貧困家庭の子どもたちのちからになりたいという思いから、東京の八百屋からスタートしたこども食堂は、全国に急速な広がりを見せています。
また「温かいご飯を提供する」活動以外にも、母子家庭の悩みを打ち明けられるコミュニティや、クラスを超えた子どもたちの交流などから地域住民とのコミュニケーションの場としての役割も果たしています。
今回の記事では、名古屋・愛知県のこども食堂に焦点を当てて、支援や取組事例について解説します。
こども食堂とは?目的やメリット、これからの課題、支援方法などについて解説
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名古屋市や愛知県のこども食堂事情は?
愛知県では、県内の子どもの貧困率について、公式サイトで算出されており、ここでの計算で使われる「貧困線」は、世帯の手取り収入から世帯人員の平方根で割り、調整したりすることで導いています。
この結果によると、2016年の国民生活基礎調査の貧困線(122万円)による愛知県全体の子どもの貧困率は5.9%、名古屋市単独では6.2%となっています。
また、愛知県独自の貧困線(137.5万円)によると、愛知県全体の子どもの貧困率は9.0%、名古屋市単独では9.3%と愛知県平均より高い水準となっています。
国民生活基礎調査の貧困率を基準にした、全国の子どもの貧困率は13.9%(平成27年)であることから、全国平均よりは低い水準です。
しかし、愛知県全体でもより「子どもの貧困」を減らす対策は必要です。
(出典:愛知県「愛知子ども調査報告書」)
こども食堂の数
こども食堂の数は、名古屋市以外の愛知県内に66施設(2019年5月時点)。名古屋市内に41施設、合計100施設以上が愛知県で作成されている「子ども食堂マップ」に掲載されています。
このこども食堂の施設数は、他の地域と比べても多く、県民の強い味方として地域に密着していることが分かります。
- 愛知県全体の子どもの貧困率は5.9%、名古屋市単独では6.2%
- 2019年5月時点で愛知県内の子ども食堂は100箇所が確認されている
- 他の地域よりも多く開かれていることから子ども食堂が地域に密着していることがわかる
(出典:愛知県社会福祉協議会「子どもの居場所応援プラザ」,2019)
愛知県が行う「既存の社会資源を活用した子ども食堂開設モデル事業」とは?
愛知県では、令和元年度時点で子ども食堂におけるモデル事業を展開しています。
目的は、食を通じて参加する地域の人どうしの繋がりが芽生える「居場所」を作ることです。
愛知県では、県内にある10事業者に子ども食堂の開設を委託しました。
実施期間は5月から12月までの間に、1事業者5回以上の子ども食堂を開催すると定めています。
事業期間終了後に、得られた効果や課題などを検証し、報告書を作成、市町村や社会福祉協議会に配布します。
実際に得られた生の意見や、活動の中で出た問題点を洗い出すことで、更なる設置拡大につなげるのです。
(出典:愛知県「既存の社会資源を活用した子ども食堂開設モデル事業」)
この事業の効果は?
愛知県企業が主体となって、こども食堂を営業する取り組みによって、各団体から様々な気づきとフィードバックが返ってきました。
このような点について、実際の意見を解説します。
子ども同士
基本的に学校内では「同じクラスの子どもたち」との交流がほとんどを占めます。
しかし、こども食堂の特徴は学年の垣根を越えてコミュニケーションを取ることができる点です。
自然と大きい子が小さい子の面倒を見てくれたり、兄弟・姉妹のいない子にとっては「兄弟ができた」ような新鮮な体験をする機会の提供になりました。
このような集まりの回数を重ねることで、年上の子が年下の子に遊び方を教える場面もあり、学校では体験が難しいコミュニケーションを提供する場としても機能する可能性を秘めています。
居場所づくり
学校生活の中で友達と馴染めない子も、こども食堂であれば心地良い居場所としてコミュニケーションを取れる場合もあります。
年齢、性別、障害の有無などを問わない集まりは、子どもたちにとっても多様な価値観を学ぶことができる体験に繋がるのです。
また、単に料理だけを提供するだけでなく「みんなで料理を作る」などのワークショップを取り入れることで、家族間の繋がりを深くしたり、他の家族とも繋がりが生まれる機会も生まれます。
大人・地域との関わり
実際にプロの調理師が料理をしている姿を見れるこども食堂は、子どもたちにとって新鮮な光景です。
家族同士の繋がりが時代とともに減っている中で、世代を超えた地域住民がみんなで食事をすることによって、地域コミュニティとしての繋がりが強固になる可能性も秘めています。
食への関心
普段は、野菜を食べない子どもが、こども食堂では食べる光景があります。
これは、嫌々食べるのではなく「みんなで食べるとおいしいね」「今日は嫌いな野菜、頑張って全部食べる!」というようなこども食堂で食べることから生まれた効果です。
自分より年下の子の前で、「カッコ悪いところは見せられない!」など、普段の生活の中では見えない「気持ちの変化」も期待できます。
- 愛知県では、県内にある10事業者に子ども食堂の開設を委託し、報告書を提出させた
- 報告書によると、人との関わりや食への関心など子どもに変化が見られた
- 子ども食堂に来ることで普段の生活では見えない態度や気持ちの変化が現れている
(出典:愛知県「既存の社会資源を活用した子ども食堂開設モデル事業 報告書」)
名古屋市、愛知県内で補助金が提供されるこども食堂に関する事業は?
ここまでは、令和元年度時点において愛知県で行っている食堂開設モデル事業について解説しました。
次に、名古屋市、愛知県内で補助金が提供されるこども食堂に関する事業について説明します。
子ども食堂推進事業補助金(名古屋市)
名古屋市内で子ども食堂を開設するNPO法人などの非営利団体が支援対象です。
子どもの孤食を防止し、子どもが安心して食事ができる機会を提供することを実現する活動に対して、支援を行っています。
子ども食堂運営費補助金(清須市)
清須市内に子ども食堂を開設する団体を対象に支援を行っています。
市内のひとり親家庭および父母のいない養育家庭の子どもを対象に、こども食堂運営事業を実施する団体に対して補助を行います。
支援の上限額は20万円までです。
- 愛知県内で補助金が提供されるこども食堂に関する事業がある
- 名古屋市、清須市では子ども食堂運営費補助金を支給
- 子ども食堂を普及させるために活用されている
(出典:愛知県「どもの貧困対策寄附金」)
(出典:清須市「平成30年度予算 主要施策の概要」)
名古屋市や愛知県のこども食堂の活動を応援しよう!
今回の記事では、愛知県と名古屋市におけるこども食堂の現状と、支援活動について説明しました。愛知県の地域企業の協力を経て、モデル事業を行ったりと全国の中でも行政が積極的に「こどもの居場所づくり」の活動を行っています。
しかし、更なる貧困率減少のためには、運営者と行政任せにしないことが大切です。
まずは現状を知り、小さな支援から始めてみてはいかがでしょうか。