日本では多くの単身高齢者が貧困に陥っている状況です。
少子高齢化や年金システムなど様々な原因があると考えられていますが、貧困には多くのリスクがついてきます。
この記事では単身高齢者の抱えるリスクや、行われている支援について紹介していきます。
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単身世帯が増加する日本
昭和22~24年(1947~1949年)に第一次ベビーブームがあり、そのときに生まれた世代は団塊の世代と呼ばれ多くの人口がいます。
その人たちが2019年の時点では70代に突入する年齢になっており、死別などによって単身者になっていくことが予想されています。
また、60代、70代くらいの単身者または夫婦の世帯が、子ども世帯と一緒に暮らさない傾向が強まっていることも関係しています。
60代や70代の子ども世帯は30〜40代くらいで、仕事や子育てをしている世代が多くなっています。
親子の世帯が離れて生活しているために、夫婦のどちらかがなくなれば単身世帯となってしまうのです。
(出典:総務省統計局公式サイト)
高齢期の単身は貧困率も高くなる傾向に
2016年の「65歳以上70歳未満」世帯における公的年金の平均受給額は単身世帯で年間136万9000円ほどとなっています。
一方、夫婦世帯では241万1000円と、単身世帯よりもかなり多くなっています。
単純に受給される人数が多い方が世帯の収入が多くなりますが、一人当たりの生活コストが絡んでくると単身者の方が貧困に陥りやすいということがわかります。
複数で生活している方が生活コストが低くなり、一人暮らしの方が生活にかかるコストが高くなるため、単身者は貧困に陥りやすくなるのです。
2016年時点で「65歳以上の高齢者がいる世帯」の貧困率(所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合)は27%ほどです。
つまり高齢者世帯の4分の1世帯が貧困状態に陥っているということになります。
そしてこの数値は単身世帯になるとさらに上がります。
この数字になるには色々な理由が考えられます。
以下にその理由を説明していきます。
(出典:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」,2016年)
(出典:総務省統計局公式サイト)
国民年金(基礎年金)のみを受給
年金は「二階建て構造」と言われることがあります。
全員が基本的に受け取ることができる「一階部分」にあたる「基礎年金」と、受給するには要件が必要となる「二階部分」にあたる「厚生年金や共済年金」があります。
単身高齢者の中でも特に女性の中に貧困世帯が多くなっているのはここが関係しています。
貧困世帯の多くは「基礎年金」だけを受給しているのです。
基礎年金は月額満額でも65,000円ほどとなっており、年間では80万円ほど。ここに厚生年金や共済年金を加えると180万円ほどになります。
そもそも基礎年金の給付額が低いということも関係していますが、やはり厚生年金などを受け取っていないことが貧困の原因と言えるでしょう。
(出典:厚生労働省公式サイト)
基礎年金のみを受給している人とは?
基礎年金のみを受給している人はどういった人かを説明します。
まず結婚している女性で夫が会社勤めをしていた場合、妻によほどの収入がない限り妻は夫側の厚生年金に加入することになります。
この場合は厚生年金も受給できることになります。
しかし、夫が会社勤めではなく自営業や農業、個人で漁師などをしていた場合に夫が死別などの理由で女性が一人になった場合は、厚生年金を支払っていなかったために基礎年金のみの受給ということになります。
また、高齢者になるまで単身であり、厚生年金を支払わないパートなどの仕事をしてきた場合、そのまま高齢者になると基礎年金のみの受給ということになります。
そのほか、若い時に安い賃金で働いていたり、働いていた期間が短すぎたりして厚生年金の支払い総額が一定の基準まで届いていなかった場合は厚生年金を受給できたとしても金額が低いものとなります。
男性の場合は現役世代の時に仕事をして厚生年金を支払っていた可能性が女性よりも高いために、高齢者になったときに厚生年金も受給できる場合が多く、女性よりも貧困率が低くなっているのです。
(出典:厚生労働省公式サイト)
病気やケガによって非正規雇用となってしまった
単身者は病気やケガをした時にフォローしてくれる配偶者がいないために、雇用が途切れて非正規雇用になってしまうことがあります。
非正規労働者になると正規雇用の場合よりも労働条件が悪くなることが多く、年収も低くなりがちということもあって貧困に陥りやすくなります。
貧困状態の単身高齢者のリスクとは?
貧困状態の単身高齢者には様々なリスクが考えられます。
病気やケガで働けなくなるリスク
まず、非正規雇用などで収入を得て生活をしていた単身高齢者の場合、病気やケガをした際に働くことができずに収入がなくなってしまうことがあります。
そして収入がない中で日常生活や病気の治療などを一人でしていくことになるためにより負担は大きくなっていくのです。
就労の機会のリスク
就労していくことも高齢になるほど難しくなっていきます。
まず新しく仕事を探す場合も年齢制限がある仕事が多く、なかなか見つけられないということがあります。
また、仕事に就いても体力的な問題や病気やケガなどの可能性もあり、なかなか仕事を続けていくということも難しくなっています。
居住を維持するためのリスク
持ち家であった場合でも固定資産税の支払いや修繕費などの積み立て、分譲マンションであれば管理費の支払いなどが発生します。
賃貸であれば家賃の支払いをしなければいけません。
また、高齢者になると新しく賃貸契約を結ぶのが難しくなっていきます。
敷金や礼金、引っ越しなどにも費用がかかります。
貧困状態の単身高齢者に実施されている支援とは
貧困状態の単身高齢者に対しては厚生労働省が「生活困窮者自立支援制度」を実施しています。
ここではそれらの支援内容について紹介していきます。
自立相談支援事業
地域の相談窓口では、困りごとや不安を抱えている場合に相談することができます。
支援員が相談を受けて、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、具体的な支援プランを作成し、寄り添いながら自立に向けた支援を行う制度です。
住居確保給付金の支給
生活保護に至る手前や生活保護を脱却する段階での自立を支援するため、平成27年4月より生活困窮者自立支援法が施行されています。
住宅確保給付金はそれに基づく制度の一つです。
住宅確保給付金は、経済的な理由などから家賃を滞納してしまって住宅を失ってしまった、あるいは家賃の支払いが困難になってしまった場合に家賃に相当する金額を支給し、生活への復帰支援を目的とする制度です。
就労準備支援事業
就労をしたいと願っていても、以前の仕事を辞めてからブランクのある人や、対人関係から就労に向けて練習したいという場合など、働きづらさを抱えた人に対して段階的な就労支援を行う制度です。
就労訓練事業
就労訓練事業は、すぐに一般就労を行うことが困難な生活困窮者に対して、支援付きの就労(雇用契約に基づく労働及び一般就労に向けた就労体験等の訓練を総称するもの)の機会の提供などを行う事業であり、社会福祉法人、消費生活協同組合、NPO法人、営利企業などの自主事業として実施されています。
家計相談支援事業
生活困窮者自立支援法に基づいて、家計に問題を抱える生活困窮者からの相談に応じ、相談者とともに家計の状況を明らかにして生活の再生に向けた意欲を引き出します。
また、家計の視点から必要な情報提供や専門的な助言を行うことで生活困窮者自身の家計を管理する力を高めて生活が再生されるよう支援する事業です。
一時生活支援事業
住居をもたない人などに一定期間、宿泊場所や衣食を提供する制度です。
退所後の生活に向けて、就労支援などの自立支援も同時に行います。
(出典:厚生労働省公式サイト)
単身の高齢者貧困によるリスクや現状を知ろう
単身高齢者の貧困には多くのリスクがあるだけでなく、改善が難しいのが現状です。
単身高齢者に向けた様々な支援がありますが、知らないために利用されていない場合も少なくありません。
身近で生活に不安を訴える高齢者がいたら、相談窓口で相談することを勧め、少しでも生活が楽になるために受けられる支援がないかなど、一緒に考えてもらうことが生活改善の一歩となるでしょう。
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