高齢者の幸福感と経済状態に関して、内閣府発表の「平成27年版高齢社会白書」は、高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の必要条件は「自分自身が健康であること」、「ある程度の経済水準を保っていること」、「近所に一緒に時間を過ごす知り合いがいること」、「物事への意欲・関心があること」を挙げています。
一人暮らしの高齢者に絞ると、「毎月の収入が多いほど幸福感が高い」という回答結果も得られています。
この記事では高齢になるほど格差が拡大している高齢者のお金事情をお伝えしていきます。
(出典:内閣府「平成27年版高齢社会白書」)
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高齢者の貧困の現状
高齢者世帯の所得は、その他の世帯平均と比べて低いのが現状です。
一人暮らしをしている高齢者の経済状態を見てみると、約8割が収入を年金に頼る暮らしでそのほとんどの人が収入のある仕事をしていません。
そして貯蓄なしという高齢者は35.6%で、一か月あたりの収入に関しては以下のように発表されています。
10万円未満:37.8%
10万~20万円:44.8%
20万円以上:17.5%
単身世帯は住居費や光熱費、食費など1人当たりの生活コストが上がり、貧困に陥るリスクも高いといえます。
生活保護受給世帯の数をみると、2000年から増加傾向にあり、中でも「高齢者世帯」の数は突出しています。2000年時点で33万世帯だったのが、16年時点で84万世帯と2.5倍以上に増えています。
2015年時点の高齢者世帯の平均所得は「308万円」となっており、すべての世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いたその他の世帯平均所得「645万円」の半分も満たしていません。
このようなことから高齢者世帯の3割以上が、家計にゆとりがなく生活が心配と答えています。
(出典:内閣府「平成28年版高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」)
(出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)
高齢者世帯の格差が目立つ
高齢者世帯を分類すると、単身世帯、夫婦のみ世帯、子どもと同居する世帯の3つの世帯類型に分けられます。それぞれ、経済的な暮らし向き、収入と貯蓄について解説します。
経済的な暮らし向き
「家計に心配がある人」の割合は、下記表の通り3つの世帯類型の中で「単身世帯」が一番多くなっています。
心配なし | 心配あり | その他 | |
単身世帯 | 56.2% | 42.8% | 1.0% |
夫婦のみ世帯 | 66.5% | 32.9% | 0.5% |
子どもと同居する世帯 | 67.0% | 32.6% | 0.4% |
平均 | 65.1% | 34.4% | 0.5% |
収入と貯蓄
収入のある仕事をしていない人の率については「単身世帯」が一番多く、これは女性の単身世帯や75歳以上の高齢の単身世帯が多いことが影響していると考えられます。また、貯蓄がない比率についても、「単身世帯」が多くなっています。
収入のある仕事 | 貯蓄 | |||
している | していない | あり | なし | |
単身世帯 | 26.7% | 73.3% | 64.4% | 35.6% |
夫婦のみ世帯 | 35.0% | 65.0% | 82.6% | 17.4% |
子どもと同居する世帯 | 32.8% | 67.2% | 77.2% | 22.8% |
平均 | 32.7% | 62.3% | 77.4% | 22.6% |
(出典:内閣府『世帯類型別にみた「高齢者の経済・生活環境」について ―「単身世帯」「夫婦のみ世帯」「子どもと同居する世帯」の比較―』」)
単身世帯は女性の単身世帯や75歳以上の単身世帯が多いことから、収入のある仕事に就くことができず、貯蓄がない人が多いと考えられ、そのために家計に心配がある人の割合も多くなっていると推定できます。
高齢者世帯と一言でいっても、各世帯類型によって格差があることがわかります。
高齢者世帯が貯蓄しておきたい理由
内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書(全体版)」によると、60歳以上の高齢者が自分の暮らし向きについて「心配ない」と評価した割合は、64.6%であり、年齢階級別にみると、「80歳以上」は約7割以上と高い割合となっています。
高齢者世帯(65歳以上の人のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯)の平均年間所得は297.3万円で、全世帯平均の644.7万円の5割弱です。
また、8割以上の世帯において公的年金・恩給が総所得に占める割合が70%になります。
1人当たりの年間支出は129.4万円で、全世帯平均の120.1万円を上回ります。
このことから、高齢者世帯では収入が全世帯平均のおよそ半分と少ないのに対し、1人当たりの支出は全世帯平均より多く、高齢になると必要に迫られる支出が増えることが伺えます。
60歳以上の高齢者の支出に関する意識調査で、「優先的にお金を使いたいと考えているもの」では、以下の結果が出ています。
- 健康維持や医療介護のための支出:42.8%
- 旅行:38.2%
- 子どもや孫のための支出:33.4%
貯蓄の目的については以下の回答が得られています。
- 万一の備えのため:47.5%
- 普段の生活を維持するため:17.8%
- よりよい生活をするため:4.5%
- 子どもや家族に残すため:2.6%
- 旅行や大きな買い物をするため:2%
高齢者は限られた所得で生活を維持しなくてはならないため、万が一への備えの割合が多いことが際立っています。
高齢者は年金など収入が一定に限られる一方で、以下のような支出のリスクが大きいことが考えられます。高齢者が負担に感じる項目のトップ10をご紹介します。
- 介護(老人ホーム、デイケアなどの費用含む)
- 在宅介護やバリアフリーにするためのリフォーム
- 保健、医療関係費など
- 食費, 光熱費
- 住居費
- 生命保険や損害保険などの保険料
- 交通費、 自動車 関係費
- 子や孫のための支出
- 通信・放送受信費
- その他 交際費
(出典:内閣府「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」)
(出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書」)
事前にもらえるお金を把握しておくことが大切
日本では2016年時点で、労働力人口は6,673万人とされており、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は11.8%と上昇し続けています。
我が国では他国と比べ、高齢者の就業意欲が高いのが特徴です。
ちなみに、65歳で働いている日本人の数は、はフランス人の10倍、イギリス人の2倍、ドイツ人の5倍です。
ほとんどの高齢者は経済的に困らないようにするために働いています。
高齢になるほど健康や生きがいのために働く傾向が強まる傾向があり、就業によって自らの高齢期の生活を設計していく意欲は今後も高いと思われますが、現実の高齢者雇用は厳しい状況にあります。
高齢者の離職理由をみると非自発的なものが多いという現状は、今後、円滑に高齢者が再就職できるような環境を整えていくことが課題です。
そして、高齢者が経済的に自立し、就業を通じてその知恵や経験を社会に還元できるよう、年齢にかかわりなく働ける社会を実現していく必要性が高まっています。
高齢者の様々なお金事情を鑑みると、高齢になるほど、格差が拡大しています。若いころから国民年金や厚生年金など、老後にもらえる金額を計算し収支の計算をしてみることが大切です。
経済格差への対策が必要
幸せな高齢者として生活するには健康状態・経済状態・社会的環境・生活環境の充実が必須です。
若い時期から国民年金や厚生年金など、老後にもらえる金額を計算し収支の計算をしてみることが大切になります。
生活に困っている世帯は、貯蓄がなく、病気や事故などに見舞われた場合、即座に生活破綻に陥るリスクを抱えた世帯で、今後、そのような困窮高齢層の数はますます増えていくとみられます。
幸せな老後を送るために、あなたも老後にかかる資金を一度計算してみましょう。
(出典:内閣府『世帯類型別にみた「高齢者の経済・生活環境」について ―「単身世帯」「夫婦のみ世帯」「子どもと同居する世帯」の比較―』」)
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