こども食堂は、年々全国に拡大しており子どもや地域にとっての必要性がこれまでより増しています。その一方で、これまで見えなかった様々な課題、問題も出ています。
今回は、こども食堂の現状と拡大していく上で見えた課題などについて紹介します。
こども食堂とは?目的やメリット、これからの課題、支援方法などについて解説
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全国に7,300ヶ所以上に拡大!こども食堂の現状は?
こども食堂とは、子ども向けに無料もしくは安価で食事を提供している場所で、地域交流の場でもあります。
2019年6月時点では全国に3,700箇所あり、2016年の319箇所からたった3年で10倍以上の数に増えています。2022年には7,363箇所にまで増えました。
昨今では、家庭内の様々な理由から家族一緒にご飯を食べられない子どもが増えており、子どもたちのために地域団体が温かみのある場所や、ふれあい、会話できる場所を提供しようという思いから、こども食堂は広がりを見せています。
また、色々な人と共に食事を共にする「共食」の体験をして、一緒に食事を作ったり、野菜を育てたりといった、実体験やコミュニケーションを通して学びを育む環境としても、活用されています。
子どもにとって貴重な社会体験になり、社会からの疎外感を感じさせないためにこども食堂では様々な課題に取り組み続け、現在では年間100万人以上が利用しており、拡大を続けています。
- 2012年:9件
- 2016年:319件
- 2018年:2,286件
- 2019年:3,700件以上
- 2022年7,363件
こども食堂が広がりを見せ始めた2016年からわずか3年足らずで約10倍以上に増えた背景には、行政のような大きな組織だけでなく地域や個人が問題意識を持ってこどもの貧困問題や食事の問題に取り組んできた結果といえます。
- こども食堂は子ども向けに食事を提供し、地域交流の場でもある
- 2019年6月時点では全国に3,700箇所まで増加
- 2016年の319箇所からたった6年で20倍以上の数に増えている
(出典:こども食堂について|むすびえ)
そのなかで見えてきたこども食堂の課題・問題点とは
農林水産省の「こども食堂と地域が連携して進める食育活動事例集」によると、こども食堂の運営に対するアンケート結果で現在、6つの課題があることが挙げられています。
- 来て欲しい人や家庭の参加
- 資金の確保
- スタッフの負担、スタッフの確保
- 地域との連携
- リスク管理
- 会場の確保
それぞれ課題の内容を紹介します。
来て欲しい家庭の子どもや親に来てもらうことが難しい
こども食堂が抱える大きな課題のひとつが「来て欲しい家庭の子どもや親に来てもらうことが難しい」という問題です。農林水産省のアンケート調査による結果の中でも全体の42.3%と一番大きなウェイトを占めています。
なぜ、このような問題が生じるのかというと、行政や地域が全ての家庭事情について把握しきれていないという点などが挙げられます。
こども食堂の認知度が低い
こども食堂という存在自体を認知していないケースが考えられます。
そういった問題点もあり、行政が「来て欲しい」と想定する家庭と「こども食堂を必要とする」家庭にくい違いがある場合も考えられ、これからこども食堂が解決していかなければならない大きな問題点です。
運営費(活動費)の確保
NPO法人といえども、営利団体と同じく活動資金は必要です。
食材や設備費を調達しなければ、長期的な運営は難しく、徳島県ではこども食堂を始めてから4ヶ月で閉鎖してしまった実例も存在します。
そのため、継続しているこども食堂の7割は市区町村や社会福祉法人の援助を受けて食費や調理器具などの設備費・運営費をまかなっているという状態です。
この問題を打破するためには、クラウドファンティングや寄付といった資金調達が必要です。
運営費(活動費)に関しては、立ち上げの際に困った問題のアンケート結果で、資金集めが24.8%と一番多い結果となっています。
これらの問題の背景には先述した通り、地区町村や社会福祉法人の援助の他に、「行政の理解が得られない」や「学校・教育団体の協力が得られない」「住民の協力が得られない」といった問題点が挙げられます。
運営費(活動費)確保の問題はこども食堂に対する各団体や自治体の理解が必要になってくると考えられます。
スタッフの負担や確保が難しい
こども食堂はボランティア活動の一環であるため、スタッフに賃金は発生しません。そのため、人員の確保が難しいという課題があります。
無償で労力を割くには限界にもあり、スタッフの負担の大きさ考えても人員の確保は今後の課題の一つです。
地域住民や民間企業の協力がこども食堂の運営には欠かせません。
地域との連携
こども食堂の課題に「地域との連携」が取れない点もあります。「学校・教育委員会の協力が得られない」が17.2%、「行政の協力が得られない」が12.8%となっています。
これ以外にも3.6%と少数ではありますが、「住民の協力が得られない」との声もあります。
こども食堂の運営が成功している声には地域の学校との連携、行政との連携、民主委員等との連携が事例として挙げられており、地域との連携の大切さが伺えます。
リスク管理
こども食堂は「食べ物」を提供する場所なため、食品の衛生管理に対するリスクがあります。
「火を通したもの」しか提供しないというこども食堂が多い中、親からすると、子どもが口にするものは心配の種となるのです。
その中、こども食堂の約90%が衛生管理に関する知識を持つ有資格者がいると回答しています。
保健所への許可・届出は37.6%で、35.4%が保健所に相談して、許可・届出は不要という判断を受けています。
また、厚生労働省では、そんなこども食堂の衛生管理のためにチェックリストを作成し、公表しています。チェックリストには大きく、
- 調理前に行うこと
- 調理中に行うこと
- 調理が終わった後に確認すること
に分かれておりチェックリストの項目に沿って、食中毒のリスクに備えることがこども食堂の運営には大切です。
会場の確保が難しい
こども食堂を開催するにはある程度の規模の場所が必要になります。
ですので会場を確保することも課題のひとつです。場所によっては無償で提供してもらうことが難しく、場所代が発生することもありますし、無料の場合でも光熱費を負担しなればいけません。
会場の確保には「地域との連携」という課題とも関係しています。
行政や自治体の協力が得られれば、場所の問題も解決できるかもしれません。
- こども食堂の数が増える中で見えてきた課題もある
- こども食堂の運営に対するアンケートでは6つの課題が上がった
- 運営に関する課題や子ども食堂に関するイメージ、リスク管理など
(出典:農林水産業「こども食堂と地域が連携して進める食育活動事例集」)
(出典:厚生労働省「子ども食堂における衛生管理のポイント」)
こども食堂の運営を寄付でサポートしよう
こういったこども食堂を取り巻く課題の解決には地方自治体や地域住民の協力が不可欠です。
私たち一人ひとりの寄付や協力がこども食堂の課題解決や成功の大きな力となります。
こども食堂を運営するには立ち上げから、食費、設備費などお金が必要です。
一人ひとりの寄付により、こども食堂の課題解決の大きな原動力となり、またボランティアスタッフ不足にも寄与できます。
こども食堂は子どもに団らんや他者とのコミュニケーション、社会経験を体験してもらう貴重な場所です。
満足のいく食生活が送れない子どもの成長のためにも食料やお金の寄付が、子どもの未来をつくることにつながります。
一人でも多くの子どもがこども食堂を利用できるように
こども食堂は子どもにとって大切な機会である「共食」と地域のコミュニティへの参加の機会になる貴重な体験です。
近年、急速にこども食堂自体の数は増えてきていますが、まだまだ地方自治体の協力、支援、運営費の問題、スタッフの確保などの課題がたくさんあります。
一人でも多くの子どもがこども食堂を利用できるように、これから課題解決や問題解決に向けて行政や地域などの地方自治体をはじめ、一人ひとりが向き合うことが必要とされています。