

目標3ではUHCの達成がターゲットの1つとして位置づけられており、全ての人が基礎的な保健医療サービスを適切な費用で受けられることで貧困に陥るリスクを未然に防ぐことが必要だとされています。

そのためにもサービスを提供する保健人材の育成や、病院・人材育成学校といった施設や機材の整備、水や衛生環境の改善などが世界で求められています。

  • SDGs「すべての人に健康と福祉を」にもこれらの感染症は関係している
  • 三大感染症、顧みられない熱帯病、水系感染症の根絶や対策は不可欠
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現が重要

(出典:独立行政法人 国際協力機構JICA「ゴール3の達成に向けたJICAの取組方針」,2015)

(出典:厚生労働省「2018年世界保健デーのテーマは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」です。」)

私たちができることを考えよう


日本は幸いにもマラリアや顧みられない熱帯病の脅威にさらされにくい環境です。しかしエイズや結核に関しては日本でも猛威を奮い、水系感染症もその感染リスクを多分に含みます。

また、世界で多くの人がこれらの感染症や伝染病に苦しめられ命を落としています。このような現状に私たちができることは何なのか、一度考えてみる必要があるでしょう。
世界で苦しむ人たちを救うせめてもの手助けとして、治療や対策を行う団体に寄付をするといった活動を起こすことも1つの方法です。
まずは世界の現状や病気に対する理解を深め、私たちにできることを1つずつ行っていくことで、SDGs目標3の達成にも貢献することができるのです。

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