高齢者世帯の中には貧困に陥っている世帯もありますが、その高齢者たちの収入源はどうなっているのか、家計はどうなっているのかは貧困を考える際に非常に重要なことです。
ここでは高齢者の収入源や労働などについて紹介します。
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高齢者の平均収入・収入源は?
2015年の高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の平均所得は「308万円」となっており、すべての世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いたその他の世帯平均所得「645万円」の半分も満たしていません。
高齢者世帯の所得階層別分布
(出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)第2節 高齢期の暮らしの動向 」)
また、実際の手取りは、世帯収入から税金や社会保険料などをのぞいた分で「可処分所得」とも呼ばれるものとなりますが、これを見ていくと高齢者世帯の中央値は「244万円」で全体の「427万円」よりも大幅に低くなっています。
そして所得階層別分布を見ていくと「150~200万円未満」がもっとも多くなっており、一部の高所得の高齢者が平均値や中央値を上げていることもわかります。
ではその収入源はどういったものが多いのでしょうか。
(出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)
高齢者世帯の収入源は年金が過半数
高齢者世帯で公的年金などを受給している世帯のうち「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」が56.7%となっています。
つまり公的年金だけが収入のすべてであるという世帯が半数を超えているということです。
また、高齢者世帯においては、「公的年金・恩給」が平均で総所得の67.6%を占めており、次いで「稼働所得」の18.3%、「財産所得」が7.6%となっています。
稼動所得とは雇用者所得、事業所得、農耕、畜産所得などいわゆる「勤労」によって得ている収入のことを指します。
また、財産所得とは家賃収入、駐車場収入、株式配当などの財産や資産によって生まれる利益所得のことを指します。
それらの所得を得ている人がいるものの、やはり半数以上は年金を主とした収入源として生活をしているのです。
(出典:内閣府「平成28年版高齢社会白書(全体版)2 高齢者の経済状況」)
高齢者の就業状況は?
下の「雇用者数の推移」の通り、仕事をする高齢者は増えています。
それは昔と今の高齢者の定義や平均寿命、健康度合などが違っていることが関係しています。
以前は定年の年齢も今より早い年齢でしたが、時代が流れるにつれて60歳や70歳はまだまだ元気という人が多くなってきています。
また、昭和22~24年前後のベビーブームに生まれた人たちは「団塊の世代」と呼ばれ、その数が多いのが特徴です。
こういった人たちが2019年の時点では70歳前後になっており、定年後の再雇用も終わったあたりの年齢になっています。
この世代は高齢者を65歳以上と考えた場合にすべて高齢者として扱われることになります。
しかしこの世代は健康面からもまだまだ勤労意欲が強い人が多く、4割以上の人が働けるのであれば働きたい、と答えていることからも明らかです。
団塊の世代の世帯の収入源を見ていくと「公的年金」が53.4%、「稼動所得」が31.6%、
「財産所得」が10.2%となっていることからも働いている人が多いということがわかります。
一つの例としては「60歳に定年」「61歳~65歳まで嘱託社員・再雇用」「66~はアルバイト、非常勤勤務」というパターンがあります。
この世代の世帯収入を見ると、
- 240万円~300万円:17.3%
- 300万円~360万円:14.0%
- 360万円~480万円:14.0%
- 480万円以上:18.8%
- 年収120万円未満(収入はないを含む)8.3%
となっていることからもかなり差があることがわかります。
仕事をしている高齢者のうちの4割ほどが「働けるうちは働きたい」と回答しており、70歳くらいまでは働くという回答と合わせれば8割ほどが就業意欲を持っていることがわかります。
実際に男性の就業者の割合を見ていくと、以下のように60歳を過ぎても多くの人が仕事をしていることがわかります。
年齢 | 男性 | 女性 |
55~59歳 | 90.3% | 69.0% |
60~64歳 | 77.1% | 50.8% |
65~69歳 | 53.0% | 33.3% |
雇用形態を見ていくと、65歳以上の正規職員が99万人で非正規職員が301万人となっており、役員などを除いた勤労者の75%ほどが非正規ということになります。
非正規職員・従業員の比率の割合は以下の表の通りです。
年齢 | 男性 | 女性 |
55~59歳 | 12.8% | 60.2% |
60~64歳 | 53.6% | 76.0% |
65~69歳 | 72.1% | 81.5% |
女性の場合、男性と比較して上昇幅は小さいものの、60歳を境に非正規職員・従業員比率は上昇していることがわかります。
(出典:内閣府「平成25年版高齢社会白書(全体版)」4 高齢者の就業)
(出典:内閣府「平成25年版高齢社会白書(全体版)」1 団塊の世代の経済状況)
(出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書(全体版)」4 高齢者の就業)
国も高齢者の就労を推進
高齢者の貧困を防ぐためにも、厚生労働省は高齢者の就労を推進しています。
これは少子高齢化によって、将来的に若い世代の勤労人口が減少することが確実視されており、高齢者の数はまだ増加するということも関係しています。
勤労する人口が減少すれば生産量が落ち、対外的な力も落ちます。
それらを防ぐという意味もあって高齢者の就労が重要になってくるのです。
こういった事情を踏まえて「厚生労働省の労働政策審議会」が高齢者雇用対策について建議をしたのです。
高齢者に職を提供する地方自治体のハローワークやシルバー人材センターの機能を強化することで就労の橋渡しの機能が期待されています。
シルバー人材センターはこれまで現役世代の仕事を奪わないようにとの配慮から高齢者に対しての仕事は「月10日程度または週20時間以下」という短時間に制限してきました。
また、仕事内容も「清掃」「駐車場などの管理」「警備員」といった軽作業などが多くありました。
一方で、それまでの社会人経験を活かすことができるような専門性のある仕事の紹介やもっと長時間勤務を望む声が多く出ていました。
そこで厚生労働省は「週40時間まで」拡大することを認めるように進めています。
また同時に企業に対しても再雇用を促進したり、高齢者の雇用を推奨しています。
急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、それが2013年4月1日から施行されました。
この改正では、定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止などが含まれています。
高年齢者雇用安定法は、事業主に以下のことをを義務付けています。
- 定年の引上げ
- 継続雇用制度の導入等の高年齢者雇用確保措置を講じること
そのため、60歳以上の労働者がいない企業であっても、65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入などを取り入れる体制を作っていく必要があります。
(出典:厚生労働省)
日本では定年後も働きたいと考えている人が増加傾向に
寿命の延びや医療技術の進歩により、高齢者は昔と比べ健康で元気な人が多く、勤労意欲を持っている人も多くいます。
少子高齢化の対策としても高齢者の勤労は重要なポイントとなります。
これからも定年後に就労を希望する高齢者が増えていくことが予想されています。
厚生労働省が指示をしている通り、企業や社会がそれを可能としていくシステムを作り上げていくことが長期的にも高齢者を貧困から救い、労働人口を減少させないということにつながっていくのではないでしょうか。
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