気候変動に具体的な対策を

気候変動とは?SDGsに取り上げられるほど深刻になった要因をわかりやすく解説

気候変動は、多くの人類に影響を与える深刻な問題です。
気候が変動すれば、これまで野菜が栽培されていた地域でその野菜が育てられなくなったり、海流が変化して、特定の地域で魚が採れなくなったり、台風などが多く発生したり、異常気象が発生したりするようになります。

この記事では、気候変動とその要因についてわかりやすく解説していきます。

持続可能な開発目標・SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲットや現状は?

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気候変動とは


気候変動とは、数十年間という期間における大気の平均状態となる気候が移り変わることを意味する言葉です。

地球上で起こる大気現象は太陽からのエネルギーから発生しています。
太陽からのエネルギ-は、大気圏だけではなく、海洋・陸地・雪氷・生物圏、最終的に赤外放射として宇宙空間に戻り、地球のエネルギ-収支が維持されます。

こうしたエネルギーに関与するシステムは気候系と呼ばれますが、この気候系のなかにある大気の状態を気候と言います。
平均期間より長い時間で見ると、気候は必ずしも定常的なものではなく、様々な変動や変化を遂げています。

気候変動は、気候に関わる地球全体のシステムの結果として生じているものなので、すぐに変動を止めることはできません

変化の結果として、大きな台風が起こったり、大雨が降ったり、大規模な干ばつがおきたりします。このように気候が変動する要因としては、自然の要因と人為的な要因があります。

以下では、気候変動の要因については、自然の要因、人為的要因について詳しく解説します。

自然の要因

気候システムは、外部から強制が加わることで変化しますが、外部からの強制を受けなくとも内部の要因によっても変動します。
この内部の要因にあたるのが自然の要因です。

地球の気候の駆動源は太陽エネルギーであり、太陽はごく短い波長帯でエネルギーを放射しています。太陽から届いたエネルギーのうち、約3割は雲や地表面で反射されて、残りの約7割が地球を暖めています

自然の要因としては、大気自身に内在するもののほか、海洋の変動、火山の噴火による大気中の微粒子(エーロゾル)の増加、太陽活動の変化などを挙げることができます。

特に、地球表面の7割を占める海洋は、大気との間で海面を通して熱や水蒸気などを交換しており、海流や海面水温などの変動は大気の運動に大きな影響を及ぼすことになります。

人為的要因

一方、人為的な要因には人間が排出する二酸化炭素などの温室効果ガスの増加や大気中の微粒子の増加、森林破壊などがあります。

地球温暖間について国際的な専門家が集まった政府間機構「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高いことを発表しています。

その結果、多くの自然システムが地域的な気候の変動、特に気温上昇の影響を受けつつあることを示しています。

地球全体の平均気温は、地球に入ってくるエネルギー(太陽放射)と地球から出ていくエネルギー(外向きの長波放射)のバランスによって決まります。そのため、人為的要因が多くなると、地球規模でのエネルギーバランスに変化が起こり、気候に大きな変動が加わることになります。

温室効果ガスや大気中の微粒子の量や性質が変わると、気候システムは温暖化したり寒冷化したります。
運輸、建物の冷暖房、鉄・セメント等の製造における化石燃料の使用により、人間が排出する温室効果ガスとして最も代表的な二酸化炭素は増加しました。
同時に、森林破壊により植物が酸化炭素を吸収する量も減少しています。

これらのことから、人間の生活、経済活動により気候変動へとつながっているのです。

(出典:国土交通省 気象庁公式サイト)
(出典:気象庁気象研究所公式サイト)

気候変動をもたらす大きな要因は?


気候変動をもたらす大きな要因は人為的によるものです。

以下では、人間の活動によって気候変動につながっている大きな要因についてわかりやすく解説します。

温室効果ガス

地球の表面は、主に窒素や酸素などの大気に覆われています。
大気の中には、二酸化炭素などの温室効果ガスがわずかに含まれていて、この気体は赤外線を吸収し再び放出する性質を持っています。

太陽からの光で温められた熱(赤外線)は、地球の表面から地球の外に向かって放出されます。赤外線の多くは熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。戻ってきた赤外線が地球の表面付近の大気を温めることを温室効果と呼び、地球の表面を温める効果をもつものが温室効果ガスです。

温室効果ガスの代表的な例として、二酸化炭素が挙げられますが、他にも、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類などがあります。

(出典:国土交通省 気象庁公式サイト)

森林破壊

森林破壊は、気候変動の問題となる温室効果ガスを発生させる重大な要因です。
森林減少に伴い排出される二酸化炭素は、森林が農地などに転換された際に、バイオマスとして蓄積していた森林中の炭素(土壌中の炭素を含む)が二酸化炭素として大気中に放出されることで発生します。

森林減少の主な原因として、(違法)伐採、焼畑、森林火災、農地転換、都市化などが挙げられ、世界的に人口増加・経済発展が進んでいる途上国においても森林減少のリスクは増大しています。

実際、人間の無秩序な森林伐採によって、世界的な森林減少は進行しており、1990年以降は特に熱帯アジア域における森林減少が大きく、南米やアフリカの熱帯地域とあわせて、二酸化炭素の大きな排出源となっています
また、世界最大の森林減少国であるブラジルでは年7億トン程度の二酸化炭素の排出が続いています。

一方、米国における森林減少は20世紀の初めには歯止めがかかり、森林の過剰伐採が原因とされる洪水が頻発して問題となった中国では、今世紀になって森林減少が止まるなど、森林破壊に歯止めをかけることに成功した事例もあります。

(出典:国立環境研究所 地球環境研究センター

プラスチックごみ

プラスチックは石油でできているため、燃やすと温室効果ガスが発生します。

近年では、トウモロコシやサツマイモなどを原料とした植物性のプラスチックも増えてきていますが、植物性プラスチックの需要が増えると、原生林を破壊しそこにプラスチックのための畑を作る可能性があります。

結果として、森や土が蓄えていた二酸化炭素が空気中に放出されることになります。

2014年には、石油生産の6%がプラスチックに使われました。このまま行けば、2050年までには20%にもなると予想されています。

(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)

気候変動の現状と危険な未来とは


気候変動がこのまま進行すれば、危険な未来が待っています。
これを防ぐためには、気候変動の現状を正確に認識し、対策を打たなければなりません。

以下では、気候変動の結果としてどのような事態が想定されているのか、具体的な数値とともに解説します。

気温上昇

世界の年平均気温は、19世紀後半以降100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。
21世紀末(2081~2100年)における世界の年平均気温は、20世紀末(1986~2005年)と比較して、IPCCが想定する最悪のシナリオで2.6~4.8℃の上昇が予測されています。

(出典:環境省、文部科学省、農林水産省、国土交通「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」)

海水温度の上昇

海洋の温暖化は、気候システムに蓄積されたエネルギーの増加量の中でも特に多いとされています。

21世紀の間、世界全体で海洋は昇温し続けると予測されています。21世紀末までには少なくとも約0.6℃、最悪の場合約2.0℃の上昇が予測されています。

(出典:環境省、文部科学省、農林水産省、国土交通「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」)

北極海の海氷の減少

北極域の海氷域面積は、1979年以降減少しています。

特に海氷域面積の年最小値の減少が顕著であり、1年あたりの減少率は北海道の面積にほぼ匹敵するほどです。

21世紀末(2081~2100年)における北極域の9月の海氷域面積は、20世紀末(1986~2005年)と比較して、少なくとも43%、最悪の場合94%も減少すると予測されています。

(出典:環境省、文部科学省、農林水産省、国土交通「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」)

世界的に脱炭素化への取り組みが進む


気候変動を止めるためには、私たちの生活を脱炭素化しなければなりません。

脱炭素化とは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの排出量をゼロにすることを言います。

すでに脱炭素化に向けた取り組みは世界的に進められており、その代表的なものとしてパリ協定について説明していきます。

パリ協定とは

パリ協定とは、2015年11月30日から12月13日までフランスのパリ郊外で開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で採択された、2020年以降の気候変動に関する国際条約のことを言います。

パリ協定では、次のような世界共通の長期目標を掲げています。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

パリ協定の締約国は、削減目標を立てて 5年ごとに見直し、国際連合に実施状況を報告することが義務づけられています。

パリ協定に対する日本の対応

日本はこれに対し中期目標を定め、「2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減する」ことを目標としています。

2013年度と比較し削減を目指す排出は各国によって異なり、アメリカが18~21%、EUが24%と比較すると、日本は高い目標を設定していることがわかります。

この目標を達成するために、日本は再生可能エネルギーの導入量を増やす、低排出なエネルギーミックスの推進、さらにエネルギー効率化の追求などを行っています。

(出典:経済産業省資源エネルギー庁公式サイト)

私たちもできることはたくさんある!


気候変動問題は、SDGsにも取り上げられるなど、人類にとって普遍的に重要な問題です。

気候変動の問題は、私たち人間の活動が大きな原因となっています。
したがって、私たち一人ひとりが気候変動問題に対して責任を負っています。

気候変動を止めるためには、私たち個人レベルの取り組みも重要です。
節電や省エネに関して身の回りでできることがないか、また大量生産・大量消費を防ぐために無駄なものは買わない、不要になったものはリユース・リサイクルを検討するなど、生活スタイルを見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
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