絶滅危惧種(陸)

日本の絶滅危惧種にはどんな動物・鳥がいる?

私たちが住む日本には、多くの動植物が生息しており、私たち人間は、それらの生物と共存していかなければいけません。しかし、人間の活動によって住処を追われ、生きていけない環境に追いやられている生物も少なくありません。

その中には、絶滅危惧種として指定されているものも多数存在しています。

動物や鳥の中で、どれだけの数が絶滅危惧種に指定されているかなどを紹介します。

陸の絶滅危惧種とは?レッドリストにある動物の種類・数、原因と対策についても紹介

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日本にもいる絶滅危惧種

日本を含め、世界には多くの生物が生息しています。私たち人間はもちろんのこと、哺乳類や鳥類、爬虫類などその種は多岐に渡り、品種だけでも9万種類を悠に超える生物が生息しています。

しかし、その生物が人間の活動によって絶滅の危機に瀕している種もあり、すでに絶滅した種もあります。

例えば、恐竜は私たち人間が地上に現れるよりも前にこの地球上に生息していましたが、自然の脅威により絶滅しました。一度絶滅してしまえば、二度と地球上に生きて現れることはありません。

恐竜の絶滅は、あくまで様々な自然の要因により起こったものですが、現代においては人間が要因となって様々な種の絶滅が起こりうるのです。

当然日本にも絶滅危惧種は存在し、それを取りまとめた資料として「レッドリスト」というものがあります。

レッドリストと絶滅危惧種の分類

レッドリストとは、絶滅のおそれがある野生生物をまとめたリストです。

国際的なものはIUCN(国際自然保護連合)が作成していますが、国内では環境省や地方公共団体、NGOなどによってまとめられています。

概ね5年程度の単位で更新されていき、2017年から2019年には第4次レッドリストの改訂版が連続で公表されています。

2020年に発表されたデータによると現在日本において絶滅危惧種と評価された生物は合計で3,716種とされています。

この絶滅危惧種はカテゴリー分けされており、それぞれの評価基準に基づいて分類分けされています。そのカテゴリーと判定基準が以下の通りです。

分類 判定
絶滅(EX) 既に絶滅したと考えられる種
野生絶滅(EW) 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) 絶滅の危機に瀕している種
絶滅危惧ⅠA類(CR) ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
絶滅危惧ⅠB類(EN) ⅠA類ほどではないが、近い将来における野性での絶滅の危険性が高いもの
絶滅危惧Ⅱ類(VU) 絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧(NT) 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
情報不足(DD) 評価するだけの情報が不足している種
絶滅のおそれのある地域個体群(LP) 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの
  • 世界には9万種類を超える生物が存在している
  • レッドリストとは、絶滅のおそれがある野生生物をまとめたリスト
  • 2020年現在、日本において絶滅危惧種と評価された生物は合計で3,716種
  • (出典:環境省「日本の絶滅危惧種と生息域外保全」)
    (出典:環境省「レッドリスト」,2019)
    (出典:環境省「レッドリストのカテゴリー(ランク)」)

    日本の動物・鳥の絶滅危惧種

    日本における動物や鳥の絶滅危惧種は、かなりの品種が存在します。全体では3,716種であることは先述しましたが、これを陸上で生息する動物や鳥に限定し、絶滅危惧種の評価で分類分けすると以下のようになります。

    分類群 評価対象種数 絶滅 野生絶滅 絶滅危惧種 準絶滅危惧種 情報不足 絶滅のおそれのある地域個体群 合計
    IA類 IB類 II類
    EX EW CR EN VU NT DD LP
    哺乳類 約160種 7 0 34 17 5 26 89
    12 13 9
    鳥類 約700種 15 0 98 22 17 2 154
    24 31 43
    爬虫類 約100種 0 0 37 17 3 5 62
    5 9 23
    両生類 約91種 0 0 47 19 1 0 67
    5 20 22
    その他無脊椎動物 約5,300種 1 0 65 42 44 0 152
    0 2 43
    合計 23 0 281 117 70 33 524
    46 75 140

    その他を除く分類群で見ると、鳥類の絶滅危惧種が多いことが分かります。

    具体的な品種を挙げると、コウノトリやシマフクロウ、ヤンバルクイナ、トキは絶滅危惧IA類、イヌワシやクマタカは絶滅危惧IB類、アホウドリやタンチョウは絶滅危惧種II類に分類されています。

    しかし、現在は人工下での繁殖などの取り組みが成功し、個体数を増やしています。この取り組みについては後述します。

  • 鳥類の絶滅危惧種が多く98種
  • トキは既に野生絶滅と評価されているが、人工下での繁殖などの取り組みが成功し、個体数を増やしている
  • (出典:環境省「環境省レッドリスト2020掲載種数表」,2020)

    絶滅危惧種というと、めったに見られない貴重な生き物というイメージがあるかもしれません。しかし、彼らは意外と身近なところに生きていて、保全するための取り組みが各地で行われています。
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    絶滅危惧種の保護を目的とした取り組み

    絶滅危惧種を保護することを目的とした取り組みは様々あります。

    世界的な取り組みとしては、希少生物などの商業取引を規制する「ワシントン条約」や渡り鳥などを保護する「二国間渡り鳥等保護条約・協定(通報種)」、水鳥とその生息地を保全する「ラムサール条約」などがあり、日本もこの締約国となっています。

    これらの条約により絶滅危惧種の個体数の減少を防ぎ、かつそれらの生物が生きて子孫を増やすことができるような環境の保全を行っています。

    また、日本国内においても国内希少動植物種における販売や頒布目的の陳列・広告、譲渡、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出などを原則禁止にし、個体の取り扱い規制を行う「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」を施行しています。

    こうした取り組みにより絶滅危惧種を守る活動が行われていますが、政府や国家間の取り決めだけではありません。

    地方公共団体やNGOによる絶滅危惧種の保護活動も行われています。生物の保護だけでなく、人工的な繁殖を促し、個体数を増やす活動を行うことで種を存続させるための直接的な取り組みも各地で実施されています。

    ラムサール条約とは

    ラムサール条約は水鳥が生息する湿地について「保全(再生)」と「ワイズユース(賢明な利用)」、これらを促進する「交流、学習(CEPA)」の3つが条約の基盤となっています。

    水鳥の生息地としてでなく、私たちの生活を支える重要な生態系と位置づけ、湿地の保全や再生を呼びかけています。

    保全や再生について、地域の人々の生業や生活度バランスの取れた取り組みを進めていくため、賢明な利用という位置づけになっています。

    さらにこれらを進めていくためには交流や能力養成、教育、参加、普及啓発などを進めることが大切であると提唱しています。

    水鳥は、絶滅危惧種に指定されているものも多く、日本に生息する水鳥の中でも絶滅のおそれがある種は存在していることから、このような条約を締結し、守っていく取り組みが必須となっています。

    野生絶滅と評価されたトキの繁殖

    日本におけるトキは、野生絶滅と評価されるほど個体数を減少させていました。絶滅を回避するために新潟県や石川県で繁殖を行い、個体数を増やす取り組みが行われています。

    中国からトキのペアを譲渡してもらい、繁殖活動を行いました。その結果順調に繁殖が進み、2007年時点では個体数は約100羽まで増加し、現在もその活動は続けられています。

    トキを自然界に戻すため、野生順化訓練も同時に行われています。2008年には10羽の時が野生下に放鳥されました。

    どちらの活動も順調に進んでおり、現在は人の手を借りた繁殖ではなく、野生下での繁殖が行われています。

    2017年に行われた調査では、65組の営巣(動物が自ら作った巣)が確認され、そのうち36組から92羽のヒナが誕生しています。

    そのうち31組から77羽が巣立つなど、自然界でのトキの個体数の増加も順調です。

    さらに野生下で誕生したトキ同士のペアによる営巣も9組確認され、8組から18羽のヒナが誕生し、7組から15羽が巣立っていることから野性絶滅の評価を改める動きも見られます。

    トキは種の保存法より、個体の捕獲や譲渡などが規制されているので、捕まえるのはもちろんのこと、トキの羽を見つけて他人に譲渡するような行為も法律違反となるため、注意が必要です。

  • 世界的な取り組みとしては、希少生物などの商業取引を規制する「ワシントン条約」や渡り鳥などを保護する「二国間渡り鳥等保護条約・協定(通報種)」、水鳥とその生息地を保全する「ラムサール条約」などがあり、日本もこの締約国となっている
  • 日本国内においても国内希少動植物種における販売や頒布目的の陳列・広告、譲渡、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出などを原則禁止にし、個体の取り扱い規制を行う「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」を施行
  • ラムサール条約は水鳥が生息する湿地について「保全(再生)」と「ワイズユース(賢明な利用)」、これらを促進する「交流、学習(CEPA)」の3つが条約の基盤となっている
  • (出典:環境省「種の保存法の概要」)
    (出典:外務省「ワシントン条約」)
    (出典:環境省「ラムサール条約とは」)
    (出典:環境省「トキ 羽ばたかせよう朱鷺を、美しい日本の空へ」,2018)

    絶滅危惧種を保護するために、様々な法律が制定され運用されています。以下の書籍では、動物の保護や自然環境の保全に関連する法律やルールを分かりやすく解説しています。

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    絶滅危惧種と共に生きられる世界へ


    私たち人間はその個体数を増加させ、それとともに生活範囲を広げてきました。

    山を切り開き、海を埋め立て、生息域を広げることでここまでの繁栄を見せたのです。

    同時にそこに住む他の生物の生息域を脅かすことにもなりました。

    過去には、人間の手によって絶滅してしまった生き物も数多くいます。同じことを繰り返さないために、過去を学ぶことはとても重要です。

    こちらの書籍では、人類が滅ぼした41の動物について美しいイラストで分かりやすく解説しています。

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    今、私たちの生活が環境破壊につながり、地球温暖化や気候変動などを引き起こしています。

    私たちの行動が絶滅危惧種を加速度的に増やしている要因でもあります。

    やがて様々な生物がこの地球上から消えていくと生物の多様性は失われ、私たちの生活にも多大な影響を与えることになります。

    同じ地球に住む生物として、共存できる世界を構築していくことは何よりも大切なことです。

    人間活動による、自動車や電気などの使用を控えるだけでも排気ガスを抑制できるため、地球温暖化の防止になり、生物の保護につながっていきます。

    様々な生物を守るための活動は、私たち一人ひとりにもできます。まずは無理なくできることから始めてみましょう。

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    分類群 評価対象種数 絶滅 野生絶滅 絶滅危惧種 準絶滅危惧種 情報不足 絶滅のおそれのある地域個体群 合計
    IA類 IB類 II類
    EX EW CR EN VU NT DD LP
    哺乳類 約160種 7 0 33 18 5 23 86
    12 12 9
    鳥類 約700種 15 0 98 21 17 2 153
    24 31 43
    爬虫類 約100種 0 0 37 17 4 5 63
    5 9 23
    両生類 約76種 0 0 29 22 1 0 52
    4 13 12
    その他無脊椎動物 約5,300種 0 0 65 42 44 0 151
    0 2 43
    合計 22 0 262 120 71 30 505
    45 67 130