2019年には横浜で第7回TICAD(第7回アフリカ開発会議)が実施されたり、アフリカへの民間企業進出が活発化していたりと、アフリカは近年高い注目を集めています。
この記事では、サブサハラ・アフリカの概要と日本の支援の状況について解説します。
アフリカの貧困が子どもたちに与える影響は?どんな支援が行われている?
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サブサハラ・アフリカ地域とは
サブサハラ・アフリカ(Sub-Saharan Africa)は「アフリカの内サハラ砂漠より南の地域」、つまり北アフリカを除いた国(ただしスーダンは含む)のことを指します。
北アフリカは他のアフリカの国より発展している傾向にあり、それを除くサブサハラ・アフリカは、世界で最も貧しい地域とされています。一方で、それだけ今後の伸びしろは大きく、最後に残された未開拓の地として注目されています。
サブサハラ・アフリカ地域の2019年現在の人口は約10億人であり、今後人口増加に伴い、2035年には中国とインドを抜き、2070年には、中国やインドの2倍ほどまで増加すると予想されています。
一方で貧困率は世界一位で、2015年時点ではサブサハラ・アフリカの人口の41.1%が、1日1.90ドル以下で暮らしています。
図:地図で見る世界の貧困率2015年
上の図は世界の貧困率を表していますが、世界の貧困層の半数近くがサブサハラ・アフリカに住んでいて、一番貧しい地域であると見られます。
(出典:世界銀行「世界の貧困に関するデータ」)
(出典:外務省「ODA(政府開発援助)「サブサハラ・アフリカ地域」」,2019)
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サブサハラ・アフリカの貧困が深刻化している要因は?
サブサハラ・アフリカでは、現在人口約10億人でさらなる人口増加が見込まれる中で、世界随一の貧困率が問題となっています。
開発の遅れている土地
本来、アフリカは天然資源に恵まれ豊かな自然環境にも恵まれた国であり、近年では世界が注目するほどの経済成長をしています。
しかしアフリカは、他の途上国地域がいずれも着実に所得を伸ばしてきている中で、停滞もしくは低下していきました。その原因の一つとしては、貧富の格差などが挙げられています。
世界銀行が2005年に発表した「アフリカは21世紀に生き残れるか」という報告書によると、アフリカの開発問題の解決の課題は
- 弱い統治制度
- 脆弱な人的資源(教育問題、年間2万人を超える頭脳流失、エイズなどの感染症)
- モノカルチャー依存経済のぜい弱さ(貿易状態は悪化し、対外債務が多い)
- 外国からの援助資金の低下
の4点や様々な環境が影響し、歴史的な開発の遅れがあったと言われています。
(出典:外務省「日本とアメリカ」)
紛争の多い国
アフリカの47か国の中で、これまで国際紛争も内戦も経験したこともない国は20か国、またクーデタすら経験したことない国はわずか10か国しかありません。
つまり、ほとんどのアフリカ諸国が紛争の被害にあっているということです。
例えば、コンゴ紛争を抱える中央アフリカを例にとれば、経済成長率を約2%引き下げていると見られています。
また2019年現在、紛争の影響で中央アフリカでは飢饉が発生しており、9割の家庭が一日一食しか食べられない環境の中にいます。
紛争は強姦や殺人など、心に傷を負わせるものでもあり、事態は深刻です。
部族対立や、資源争奪、貧困、権力対立、解放・独立闘争など紛争の理由多数あり、様々な要因が複雑に絡み合って起こっています。
(出典:国連WFP協会「中央アフリカ共和国緊急支援」)
(出典:外務省「コンゴ民主共和国に対する国連世界食糧計画を通じた無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換」,2018)
エイズやマラリアなどの感染症問題
アフリカ地域の死亡原因の1位から、HIV/エイズ、下軌道感染症、下痢性疾患、マラリア、脳卒中、早産による合併症と続き、結核など、上位の多くの死因が感染症です。
特に、三大感染症のHIV/エイズ、マラリア、結核は特に深刻な病気です。
例えば、2018年の段階でマラウイでは、毎年2万8,000人が新たにHIVに感染しているとみられ、若者の10人に1人がHIVに感染していると考えられています。
また蚊帳や予防薬で発症を抑えることができるマラリアも、いまだに深刻な感染症の一つです。
以下の図は、マラリアに感染するリスクのある国を示していますが、サブサハラ・アフリカのほとんどの地域が、アフリカ感染リスクがある場所となっています。
財政難や貧困のため、伝染病予防や医療ケアを充実させる対策がとれず、問題の解決が進まないのが現状です。
(出典:厚生労働省検疫所 FORTH 「マラリアについて」)
(出典:国境なき医師団「マラウイ:HIVとともに生きる子どもたち。苦しみの先に見えた希望のひかり」,2018)
日本も国としてアフリカ・サブサハラを支援
そのようなアフリカの状況に日本は様々な支援を行っています。
日本政府は、2016年から2018年の間で日本の強みである質の高さを生かした約1,000万人の人材育成を始め、総額300億ドル規模の質の高いインフラ整備や保健システムの改善、平和と安定の基盤づくりに力を入れることを合意しました。
2019年には、第7回TICAD(第7回アフリカ開発会議)が横浜で開催されました。
アフリカへの国際援助や協力は、SDGsの達成を中心とする「アジア・アフリカ協力の推進」、「民間セクターと市民社会の参加拡大」、「環境問題への取り組み」、「経済成長の加速化」、「人間の安全保障の実現」など、幅広い分野が焦点となっています。
(出典:外務省「アフリカ開発会議(TICAD)」,2019)
国際機関や民間セクターの取り組み
国連にとって、アフリカは長年優先度の高い地域として指定されています。2002年には、開発援助額の38%をアフリカが占めており、世界でも大規模な援助対象地域です。
(出典:国際連合広報センター(UNIC)「経済開発」)
アフリカでの栄養危機への対策
アフリカで発生する干ばつや、紛争、食糧危機、コレラなどの危機によって命の危険にさらされる子どもたちを救う活動をしています。
また2017年当初、ブルキナファソなどの6か国では、重度の栄養失調の子どもの割合が増え、160万人の子どもが急逝栄養不良に苦しんでいます。
NPO・NGOは目の前に迫る危機を食い止めるために、アフリカ栄養危機緊急支援への支援を募りこの問題に対処しています。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「アフリカ栄養危機」,2019)
民間企業との連携
近年では民間企業との連携も活発に進んでいます。
例えば国連の補助機関では、持続可能な開発目標(SDGs)の達成のために、民間企業が主導して新混相のための雇用を創出し、彼らに必要な商品・サービスを提供することを期待しています。
また数えきれないほどNPO・NGOも、アフリカの人々のために活動しています。
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サブサハラ・アフリカ地域の人々を支えるために私たちにできることは?
私たちが、アフリカに住む人々のためにできることは、「アフリカについて興味を持ち、その現状について知ること」、そして「寄付など何かしらの活動に参加すること」です。
また、国連機関やNPO・NGOなど、アフリカの人々を救う支援活動への寄付は、直接現地の人々の生活を助ける大きな力となります。